仮面ライダーダークディケイド IFの世界   作:メロメロン

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龍騎のサブタイトルを見返すと、なんかテキトーにつけてね?と思っちゃいます。ガラスの幸福だけセンスがズバ抜けてますけど。


危機の始まり

 

 

 壮絶な乱戦から一夜が明けた朝。

 

 今日も今日とて、蓮は恵里の病室に足を運ぶ。

 眠り続ける彼女の隣で外敵に目を光らせて、ライダーとモンスターに挑むだけの繰り返し。

 だが、変化はあった。

 

 仮面ライダーガイ──芝浦 殉の死。

 そして仮面ライダーレギオンの正体。

 その二つの衝撃に殴られた蓮の顔からは昨日までの荒ぶりや焦りは鳴りを潜めていた。

 頭が冷えたとでも言うべきか。

 しかし、冷静に考える余地が生まれてしまった故に決して明るくはない展望も意識してしまう。

 

 アマンダ、そしてガイ。どちらも倒すことはできなかった。倒すチャンスはあったにも関わらず。

 人を殺す迷いや甘さなど、とうの昔に捨て切った筈なのに。

 

『アァ〜……いい、ライダーはこうでなくちゃなあ』

 

 フラッシュバックする昨夜のバトル。

 ガイを惨殺してみせた王蛇のあの姿こそ、今の蓮が欲するものなのかもしれない。

 

(そうだ……ライダーは全て倒す。

 どんな相手だろうと関係ない。俺に迷いはない)

 

 レギオンの正体を知った瞬間、蓮の決意は微かに鈍った。

 想像したのは、レギオンを殺すナイト────子供を殺す自分。

 ライダーを倒すことに対する忌避感ごと、蓮は自分の顔を殴った。

 そうやって蓮は一夜をかけて迷いを覚悟で上塗りした。

 

 もう何があっても動じない。

 今度昴と出会ったら、有無を言わさず倒す。

 蓮はそんな冷酷さに身を委ねようとして、ふと大地の顔が浮かんだ。

 

(まあ流石にショックは受けただろうがな)

 

 それで引き篭もってしまえば色々と楽になるのだが、とまで考えて、蓮は病院の廊下の角を曲がった。

 

 

 

「昴くん、昨日はよく寝られた?」

 

「ぅうん〜……」

 

 大地と昴が普通に歩いていた。

 そのせいで、蓮は思わずズッコケるという醜態を晒す羽目になる。

 

「あ、おはようございます!」

 

「お前……正気か?」

 

 昴と仲良く手を繋いで、呑気に挨拶までしてくる大地。

 まるで昨晩の出来事が無かったかのように振る舞う姿がとても自然体で、だからこそ蓮は驚いたのだ。

 これが馬鹿なお人好しなのだとすれば……とても正気とは思えない。

 

「え、僕どこかおかしいですか……?

 あ! もしかして今朝食べた海苔が歯に……!?」

 

「お兄ちゃん、いつもとおんなじだよ」

 

「だよね!」

 

 ライダーだとバレた昴も、その事を気にしている様子はない。

「やはり昨日のレギオンは別人なのでは?」と、蓮は自分の記憶を疑い始めた。

 

「あ! もしかして昴くんがライダーだってわかったからか!」

 

「そうなの?」

 

 残念ながら違った。

 キョトン顔の大地が無性に腹が立つ。

 

「お前は何を考えているのかって聞いているんだ!

 幼気な見た目に騙されでもしたか? 

 こんな子供でもライダーなんだぞ? 

 それに、お前に正体を隠していた。何か後ろめたいことがあるから、と思うのが普通だ」

 

「そりゃ驚きましたよ。けど、昴くんに騙された感じはしませんでしたし……。

 昴くんと過ごした時間は、きっと嘘じゃないって信じてますから。

 僕は何も変わりません」

 

 大地は何の迷いもなく、真っ直ぐな瞳で信じると言ってのける。

 これが蓮にからかわれてしょげていた青年と同一人物とは到底思えない。

 護りたいもの、とやらが彼を変えているのだろう。今更ながら、蓮の知るライダーとはかけ離れた存在なのだと思い知らされた。

 

「ふふっ」

 

「笑うな気色悪い。一体何がおかしい」

 

「秋山さんはやっぱり良い人だなって。

 僕を心配してくれてるんですよね? 

