NEWガンダムブレイカー ~イナズマ戦線~   作:WILLΛ

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05話「執念のスクランブル(前編)」

 

 幾度となく叩きこまれるヒートホーク。

 それを何度もシールドで防ぐ。頑丈に作られたシールドとはいえ、そう何度も殴られ続ければ流石にボロが出始める。

 

「今度こそ! 今度こそぶっ潰す!」

 目の前で大暴れしているモビルスーツ。見た目の趣味も最悪、ただ敵を潰すことを優先に考えた、効率のみの装飾で出来上がった非道理な見た目のザクのガンプラ。

 

 まただ。

 入学式で襲い掛かってきたガンプラ集団の1人がまたもや、自分の前に現れたのだ。

 

「俺のためにとっととスクラップになれや!」

 

 このザクが入学式に悪夢を見せつけた本人であることはすぐに気が付いた。

 

 ヒカリは何に対しても無関心であった。

 そのボーっとした第一印象故に小さい頃はちょっとした虐めやちょっかいの被害にあうことも多少はあった。

 

 しかし、彼はバケツの水を被ろうとも、カタツムリのようにボーっと歩くだけ。

 文房具や教科書を隠されても、『まあ、いいか』と1分も満たずに諦めて、教科書などは忘れたことにして先生に説教を食らってることも多かった。

 

 ちょっかいに関して何の関心もなかった彼である。

 

 

 だがそんな彼でも。

 これだけのアプローチをされてしまえば、思ってしまうことも一つや二つは出てくるというものだ。

 

(しつこい……!!)

 それ程度の感情は湧き上がっていた。

 

 ここまで執念深く付きまとわれると、さすがの彼でも苛立ちくらいはする。ウザい、気持ち悪いと罵詈雑言を口にしたい気分にもなる。

 

 うまくガンプラを操縦し、ザクの攻撃を回避しつづける。

 

 

『ヒカリ! 避けろッ!』

 下からショウタの声が聞こえてくる。

 

 咄嗟の判断。

 ヒカリは防御を中断して、その場で回避する。

 

 

「ぐぅううッ!?」

 下からの援護射撃。

 

 危なくなったらカバーくらいはする。この言葉に嘘などない。

 ショウタは思いがけない奇襲に対しても冷静に対処、下から援護射撃でキャノン砲をぶちまけてやった。

 

「ちっ! 浅い!」

 だが急所を外した。

 狙いどころが悪い。ザクのシールドと多少の装備を吹っ飛ばした程度で終わってしまう。

 

 

「邪魔すんじゃねえよ!」

 

「ちぃいッ!」

 

咄嗟にビームサーベルを抜いた。

 

新手だ。

 

 下からのカバーは許してたまるかと、一体の武器詰め合わせドムが妨害にビームアックスを叩きつけてきた。

 ショウタはその奇襲に即座に反応し、ビームサーベルで攻撃を防御した。

 

「くそっ! ヒカリが……!」

 

 呑気にこちらの相手をしていたら、ヒカリがやられてしまう。

 

 そうだ、このドムにも見覚えがある。

 あの時の3人組の1人であったことは間違いない。

 

 となれば、この戦場にはもう一体、敵が潜んでいるはずだ!

 

 

 

「オラオラオラッ!」

 

 視界の端で、蒼い何かが閃光のように戦場に切り込んでいくのが見えた。

 ブルーディスティニー1号機だ。

 

 空中を自由に機動するブルーディスティニーが、パワー重視のマシンガンでヒカリを攻撃する。

 やはり、もう一体潜んでいた。

 

 一体が下でカバーするショウタを妨害し、残りの二人がサンダーボルトガンダムをぶっ潰すという行動に出ようとしている。

 

 

「へっへっへ、どうやら自分だけのガンプラを作ったようだが……乗り手がいまいちじゃ宝の持ち腐れだろうよ!」

 不良生徒の1人は容赦なく武器のトリガーを引き続ける。

 

「お前が持ってても勿体ねぇ! 俺らに寄越せよ!」

 

 2体のガンプラがサンダーボルトガンダムに牙を剥く。

 

 

 

『させない……!』

 

 一線のビームが、2体のガンプラの前を通過する。

 

 

