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【IS学園初の授業】
「神碕 裕です。ISのことはまだ不勉強ですが、よろしくお願いします」
無難なことを言って一礼する。どれぐらい言えばいいか解らなかったし、どれくらいか普通なのかも解らないから端的に済ませた。
「「「「…………」」」」
拍手とかもなく、あるのは沈黙のみ。何か間違えたか? いや、こんな短い挨拶に間違いはなかったと思う。
「きゃ……」
「ん?」
「「「「きゃあああああああーーーっ!」」」」
いきなりの大きな声、歓声なのか、悲鳴なのかは解らない。
もし、後者であれば傷つく。何もしてないのに悲鳴をあげられたらさすがに傷つく。
「男子! 本当に男子!」
「今朝戦ってた男子よ!」
「しかもうちのクラス!」
元気だな、このクラス。千冬さんのクラスだから軍隊みたいな秩序があると思ったが、全然違っていた。
IS学園の生徒といえど、十代の女子って訳か。
最近の社会はISの発表で女尊男卑となっていて、女性が色々と優遇されている。
因みに男と女で戦争をしたら三日も持たずに男が負けると言われるほど、ISは脅威だ。しかしこのクラスの女性は女尊男卑って訳ではないようだ。千冬さんのクラスだからだろうか?
「静かにしてくださーい!」
山田先生は騒ぐ女子を鎮めようとするが中々静かにならず、それから山田先生が三回くらい言ってようやく静かになった。
「それでは神碕くんの席はここです」
そういって山田先生は示した席は右から二番目の一番前の席、つまりカナの隣。
俺は席について山田先生が連絡事項をいくつか言って、
「それでは今日は二組と合同のIS模擬戦なので、皆さん着替えて第二グラウンドに集合です」
転校最初の授業が模擬戦か。……あれ? そういえば……。
「山田先生」
「はい、なんですか?」
俺は山田先生に訊くべきことがある。
「たしか俺のISスーツって学園が用意してくれる手筈でしたよね?」
俺はそう聞いていた。しかし、まだ貰っていない。
ISスーツとはIS展開時に体に着ている特殊なフィットスーツだ。スーツなしでもISを動かすことは可能なのだが、反応速度が悪くなってしまう。
「そうなんですが、男性用は無くて、オーダーメイドになるので完成して届くのが明日なので申し訳ありませんが、そのまま制服でお願いします」
「制服でIS動かすんですか?」
もしそれで『模擬戦をしろ』なんて言われたら俺が不利だ。まだ実際にISは動かしたことがないのにしかも制服で動かすなんてハンデがありすぎる。
「いえ、今日は見学みたいな感じですね」
そうか、それならまだいいか。
チョンチョン。
「ん?」
俺は肩を突かれたので振り向いた。
ムニッ。
「……へ?」
「引っかかった♪ 引っかかった♪」
振り向いたら、頬を人差し指で押された。そして満面の笑みでいたずらが成功をしたのを喜ぶカナがいた。
そのカナは既にISスーツを着ていて、水色っぽい色をして所々に黒いラインが入っている。ISスーツはレオタードみたいな感じでぴっちりしていて体のラインがハッキリと出るから目のやり場に困る。
しかもカナはスタイルがかなり良いから余計に目のやり場に困る。
「それでは山田先生、私が彼を第二グラウンドへ案内します♪」
「お願いしますね。更識さん」
カナは「はい♪」と嬉しそうに答えて、俺の手を握って教室を出て歩を進める。向かう先は第二グラウンドだと思う。
「……カナ」
「なに?」
俺が呼ぶとカナは振り向かず歩いたまま返事をする。そのカナの声は嬉しそうに感じる。
「手を繋ぐ必要ってあるの?」
俺が訊いたらカナは突然、歩を止めた。
「……私とじゃ、いや?」
さっきとは打って変わってすごい落ち込んだような声を出して振り向くカナ。しかも目が潤んでいる。