 戦いの邪魔にしかならない相手なのに、わざわざ忠告までしてくれて」

 

 蓮の立場であれば、大地がどうなろうと知ったことではないはず。

 まさしくその通りだった。

 咄嗟に否定しようとして、しかし否定できるだけの言葉が見つからなかった。

 何を言っても、ポジティブ解釈する大地が目に見えている。

 結果、ニヤニヤした大地の顔を黙したまま睨みつけるしかなかった。

 

「ごめんなさい、お兄ちゃんたち」

 

 そこで昴がペコリと頭を下げてきた。

 精一杯の申し訳なさそうな声を出して。

 これが演技なら大したものである。

 

「ごめんなさい。お父さんはらいだーが嫌いだから。

 ぼくがらいだーって言ったら、お父さんに嫌われちゃうの。

 ごめんなさい。ごめんなさい」

 

 昴の目から涙がポタポタ零れ落ちる。

 これでは見ている蓮の方が罪悪感を抱いてしまい、ついハンカチを渡してしまいそうになった。

 なんやかんやで蓮も子供には強く出れない。

 

「いいんだ、昴くんは悪くない。

 僕と一緒にお父さんに教えに行こう? 

 もしお父さんが怒ったら、僕が代わりに怒られるから」

 

「……うん。ありがとう、お兄ちゃん」

 

 涙と鼻水を袖で拭ってやった大地が微笑む。微塵も疑う気持ちはないのが見てとれた。

 やがて泣き止んだ昴の手を取って、仲睦まじい兄弟のように歩いて行く。

 

 あの副院長との交流に乏しい蓮には、自分の息子がライダーだと知ってどういう反応を示すのか想像もつかない。

 ふと不安になり、副院長室に向かう大小二つの背中に何か言いかけて、しかし飲み込んだ蓮も恵里の病室に向かって行った。

 

 

 

 *

 

 

 

 副院長、大和 奏の毎日は多忙を極めている。

 問診や手術のような診療行為は当たり前。そこに経営業務まで加わる。

 しかも今この病院は騒動の真っ最中であり、そんな彼が副院長室にいてくれたのは運が良かったとしか言えない。

 

 昴と共に訪れた大地を、奏は怪訝な顔つきで出迎えた。

 挨拶もそこそこに、大地は全てを話す。

 

 昴が仮面ライダーレギオンだということ。

 昴に悪気は無いということ。

 

 その間、奏はずっと窓の外を眺めていた。

 

「……本当なのか。昴。本当に、ライダーなのか」

 

「……」

 

「────昴っ!」

 

 昴の肩がビクッと震える。

 今にも泣きそうになりながら、デッキを机に置いた。

 白いヤゴのデッキ、シアゴーストとの契約の印。昴がライダーである動かぬ証拠。

 振り向いた奏がデッキを見て、またすぐに窓に視線を戻してしまった。

 

 重くなる室内の空気。

 咄嗟に大地が助け舟を出す。

 

「昴くんを責めないであげてください。

 この病院を荒らそうだとか、そんなつもりは無かったんです。

 そうだよね?」

 

「……うん。言えなくて、ごめんなさい。ごめんなさい……!」

 

 まただ、と大地は思った。

 まるで呪文の如く呟くごめんなさいのループ。昴が最も流暢に喋る言葉。

 見ているだけで胸が痛くなって、大地は止めようとする。

 

「止しなさい。昴、少し部屋から出てなさい」

 

 背を向けたままでありながら、奏の声音は優しかった。

 失礼ながら、「この人はこんな声を出せるのか」と内心で呟いてしまうほどには。

 

「お父さん」

 

「怒ってるわけじゃない。彼と少し話をするだけだ。

 そうだな……今日は売店で新しいアイスが売ってるそうだ。食べてくるといい」

 

「……うん」

 

 促された昴は父の様子を窺いながら、おずおずと退室する。

 昴がいなくなっただけで室内の雰囲気は一気に寂しくなった。

 

「何か飲むかね。あまり種類は無いが」

 

 奏が開けた備え付けの冷蔵庫の隙間から、オレンジジュースやコーラが見えた。

 ジュースを飲む奏が全く想像ができず、やや遅れて昴のために用意された物だと察する。

 

「じゃあ、オレンジジュースをお願いします」

 

「……この部屋に来た多くの人は冷蔵庫にあるジュースや、棚にある菓子に驚いていたよ。

 イメージに合わない、と思ったのだろう」

 

「昴くんのためですよね。

 この部屋で退屈しないように」

 

「そうだ。だが、幼い頃から甘味料ばかり食べていると栄養バランスに偏りが出てしまう。

 虫歯や糖尿病のリスクを回避するためにも、私が注意しなければならない。

 自分の子供を治療することはなるべく避けたいからね」

 

 大地の前にある机にオレンジジュースとアイスコーヒーのグラスが置かれる。

 それを挟んで、腰掛けた奏から深い溜息が出た。

 

「さあ今日こそは注意するぞ、と心を鬼にしたとしても。

 美味しそうに食べる昴を前にしてしまうと、どうしても言えない。

 そして代わりにこう言ってしまう。

『もっと食べるか?』と」

 

「は、はあ……?」

 

「自分でも思いも寄らなかった。こんなにも子供に厳しくなれないとは。

 無論、いつかは律してやらねばとわかってはいる。

 しかし……」

 

