ロード・エルメロイII世であるウェイバーは自身の腕にある令呪を見て何度目か分からない溜息をついた。
その腕には7画の令呪があった。
手紙を開くと令呪が刻まれる一悶着があったが、2人から令呪を譲渡させた。
2人は一応反発したが、ウェイバーの言った「私と殺し合いたいのか」という質問に対して黙ってしまった。
そして令呪を1画消費して2画の令呪を渡してもらった。
聖杯戦争は場合によっては人間性を大いに成長させる。
しかし、それには犠牲にするものも多い。
後は自身が開催場所である冬木に向かい、参戦を拒否するまでだ。
有無を言わさず令呪を渡され、拒否できる可能性は塵一つも無いが、それでもwhydunit。
何故こんなことを起こしたのか、理由を問いたださなければ……
依頼を解決しているだけだが、いつの間にか探偵の様な考えに陥ったものだな。
空港につくとwelcome road in Japanと書かれたプラカードを上げたフラットとスヴィンがいた。
「日本へいらっしゃませーグレートビックベン☆ロンドンスター先生ーー!!」
「グレイたん、長旅で疲れただろう。荷物を持つよ」
「なぜ貴様らがいる!?ロンドンで待っていろと……いや、そもそもどうやって来た?今ユグドミレニアの離反によって日本は現在仮的に鎖国状態となっているのに」
「手紙をくれた方にあの後あって連れてきて貰いましたー」
「なんでも令呪を失ったら敗者でもあるから、中立の場所で保護してもらうといいって言われて」
「それで敵にのこのこと着いてきたのか!?」
「安心してください。私がいる限り、絶対に安全な場所へとお連れします」
いつの間にか後ろに立っていた青年。
いや、霊体化していて姿を表した方が正しい言い方か。
彼は英霊だ。
「私の名前は天草四郎時貞。此度の聖杯大戦でルーラーを努めさせて頂いています」
異常な戦争。
聖杯戦争ですらない大戦。
考えただけでも胃を痛めるウェイバーだった。
「ダーニックおじさん」
「ただいま。どうかな?英霊は召喚出来たかな?」
「完璧だよ。最強のサーヴァントを呼び出せた。クラスはだけどね」
「
「ああ、あいつも参加するよ。なんでも好きな相手が参加することになったらしいから守りたいんだと」
「いやぁ、青春だね。
「僕は相手が多いけど、僕自身特別な人はいないな。まあ、ゆっくり学園生活を謳歌するさ。それよりダーニックおじさんこそどうなのさ」
「私は昔婚約者がいてね。………もう顔も思い出せないけどね」
「ふーん。あんまり興味は無いや」
「聞いてきたのは君だろう。それで他のマスターは揃っているかな?」
「ダーニックおじさん待ちだよ」
「それはすまないね。ロンドンは距離があるから使う魔力が多くて…」
ある一室へと入る。
中にはひとつの円卓があり、7脚の椅子のうち、5人が座っていた。
1人は銀髪に眼鏡のスタイルの良い女性。
1人は赤髪にオールバックの青年。
1人は白髪に褐色の肌の青年。
1人は紫色の髪をした女性。
1人はフードを深く被り、黒く濁った目を覗かせている。
そして慎二くんが椅子に座る。
最後の空席にダーニックが座り宣言した。
「お待たせ、みんな。それでは軍議を始めようか」
戦争の始まりを。