NEWガンダムブレイカー ~イナズマ戦線~   作:WILLΛ

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08話「少女のドリーム」

 

 ショウタがかき集めた学園のルール反対派の一同の歓迎会ガンプラバトルのスクランブルに参加した放課後。

 

 風紀委員により、見逃す代わりに二度とこの場所でのガンプラバトルを行わないことを条件に強制解散。

自分たちの罪よりも、いくつもの罪を重ねた男子生徒一同の重罪を処理を優先するためだそうだ。これは不幸中の幸いとでもいうべきだろうか。

 

「大変だったね、いろいろと」

 

「あー、本当になー……」

 グッタリとしながらショウタはヒカリと共に放課後の廊下を歩いている。

 ショウタが教材用具などの荷物を教室に置きっぱなしだったそうだ。ヒカリはそれに付き合う形でついてきたというわけである。

 

「よかったね。皆良い人で」

 

 場所が見つかったことにより差し押さえ。せっかくのバトル空間を奪われてしまった。

 

 これは後をつけられてしまったショウタの完全な失態である。これには当然、バトル部屋を追い出されたのちに頭を下げてショウタは謝罪した。

 

 

 バッシングの雨がやってくるのかなと思いきや。

『仕方ないって! いつかは見つかるとは思ってたし、それに場所が奪われたのならまた見つければいいんだよ! いつもみたいにさ!』

 

『そうそう、お前のドジでバレたのは今日が初めてじゃないんだし、もう慣れっこだよ』

 

『次からは気をつけろよ~? 皆で場所を探すのは大変なんだからな?』

 

 みんなの心は意外と広くて優しかった。

 ただ、間違いなく彼をディスっている言葉が何個か含まれていたのは間違いない。それに対してショウタはぐうの音も出ない表情を浮かべていた。

 

 どうやら、こうやって場所が見つかったのは3回目らしい。

 過去、別の場所に2回ほどバトル空間を見つけていたようだが、1回目は在学生達に見つかってしまい占領、2回目も在学生に見つかってしまってを繰り返していたようだ。

 

 これだけ馬鹿広い場所とはいえ、ザコ狩りに目を見開いている在学生達がウロチョロしているのだ。どれだけ足掻いてもいつかは見つかるものである。

 

 3か所目である非常階段の下は今までよりも長い時間は滞在できたようだが……

 

 

「皆の優しさが胸に響いたぜ……」

 

「風紀委員、か」

 ショウタの話から聞いた例の組織の事を思い出す。

 

 風紀委員。学園のルールと秩序を守るために動いている、いわば学園の警察機関。

 話に聞いた通りの容赦のなさに仕事の速さ。その場にいた皆が彼らに逆らうことを考えておらず、風紀委員側も間髪入れずに罪を犯した生徒の処罰として、学園への報告にガンプラの完全スクラップ……

 

 あの笑顔の男のことを思い出す。

 

 ずっと笑顔だった。

 刑を執行するときも、自分たちに猶予を与えるときも。

 

 不思議な気分だった。

 あの男から……これほどにもない不気味さを感じた。

 

 

「ところでヒカリ」

 ショウタはヒカリの手に持っている物を見る。

 

「なんで、またお汁粉の缶を……」

 

「また間違えた」

 

「また!?」

 普段はボーっとしているヒカリだ。自動販売機のボタンを押し間違えることは結構な回数経験していることは前回伝えたことだと思う。

 

 しかし、同じようなミスを1日で3時間もしないうちに犯してしまった。ここまでの上の空ぶりにはさすがの脱帽ものである。

 

 

「お前がボーっとしているのはいつものことだが……というか、間違えたのなら捨てればいいじゃねぇか」

 

「勿体ないじゃん」

 自分で買ったものだ。出された食事はちゃんと食べるのと同じように、自分で購入した者はしっかり自分で処理をする。

 ヒカリの中にある中途半端な律儀感である。

 

「まあ、いいんだけどサ」

 ショウタは呆れながらも夕暮れの廊下を歩いている。

 

「しかし、これからどうするかな」

 

 今後の事を皆と少しだけ話し合った。

 