 昴の子育て奮闘記を話す奏はやたらと饒舌で、部屋に漂っていたシリアスな空気が徐々に払拭されていく。

 眉間に手を当てて悩む姿勢は本当に真剣そのもので、大地の中にあったそれまでの冷たい印象が呆気なく吹き飛んだ。

 

 それは俗に言う子煩悩というもので。

 育児に悩む親の顔というものを大地は初めて知ったのだ。

 

 しかし、それはそれとして、これライダーとは一切関係ない気がする。

 大地は困惑した。

 困惑したが、話は合わせることにした。

 

「でも言われてみれば、昴くんってよく食べる子ですよね。

 この前もハンバーグ一皿をペロリといっちゃって。

 栄養とか、バランスとか、そういう知識の無い僕が何を言うんだって思われるかもしれないですけど。昴くんは健やかに、きっと良い子に育ちますよ」

 

「……きっと、では足りない。絶対、でなくてはならない。

 私には昴を育てる義務がある。

 

 ────私が昴の親に相応しくないとしても」

 

「そうで……え? 今、なんて」

 

 聞き間違いかと疑ったのだが、そうではなかった。

 悩む親の顔から一転して、神妙な面持ちとなった奏は自身の言葉一つ一つを噛みしめるように語り出す。

 

「昴は私の本当の息子ではない。

 偶然出会い、保護した。養子なんだよ」

 

「養子……って、昴くんは一言も……」

 

 記憶の引き出しが開いた。

 脳裏に閃く言葉があった。

 

『ううん、いいの。お母さんは僕のことぶってくるし、今はお父さんいるから』

 

 お母さんはいない。

()()()()()()()()()

 

 そう、()()

 

(つまり昔はいなかった?)

 

「あれは今から半年ほど前だったか……私が仮面ライダーになってまだ間もない頃だ」

 

 それは奏が決して忘れることのない、まさしく運命の日の記憶であった。

 

 

 

 

 病院のため、患者のため、粉骨砕身する日々。

 朝起きて、そして気が付けば一日が終わっていた────そんなレベルで副院長 大和 奏は多忙を極めていた。極めすぎていた。

 後悔は一切ないと断言できる。

 医学の道を志したその時から覚悟していたことに文句を言うつもりなどない。

 

 だが、医学に身を捧げた心にはどこか小さな穴が空いていた。

 日々の隙間にやってくる休日を過ごす時、ゆっくりと穴は広がる。

 奏には、医学以外に何も無かったのだ。

 故に空虚を覚えてしまう時間が少なからずあった。

 その穴の埋め方が奏にはわからない。

 

 そしてやって来た、忘れもしないあの日。

 

「……モンスター、か」

 

 急行した現場は、とあるマンション。その一室から気配は漂っていた。

 中に潜むモンスターを倒すべく、ミラーワールド経由で侵入したアマンダは目の前に広がる部屋の惨状に言葉を失う。

 

 弁当の容器、空きペットボトル、菓子の食べカス……。

 どこを見てもゴミしかない。

 人が住んでいるとは到底思えない。

 そんな部屋だった。

 溜まった生ゴミの臭いが仮面越しに突き刺さって、奏は鼻を押さえる。

 

 ヤゴ型モンスター数体による手荒い歓迎に対処してから、こんな場所は早々に立ち去ろうと決めて。

 そして、台所の鏡越しに何かが動く瞬間を目撃する。

 

 崩れたゴミ溜めの山の中に、小さな男の子の手があった。

 

 生きているのか、それとも既に手遅れか。

 冷静に考える暇すら惜しんで、助けに向かった。

 

(軽い……)

 

 まず覚えたのは衝撃。

 過去に見たどんな患者よりも衰弱していた。そんな状態で生きている事への驚愕。

 あばらが浮くほど酷く痩せ細ったその身体は空気のように軽く、そして小さい。

 見るに耐えない虐待の跡が、この子供に置かれた状況を物語っていた。

 

「……ご……は、ん」

 

 カサカサに乾いた唇が絞り出すように、空腹を訴えかけている。

 この子供はまだ生きている。

 “生きたい”と願っている。

 ならば、奏がすべきことは一つ。

 

 それから様々な過程を経て、その子供は「大和 昴」となった。

 

 

 

 

 

「陳腐な表現を使うが……昴を迎えてからの生活は楽しかった。

 養子に迎え入れた最初こそギクシャクしたが、昴は私という偽の父親をすぐに受け入れてくれた。

『お父さん』と初めて呼ばれた時は何年ぶりかに感動したものだよ」

 

 目を細めて追想していた奏の顔がいつしか綻んでいた。

 その移り変わりを見ただけで、「この人は昴くんを心から愛しているのだなあ」と大地にはわかる。

 これが、記憶にも知識にも存在しない“子を愛する親の姿”。

 ────羨ましい、と大地は思った。

 

「その、昴くんの本当の親はやっぱり……?」

 

「私が入った時、昴以外に人間の気配は無かった。

 恐らくはあのモンスターに喰われたか、あるいは……」

 

 奏はその先を言うことを躊躇った。

 あまり察しが良くない上に、心の根っこから昴を信じている大地は「あるいは」の先を想像できていなかった。

 しかし、その時ふと考えた事は図らずも大地の思考を奏と同じ場所にまで引き上げることになる。

 

(何時だ? 昴くんは何時ライダーになったんだ……?)