「何の光!?」

 突然の攻撃に2体のガンプラは困惑を見せている。

 

 ……今のビームライフル。見覚えがある。

 少し綺麗というか。通過した後に綺麗な粉雪が残るような感覚があるというか。

 

 

 この心が和むような声。

 

 間違いない。

 ヒカリはビームの飛んできた方向に目を向ける。

 

 

 つられて、2体のガンプラもその方向へと視線を向けた。

 

 

「あれは……」

「白い、ガイア?」

 

 宙を浮いている白いガイア。

 顔立ちは普段のガイアよりもスマートに。パッケージで見た獰猛なイメージが一切感じなくなっていた。

 

 それだけじゃない。

 白いガイアの背中から舞っている“緑色の粉雪”。

 

 そう、GN粒子だ。

 

 その獣は、GN粒子を舞い散らせながら、戦場を上から見下ろしている。

 

 

「ツキヨ?」

 

『ごめん。遅くなった』

 やはりツキヨだ。

 あの綺麗な出来のガンプラは……彼女が作った物のような気がしたのだ。

 

 

「なんだ、もう一機邪魔が……」

 

『はぁっ……!』

 

 白いガイアはブルーディスティニーへとビームサーベル片手に突っ込んでいく。

 

 速い。

 目にもとまらぬ速さで突っ込んでいった白いガイアは、ブルーディスティニーと共に森林地帯へと突っ込んでいく。

 

『すぐに助けに行く。だから耐えて!』

 一つの通信を残し、ツキヨからの通信がパタリと閉じた。

 

 

「仕方ねぇ! 俺一人でもテメェを潰す!」

 詰め合わせのザクは、マシンガン片手にサンダーボルトガンダムへと突撃した。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 地上ではジム・カラッテレと武器てんこ盛りドムが戦闘を続けている。

 

「やりづれぇな! クソッ!」

 自分がつけている“ソリッドキャノンアーマー”は砲撃支援型。肩のキャノン砲は撃つのに少々の時間がかかることを突かれ、隙もなくちょっかいを仕掛けられている。

 

 小回りの利く自衛武器として100mmマシンガンやビームサーベル程度は装備してあるが、これだけではあの数の装備と装甲をつけたドムを片付けるのは少々難しい。

 

「とっとと片付けてやるよ!」

 向こうは弾切れを気にすることなく攻撃を続けている。

 敵を倒すことだけに効率を求めたガンプラは見た目にセンスを感じさせない代わり、その代償としての殲滅力は桁違いである。

 

 底知れない数の弾幕量に苦戦を強いられ続ける。

 

 

『おらおら、その程度かよ!?』

 ご丁寧にスピーカーまでつけてきやがった。

 とことん、こちらをコケにしないと気が済まないらしい。

 

『まあ、そんなもんだよな! 何せ、機体がジムじゃなぁ!』

 

「……は?」

 だが、そこが大誤算だった。

 人を馬鹿にするためにつけたスピーカー。それが彼の運命を決めてしまった。

 

 

『今時ジムってさ! ジムなんて、やられ役の代名詞じゃねえかよ!』

 

ブチン

 

 彼の中でナニカが切れた。

 決定的な、ナニカが切れてしまった。

 

 

「おいコノ野郎……今、ジムがなんて言った?」

 ビームサーベルをドムに向ける。

 

「もういっぺん言ってみろ、ゴルァアッ!!」

 アーマーに付属されているブースターを最大出力。猪突猛進とはこのことか。

 この先のペース配分など知ったことかと言わんばかりに、機体を最大出力で前進させる。そのアーマーの頑丈さゆえにマシンガン程度ではストップすることなどない。

 

『こいつ!?』

 結構な数の砲弾と弾丸をぶつけているが、流石の頑丈さである。傷こそつけてみせるが、それでも接近を許してしまう勢いだ。

 ここに来る前に致命傷を与えることは叶わない。

 

 

『だったら、ぶっ飛ばす!』

 ならばヒートアックスで首をぶった斬ればいいだけの事。

 すれ違うようにメインカメラを破壊し、そして視界が奪われた状況で完膚なきまでに袋叩きにしてやるまでだ。

 

 ビームサーベルでの攻撃レンジなんて限られている。そこへ接近する前にこのハルバードタイプのビームアックスで首に一撃入れてしまえば。

 

