夕焼けと不良少年【本編完結】   作:shinp

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正直に告白します。この合宿回の後編で玲とAfterglow以外のバンドを絡ませる内容を書き溜めていたのですがうっかり手を滑らせその内容全部デリートしてしまいました。

リアルで「ふぁーーーwwwwwww」って声出ちゃいました。

まじワロタww

ワロタ…。



という訳で本編でござんす…。


21話 合同合宿(中編)

「れーく~ん、いじってゴメンってば~。」

 

「れ、玲くん!ほら、クッキーあるから機嫌直して!」

 

 

 ようやく蘭たちがいる場所に辿り着いた玲は安堵していた所をモカに弄られて、今現在、部屋の隅に座り込んでおり、それをモカとつぐみが機嫌を直している最中だ。

 

 

「…あれが花咲町の黒豹、なのかしら。」

 

 

 Roseliaの中で唯一、玲と面識がないボーカル担当の湊友希那は拗ねている玲を見てそんな感想を漏らす。

 

 

 学校の生徒での噂では調子に乗って下級生苛めをしていた学生を男女関係無く、完膚なきまで叩きのめし、晒し上げたと言う。

 

 キーボード担当の燐子曰く、噂とギャップが激しくて、猫のような子と言う。

 

 ギター担当の紗夜曰く、リサを口説き、妹の下着を見た不届き者と言う。

 

 ドラム担当のあこ曰く、カッコ良くてシュバッと敵を倒すとにかくカッコいいお兄ちゃんと言う。

 

 そして、ベース担当かつ友希那の幼馴染み、口説きの被害者であるリサ曰く、厄介そうだけどAfterglowが絡むと大人しくなり、弄りたくなる子と言う。メンバー内の評価がちぐはぐで、人物像が想像できなかったのだ。

 

 

(…どんな人物か想像できなかったけど、こんな感じなのね。)

 

 

 玲の知らないところで自分に対する評価に『子供っぽい印象がある子』が加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局れーくん出ていっちゃったね~。」

 

「まぁ、あいつの事だ。しばらくしたらケロッと戻ってくるだろ。」

 

「…そうかな?アタシは何だかあの執事と会ってから何だか様子がおかしかったと思うけど…。どういう関係なのか聞きそびれちゃったし…。」

 

 あの後、放っておきたかったのか、居心地が悪くなったようで部屋から出ていってしまった。また迷子になるんじゃなかろうか。そう考えた友希那は蘭に話しかける。

 

 

「美竹さん。彼をあのまま放っておいて良いのかしら?また迷子になったらどうするの?」

 

「あっ…!ゴメン、ちょっと玲を連れ戻してくる!」

 

「あっおい!蘭!」

 

 

 ハッとした蘭はすぐさま部屋を飛び出して行く。巴が呼び止めようにもすぐに見えなくなる。

 

 

「行っちゃったね~。でもれーくん何だかイライラしてたね~。」

 

「…そうだね。蘭ちゃんとモカちゃんの言うとおりかも。何だか玲くん、雨宮さんに会ってからずっと恐い顔をしていたんだもん。」

 

 

 モカとつぐみはいつも通りではない玲の様子に違和感を抱く。

 

 いつもの玲なら雑ながら挨拶はするはずだが、ずっと雨宮を睨み付けていた。玲は因縁付けるような柄が悪い人物ではないはずだ。

 

 すると、ドアが開く音がした。もう蘭が戻ってきたのか。そう思い振り向く。

 

 

「ねぇ、蘭ちゃんが走っていったんだけど、何があったの?」

 

 入ってきたのはPastel*Palettesの丸山彩だった。事情が分からないPastel*Palettesのメンバーには戸惑いの色が見えている。

 

 

「んーとね~。ちょっと迷子になっちゃった幼馴染みを連れに行ったよ~。」

 

「え?」

 

 

 モカの説明によく状況が飲み込めない彩はただ首をかしげるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(玲のやつ、どこ行ったんだろ?)