 

 

 

 *

 

 

 

「ひいっ、ひいっ……」

 

 南の空を昇る太陽から灼熱の光が降り注ぐ世界。

 木にへばり付き、残り少ない命を燃やしきるかの如く盛大に鳴いている蝉。

 水着の入った袋をブンブン振り回して、キャッキャと騒ぎながらプールに向かう小学生の集団。

 

 いいねえ夏だねえ、と頷く余裕はない。

 仰ぐ団扇も、渇きを癒す炭酸飲料もない。

 今の佐野にあるのはクッソ重たい買い物袋の山だけなのだ。

 

「あの、佐野さん。やっぱり休憩した方がいいんじゃ……」

 

「だ、だいひょーぶ! へーひへーひ!」

 

 瑠美の心配する声に笑顔で答えてはいるものの、明らかに無理矢理作った笑いだとバレている。

 息をゼハゼハ吐いて今にも倒れそうになっている佐野が、瑠美には病魔に苦しめられる大型犬のように見えてしまい、申し訳なく思ってしまう。

 

「グギギ……!」

 

「あぁ……佐野さん、本当に休憩しましょう?

 爆発寸前の蒸気機関車みたいな顔になってますよ!」

 

「それだと、むしろぉ、想像……できないっていうか……ウゴゴゴゴ!」

 

 事の発端は、瑠美が買い物に行こうと言い出したことだった。

 しかし、現在進行形でバイオグリーザに狙われている瑠美が一人で外出はさせられず、必然的に佐野が同行することになる。

 まあ、ここまでは良かった。

 

 佐野 満という男は良くも悪くも普通の男である。

 整った顔立ちと平均よりやや上のプロポーションが揃い、おまけに性格まで良い女性との外出。

 そんな彼女の前で良いところを見せようとするのも、また必然だった。

 大量の食材で一杯になった袋を全て一人で持ち上げて、「どうです? 俺カッコいいでしょ?」という風にデカデカと書かれた顔で往来を歩き出した佐野。

 そのドヤ顔が苦痛一色に染まるまで、そう時間はかからなかった。

 

「もうダメぇ……手脚辛い……」

 

「きゃっ!? 佐野さーん!? こんな場所で倒れちゃ危ないですって!」

 

 史上最大級の筋肉痛。ネガタロスに身体を貸してしまった代償。

 良くも悪くも普通な佐野の身体が、ネガタロスの類稀なバトルセンスを活かす戦闘に付いていけるはずもなかった。

 自分がこれだけボロボロになったのに、結局タイガには逃げられてしまったことが非常に悔しかったのだが、それはまた別の話である。

 

「どうぞ」

 

 瑠美が自販機で購入したミネラルウォーターが、ベンチで項垂れていた佐野に手渡される。

 その中身を半分ほど、一息に飲み干す佐野。

 ブハーッ、と潤った魂からの息が盛大に出てきた。

 筋肉痛はもうどうしようもないが、これで渇きは癒すことができる。

 

「……そういえば前から思ってたんだけど。

 瑠美ちゃんって、あの万丈さんみたいに他の世界から連れてこられちゃったんだよね。

 帰りたいって思ったりしないの?」

 

「初めはそう思ってたかもしれませんけど……。

 大地くんがいて、ガイドさんやレイキバさん、ネガさんがいる今の生活にもう馴染んじゃって。

 それに帰りたいって気持ちはまだありますけど、今は大地くんの傍にいる方が大事なんです。

 なんたって命の恩人ですから」

 

「へぇ〜……」

 

 思ったよりも遥かに重い内容が返ってきてしまい、答えに窮してしまう。

 軽い気持ちで聞いてしまったことに、佐野は後悔した。

 

「この世界での記録が済めば、私達は旅立ちます。

 佐野さんは付いてこないんですか?」

 

「俺ぇ? いやいやいや! 他の世界なんて行ってたら良い暮らしなんて送れないでしょ。

 その時が来たら首領から退職金でも貰って、まったりと暮らしていくかなー」

 

「そうですか……寂しくなりますね」

 

 たった数日の関係でも、別れとなれば瑠美は悲しむ。

 寂しそうに笑う瑠美の顔に佐野は不覚にもグッときてしまった。

 

「ま、まあ? この世界にいる間ならバリバリ働いちゃうし? 