 みんな曰く、『最近、風紀委員をよく見かけるようになった』など、ここ最近で頻繁に動きを見せるようになったという。

 無理もない。力を証明するのはガンプラバトルのみというルールを平気で破り、今日のような暴挙に出る生徒も存在する。そういった生徒が増えれば、学園のイメージにも関わることなのだから迅速な処理をしたいのだろう。

 

 ここ最近で、間違いなくそのような生徒が増えている。

 学園側も困っているのかもしれない。

 

 ……ガンプラバトルで力を証明する。なんて馬鹿げたルールさえ消えてくれれば、こんな問題起きないんじゃないかと思ってしまうのは野暮なことなのだろうか。それを口にすることはやはり学園としては罪と指摘するのだろうか。

 

 

 風紀委員の注意が向いている以上は迂闊にエリア外でのバトルができない。 

 どうにかして、バトルを楽しむための空間を見つけることが出来ないだろうかと皆で話し合った。しかし、そう易々とそんな聖域が見つけ出せるはずもなく。

 

 今日はひとまず解散。

 それぞれ、思い当たる場所を探ってみるとのことで話は終了した。

 

 

「どうにかならないものかねぇ……」

 ショウタは頭を掻きむしっていた。

 

 

「なぁ! そこの2人とも!」

 そんな2人のもとに生徒が一人声をかける。

 ……こうやって声をかけるということは、自分たちと同じあの場所にいた生徒だろうか?

 

 

「俺たちになんかようか?」

 

「あのさ……アマナツキヨっているじゃん? あの子って、君たちの知り合いだよな?」

 

「まあ、そういうことになるのか?」

 確かに2度ほど交流はしている。

 向こう側も親しげに会話してくれていたし……友達と決めつけていいのかは少し判断材料が足りないような気がするが。

 

 一応、知り合いということでショウタが回答する。

 

 

「なんか、その子が学園の中庭で3年生に絡まれていたけど……」

 

「!!」

 そこで過った嫌な予感。

 ショウタの顔に嫌な汗が流れていく。

 

 

「っ!」

 ヒカリはお汁粉缶を持ったまま走り出した。

 

「おいヒカリ、待て! ああ、くそっ!」

 ショウタも慌てて、ヒカリを追いかけた。

 

 

「ヒカリ! いったん落ち着いて」

 

「ムカついた」

 

 その時、ショウタはヒカリの横顔を見た。

 

 

「……完全にイラっときた」

 いつものボーっとした表情とは違い、怒りを露わにした表情。

 

「ショウタ、だから」

 

「わかったよ。これ以上言うな」

 

 長い付き合いだ。ヒカリのことは彼も承知している。

 

 自分と似たようなところがこの男にはある。

 類は友を呼ぶという単語がある。その言葉が意味する通り、自分たちはどこか通じるものがあり、ここまで交流を深めてきたのだ。

 

 2人は意気投合。そのまま中庭へと向かっていった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 学園中庭。

 

 ショウタ達に声をかけた男子生徒の言う通り、ツキヨは3年生の男子生徒たちに取り囲まれていた。

 力の証明である、自身のガンプラを見せつけながら。

 

「おい、お前、俺たちのダチを可愛がってくれたみたいじゃねーか?」

 

「泣いてたぜ~? お前に散々虐められたってなぁ~?」

 

 話の内容からして、この男たちはおそらく……ヒカリを狩ろうとしていた男子生徒たちの仲間であることは間違いない。

 

 あの男たちは仲間に助けを呼んだようだ。

 相手が飛び級性の12歳。少し病弱な幼い少女であろうとも……徹底的に潰してほしいという残酷な願いを告げて。

 

「俺たちも可愛がってくれよぉ?」

 

「嫌……」

 ツキヨはRe:0をそっと抱き寄せたまま、その戦いを否定する。

 

「私はそんなことのためだけにガンプラを動かしたくない」

 

「じゃあどうして俺たちのダチを痛めつけたのかなぁ!? なぁ!?」

 

「それは……」

 少女の想いはただ一つ。

 

「助けたかったから……」

 