 

 廊下を早歩きしながら玲を探す蘭。時折窓の外を覗き、綺麗に整備された庭を見る。

 

 思い出すのはこころに雨宮の事を聞いた時の事。

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、こころ。あの執事と玲ってどういう関係なの?」

 

「うーん、あたしも聞いたことあるんだけど、大人には色々あるのですよってはぐらかされて、よく分からなかったわ。」

 

 

 

 

 

(ムカつく…。)

 

 

 無性に腹が立った。そんなはぐらかし方で良いのかとイラつく。そして心なしか、蘭の歩くスピードも速くなっていた。

 

 

「あ。いた!」

 

 

 ようやく見つけた玲は庭が見えるベランダのベンチに座り込んでいた。蘭はすぐさま後ろから近づく。

 

 

「…何の用だ、蘭。」

 

 

 外を見つめながら出した声は冷たく感じる声。いつもなら柔らかな声で振り向きながら話しかける筈がその時はなかった。蘭は率直に今思ってることを言う。

 

 

「何だか、今日のアンタおかしいよ。いつも通りじゃない。」

 

「…そりゃそうだろ。俺はこんな場所嫌いなんだよ。」

 

「そうじゃない。あの執事さんと、いや、ここの庭に入ってから様子が変だよ。何があったの?」

 

「…お前には関係ないだろ。」

 

 

 ここで話は終わりだと言わんばかりの雰囲気を出す玲。でも、蘭は引かなかった。

 

 

「…何それ?関係ない?それ誰が決めたの?」

 

「うるせぇな…。今は一人にさせろ。」

 

 

 玲はゆらりと首を少し動かし、片目で蘭を睨み付ける。だが、蘭は引かない。

 

 

「嫌。だってあたしら幼馴染みでしょ?何でそんな隠すような事するの?」

 

「うるさいって言ってるだろうが!お前らと別れてから俺とお前らの住む世界は変わったんだよ!お前だって、再会したあと、送ったときに出会った男に俺がどう対応したか見てただろ!?その時に俺が怖かっただろ!?つぐみのストーカーを捕らえた時もだ。俺の仕事に巻き込まれて怖かった筈だろ!?」

 

 

 玲はベンチから跳ね上がるように立って、蘭に怒鳴る。それはいつも蘭をからかっている時のような余裕はなく、下手したら殴られるかもしれない。だが、蘭は引かずに言う。

 

「…ホントにそう思ってるの?アンタ。」

 

「…何?」

 

「じゃあ、はっきり言うけど、あの時のナンパ男を気絶させた時のアンタを見たとき、あたしは驚いたけど怖くはなかった。つぐみを狙ってたストーカーを捕まえた時だって、つぐみはアンタが怖いと一言も言ってなかった。でも、アンタの背中が寂しそうだって言ってたんだよ!」

 

「…っ。建前だろ、そんなの…。」

 

 

 玲の顔が歪む。

 

 

「違う!これはあたしの本心なの!…確かにアンタが今まで何をしていたのか気になるのは事実だけど…。」

 

「だったら!」

 

「でも!アンタが話したくなかったらあたしたちも追求しない!モカだって、ひまりだって、巴だって、つぐみだって、昇太だって、由美だって、アンタの部下たちだって!アンタが話したくなかったら追及しなかったでしょ!?…確かにあたしらはアンタに比べたら不良に襲われたら何もできなくて弱いかもしれない。…でも、たまにはあたしらを頼ってよ。何でもかんでも、背負い込まないでよ…。」

 

 

 そう言って、蘭は玲に抱き付く。抱き付かれた玲は、蘭の心臓の鼓動が速くなっているのを、体が震えているのを感じ、今まで言いたかった事を嫌われる覚悟で吐き出したんだろうと直感した。

 

 

「…お前が言うな。」

 

 

 そう言って背中に手を回して抱き締めようとして、止めた。既に玲の手には血と暴力が染み付いている。殺人は犯してないものの、人を恐怖のどん底に叩き落とす男の手だ。そんな手で幼馴染みである蘭を抱き締めたくはない。

 

 

「はぁ…、お前変わったよ。」

 

 

 でも、一緒にいることは許してほしい。彼女たちは、俺の大切な者たちだから。心の中で自分にわがままを言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、蘭と一緒に戻ると既に他のバンドグループが集まっており、蘭の帰りを待っている間、由美を可愛がっていたようだ。

 

 だが、玲はすぐにまた出ようとした。何故なら、

 

 

「可愛いー!」

 

「か、香澄ちゃん、由美ちゃんがビックリしてるからその辺で…。」

 

 

(嘘だろ…何で香澄がここにいる!?あいつもバンドやってたのかよ!)

