彼女は、分割されたアステロイドを相手へと放った。相手は落ち着いた顔でレイガストで受け止める。鈍い音が辺りに響いた。
「っ……! ……さっきも思ったけど、君の攻撃、重いね……!」
「そりゃそうでしょ。これでも、トリオン量には自信があるのよ」
「成る程……」
彼女がアステロイドを放ち、相手がそれをレイガストで受け止める。その構図が既に出来上がっていた。しかし、長くは続かなかった。
「ヒビが入ってるわよ。何? もう終わり?」
「まさか。策を練ってる最中さ……!」
相手は、そう言うと徐々に後退していき、塀に身を隠した。彼女はそれを見て、相手を追いかける。
彼女が相手が逃げていった先を見た時には、もう既に居なかった。彼女は舌打ちすると、前後左右を見渡すが、見つからない。
「……上か」
「その通り。……けど、もう遅い‼」
相手が彼女目掛けて、飛び降りてレイガストを降り下ろす。重力にも助けられて、絶大な威力となった斬撃は、彼女の左腕と左足を持っていく。彼女の斬られた部位からは黒い煙がもくもくと上がっていた。
「……終わりだね」
「上からとはね……、油断してたわ。私も、
「何……? っ!?」
彼女は、
「さすがだね……!」
「……そりゃどうも」
相手が
「君も、新入隊生だろ? あの動きは素人じゃないよ」
「仮入隊してたからね。」
「仮入隊……? そんなものがあったのか? ……どうりで、あんなにポイントが高かったんだな」
「嵐山さんの話聞いてなかったの?」
「ああ、聞いてなかったな」
話を聞くに、どうやら仮入隊に行っていなかったようだ。
その後、共に自己紹介した。相手は
「それより、君のポイントが増えているんじゃないか?」
「えーと、10ポイント増えてるわ。……これだけなの?」
彼女は目を細めると、そう言った。
「僕と君とじゃあかなりの差があるからね。当然だろ」
2人はそのような会話を交わし、別れる。相手も用事があるようで、かくいう彼女にも家に帰らないといけないのだ。
□■□■□
〔霊夢side〕
「……ただいま」
私はさっき、千尋とのランク戦を終えて、家に戻ってきたところだ。
私のただいまに返事を返す人はもう、この世には存在しない。私は独り暮らしだから。両親は3年と半年ぐらい前に死んだ。大規模侵攻のせいで。けれど、何故かネイバーを恨みはしなかった。理由は分からない。
今までは、親の貯金と児童育成手当で生活してきた。しかし、お金が足りなくなってきた。だから、ボーダーに入隊したのだ。それでも、1番の理由は暇だったから。それに尽きる。
「……ご飯作るか」
楽な服に着替え髪を下ろした私は、夕飯に取り掛かった。何の料理を作るかは決めていない。いつものことだ。行き当たりばったりである。
料理が半分ぐらい出来た時、私はふと、窓から夜空を見上げた。全て消してしまいそうな黒色の夜空にポツンと、満月が浮かんでいる。満月を見ると、いつも悲しくなる。満月は、これから欠けていくから、大事な物を失ってしまうから。私みたいに。
私は目が潤んできたのを無視して、料理にまた取り掛かった。
「……寝よう」
もうすぐ終わるが今日は火曜日。明日も学校があるが、勉強する気にはなれない。授業は一応、理解出来るし、問題ないだろう。ご飯も食べたし。
私は、今時珍しい畳の上に布団を敷いて、寝間着に着替えて寝床に着こうとした時、制服にトリガーを入れたままだと言う事を思い出した。面倒臭いが、立ち上がり、制服を手に取る。ポケットの中にあるはずだ。ポケットに手をいれると、予想通りだ。取りだし、眺める。独特な形状、不思議と馴染む不思議な感覚。
今更ながら実感が沸いてくる。
(あぁ……、私、ボーダーに入ったんだなぁ……)
□■□■□
次の日、朝7時丁度。
けたたましく目覚ましが鳴り、私は目を覚ました。私は元々寝起きが良い。
