死の宣告
「あ、終わったわ」
俺はつい、悲観的な言葉を吐いてしまった。
しかし、俺に罪は無い。
罪があるとすればこの世界そのものだ。
この現状を見れば誰だって終わったと思うだろう。
俺の名はダーニック・プレストーン。
Fate作品のアインツベルンが何をとち狂ったかルーラーなんか召喚したせいで、聖杯大戦などという物を起こす張本人である。
まあ、今世には俺の魂が乗っ取ったせいかそんなことを起こす気は微塵も無いが。
我が一族が繁栄できない?
いいよ、魔術師としてだろ。
なら、普通の人として死ぬから。あと、老衰で死にたい。畳の上で布団で死にたい。
間違っても怪物として灰になって死にたくない。
という訳でそうそうにリタイアしようとしたがそう簡単には問屋が卸さない。
聖杯を奪わなければ射殺するとドイツの方々に銃を突きつけられましてね。
もう、やるしかないと。
因みに俺はまだ、サーヴァントを召喚していない。
触媒として叡智の水が入っていたとされる小瓶がある。
これでフィオナ騎士団団長であるフィン・マックールを召喚しようとしていた。
俺のこの前世とも呼べる記憶を思い出したのは最近の話だ。
というかさっきだ。
さっき道を歩いていたら黒い少年を連れて歩く、アインツベルンを見つけて思い出したのだ。
強烈な頭痛と共に呼び起こされる最悪な情報。
正直、死を願った。
でも、恐い。
死ぬのは嫌だ。
1度死んだことで死の恐怖が更に俺にのしかかる。
死因?分からないさ。
ただ虚無を感じているんだ。
無を感じるなんておかしな話だろう。
これがフィクションなら笑って終わりだ。
しかし、終わらないから質が悪い。
……もういいか。
死について語ったところで無くなる理由でも無い。
恐怖も増していく。
さきほどの話の中、Fate作品を知るものなら分かるだろう。
黒い少年を連れている?
それはつまり、ルーラーではなくアヴェンジャー。
俺の情報無しやん。
軸的にはApocryphaじゃなくてstay nightじゃねーか。
どうせ、ランサー召喚しても何も変わらない。
聖杯戦争史の一参加者として終わるやん。
ということで、フィンの触媒は破棄。
生き残る為に可能性の塊、縁にかけるしかない。
そして召喚の場につき、さあ召喚しよう!としたところ、ドイツの諜報員さんが後の枠、キャスターだけになりましたよ、とか言うから。
終わったやん、これ。
キャスターだって強い?
知っとるわ!そんなこと!!
だけど、それはFGOだけだ!
普通の聖杯戦争で早期召喚していない、工房作ってない、戦闘能力ほぼ皆無のキャスターが強いと思ってんのか!?
あんなコマンドカードワンタッチで強い攻撃でると思うなよ。
あと、触媒無しの召喚はホント運なんだからな!
マーリンとか玉藻とか孔明とか無理だからな!
呼べる訳無ぇだろ!
はぁはぁはぁ、イライラをぶつけてしまった。
諜報員はじゃあ、頑張ってくださいって帰ったし。
いいよ、もう。
勝てなくていい。
生き残る力を。
ドイツにもサーヴァントにもマスターにも殺されない未来を。
何を犠牲にしても、もぎ取ってやる。
俺は片手を前に出し、魔力を流す。
そして詠唱を紡ぐ。
「素に銀と鉄。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。
閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷しく者。
汝 三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
光が舞い、魔力が吹き荒れる。
ここにサーヴァントの召喚が成った。
召喚サークルの中心にソレはあった。
ソレは問いかけて来なかった。
ソレはヒトでは無かったからだ。
ソレはコチラに傅くことは無かった。
ソレは生き物では無いからだ。
ソレを見た時、俺は精神的ダメージを負った。
ソレはそういうチカラがあるからだ。
ソレを俺は知っている。
実物は見たことない。
しかし、前世持ちだからこそのものでもあるだろう。
俺は何度目か分からない、自身の運命を呪った。
ソレはニセモノでは無い。
そう、ステータスに書いてある。
ソレはホンモノだ。
コピーのコピーですらあれなのに。
俺は召喚したサーヴァントを手に取る。
酷く冒涜的なソレは酷く手に馴染んだ。
ソレと繋がっている俺は聖杯戦争への参加が確定した。
ソレで戦わなければならないと分かってしまった。
「これからよろしく。
キャスター
とりあえず俺は