「どこにも眷属になってくれる子がいない~よ~」
手をぶらぶらさせながら歩く紫の髪という神秘的な姿をした少女―――いや、女神がいた。
「フェファイストスはすぐに眷属になってくれる子なんて見つかるわよって、言ってたけど見つからないよ」
現在は太陽が沈みゆく夕暮れ。早朝からこの塔とダンジョンの為に作られて迷宮都市オラリオの隅から隅まで歩き周っても眷属になっても良いと言った人は一人としていなかった。
広場の噴水に背を預け、ドテッと腰を下ろした。
「ハァ…」
「サポーターってわけじゃないな、大丈夫か?」
女神が顔を上げるとそこに立っていたのは黒髪のヒューマンの少年だった。
「生きてるよな」
「君、私の眷属になってくれない……」
流れる無言の時間。
女神はダメかと溜息を吐き出す。
「いいよ、俺もファミリアを探してたんだ。これも縁だろ。ロイセ・イクセルだ、よろしく女神様」
少年は手を女神に手を伸ばし、女神は差し出されて手を掴み取った。
こうして新しいファミリアがオラリオに生まれ落ちた。
ガード付きのサーベルを片手に振り下ろされる巨大な握る拳は避ける。
「オォオオオオオ!」
『迷宮の孤王
全身は固い黒い皮膚で覆われ、皮膚の上からでも分かる隆起した筋肉。何よりその大きさが異常なのだ。
本来、階層主を一人で倒そうという考えは普通の冒険者は持たない。もし倒すのであるれば万全の準備を整え、レイドを組み討伐するのが常識だ。だが、少なからずその常識から逸脱した存在は冒険者の中に数名だが居る。
その一人は現在、ゴライアスをレベルアップ後の感覚調節に宛がう青年―――Lv.3パンドラ・ファミリア団長、ロイセ・イルセラ二つ名『
「感覚が戻ってきたか。レベルアップにも使ったけど調節の時にも戦うことになるなんて、運命的だな」
よっと、と横に払う腕をジャンプで躱し、二の腕に剣を突きさす。
そのまま、二の腕から肩へ駆け上がり片目を斬り裂いた。
「オ゛ォオオオオオオオォォ!」
片目から血飛沫を上げながら顔の近くを通る、俺を潰そうて自分の顔ごと叩く。だが、もう遅い。
ゴライアスの顔を蹴り、加速。速度を上げて手が当たるよりも先に地面に足がついていた。
自分を自分で叩いたゴライアスの体が後ろに僅かに傾き、確実な隙が生まれて。
「ラスト!」
ジャンプして膝に着地してもう一度ジャンプして胸筋の間、鳩尾を的確に突き刺した。
剣先が何か固いものを砕く感触を感じながら、ゴライアスはオオオオォォォ!と最後の雄たけびを上げて灰となって消えて行った。
「Lv.アップの恩恵が凄まじいな」
剣を一振りして腰の鞘に戻す。
目立った怪我はなく、武器の消耗も特にない。
Lv.2の時に苦戦してソロで倒した相手がLv.が一つ上がっただけでここまで、余裕で戦えるとは。
油断は禁物だけど、と自分を戒めるがやっぱり、強くなったことを実感すると自然と頬が緩んでしまう。
「帰えるか」
魔石を砕いてしまったため、戦利品はない。手ぶらだがしかたない帰りで拾うか。
来た道をダンジョンを出る為に戻る。道中、飛び出してきた上層のモンスターを片っ端から斬り捨てる。お金に換金することができる魔石を破壊しないようにモンスターの首や胴体を注意しながら斬り、残った魔石をバッグ一杯にまで詰め込む。一杯になてこれ以上入らなくなった。
「バッグはこれ以上は要らないか、ならゆっくり行く必要もないな」
腰を落とし脚に力を入れ、真っすぐに道を最速で突っ切る。さっきとは違う、目の前に出て来たモンスターは倒すことよりも退かすことを優先して攻撃を加える。地上まで道を僅か数十分で上り、帰ってくることができた。
換金をさっさと済ませて帰るべきホームを目指す。
街の中心、俺とパンドラが出会った噴水を左に曲がって進み、到着。
他の建物とは違い、どこか教会と要塞を足して2で割ったような建物と表現するのが最も合っているだろう俺たちのホーム―――帰るべき場所。
「ただいま~」
次回はパンドラ・ファミリアのキャラの紹介兼なにかのよてい