インフィニット・ブレイド   作:ケヴィス

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質問があったのでこの場でお答えいたします。


この物語は原作が始まる一年前なので、楯無、裕(本作主人公)はIS学園の一年です。

一夏、弾は中学三年です。

またこれは5月です。裕は藍越学園に一ヶ月通った後に、IS学園に転校しました。




第04話

 【一難去ってまた一難】

 

 

 時間はあっという間に放課後になった。

 

「失礼しました」

 

 俺は教員室から出た。理由は最後の授業が終わった時、山田先生から「寮の部屋の鍵を渡すから教員室に来てほしい」と言われたからだ。

 

 それで俺は山田先生から鍵と部屋の番号が書かれた紙を貰った。

 

「さて……行くか」

 

 生徒玄関で靴を履き替えて寮に向かう。まぁ向かうって言っても校舎から寮までは五十メートルくらいだからそこまで時間はかからない。

 

「え〜〜っと……」

 

 俺は寮について紙の書かれた部屋を探す。

 

「1038号室。ここだな」

 

 俺は部屋番号を確認して、ドアに鍵を差し込んで鍵を開ける。

 

 ドアを開ける。

 

「お帰りなさい。ご飯にします? お風呂にします? それともわ・た・し?」

 

 ドアを開けたら裸エプロンのカナがいた。

 

「………カナ」

 

「なに♪ あ・な・た♪」

 

 色々とツッコミたいが、とりあえず訊かなければならないことがある。

 

「………用事があるから先に帰るって言ってたけど、それがこれ?」

 

「そうよ♪」

 

「そのためだけに俺の部屋に来たの?」

 

「ここは私の部屋でもあるよ♪」

 

「…………え……?」

 

 今、カナはなんて言った? ワタシノヘヤデモアル?

 

「えぇぇぇえええ!!?」

 

 俺の叫びが寮の中で響く。

 

「これかもよろしくね。あ・な・た♪」

 

 

 

 

 

 

(………どうしてこうなった?)

 

 現在の時刻は夜八時、カナは今シャワーを浴びている。

 

 俺はベッド(手前の壁側)に腰掛けて考えた。部屋にはカナのとおもわしき物、年頃の男女を同室にするのはどうかと思う。

 

 もちろん俺はカナに何かする気は毛頭ない。しかし色々ときつい。

 

 夕食を食べようとカナが言ってきて、裸エプロンなのにいきなり俺の目の前で着替えようとして慌てて部屋を出たり、食堂へ向かう際にカナが腕に抱き着いてきたりした。

 

 それを見た他の女子はなんか羨ましそうな感じで見ていた。

 

 『ISは女性にしか扱えない』。それによりISのカリキュラムが入っているこのIS学園はもちろん、中学からISのカリキュラムを入れた学校は100%女子校となる。

 

 つまり男と接点がないから珍しいんだけど、接し方が解らず、何もできない。

 

 しかし、カナと俺は幼なじみ、だからカナはためらいなく接してくる。

 

 そう言えば、食堂に向かう途中で新聞部の人に写真撮られたな。たしか『(まゆずみ) 薫子(かおるこ)』って名乗ってたっけ。カナは凄い笑顔で抱き着いてツーショット写真を撮られた。

 

 まぁ食堂に着いたはいいんだけど、周りからの360°余すことなく視線を感じてゆっくり食事をする余裕はなかった。だからさっさと食べて部屋に戻ってきた。そして今カナがシャワーを浴びてるわけだ。

 

 ガチャッ、と音が聞こえた。どうやらカナがシャワー室から出たみたいだな。

 

「次いいよ。ゆっくん」

 

「了か……い………」

 

 俺は振り向いて硬直した。振り向いた先にはカナがいる。まぁいるのは当然なんだが問題なのは格好だ。着ているのが、Yシャツ一枚だけ。そのYシャツのサイズは大きめではなく、サイズがピッタリ合っている。だからその端から下は下着がギリギリで見えないが、座ったりしたら多分見えてしまうだろう。

 

「カナ、なんでYシャツ一枚?」

 

 俺はあまりに驚き過ぎて逆に冷静になっていた。

 

「いつもこうだよ」

 

「あのさあ。一応俺、男なんだからもうちょっと考えない? せめてパジャマとかさ?」

 

「ないよ」

 

 無いのか。無いんだったら仕方ない……のか?

