愛とは理解することである   作:サモエド陸也

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本編をお待ち頂いてる皆様に対しては申し開き様も御座いません…
だけどあの流れで「ウチの主人公ならこれキレるな…」って思いついたらどうにも止まらなくなりまして…面目次第もありません。

また、このお話はあくまでも作者の脳内妄想による補完で無理矢理オチを付けられたイベント後という設定になっております。
読んでいて不愉快に感じる方に関しては申し訳ありません。

ですがそれでも寛大なお気持ちで「まぁ暇潰しに流し見してやるよ」と思って頂けるなら幸いです。

再度申し上げますがこのお話は本編時空での「if」のお話です。
此処で書いた出来事が必ずしも本編で書かれるとは限りません。


それでも構わないという方はどうぞ宜しくお願い致します。


閑話:ギル祭におけるif

あぁ、お疲れ様。もうシフト交代の時間か、私もそろそろ一息入れるとするかな。

うん?ああ先日の大停電の理由かい?そういえばあの時は管制室以外だと何が起きているか分からなかったね。

んー、まぁ話しても良いけど…あまりみだりに吹聴しないでおくれよ?

 

簡潔に言ってしまうと「犬井くんがブチ切れたから」なんだよね。

え?…そうか、君は第三特異点攻略後に復帰したんだったね、ならば普段の彼しか知らないのも無理はない。

今の彼からは想像も付かないだろうが、当初はサーヴァント達の事をクラス名でしか呼ばなかったんだよ?勿論複数該当した場合には真名で呼ぶ事もあったが、それでも徹底して距離を置いていたんだ。

特に女性サーヴァント相手だとその傾向が顕著でね、あのマシュでさえもあの頃は少し距離を置かれていたんだ。

そんな風に普段から徹底している彼だが3回だけ、本気で怒りを露わにした事がある。

 

そう、特異点Fを除く各特異点でそれぞれ1度ずつだ。

その時の詳細は彼の為に伏せておくが、まぁ、そうだね。察しの通りフランスで清姫に、ローマで女神ステンノ。最後は本人も抑えてたつもりらしいが、オケアノスで女神エウリュアレにキレた。

…恐らくだが彼女達は彼の触れてはいけない部分を逆撫でしたんだろうね、そりゃもう凄い剣幕だったさ。

だけどそれ以来彼が彼女達に対して怒りを表す事は…あぁ、いや、いつだか清姫が彼の部屋に忍び込んだ時に彼が清姫に何かを言ったらしいが、それ以降清姫が部屋に忍び込まなくなった事を鑑みるに、そういう事なんだろうね。

 

…話が逸れたね。つまり彼は滅多な事では怒らないが、今回はその「滅多なこと」が起きてしまったのさ。

 

今回起きたニューヨークでスペースイシュタルを名乗る存在による特異点ジャック。それだけならまだ特異点攻略に於ける只の障害物にしか過ぎなかったが、彼女はあろうことか「マスターの身柄を要求」し「多数のサーヴァントを宝石化し人質」にした挙句、彼も密かに楽しみにしていた「お祭りを台無し」にした。

まぁ、控え目に言ってもギルティだよね。その時のオペレーターを務めてた皆も

「オイ オイ オイ」

「死ぬわ、イシュタル神」

ってなってたよ。

 

英雄王と共に一時退却して来た時はまだ普通に見えたのだけれどもね、この時疑問に思わなかったあの時の私の頭を引っ叩いてやりたくなるよ。

だっておかしいと思わないかい?女神にここまでされたら今までの彼なら激昂してる筈なんだぜ?なんで落ち着いていられるのかってね。

だけど彼は落ち着いている訳じゃあ無かったんだ。

その時のバイタルを後で確認したら、彼の脈拍と血圧が異常値を示していたんだ。

人間ってね、抱えきれない感情を抱くと一周回ってひどく落ち着いて見えるのさ。

この時側で英雄王が怒りを表してくれなかったら彼、どうなってたんだろうね…ある意味では彼の代わりにあそこで怒ってくれた可能性もあるかもだけど、今となっては誰にも確かめようがないことさ。

 

その後の彼の動きをこちらで把握出来なかったのは今でも慚愧の念に駆られるよ。

彼はまずイシュタルの宝石化を免れたサーヴァント数人に声を掛けた、簡潔に「手伝って欲しい」と言われたそうだよ。

内訳はそれぞれ凸カレを持たされた孔明とアステリオス、凸金鯉をスカディに持たせて、最後にランサーのスカサハに凸黒聖杯を預けて吶喊したのさ。自分は戦闘服に着替えてね。

 

うん、あれは確実に仕留めるつもりで選んだんだろうね。もし先の面子の内誰か一人でもイシュタルに宝石化されていたらまた結果は違ったのだろうけども、そうはならなかった。