 瑠美ちゃんも俺がバッチリ守っちゃうから、泥船に乗ったつもりでいてよ!」

 

「大船、でしょう?」

 

「そうそう! それそれ────」

 

 頷こうとした佐野の手に鋭い痛みが走る。

 思わず落としてしまったミネラルウォーターが水溜まりを作り、広がった波紋に歪みが生じた。

 佐野の身体が動くその前に、羽の付いた鞭が水面から佐野の顔面に向かって伸ばされる。

 

「佐野さん────!」

 

 悲痛な叫び声がその場に響き渡った。

 

 

 

 *

 

 

 

 それから程なくして、副院長室。

 

 奏と大地の前にも招かれざる客が鏡の中から現れていた。

 生きているかどうかも怪しい、幽霊と見紛うような雰囲気の男。

 

「神崎士郎……」

 

「この人が……!?」

 

 大地には、これがこの世界のライダーを開発した男との初遭遇となる。

 前々から話をしたいとは思っていたが、まさかこんな時に現れるとは。

 

「仮面ライダーダークディケイド、大地。

 お前は我々の世界に侵入し、ライダー達の戦いを妨害してきた。

 彼らの願いを踏みにじり、その行為を否定してまで。

 だが、他の世界のライダーであるお前にそんな権利は無い」

 

 抑揚のない声で話す神崎。

 他の世界……? と懐疑的な奏には目もくれず、大地だけにジットリと見つめている。

 

「……確かにそうかもしれません。

 僕には他のライダーの願いを否定する権利はない」

 

 大地は昨夜見た事を思い起こす。

 芝浦が人質に取ろうとしていたあの女性──小川 恵里の静かに眠る姿を。

 芝浦はわざわざ契約モンスターを使って彼女を人質にしようしていた。

 そして蓮はずっとこの病院に留まり、切羽詰まった様子であった。

 

 それらから考えるに──彼女こそが蓮の願いなのかもしれない。

 戦いの邪魔をするということは即ち、あの女性を脅かすも同然なのだろう。そういう意味でなら、大地は確かに蓮の願いを踏みにじっている。

 

 しかし、それは目の前の男も同じ。

 切なる願いを餌に戦わせようとしているこの男が、善意で動いてるようにはとても見えない。

 

「でも、誰かを助けることには権利なんて必要ありません。

 殺されようとしている人は誰であっても見過ごせない。

 人間を守って戦う。それが、仮面ライダーだから! 

 皆を守ることが邪魔だって言うんなら、僕はいつまでも邪魔をします!」

 

「考えを曲げるつもりはない、か。

 だがお前に選択の余地は無い。

 この世界から出て行くか、それが嫌ならベルトを渡せ。

 さもなくば────

 

 

 お前達と一緒にいる女、花崎 瑠美。彼女はモンスターの餌食となるだろう」

 

「なっ……!?」

 

 絶句する大地。

 対象が自分だけだったら、どんなに脅されても大地は屈しないだろう。

 しかし、周囲の人々……特に瑠美に関しては話は別だ。

 

「瑠美さんに何をした!」

 

「安心しろ。彼女は無事だ。

 ……まだ、な」

 

 そこで神崎は初めて笑った。

 口の端をほんの僅かに釣り上げただけの、人間らしさが欠落した笑み。

 その不気味さが大地の不安を掻き立てる。

 

「付いて来い」

 

 ドアの方を顎でくいと指して、神崎は忽然と姿を消す。

 人間離れした所業に一々驚いてもいられない。

 衝動的に部屋を飛び出そうとした大地に、背後から声がかかった。

 

「大地くん、屋上に行きたまえ。

 今は事件の影響で封鎖されているから、一般人もいない。彼にとっても都合がいい場所だ。

 神崎は恐らくそこにいる」

 

「ありがとうございます! それと……」

 

「昴の件はこちらで預かる。さあ、早く行きなさい」

 

 今度こそ振り返らずに行く大地。

 慌ただしく駆けていく靴音が遠ざかっていく。

 それから数分と経たずして、控えめにドアが開いた。

 

「あったよ! アイスー。

 お父さんのぶんも!」

 

「……そうか、良かったな」

 

 アイスキャンディーをご機嫌な様子で食べる昴。

 そばに近寄った奏はその柔らかな黒髪をそっと撫でる。

 恐る恐る割れ物を扱うように。それでいて、どこか惜しむように。

 心地良さとくすぐったさが同時に押し寄せて来た昴の目がきゅっと細まった。

 

「……思えば、親らしいことはしてやれなかった。

 私は父親失格だ」

 

「うーんと……お父さんはお父さんだよ?」

 

「違うさ。少なくとも、これからは」

 

 そして奏はデッキを差し出す。

 レギオンの白いデッキを。

 

「変身しろ。昴」

 

 

 

 *

 

 

 

 勢い良く開け放たれる屋上のドア。

 転落防止の鉄条網の向こう、足場の縁に瑠美はいた。

 足元の水溜まりから飛び出したガルドサンダーが彼女を掴んでおり、その顔は恐怖と苦痛で歪められている。

 息を荒げた大地が咄嗟に駆け寄ろうとしたが。

 

