緑谷出久のハッピーアカデミア   作:nitchey

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桜舞い踊る4月。出久にとって運命の分岐とも言えるその日が来た。

 日付まできちんと覚えていたのはオールマイトとの出会いという鮮烈な記憶の為だ。

 そして出来事はほとんど出久の記憶通りに進んだ。

 朝の通勤ラッシュ時に発生したひったくり事件。巨大化の個性を持つヴィランを追い詰めるヒーロー。いよいよシンリンカムイが代名詞とも言える必縛でヴィランを取り押さえようとしたその瞬間にドロップキックで登場したマウントレディ。派手な登場で手柄も話題もかっさらう鮮烈なデビュー。

 学校では進路相談についての話が行われ、勝己がそこで盛大に周囲を煽り見下すのも変わりない。言動は記憶よりもほんの少し、わずかばかり、砂糖ひとつまみぶんくらいは丸くなっていたような気もしなくはない。出久の贔屓目でなければ、の話だが。

 その後口の軽い担任によって出久の進学先までバレるのもそのままで、ただそこでの大きな違いは勝己が出久を庇ったことか。感動のあまり「うちのかっちゃんがこんなにいい子!」なんて脳内でかつての爆豪に語りかけたつもりが、口からダダ漏れだったようで結局照れ隠しにブチ切れた勝己に教室の隅まで追い詰められるかつてと変わりない顛末を迎えたのだった。

 

 そして放課後。

「おいデク、帰んぞ」

 なんの違和感もなく、当然のように声をかけてくる勝己に出久も席を立つ。出久が倒れた10歳の頃以来の習慣で、席が離れていようがクラスが違おうが、勝己は必ず出久に声をかけた。

 これもかつてとは大きな違いだ。最初の頃は違和感があったものの、今ではすっかり出久も慣れたもので勝己が迎えにくるのを待つのが当然のこととなりつつあった。

 が、今日は少しばかり事情が違う。

「かっちゃん、ごめん。僕なんか先生に呼ばれちゃって……進路のことで」

「んなもんほっとけ。何言われようが受けるんなら時間の無駄だ」

「うん、まあそうなんだけど、やっぱり行かないわけにいかないし。今日は先帰ってて」

 ごめんね、と付け加えると勝己は手近な椅子を蹴飛ばした。

「待ってなくていいからね、時間どのぐらいかかるかわからないし。真っ直ぐかえ」

「るせえ!てめーはうちのババアか!!言われんでもお前なんか待つか!クソが!」

 しつこくすればするほど切れて、結局こちらのいうことを聞く。素直なのかひねくれているのかよくわからない勝己の性格を逆手に取れば、案の定勝己は荒っぽく教室のドアを開きドスドスと荒っぽくいかにも怒っていますという顔で出て行った。

 そして出久はあのヘドロヴィランへ襲われた高架下へ急ぐ。なんてことができればよかったのだが、あいにく担任に呼び出されたのは本当のことで、勝己のいうとおり時間の無駄にしかならないだろう呼び出しを思うとため息を落とさずにはいられなかった。

 足取りも重く職員室へ向かい扉を開けるとともに一礼。「おお、緑谷来たか」担任を呼ぶ前に、あちらが気づき手招きされる。他の教師たちの視線を受けつつ、担任のそばへ行けばパイプ椅子を勧められた。これはますます長くなりそうだと背を丸めたのを、担任はどうもうまく勘違いしてくれたようで「そう重い話じゃないさ」と言いながら一枚の紙を取り出した。言わずもがな、出久の進路希望用紙である。

「朝のホームルームでも言われていたが、緑谷は本気で雄英のヒーロー科を受けるつもりか?」

「はい。母とも相談しました」

「お前がヒーローについて熱心に勉強しているのは知っているし、体を鍛えたり色々頑張ってるのはわかるが、無個性で国立のヒーロー科を目指すのがどれだけ厳しいか、ちゃんと分かってるのか?」

「一口に個性といっても千差万別です。攻撃や防御に向かない個性を持ったヒーローも第一線で活躍していますし、攻撃手段や捕縛手段を持たないヒーローがサポートアイテムを駆使するのは珍しいことじゃありません」

 あらかじめ用意していた、というよりも頭の中に入っている情報をつらつらと並べ立てれば、担任はただ困ったように頭をかいた。

「悪いが俺はヒーロー業界に関しちゃ詳しくないからなんとも言えんが、その危険な現場で無個性というリスクのために死ぬかもしれんぞ」

「ヒーローはいつだって命がけです。そこに個性の有無は関係ありません。確かに生存率には関わってくるかもしれませんが、仮に個性を持ってたとしても自分の苦手な個性を持ったヴィランが相手だからといって逃げるわけにはいきませんし。他のヒーローと協力することも」

「あー、わかったわかった。はぁ……予想はしちゃいたが、本当に緑谷はヒーローについて詳しいな」

「ええ、まぁ」

 子供の頃からの諦められない夢であり、一度はその夢を叶えプロヒーローとなったのだ。心構えだけならいくらでも、制度や法律に関しても網羅している自信はある。

「だがまぁ、雄英一本はやめておけ。どんなに万全の準備をしていても、予想外の事態や当日のトラブルもあり得る。今朝みたいにヴィラン事件が発生して受験会場に行けず泣かされるなんて話は珍しくない。それはわかっているな」

 そればかりは出久も素直にうなずいた。実際前回も雄英の普通科や経営科はもちろん、近隣にある大奏(おおがな)高校を受験していた。さすがに無茶無謀が取り柄の出久も本命一本だけで勝負するほどの博打屋ではない。

 担任もそれさえ聞ければとでもいうようにフッと肩の力を抜き、しかし話を終えるでなくなぜか出久の方へ身を乗り出して来た。

「それでだな、緑谷」

「は、はい?!」

「去年の担任だった巻野先生からの話なんだがな。このままの成績と内申が維持できるようなら、推薦入試を視野に入れてみないか?」

 ニンマリと笑う担任の顔を出久はぽかんと見つめた。

 やがてじわり、じわりとその言葉が脳へと伝わりその意味を理解した瞬間、出久は椅子を蹴たおし「え、ええ!えええええええ?!」と自分でも信じられないほどの叫び声をあげていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>>12

 




大幅捏造上等でござる。
やるからにはもうとことんやってしまえと。

ちなみにそんな私、受験とかもはや記憶の彼方でござる。
てか中学受験からの形骸化した試験による内部進学だったので、推薦とか無縁のおばか属性でした。
多分芦戸ちゃんと上鳴くんとおんなじくらいのおばか枠でした。すまんな芦戸ちゃん上鳴くん。

ので、捏造捏造!
おかしいところあったらさーせん。すでにおかしいところしかないと思いますが、さーせん!!
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