「オ゛ル゛ァアアア!!」

 

 ところが向こうにも一つだけあった。

 

 

『ぐっ!?』

 ビームアックスよりも攻撃レンジの広い武器が。

 

 陸戦型ガンダムのキャノン砲。

 突っ込んでくる時に持っていたのはビームサーベルだけではなかったのだ。ドムと一定の距離を詰めたところでキャノン砲の砲筒をドムの腹部へと突っ込む。

 

 そのまま、ドムの体を砲筒で持ち上げる。

 

 

「泣いて詫びろ! ジムの敵がぁああッ!!」

 ゼロ距離射撃。

 

 ドムの体は腹部から木っ端微塵に消し飛んだ。

 

 

「……ふぅ、スッキリしたぁ」

 ドムを木っ端微塵にしたショウタの顔は清々しいまでにスッキリとしていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 森林地帯。

 動きを制止させるために大暴れした白いガイアとブルーデスティニーの攻撃により森は半壊状態。畑のような更地へと姿を変えていく。

 

「ぐっ……こいつ」

 ブルーデスティニーを操る男子生徒は固唾を呑む。

 

「やっぱり強ぇ……!」

 

 無傷で佇む白いガイアガンダム。

 3対1で仕掛けることによりやっとダメージを与えられたビルダーだ。1対1なんかじゃ当然かなうわけもなく圧倒されている。

 

 それに、あの機体は0ガンダムよりも明らかにスペックが上昇している。

 結構なレンジに対応したビームライフル。出力があがったビームサーベルに、バックパックについているビームキャノン砲。

 

 確かなパワーアップであった。

 

 

『へっ、やっぱり強いガンプラに鞍替えするのは当たり前か……!』

 

「鞍替え。というよりはお引越し」

 敵からの挑発に答える。

 

「あの子はまだ諦めていない……だから、作り直したの」

 

 背中から吹き荒れるGN粒子。

 そのGN粒子をまき散らすGNドライブ……それは、彼女が気に入っていたガンプラについていたパーツなのだ。

 

 

「この子の名前は”Re:0[レオ]“」

 Re:0。

 リマスターを意味するReに、とあるモビルスーツ名のスペル。その二つの名前を足して獣の名前となる。

 

この白いガイアの名はRe:0ガイアガンダム。

 新たに生まれ変わった。白き獣のモビルスーツだ。

 

 

『なんだっていい……どんな手を使ってでもスクラップにしてやる!』

 ブルーディスティニーの目の色が赤く点灯する。

 EXAMシステムだ。

 

 ニュータイプを圧倒するために作られたドーピングに近い戦闘システム。原作ではパイロットの負担など考えることもしないレベルのパワーアップを施すシステムだ。

 

 流石にビルダーに対してそのような副作用は存在しない。

 それ故に、“機体の負担のみ“のリスクで乱用することも可能。

 

 敵を殲滅すること前提で作られたガンプラなら尚更だ。

 

 敵を殺すだけのモビルスーツと化したブルーディスティニーが、ビームサーベル片手に狂獣のごとく襲い掛かる。

 

「可哀そう」

 ビームサーベルを持つ手を一瞬で切り裂く。

 

「ガンプラが可哀そう」

 EXAMシステムはうまく調整をしていなければ、ガンプラへかかる負担は絶大。その証拠に不良生徒の使うブルーディスティニーは見るも無残な姿へと変貌しつつある。

 

 機体が明らかに負担に耐えられていない。

 崩壊寸前にまで追いやられている。

 

「必要以上には壊さない……!」

 すれ違いざまにRe:0は変形する。

 

 白き獣。

 地上を駆け回る白い獅子へと姿を変える。

 

 

 背中のビームエッジが刃となって形成される。

 GN粒子を圧縮することで高出力のビーム刃を形成。まるで羽のような姿へと変貌したビームブレイドを纏い、ブルーディスティニーへと接近する。

 

 

 そして、切り裂く。

 の腹を真っ二つに。

 

 ブルーディスティニーの上半身が地面へと落ち、下半身は立ったままだったが数秒後に力なく倒れてしまう。

 

 

 機体の限界を知りもしない奴などに負けはしない。

 この、少女は。

 

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