その後に出撃ゲートへ向かう彼を運悪く見つけてしまったのが、ちびっこ達を連れた立香ちゃんさ。

時間的にも夕食を取ろうとしたんだろうね、見かけた彼も誘おうと声を掛けようとしたんだが、どうにも様子がおかしい。

段々と彼の顔が確認出来る距離まで近づいた時点で子供達は大号泣だったらしい。

子供達をあやすのに手一杯だったのもあって声を掛けられる頃にはもう出撃してしまった後だったとさ。

何で子供達が急に泣き出したのかって?普段は自分達に優しい彼がとても怖かったから、らしいよ。

後で立香ちゃんにどんな様子だったのか聞いたんだよ。

 

「私もセンパイと知り合ってからそこそこ経ちますけど、あんな風になったセンパイは初めて見ましたね…

怒りとか憎しみ、悲しいってのを通り越して…何て言うか…ちょっと上手い言い方が見つからないんですけど…敢えて言うなら[血でパンパンになった破裂寸前のマスクメロン]、ですかね。

うん、自分で言っても何ですけどこれが一番しっくり来る感じですね、すいませんちょっとエチケット袋取って下さ(自粛音)」

 

まあ是非も無いよね、そりゃ血圧の上が200超える訳だよ。

それでその後最初にそれに気付いたのは管制室に居たロマニだった。

英雄王が待ち構えていた屋上、イシュタルの船の真下だね。そこに犬井くんとサーヴァントの反応に気付いたロマニは直ぐに彼に通信を繋いで聞いた、「何をしているんだい犬井君⁉︎」ってね。

その問いに答えず彼はロマニに言ったんだ。

「必要最低限を残し、カルデアの全リソースを魔力に変えて寄越せ」

 

まあ無茶な話だよね、急にそんな事言われても時間も無いしやる必要も無い。普段の彼ならそんな無茶は止める側なのにさ、だからロマニも何とか説得して一旦戻って来るように言ったんだけど一言

「やれ」

って言われたらしくてね、本人曰く「鞭打食らった範馬勇次郎みたいな顔されたら断れないよ…」だってさ。あのチキンめ。

 

あとは君も当時聞こえたかも知れないけれどもロマニが緊急警報を発令してね。「3分後に一部を除く全施設の電源を一時的に落とすから全員その場で安全確保の後動かない様に」、ってね。

事前に知らせたお陰でデータの破損や怪我人なんかは出なかったのが幸いだったよ、被害らしい被害と言えばヘッドホン付けて集中してた刑部姫の原稿データが吹っ飛んだくらいだね。

 

ん?「そんな大規模な魔力を彼はどうやって運用したのか?」

まあ、そうだね。確かに彼の魔術回路はお世辞にも多いとは言えない。そんな大量の魔力を一度に流そうとすれば一瞬で自爆さ。

じゃあどうしたかって?ほら、例の新宿で見つかった「アレ」だよ。

どうも致死量ギリギリまでぶち込んだ様でね、そのお陰と言って良いのかは別としてそれで無理矢理運用したみたいだね。

更にそれでも足りないと思ったのか、彼は令呪まで3画全部使ったんだ。

私も工房から慌てて管制室に向かって着いたのがこの時でね、諸々限界まで注ぎ込んだスカサハの宝具がイシュタルの宇宙船?を貫くシーンをギリギリ見れたのさ。

ほら、こないだレクリエーションルームで観てたあの映画。「イ○ディペンデ○ス・○イ」、あれのラストの数十倍はスカっとしたね。思わず勝鬨挙げたらロマニに睨まれたけど。

 

 

 

 

 

ここでめでたしめでたし、ってなってたら良かったんだけどね。

当然そんな無茶をした犬井くんは一時を争う状況になってた。

「アレ」の効能は確かに凄まじい。普通の人間に打っても並の魔術師くらいにはなれるんだから、じゃあ魔術師に打ったらどうなるかなんて子供にだって分かるさ。そんな劇物を彼は己に打ち込んだのさ、後先なんて考えずにね。

速攻で婦長と天の杯の宝具マシマシで処置したお陰で何とか一命は取り留めたが未だに衰弱して意識不明の重体、と言ってもちゃんと回復はしてるから後2、3日もすれば目を覚ますだろう。

 

え、その後スペースイシュタルと宝石にされたサーヴァント達はどうなったのかって?

宝石にされてた皆はなんと無傷!

どうもあの謎光線って宝石型の固有結界擬きに閉じ込める代物の様でね、そのせいかスカサハの宝具を食らっても平気だったようだよ。

で、当のスペースイシュタルは何とか消滅は免れたみたいだけれども随分ズタボロになっててね?

ミンチより酷い状態のまま謎のXXに引き摺られて連行されたよ。

 

さて、そろそろ休憩の時間も終わりだ。君も持ち場に戻りたまえ。

ところで何でこんな事今更気になったんだい?

 

ふむふむ、「ここ何日かイシュタル神が廊下でウルクコンビに正座させられてたから気になった」と。

まぁ、あれだ。

 

残当、って奴かもね。

 

 

 




此処までお付き合い頂きありがとうございました。
遅筆ではありますが本編の方も進めていく所存ですのでどうか宜しくお願いいたします。

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