「い、いやじゃない! いやじゃない! ただなんでかな? って思っただけだから!」
俺はカナにすぐに弁解を述べてから、気になっていたことを言った。
「……ゆっくん。昔の約束、覚えてる?」
「や、約束?」
「小学校を卒業する時にした約束。『次に再開した時に――』」
「転校生の男子発見!!」
カナが言っている最中に廊下に響く大きな声。反射的に俺は声がした方を見たら、女子生徒が立っていた。リボンの色が一年のと違うから多分二年か三年だ。
「どこどこ!」
「いたっ! こっちよ!」
「あー、更識さんと手を繋いでる!」
さっきの人を皮切りに続々と集まって来る。しかも俺とカナが手を繋いでいるのを見てさらに興奮と言うか、騒がしくなる。
「行くよ。ゆっくん♪」
「へっ? うわっ!? ちょ、カナ!?」
カナが何か言ったと思ったら突然走り出した。俺はカナに引っ張られて走る。
それからも続々と女子が来て、振り切って第二グラウンドに着いた時は授業開始ギリギリだった。
さっきカナが言いかけた。『卒業の時にした約束』って多分……『あれ』のことだよな。
「それではこれよりISの実習を行う!」
SHRにはいなかった千冬さんが前に立っている。いなかった理由はやっぱりアンデッドか?
「神碕、前に出ろ!」
「は、はい」
いきなり呼ばれた。なんだ? 見学で別の場所に行くのか?
「今朝、怪物を倒したと言ったな」
「…はい」
「実際にそのパワードスーツを見せろ」
「……えっ?」
俺は唖然とした。まさか呼ばれた理由が変身しろだなんて……。
「あの、それは何故ですか?」
さすがに何もなくいきなり変身は出来ない。それなりの理由――。
「報告書を書くにあたって実際に見てみなければ書けんからな」
があった。納得できなくはない。だけどそのためだけに変身しろって言われてもな……。
「…………」
「……解りました。します。しますから、その無言の威圧辞めてください」
千冬さんに負けて渋々俺は前に出て、先生やクラスメイトから十分距離をとって振り向く。
クラスメイト+先生の視線が突き刺さる。
(うぅ、この視線の中で変身するのか……)
ブレイバックルを出してバックルの中心にあるラウズリーダーにカテゴリーAを入る。ブレイバックルは粒子化しているのでバックルをイメージすれば出せる。
腹部の下部にブレイバックルを当てる。そしてバックルからカード状のベルト・シャッフルラップが自動的に伸長しバックルを装着する。
「変身!」
ターンアップハンドルを引いて、ラウズリーダーが回転する。
《Turn Up》
電子音が鳴った後、光のゲート・オリハルコンエレメントがバックルから出てきてそれが俺を通過して仮面ライダー
「ほお、これがお前のパワードスーツか」
千冬さんは変身した俺をまじまじと見て、胸板の装甲を叩く。
「とても倒せる力があるようには見えないが……」
『そんなに弱そうですか?』
まあ、ISみたいな機械部分が少ないからそう見えても不思議ではない。
「見た目では、な」
しかし、ちょっとショックだな。
「先生、私は怪物を倒したのをたしかに見ました」
挙手して言ったのが、カナだった。
「更識、見ていたのか?」
「はい、カードみたいな物を使ってました」
「ほお」
『使いませんよ』
その場の全員が見てみたい的な視線を俺に向ける。
ビーー!! ビーー!! ビーー!! ビーー!!
「「「「!!?」」」」
突然学園内に響き渡るサイレンのような大きな音。そして、マスクに内蔵されている。マイクロスーパーコンピュータ・ネクサスがアンデッドの反応を示した。
(おいおい、今朝三体倒したのにもうお出ましかよ)
ネクサスがアンデッドの位置を示す。
(…遠いな。直線距離なら大したことないが、校舎の裏側か……)
ブレイドに変身して100mを5.7秒で走れると言っても時間がかかる。
(なら、方法は一つだ!)