 ガンプラに興味を持ってくれたかもしれない生徒。これからガンプラビルダーとしての夢を持ってるかもしれない……輝かしい新たな仲間に傷ついてほしくなかったから。

 

 助けたかった。

 自分の大好きなガンプラで傷つく人の顔を見たくなかったからだ。

 

 

「ゴチャゴチャいわねぇーでとっとと戦え! ゴルァッ!!」

 

 頭に響く。

 男たちの騒音が病弱な体に障る。

 

 次第にツキヨの視界に眩暈が生じていく。頭痛もひどいし、吐き気もひどい……否定しようとも押し付けてくる挑戦状を突き返す余力が徐々に衰退していく。

 

 だが、こらえる。

 ここで気を失えば……この大切なガンプラを奪われる。

 

 でも自分にはどうしようもない。

 さすがに腕の立つ彼女でも、5人以上いる敵を相手にすることは不可能だ。

 

 

「さぁ、とっとと……」

 

「おいテメェラ」

 

 男子生徒たちに声をかける救いの手。

 

「そいつから離れな」

 

 ショウタはいつにも増してカッコをつけた口調で声をかける。

 ヒカリはその横で男子生徒たちを睨みつけている。

 

 

「あぁ?」

 男子生徒たちがこちらに注目する。

 

「俺たちが相手してやるっていってるんだよ!」

 威嚇するように声を上げる。

 

 相手は8人はいる。

 さすがに無謀にも程がないかと思ってしまえる行動。

 

「へっ、随分とカッコつけるじゃねーか」

 その挑発に乗った一同がツキヨから離れ、こちらにゾロゾロと近寄ってくる。

 確実な殺意。お楽しみに横槍を入れた空気の読めないクソみたいな男子生徒の存在に腹が立ったのか。

 

 どのみち、パーツを奪えるのなら誰だっていい。

 こいつらが代わりをしてくれるというのならボコボコにすればいいだけのこと。二度とカッコつけられないよう痛めつけてから、あの少女の相手をしてやるだけの事だ。

 

 不良生徒たちの欲望にまみれた目的が表情に見えてしまっている。

 

 

 じりじりと近寄ってくる。

 同時に空気も張り詰める。

 

 

 来る。

 自分たちを確実に潰してやろうと、殺意と欲望をガンプラに込めて。

 

 

「……くらえっ」

 しかし、その瞬間。

 

 真っ黒に少し茶色が混じったような液体が空中を舞う。

 液体は湯気をまとい、舌も焼けるような暑さの小豆と共に男たちの顔面と体に飛び掛かる。

 

 

 お汁粉だ。

 ヒカリはここに来るまでに、入念に振り続けたお汁粉を男たちにぶっかけたのだ。

 

「あっつぅうう!?」

 

「なんじゃ、これ!?」

 アッツアツの液体が制服にかかり、言葉にならない暑さにもだえ苦しんでいる。

 

「よし撤退!」

 ショウタとヒカリは男たちが怯んだ隙にツキヨのもとへ。

 

「行くよ」

 そのまま彼女の手を引いて、その場から離脱した。

 あの二人、逃げ足の速さは見事なもので……気がついたら、ツキヨを含めた3人は視界から消えていた。

 

「追いかけろ! あいつらぶっ殺して」

 

「お待ちなさい」

 

 お汁粉をかけられた男子生徒たちのもとへ誰かが近寄ってくる。

 

「バトルがしたいのですか? パーツが欲しいのですか? それとも名誉がほしいのですか?」

 

 少しトゲのある黒い髪を纏めた少年。

 まるで騎士のようなオーラを纏いながらその少年は近づいてくる。

 

「でしたら、僕の相手をしますか?」

 

「ああ、お前が望むならそうして」

 

「ま、待て! こいつって……!」

 男子生徒の1人が耳打ちをする。

 その瞬間、男子生徒の目がギンギンに見開いた。

 

「げっ!?」

 男たちは顔を真っ青にしてその場から逃げていく。

 

「すいませんでしたぁッ!」

 まるで……歯が立たない相手を見たように。

 

 文字通り、尻尾を巻いてその場から逃げていった。

 

 