起きて、洗面台に行き顔を洗う。これで完全に目が覚める。次に、台所に立ち、簡単に朝食をつくる。朝食を軽く済ませた私は、制服に着替え、髪をセットする。因みに、この大きなリボンは先生からは黙認されている。
時計を見ると、時刻は7時45分。始業は、8時15分。学校は10分もあれば着く。……丁度良い。私は、昨日、準備した、リュックを背負い、家を出た。しっかりと鍵を閉める。
登校の最中、私の目にある建物が上に映る。
ボーダー。昨日私が、訪れた建物。改めて、巨大な建物だと思う。
……早く、B級に昇格してやる。そう意気込んで、歩を進めた。
7時55分。
学校に着いた。予定どうりの時間だ。
自分の席に向かう。私の席は中央の列の窓側、前の席にはメガネ君がいる。
「……おはよう。三雲君」
「えっ? おっ、おはよう……」
私にいきなり話し掛けられた事に驚いたのか、キョドる三雲君。そりゃそうだ。今まで、三雲君と話した事が何回あっただろうか。
「1時間目何だっけ?」
「……数学だよ」
「そっか。ありがと」
これで、三雲君との会話は終わり。準備が済んだ私は、ぼーっと始業を待っていた。
3時間目、英語。
その途中、ヴゥゥゥゥゥゥと言うサイレンが。ネイバー出現の合図だ。私は一瞬鳴った方向へ目を向けたが、すぐに黒板に向き直す。クラスメイトも私と同じだ。このサイレンは私にとっては小鳥の囀ずりと同じもの。三雲君は目線を一切向けなかった。……真面目。
その後は何もなく、給食が終わり、帰りの時間になった。
「「さようなら」」
聞き飽きた挨拶を交わし、帰る。時刻は、4時半。部活には入っていないので、学校をすぐに出る。そして、昨日と同じくボーダーに向かう。ランク戦をするためだ。C級隊員はボーダー外でのトリガーの使用は禁じられているので、歩いて向かう。30分程歩いただろうか、ボーダー玄関に着いた。トリガーをパネルにかざし、中に入る。それと同時に起動した。
「おや? 霊夢じゃないか。昨日ぶりだね」
「? ……あぁ、千尋か」
「何だその反応は」
「はいはい。……で、何の用?」
「あぁ、そうだった。……霊夢、B級に上がったら、一緒にチームを組まないか?」
真剣な眼差しで、千尋が私に提案してくる。
「……気が早いんじゃないの? まだ、時間が掛かるでしょ」
「保険だよ。C級なのに、かなり強いじゃないか、君は。他に誘う人がいるかもしれないからね」
「ふぅん。……良いわよ、ボーダーで話した人、あんただけだしね」
「…………本当かい?」
千尋があり得ないと言う顔で私を見てくる。だって、それが真実だからね。私は元々1人が好きな人種だし、これを苦痛には思わない。
「まぁいいか。じゃ、また会おう」
千尋はそう言い残し、もと来た道を引き返していった。
……B級でチームを組もう、か……。じゃ、私も、早く昇格しないとね。
……訓練は明後日だし、今日はランク戦に行こうか。3000まで上がりたいなぁ。
そう思い、私はランク戦室へ歩き出した。
私は気づいてしまった。3000まで貯めるのは流石に1日じゃ無理、と言う事に。考えてみれば当たり前だ。1回で10ポイント手に入るとしたならば、500ポイント取るには50回勝たないといけない。そんなのは、体力的にも精神的にもキツい所がある。因みに今は2640ポイントだ。まだ先は遠い。しかも、相手が弱いのだ。同時期に入隊したとは言え、私と他では実力差が大きすぎる。
どうしたものか……。
「そうだ、B級と戦えば良いんだ」
B級ならば、間違いなく私よりポイントが上だろう。B級下位の人なら、そこまで実力差は無いだろうし、今の内に知っておくのも悪くない。そうと決まれば、声を掛けに行こう。
えーと、手頃な人は……。
「おーい、そこのでっかいリボンのC級の娘ー。戦おうぜー」
誰かが私に声を掛けてきた。
「誰?」
視点があやふや。
文章がダメすぎる。
最後に霊夢に声を掛けた人、実はまだ決めておりません。ヤバイネ!