「瑠美さん! 待ってて、今──!」

 

「それ以上近寄れば、彼女を落とす」

 

 大地を制するは、どこからか響く神崎の声。

 そう言われては大地も止まるしかない。

 歯噛みして、打開策を練ろうとしたところへ再びドアが開く音がした。

 

「瑠美ぃーっ!! 無事か!」

 

「万丈さん! レイキバットさん!」

 

 血相を変えて駆け付けた龍我とレイキバット……ついでにネガタロス。

 龍我もまた異世界のライダーであり、大地と同じく神崎に呼び出されたのだろう。

 

 これにて役者は揃った。

 

「ダークディケイド、クローズ。

 その女を助けたくば、お前達のベルトを渡し、速やかにこの世界から出て行け。

 もし拒否をするなら……わかっているな」

 

 神崎の意を示すように、ガルドサンダーの手が一瞬緩む。

 落下しかけた瑠美から悲鳴が上がった。

 

「止めろぉッッ!! 瑠美さんは関係ないじゃないか!!」

 

「彼女を本当に助けたいと思う気持ちがあるなら、お前達がすべきことは一つのはずだ。早く決断しろ」

 

「神崎、てめえ汚ねえぞ! 俺らと正々堂々勝負しやがれ! このインチキ詐欺師!」

 

「それがお前達の答えか?」

 

 問われるまでもなく、大地達に残された道は決まりきっている。

 敵がミラーワールドに引き篭もっている以上、取れる対策は限られており、かつ大地達にはできないことばかり。

 簡潔に言おう。詰みである。

 

 歯噛みする大地と龍我。

 そんな彼等に心配をかけまいと、瑠美は気丈に振る舞おうとする。

 

「大地くん、万丈さん……わ、私は平気ですから! 

 二人の力はこれから多くの人達の助けになるんです!

 ここで手放すなんて、絶対に駄目!」

 

 瑠美は助けを求めない。

 しかし、小刻みに震える身体と口調を隠し切れてはいない。

 戦士ですらない女子大生が勇気だけで恐怖を打ち消せはしないのだ。

 

「さ、寒いですねここ。

 でもこんなのへっちゃらですから!」

 

「瑠美さん……」

 

 ダークディケイドライバー、メイジドライバーが入ったポーチが地面に置かれた。

 大地に倣い、龍我もビルドドライバーを隣に置く。

 瑠美を救いたいという想いを共有するレイキバット、クローズドラゴンもまたその隣に鎮座する。ネガタロスは嫌がったが、眼魂に選択する権利など無いと思い知るだけに終わった。

 

「さあ、これでそっちの要求には答えた! 早く瑠美さんを!」

 

「まだだ。お前達のベルトを全て回収してから、その女を解放してやる」

 

 神崎が目配せすると、水溜まりから新たなるモンスターが顔を出した。

 緑の鳳凰型モンスター、ガルドミラージュ。

 神崎の配下であるこのモンスターにベルトを回収させるつもりなのだろう。

 

「くそッ、どうすることもできねえのかよ!」

 

「おい、何で俺様まで付き合わにゃならねえんだ!」

 

「空気を読めよ目玉野郎」

 

「黙れゴミコウモリ!」

 

 ギャーギャー喚く蝙蝠と目玉も容赦なく回収されてしまえば、もうそれまでだ。

 自分達の変身手段が奪われる様を指を咥えて見守るしかない二人。

 ここで奪われた物はもう二度と取り戻せないかもしれない、と薄々わかってしまう。

 

 そしてそれは瑠美も感じていることであり────。

 

「大地くん……自分を責めないでくださいね」

 

「瑠美さん……?」

 

 何らかの決意を固めた顔の瑠美。

 それを見た大地は不吉な予感を抱く。

 

「私の生命は大地さんに貰ったものだから……。

 今、ここで返します!」

 

 瑠美はそっと足を動かし、ぎゅっと目を瞑った。

 自分のせいで大地達の力が奪われるのは我慢ならない。

 多くの人を救える力を、瑠美一人のために失わせるなんてあってはならない。

 

 ならばどうすればいいか? 簡単だ。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

「っ!」

 

「瑠美さん!?」

 

 渾身の力でガルドサンダーを引き剥がした瑠美。

 

 

 そして彼女は自ら身を投げた。

 

 

 

「────!」

 

 無我夢中だった。

 落ちていく瑠美が大地の目にはスローモーションに映っていた。

 血を吐くような雄叫びを上げて、立ちはだかるガルドミラージュを殴り飛ばして、駆ける。

 必死に伸ばした手は、当然ながら届かない。

 

「瑠美ィィィィィィー!!」

 

 大地を追い越したレイキバットでさえ、間に合うはずがなかった。

 伸ばした手は鉄条網に押し止められ、無理矢理こじ開けようとした掌に血が滲む。

 それでも構わずに拳を叩きつけると、鉄条網はあっさり破れた。

 