俺は左腕に装備ラウズ・アブソーバーのカードホルダーを開き、二枚のカードを出す。
《『アブソーブ』、
中央部の〈インサート・リーダー〉にQ「アブソーブ」をセットすることでアブゾーバーを起動、さらにJ「フュージョン」を〈スラッシュ・リーダー〉にラウズする。
《『フュージョン』、
カテゴリーJ・イーグルアンデッドの力を纏ったブレイドの高機動にして強化形態『ジャックフォーム』になる。
マスクとアーマーの各部が金色のディアマンテゴールドへと強化され、胸部はカテゴリーJ・イーグルアンデッドの鷲の紋章が刻印されたハイグレイトシンボルとなる。
通常時よりもパワー・スピードといった全ての能力が飛躍的に上昇しており、背中に装備された翼・オリハルコンウイングによる飛行能力も獲得。
俺が姿を変えたことでざわめく女子たち。というかサイレン鳴ってるのに俺を見るってえらく余裕があるな。
『……こっちか』
ネクサスのナビゲーションを起動させてアンデットの方向を表示する。確認をしたら背中のオリハルコンウイングを広げ、飛翔する。
飛び方は一週間でマスターした。
『見つけた』
一直線で飛んだことで目的の場所にはすぐに着いた。そこには一体のアンデットと校務員さんがいた。
俺は強化型醒剣ブレイラウザーを抜く。オープントレイを開いて、1枚のカードを出し、ラウズ・リーダーにスラッシュする。
《『スラッシュ』、パワースラッシュ》
ラウズしたカードが光りのフィールドとなって強化型醒剣ブレイラウザーの刀身へと吸収される。
先端に追加された鋭い刃・ディアマンテエッジによって、切れ味・硬度も通常時の1.5倍にまで上昇している。さらに『スラッシュ』の効果で切れ味がさらに上昇した。
俺は急降下してアンデッドを上段斬りをし、さらに立ち上がる際に下段から切り上げるように降って、アンデッドを斬る。最後に突きを放ってアンデッドは飛ばされゴロゴロと転がる。
『大丈夫ですか?』
「あぁ、おかげで助かったよ」
校務員さんが大丈夫なのを確認して俺はすぐにアンデッドに目を向ける。
「〜〜〜〜〜!!」
どうやらさっきのスラッシュでかなりのダメージを受けたようで、俺が危険だと思って腕の翼を羽ばたかせて、飛んだ。
『逃がすか! これで決める!』
俺は強化型醒剣ブレイラウザーを逆手に持ち、オープントレイを開いて三枚のカードを出す。
《『サンダー』、『マッハ』、『キック』、ライトニングソニック》
三枚のカードをラウズして、カードが俺の体へと吸収される。
『はぁあああ……』
俺は足を開いて足のバネを溜め、ジャンプしてオリハルコンウイングで飛んで追跡する。マッハの効果で飛行スピードは格段に上がってすぐに追いついて、雷を纏った蹴りを放つ。
『ぜやぁあああ!!』
「〜〜〜〜〜!!」
アンデッドは悲鳴のような叫びを上げて墜落、俺も地面に着地して封印可能状態であるのを確認して封印のカードを投げる。
アンデッドにカードが刺さって、それにより吸収され封印する。俺は戻ってきたカードをキャッチしてカードを見る。
『ダイヤのカテゴリーJか。――さてっと……』
俺は変身を解除しようとターンアップレバーを引こうと手を伸ばしたが、途中で止めた。
(ここから解除して移動したら時間かかるな……)
俺はオリハルコンウイングを広げて飛翔して、元の第二グラウンドに向かった。
「あれが烏丸くんの言っていた少年か……中々興味深い子とは言っていたけど、本当にそうだね」
校務員さんがそう言っていたのを俺は知らなかった。
それからグラウンド戻ったら、何故か千冬さんから背負い投げをくらった。
体重:111kgのジャックフォーム(ちなみに通常時は101kg)を背負い投げするなんて、千冬さんは本当に人間なのか?
早くもジャックフォームになりました。
やっぱりちょっと早かったですかね。