ファン1号についてのインタビュー   作:ファン9号

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メインボーカル兼ギターリスト 平沢唯の証言

「今日は私たちの新曲CDの宣伝してくださるなんて助かります。」

 

 平沢唯、放課後ティータイムのメインボーカル兼ギターリスト。チーム内ではムードメーカーを果たしている。ギターの腕は一流。その感性から生み出される歌詞は我々の想像をはるかに上回るもので、聞くものを飽きさせず離さない。

 

 今回我々は今月末に発売される新曲CDのインタビューで接触した。この新曲は大ヒットすることは間違いがないと感じている。人の愛する感情、ただひたすらに愛する人を大切な人を求めるこの歌は間違いなく名曲だ。

 

 しかしこの歌でも大きな疑問がある。それは今回の新曲はカバー曲として発表されている事だ。放課後ティータイムは「ふわふわタイム」を代表に多くのオリジナル曲を持っている。

 

 だが稀に今回のようにカバー曲を発表することがある。

 

 だがそのカバー曲の大半は原曲を、作詞家を作曲家すらを我々は事前調査で確認することはできなかった。我々は今までプロアマ問わず数多くのミュージシャンにインタービューをしてきたし、よい音楽を余さず世界へ発信するため日本全国に多数の調査員を派遣して常に細かな網を張っていると自負している。

 

 これもすべては日本の音楽の発展のため、全社員一丸となって取り組んでいる。実際に著作権協会に問い合わせても放課後ティータイムより出されているもののみしか確認できなかった。ネットや各地のでの調査を繰り返し行ったが今までのカバー曲の出どころは全くつかめなかった。

 

 この事実はファンの間では有名である。我々はこのカバー曲の謎に謎のファン1号か絡んでいるとみている。

このインタビューで直接ぶつけることにした。

 

これまでのカバー曲の原曲はファン1号様が用意されたのでは?

 

この質問をしたとたん平沢メンバーは笑顔のまま滝のように汗をかき始めた。分かりやすい。

 

「実は……そうなんです。」

 

 そうぽつりとつぶやく平沢メンバー。

我々が想像していたより簡単に答えてくれた。

 

「あの人、みんなはファン1号って呼んでるんだっけ、あの人は私たちの目標なんです。」

 

「私がギター初めてでコード全然わからないときもいつも優しくいつも一緒に練習してくれました。」

 

「バンド名が決まったときに私たちのファンになると宣言してくれました。」

 

「いつもあの人は私たちを陰から助けてくれました。私が高校で初めてのライブの時にボーカルをしなければならなくなってくじけそうになった時、私たちを笑顔で励ましてくれました。」

 

「いつも微笑んでくれて励ましてくれて、ダメな時には思いっきり叱ってくれて、それでもどうしてもくじけそうなときは思いっきり甘えさせてくれました。」

 

「母のに優しくて父の様に厳しくて、兄の様に頼もしくて、姉の様に綺麗で、妹の様にかわいいそんな人でした。」

 

「彼女のおかげで私たちは一生忘れることができないくらい輝いた高校生活を送ることができました。」

 

「大学進学時に彼女だけ別の大学へ進んでいきました。結局高校生活最後まで彼女は私たちを支えるだけで決してライブには出ませんでした。」

 

「でも彼女の音楽センスはずば抜けていました。」

 

「今回のこの曲も実は高校生活中に私たちにプレゼントしてくれたものです。」

 

「彼女は私たちがプロになることを全く疑っておらず、渡す際に「これは私が書いたこの世界には絶対に存在しない曲。でも必ずプロで発表する際はカバー曲として出すこと、作詞作曲者名は必ずこの人たちで出すこと。」と言ってきました。」

 

「当時は原曲があると疑わず、まったく気にしておりませんでしたが、私たちも気になってプロになりこの曲たちを出す前に一度原曲の存在を多くの調査機関や探偵を雇って調べてもらったことがあります。」

 

「でも結果は原曲も作詞家も作曲家も存在していないとのことでした。」

 

「その事実を知ったとき私たちは大きな驚きを隠すことできませんでした。」

 

「この曲たちはどれも名曲で、一度聞けば口ずさんでしまうほど衝撃的で印象に残るものばかりです。」

 

「こんな名曲たちをあの人は私たちの為に書き、私たちに託してくれたのです。」

 

「彼女の才能は作詞作曲だけではありませんでした。」

 

「私たちの持っているどの楽器も持ち主の私たちよりうまく弾くことできました。」

 

「もちろん私たちも負けているのが悔しかったため必死で練習して、最終的には抜くことできました。」

 

「技術を競い合って私が勝った時の彼女の笑顔は今でも忘れることができません。抜かれることを期待していた、期待していたものが抜いてくれた喜びで漏れる笑顔はとてもきれいでした。」

 

「私たちは卒業式の日、彼女にあるお願いをしました。」

 

「私たちのバンドのメンバーになってほしいと。」

 

「そうすると彼女はこう返しました。「あなた達が一流のミュージシャンになって、私がが心から焦がれるようなオリジナル曲を作れた時また会いましょうと。」

 

「卒業後私たちは彼女と連絡を取ることはかないませんでした。」

 

「メンバーのあずさも高校卒業の日に同じ約束をしてから連絡を取れなくなったそうです。」

 

「でも私たちはとれなくなったことを少しも気にしませんでした。」

 

「彼女は必ず約束を守る人だから、私たちがオリジナル曲を届けることができれば会うことができると確信していたからです。」

 

「私たちはこの約束を守るためにこれからも曲を届け続けます。あの人が私たちのファン1号だから。彼女と音楽がしたいから。ファンにこの思いを届けたいから。」

 

 

こう我々に語った彼女の表情は真剣そのもので、その瞳は我々ではなくある日の光景を映しているようだった。

 

 




平沢唯の噂:妹が姉離れできなくて困っているらしい。
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