 だが、そうして進めるのもここまで。瑠美を拘束していたガルドサンダーの鞭が大地の首を絞め、その進撃を強引に止めてしまった。

 

「瑠美さん……! 瑠美さん! 瑠美さん!」

 

 嗚呼、わかっているとも。

 ここでどんなに足掻いても、瑠美は帰ってこない。遥か地面の下で帰らぬ人となってしまったのだ。

 折れそうなぐらいに絞められた首から名前を呼んでも無駄なのだ。

 

 花のようなあの笑顔は、もう咲かない。

 

 

 

 

 

「へへっ、俺をお忘れですか? 先輩」

 

 大地に落ちる影と声に、ふと顔を上げた。

 瑠美の落ちた下から飛び出し、上空を飛ぶエビルダイバー。

 その上には、ライアとインペラー。

 そしてインペラーの腕の中で瑠美はしっかりと抱えられていた。

 

「大地くーん!」

 

「さっきは神崎にやられちゃったけど、俺はただでは転びませんよ! 

 これで臨時ボーナス間違いなし! ですよね!」

 

「佐野さん……!」

 

 調子の良い奴だ、とエビルダイバーを操るライアが肩を竦めた。

 ついさっき「このままじゃクビにされる」と手塚に泣きついた姿とは大違いである。

 そもそもエビルダイバーがいなければ間に合わなかったし、こうなることを予想して待機していたのもライアの提案である。

 

 だが、何にせよ瑠美は助かった。

 いつにない頼もしさと感謝をインペラーに贈る大地。

 

 しかし、生きていたと安堵するにはまだ早い。

 ガルドサンダーとガルドミラージュがエビルダイバーを撃ち墜とさんと飛び立つ瞬間を大地は見た。

 

「──万丈さん、ネガタロスを!」

 

「え……うぉ、おうっ!」

 

 サッカーボールの如く蹴飛ばされる眼魂。

 大地は「グェッ」と潰れたカエルのような声と共に飛んで来たそれを掴み取り、押した。

 

(お願いします、ネガタロス)

 

「……フン、いいだろう」

 

 憑依で強化された跳躍を以って、N大地はエビルダイバーと同じ高度にまで到達する。

 インペラーの腕から半ば奪い取る形で瑠美を抱きしめ、その直後に鳳凰型モンスター二体がエビルダイバーに襲いかかった。

 あと一歩遅れていれば、瑠美とインペラーは振り落とされていたかもしれない。

 

「ネガさん?」

 

「喋るな、舌を噛むぞ」

 

 着地して瑠美を下ろしたN大地。

 少々申し訳なさそうにしている瑠美を鼻で笑い飛ばし、ダークディケイドライバーを手に取る。

 

「献身的な姿勢は大歓迎だが……今部下が減るのは不味いんでな。

 おいゴミコウモリ、瑠美を連れてとっとと失せろ。これからは俺様の時間だ」

 

「フン、精々しくじらないこった。

 行くぞ瑠美!」

 

 瑠美が戦場から離れていく背中を見送って、大地は心から安堵する。

 これで心置きなく暴れられる場は整った。

 N大地はエビルダイバーに纏わりつくモンスター達を見据えて、ドライバーを腰に当てる。

 その隣で龍我もビルドドライバーを巻いた。

 

「変身」

「変し……あ、おい!」

 

 KAMEN RIDE DECADE

 

 クローズの変身完了も待たずして発砲するダークディケイド。

 ライドブッカーから放たれた銃弾は一発として外れることなく、ガルドミラージュとガルドサンダーを撃ち抜いた。

 墜落している最中でも構わず撃ち続けるダークディケイドから逃げるため、モンスター達は出てきた水溜まりに飛び込んでしまう。

 

「逃がさねえ」

 

 ATTACK RIDE MACHINE DECADER

 

 疾走するマシンが世界の狭間を超える。

 屋上のミラーワールドに逃げ込み、羽を休めていたモンスター達。

 後を追ってくるかもしれないライダー達の事を考え、すぐに飛び立つ。

 逃走、戦闘、いずれも空に居た方が都合がいいからだ。

 

 だが。

 

 FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DECADE

 

 ミラーワールドに突入するや否や発動されたディメンションブレイクがその後を追う。

 全力の羽ばたきであっても、そのスピードからは逃れられない。

 エネルギーを纏った車体に激突されたガルドサンダーは呆気なくも爆発四散してしまった。

 

「gyy!?」

 

 一撃で粉砕されてしまった相方に驚くガルドミラージュ。

 かつて相方だった身体の起こした爆発を思わず凝視すると、その中を横切って行く黒い影を目撃した。

 すかさず円盤型の武器を取り出し、影に向けて放つ。

 

 優れた能力と本能が下した咄嗟の判断は正しいものだと言えよう。

 一つ、ガルドミラージュの不幸を挙げるとするなら。

 

 相手が悪かった。それに尽きる。

 