 

 

 そう、玲が苦手とする人物の一人、香澄が由美を愛でていたのだ。すぐさま逃げようとするが、蘭に腕をガッチリホールドされてしまい、逃げることができない。

 

 

「は、離せ!蘭!」

 

「何で逃げるの!」

 

「苦手なやつがいるんだよ!」

 

「これから慣れていけばいいでしょ!」

 

「おい、香澄。美竹さんが来たからもうそれくらいで…げぇっ!?何で黒豹がここにいるんだ!?」

 

「あ!ホントだ!ねぇねぇ黒豹さん!この子、あなたの妹さんですか?」

 

「丁度良かったです。神前さん。羽沢さんと一緒に寝たとはどういう事ですか?」

 

「さ、紗夜さん!そんなやましい事は何もないから…!」

 

 

 元々騒がしかったのが玲が入ったことにより、更にカオスになっていく談話室。

 

 

「貴方はリサを口説き、日菜の下着を見ただけに飽きたらず、羽沢さんと寝るなんて幼馴染みとはいえ看過できませんよ。いいですか…」

 

 

 今まさに紗夜の説教が始まろうとした瞬間、

 

 

 ばさっ。

 

 

 突然紗夜のスカートが後ろから舞い上がった。

 

 

「きゃっ!?」

 

 

 咄嗟に紗夜はスカートを両手で押さえ、振り返る。

 

 そこには香澄から離れて前髪越しに紗夜を睨み付ける由美がいた。

 

 

「玲、何も悪いことしてない。」

 

「な、な…。」

 

「玲をいじめるなら、こうしてやる。」

 

 

 そう言って由美は紗夜のスカートの裾を持つと引っ張り始めた。

 

「や、ちょ、や、止めなさい!」

 

「ゆ、由美ちゃん!そんなことしちゃダメ!」

 

 

 後ろから引っ張られることで段々ずり上がっていくスカートを必死で押さえる紗夜。慌てて止めようとするつぐみ。

 

 

「玲くんはあっち向いてて!」

 

 

 日菜は玲の首を回して視界を反らさせるが、

 

 

 ぐきっ。

 

 

 嫌な音がした。

 

 

「こらー!由美ちゃん、お姉ちゃんのスカートを引っ張るの止めなさーい!」

 

「ぐ、ぐおおおお…首がぁ…!」

 

 

 首にダメージを受け、うずくまる玲を放って日菜は姉のスカートを引っ張る由美を止めに走っていった。放置された玲にモカが近寄り、ポンと肩に手を置く。

 

 

「今日は災難ですな~れーくん。」

 

「うるせぇ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 談話室の外の廊下。その扉の側に雨宮は待機していた。外にまで喧騒は漏れており、それを目を閉じて聞いている。

 

 

(…成る程。君はとても良い友人を持ったようだね。Afterglowか…。彼女らは玲の心の支えと言うわけか。僕にとっての、こころお嬢様のように。でも、頑張りなよ。彼を狂わせた心の傷は深く、暗い…。もし、彼の過去を知ったとき、君らはどうするんだろうね…。)

 

 

 雨宮はそう遠くないであろう出来事で彼女たちがどうするのか。拒絶するかもしれない。それでも手を伸ばすかもしれない。

 

 

(まぁ、決めるのは彼女たち自身だ。僕はこの件に関しては向こうから絡んでくるまで静観しますかな。さてと、そろそろお菓子でも…)

 

 

 雨宮は後ろから聞こえてくる喧騒を聞きながらキッチンへと向かう。

 

 

「鬼ごっこね!よーし捕まえるわよ!」

 

「わわ、ゆーみん速いよ~。」

 

「由美ちゃん!紗夜さんに謝りなさい!」

 

(…冷たい飲み物でも、用意しますかね。)

 

 

 結局、この日は顔合わせとミーティングだったのだが、頑なに謝らない由美が部屋から飛び出し出演バンド総勢で由美を探す羽目になり、ようやく捕まえた時には日は沈んでいたのだった。




PS版DQMテリーのワンダーランドたーのしー。(現実逃避中)
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