時間は少し戻る。
「勝ったぞ、坊主」
平野に現れた幸福の城。
最高の騎士と征服の王。
勝者はイスカンダルだった。
雌雄を決したこの戦いはほぼ互角。
一人一人に物語が書かれた最高の騎士の軍団が強いのか、数万の軍勢が強いのか、それを審議することはできない。
此度はそれが互角だった。
そうなれば、後は大将同士の対決。
王と騎士。
今回は
最高の騎士の最高の剣、
狂化が解かれたからといってそれを使えば虫がいないとはいえ、マスターを死に至らしめるものだった。
落伍者。
間桐雁夜に押された烙印はその実力に正確に押されたもの。
セイバーで召喚されれば……
マスターが良ければ……
ifは幾らでも出てくる。
しかし、勝負は時の運。
これにてライダーVSバーサーカーはライダーの勝利と相成った。
「なぜ、トドメをささない…?」
胸を大きく切られたランスロットはイスカンダルに問いかける。
「なに、既に勝負はついた。これ以上の戦いは無用だからの。……のう、お主、」
「?」
「次召喚された時は余の配下になれ!」
「まだいうか!このおバカさま!!」
堂々と言い放ったイスカンダルに対し、マスターであるウェイバー・ベルベットは彼にダメージの無い、ツッコミをいれる。
それに対して、ランスロットはポカンと口を開けている。
「本気……ですか?」
「本気だとも。余はお主の宣戦布告に対して正面からぶつかり、正々堂々と征服を果たした。ならば、それに従うのが礼儀であろう」
「……フッ。私の忠義はマスターである間桐雁夜。そして騎士王であるアーサー王にある。配下に下ることはできない」
「ぬっ」
「………しかし、負けたのもまた事実。約束しよう。次会う時………1度だけ。征服王、貴方の命令に従おう」
「1度か……まあいいわい!その言葉履き違えるでないぞ!」
「ああ、騎士王と我が剣にかけて」
「ああ、こっちは負けたよ。そっちは………そうか負けたか…おい!ライダーのマスター!」
サーヴァント達の会話の中に間桐雁夜は声をかけた。
「セイバーとランサーの方も決着がついた」
「セイバーとランサー!?こっちもいきなり戦ってたのにそっちも!?どうなってんだ!!」
「分からずに戦ってたのか……まあ、こっちもついていけてないが………」
「で、どっちが勝ったのだ?」
混乱するウェイバーに代わり、イスカンダルが聞く。
「勝者は……」