「……腰抜けどもが」

 

 礼儀正しき、中性的イメージの少年。

“ツバキ・クサカ”は小さな怒りを口にして、その場から去っていった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 数分後、学園の外まで逃げ切った3人組。

 

「はぁ~怖かったぁ~……心臓バックバクだぁああ……ッ!」

 あそこまで見栄を張って威嚇したのは生まれて初めてだった。

 ショウタは喧嘩慣れしていないわけではないが、向こうは明らかに自分より喧嘩慣れしている相手であることは直感でわかった。

 

 さすがの彼も、失敗したらどうしようという緊張を隠せないでいた。

 最後の最後まで格好のつかない男である。

 

 

「大丈夫?」

 連れてきたツキヨにヒカリが声をかける。

 

「はぁ……はぁっ……」

 息が荒い。

 顔色も優れていない。

 

 喘息っぽい。

 息が上がっているのか、死にそうな表情を浮かべながら息を吐きだしている。

 

「あっ」

 そこで思い出した。

 彼女が病弱であったことを。

 

「ごめん」

 さすがに謝罪を入れたくなった。

 

「ううん、いいの……ありがとう。助けてくれて」

 喘息がきついのは隠せないようだが、それに交えて心からの感謝が表情に滲み出ている。

 

 良い子すぎる。

 ここまで頑張ってお礼を言おうとするこの子、本当に良い子すぎる。

 

「この子を……戦わせずにすんだ」

 Re:0を眺める。

 

 したくもない戦いから、この子を避けさせることが出来た。

 そのことに彼等へ感謝を。

 

「……戦いたくないの? だったら、どうして俺たちを助けてくれて」

 

「楽しんでほしいから」

 自身のガンプラの表情を彼に向ける。

 そして、ツキヨも微笑みかける。

 

 

「ガンプラは楽しいものだって、知ってほしいから……」

 

 彼女の対応からして、薄々と感じていた。

 

 彼女はガンプラを本当に大事にしている。

 ガンプラが壊れた時、自分のものであろうとなかろうと悲しんでいた。

 

 この学園の戦い、そのルールを嫌っていた。

 

 でも、彼女はその世界から目を背けず、むしろそのルールと戦って、たくさんのビルダーを助けようと奮闘している。

 ガンプラの世界が素晴らしいものだと知ってもらうために、こんな残酷な世界なんかとは違うんだと教えるために……そんな気弱な体であろうとも戦った。

 

 

「どうしてそこまで」

 

「私ね、ビルダーのお父さんがいるんだ。世界でも有名なチームのメンバーで……小さい頃から一緒に遊んでた」

 

 

 ツキヨは自身の事を語る。

 

 

 ツキヨはハーフである。父親はロシア人であり、母親は日本人。彼女の髪が少し白いのはおそらくロシアの血が影響していると思われる。

 

 父親はガンプラの雑誌に名前が載るくらいには有名なガンプラビルダーであった。母親は日本で塾の講師をやっている頭脳明晰な日本人……ツキヨはそんな2人のもとで産まれたのだ。

 

 彼女は両親が本当に大好きであり、仕事の合間に相手をしてくれる2人といつも一緒に遊んでいた。

 

 中でも、ずっと遊んでいたのは、やはりガンプラであった。

 ツキヨ自身もガンプラで戦う父親、ガンプラを作るプロフェッショナルの父親の姿に憧れており、小さい頃から父親の影響でガンプラのことを学んでいた。

 

 幼稚園児だったころには、すでにガンダムのプラモを作れるように。小学校3年生のころには父親に負けないくらいの技術を身に着けていた。

 

 頭脳明晰な母親、ビルダー能力に決定的なセンスを持つ父親。

 そんな2人のもとに生まれたツキヨは、文句なしの天才肌だったのだ。生まれながらの才能の持ち主であり、そのセンスは幼い頃より発揮されていた。

 

「だけど……ある日、事故が起きたの。お父さんの車が試合会場に向かう途中で事故にあって……そこで利き手を失って、ガンプラが作れなくなったの」

 それは、理不尽な事故であった。

 相手はスマートフォンを見ながらの運転であり完全な不注意。若者の不注意により、父親はガンプラビルダーの命である利き腕を失ったのである。

 