「ようウスノロ」

 

「gyu……」

 

 放った円盤は見事に命中した────誰も乗っていない、無人のバイクに。

 困惑したガルドミラージュの頭上には、キラリと光る刃。

 ディメンションブレイクが激突する直前、マシンから跳躍していたダークディケイドが大きく剣を振りかぶっていた。

 

「雑魚が。俺様の組織じゃお茶汲みが関の山だぜ」

 

 頭から爪先にかけて、真っ二つに両断されたガルドミラージュ。

 ダークディケイドは頭上の爆発から降りかかる火の粉を鬱陶しそうに払った。

 

「あれ、もう終わったのかよ!」

 

「今頃来やがったか」

 

「お前が早すぎるんだろうが!」

 

 ようやく到着したクローズ、ライア、インペラー。

 モンスターの中では手強い部類に入る二体をあっという間に瞬殺したことに驚いているようだが、あの程度ネガタロスには朝飯を通り越して夜食前である。

 

「さっすが首領! いやぁやっぱり俺達なんか足元にも及ばないやぁ。

 首領がいれば俺達の組織も安泰間違いなしっすよ!」

 

「佐野……後で臨時ボーナスをやろう」

 

 ナチュラルに悪の一味扱いされてるクローズとライアであった。

 

「あーあ、変身損かよ。ならとっとと──」

 

「まだ帰るな馬鹿。アイツらはただの前座だ」

 

 帰還しようとするクローズの襟を掴んで引き戻すダークディケイド。

 首が絞まるなどと抗議する声は無視して、尻を蹴飛ばした。

 

「イテテ……おい、何も蹴ることはねえだろ!」

 

「奴らが前座とするなら……そういうことか」

 

「手塚〜! そういう『俺はわかってます』って感じのやつやめろよ!」

 

 はぁ、と溜息が二つ。

 

「コイツ──ダークディケイドの強さは神崎も知っていると見ていいだろう。

 加えてお前の存在もある。

 俺の知る神崎士郎なら、たった二体のモンスターだけで満足はしない」

 

「ってことは……まだ何かヤベェ敵がいるってことか!」

 

「可能性の話だがな」

 

 合点がいったようにポンと手を鳴らすクローズ。

 わざわざそんなことを説明しなきゃならんのか、と呆れたダークディケイドから溜息がまた一つ追加される。

「お前はわかってたよな?」と大地に問いかけてみたが、返事はノーコメントであった。

 

 イマイチ緊張感に欠ける面々だが、それでも周囲への警戒は怠らない。

 ふと、空を見上げたインペラーは不思議な物体を見つけた。

 

「金色の……羽?」

 

 金色に輝く無数の羽がひらひらと舞い降る。

 その幻想的な光景に目を奪われたライダー達を、一際強い光が照らす。

 

 ────修正が必要になった。

 

 羽と光が混ざり合い、人型を形作る。

 身に纏うは、溢れんばかりの神々しさと息を固めるほどのプレッシャー。

 

 ────戦いを乱す侵入者よ。

 ────お前達はここで散る運命にある。

 

 ライダー達が見上げる黄金の光が、声を発する。

 どこか人間味に欠けるその声はメスのように身体を貫いていく。

 そんな光とライダー達の構図は、まるで上位の存在を拝んでいるようでもあった。

 

 ────13人目である、この私の手で。

 

 光が晴れた先、姿を明らかにする金色のライダー。

 言葉を失っているライダー達の中で、ライアは戦慄さえしていた。

 まるで人間らしさというものが感じられない虚無。

 存在そのものが夢幻なのではないかと錯覚してしまう。

 

「お前も……ライダーなのか?」

 

「私はオーディン」

 

 “オーディン”と名乗ったライダーは悠然と佇んでいる。

 先の言い草といい、恐らく神崎の手の者が変身したのだろう。

 

「ハッ、神気取りとは恐れ入った。

 たった一人で俺様達に挑むのも納得の度胸だ。

 言っとくが、俺様の強さは別格だぜ?」

 

「ならば挑むがいい。

 お前達がどんなに数を揃えようと、私には勝てない」

 

「ほざけ!」

 

 剣を構えて突進するダークディケイド。

 13人目だろうがなんだろうが知ったことか、と吐き捨てて、走りながらライダーカードを取り出す。

 対するオーディンは微動だにしないまま、腕を組む。

 

 

 そうして、最強のライダーとの壮絶な決戦が幕を開けた下の階でも。

 

「……お父さん?」

 

 父に言われるがままに変身したレギオン。

 首を傾ける息子に、アマンダは何も答えない。

 ただ、剣を構える。

 

「……え?」

 

 振るわれた剣が今まさにレギオンの首を刎ねようと────。

 





多分あと3話くらいかなあ……

Twitterで#仮面ライダーDDのタグ付けて感想呟いてくれたら爆速で飛んでいきますのでなにとぞ……なにとぞ……!

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