 

 駄目だ。考えてもどうすることもできない。だから俺はさっさとシャワー室に行った。

 

 

 

 

「ふぅー」

 

「ゆっくーん」

 

「どうした? ――って、カナ……」

 

「なに?」

 

「いや、もういい。諦めた」

 

 シャワー室を出たらカナに呼ばれた。見てみたら、さっきのYシャツの格好でベッドの上に寝転んで足を泳がせて雑誌を読んでいる。言うまでもなく下着が見えてるわけだ。

 

 しかし、カナになにを言っても無駄だと思うからもう諦めた。

 

「……それでどうしたの?」

 

「ゆっくんに訊きたいことがあるんだよねー」

 

「……実は俺も質問があったんだ」

 

 正直、今まで女子に囲まれてる状況でカナに質問する余裕がなかった。

 

 俺はベッドに腰掛け、カナは俺と向かい合うように座る。

 

「最初はカナからでいいよ」

 

「そう? それじゃ遠慮なく。ゆっくんっていつからIS適性があるのを知ってたの?」

 

「大体、五ヶ月前だったかな」

 

 ライダーシステムの適性を調べる時に解ったから、それくらいだったはずだ。

 

「そうなんだ。――それじゃ次はゆっくんだよ」

 

 

「ああ、山田先生がカナを楯無さんって呼んでたけど。カナって名前って刀奈だよね?」

 

「あー、それね。私が更識家の当主になったから。『楯無』って名前は代々当主になったら受け継ぐ名前なの」

 

「それじゃカナのことを楯無って――」

 

「ダメ。ゆっくんは私のことカナって呼んで♪」

 

 俺が楯無って呼ぶべきか言おうとしたら遮られた。まあ、昔からカナって呼んでたから今更変えるのもちょっと大変だけど。

 

「それと質問とはちょっと違うんだけど……いい?」

 

「どうしたの? 急に」

 

 カナが改まる。どうしたんだ?

 

「半年前、行けなくてごめんね。当主になったばっかりで行けなくて」

 

「………別にカナが謝る必要はないよ」

 

 そう、あれはカナが謝る必要は本当にない。

 

「今度行くのは何時?」

 

「……せっかくカナに逢ったから、次の日曜に行く?」

 

「もちろん行く」

 

「解った」

 

 次の日曜にあそこに行くのが決まった。

 

「それと最後に訊きたいことがあったの」

 

「なに?」

 

「私のパンツ何色だった?」

 

「…………薄紫色」

 

 なんで素直に答えたんだろ。

 

「素直でよろしい♪」

 

 

 

     ◇

 

 

「どうでしたか? 実際に見られて」

 

 時間は深夜零時手前、場所は学園長室。椅子に座る穏やかな顔をした初老の男性の前に立っている千冬。

 

 その男性こそIS学園の実務をこなし、柔和さを感じさせる人柄、親しみやしさから『学園内の良心』と呼ばれる『轡木(くつわぎ) 十蔵(じゅうぞう)』である。

 

 そして普段は校務員の仕事をしている。

 

 その校務員こそが裕が助けた人物の轡木であった。

 

「烏丸くんから聞いていた通り、中々興味深い。そしてしっかりしていた子だったよ」

 

「そうですか。学園長はどうお考えですか? ISに匹敵すると言われているあのパワードスーツを……」

 

 千冬の問いに学園長の十蔵は顎に手を当てて答える。

 

「今はなにも言えないよ。……ただ出来れば敵にはなりたくはないのは事実だね。あのパワーで攻撃されたらいくらISを使っていても、最悪の場合を考えなくてはならなくなってしまう」

 

「解りました。……それでは私はこれで失礼いたします」

 

「ああ、わざわざ来てもらってすまない」

 

 十蔵の言葉に対して千冬は「これも仕事ですから」と答えて、学園長室を後にした。

 

 こうして、神碕 裕のIS学園一日目が終わった。

 

 

 

 余談だが、夜な夜な楯無が裕のベッドに潜り込んで添い寝して、次の日の朝に裕が驚いたのは別の話である。

 




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