 

「今、お父さんは入院してる……」

 命に別状はなかった。

 入院を余儀なくされるほどの重傷ではあった。

 

「だけどね、お父さんいつも私のことを心配してたの」

 自分の事よりも娘のツキヨのことを心配していた。

 

「どうして私の事を心配してくれるの。自分の事を心配しないのって聞いたら……腕がなくなったところで何もできないわけじゃない。前みたいにバトルは出来ないかもしれないけど、まだできることはあるんだから気にするなって」

 笑顔で語る父親の姿は今も覚えているらしい。

 

「前向きなところが、お父さんの良いところなんだ」

 ポジティブに行け。

 ガンプラを作ることとしても、これから社会に出るために勉強をすることとしても、人生を経験するうえでその精神を忘れるなといつも言い聞かされていたようだ。

 

 

「お父さん言ってた。ガンプラで皆を笑顔にしたいって」

 

 

 現在、父親は入院生活をしながらも、パソコンを使ってガンプラビルダーの講師をしているようである。

 通信教育、そしてブログを使用しながらの講座。今自分に出来ることを精一杯やっている。

 

 自分の夢のために。

 今も前向きで戦っている。

 

「私、お父さんを心配させたくなくて。私もお父さんみたいなカッコいいビルダーになりたいなって思って……そのためにこの学園に来たの」

 

 それから彼女はガンプラの事をたくさん勉強し、その実績を残した。

 ガンプラバトルでの地区大会の優勝の連続、オリジナルガンプラの制作コンテストでの連続優勝。その実績が目に留まり、将来有望なビルダーとして、ガンブレ学園からの推薦がやってきたのだ。

 

 飛び級性という、今までにない実例。

 それを彼女は叶えてみせたのだ。

 

「ガンプラで皆を笑顔にする。それが私の夢」

 

 自分も父親と一緒。ガンプラで皆を笑顔にしたい。

 その夢を叶えるためにツキヨは戦っている。

 

 

「今日はありがとう」

 ツキヨはヒカリの顔を覗き込む。

 

「また一緒に、ガンプラで遊んでくれる?」

 

 

 

「……いいよ」

 ヒカリは即答した。

 

「何度でも、何度でも遊ぶ」

 少女の瞳を見る。

 

 まっすぐな表情を浮かべるヒカリ。真剣なまなざしで自分を見つめ続ける彼の姿にツキヨはそっと首をかしげる。

 

 

「ねぇ、ショウタ」

 

「おっとそれ以上言うな。お前の言いたいことは分かる」

 

 つうかあの仲とはこういうことか。清々しいまでの以心伝心。

 

 自分たちも、この子にはずっと笑顔でガンプラを楽しんでほしい。

 その気持ちは二人とも一緒だった。

 

 

「えっと、ツキヨでいいかな?」

 ショウタはツキヨの頭に乱雑に手をのせた。

 まるで子供をあやすように力強く撫でまわしている。少しばかり乱暴な気がするが、今の彼からすれば、彼女は可愛い妹分のように見えるのだろう。

 

 2人がしたいことはただ一つ。

 

 いつしか、彼女が自分を救ってくれたように。

 自分たちにも彼女の助けになれるように。

 

 その願いを込めて。

 

 

「俺たちのところへ来ないか?」

 ショウタは誘った。

 

 学園のルールなんて知ったことじゃない。

 楽しむためだけのグループ。自分たちの元へ来ないかと誘いを入れた。

 

 

「皆いいやつだぜ。お前のようにガンプラを楽しむ奴は大歓迎だ」

 

 それにこの子には聞いてみたいことがたくさんある。

 きっと人気者になる。この子なら自然と、皆と仲良くなれるはずだ。

 

 

「ツキヨ」

 ヒカリは手を出す。

 

「一緒に、遊ぼう」

 

 

 

 

「……うん!」

 ツキヨはヒカリの手を握った。

 

 

 2人の手が重なった。

 その瞬間。

 

 

 まぎれもなく、友情が生まれた瞬間であった。

 

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