うちの鎮守府のラスボスは怖い   作:sikimai

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本編
第一話〖栗畑の女〗


田舎住まいの人には分かって貰えるだろう、土地の世話は大変だという事に

農家で無くても田んぼ、畑、ビニールハウス等、住む場所によって様々な土地を所有しているだろう

我が家も田舎住みの例にもれず幾つかの土地を持ってるんだ

その所有する土地の一つ、栗畑の草刈りを父に頼まれ夏の暑い日に作業してたって訳よ

 

ひと段落ついて休憩してる時の事だ

水筒に入れた冷たい麦茶を飲みつつ栗畑からの景色を眺めていると畑の入り口から人が歩いて来る

女性だ、セーラー服?このような場所には似つかわしく無い恰好だ

夏は蚊が多く帽子長袖長ズボン長靴必須、虫除けスプレーもな

その女性が近づいて来るのを眺めながら自分はこう思ったんだ

暑さにやられたか?熱中症って幻覚も見せるんだなってさ

 

近づいて来る女性は艦これに出てくるキャラクター 軽巡洋艦『大淀』の恰好をしているように見えた

コスプレ?近所にそんな人居ないし居たら田舎ネットワーク(噂話)に絶対あがる案件である

女性はこちらに近づき笑顔で

「精が出でますね、お疲れ様です」

「こんにちは、そんな恰好してると蚊に刺されるよ」

努めて冷静に返事をしたつもりだがその女性は微妙な表情を浮かべた

 

 

自分はこの時かなり警戒していたと思う

田舎の栗畑でコスプレ美人が話しかけてくるんだよ?

警戒を通り越して恐怖感が沸いてくるってもんだ

 

 

その後、二言三言話をしてると女性が変な事を言いだした

「今日は鎮守府へ来られないのですか?」

「艦隊の指揮を執られないのですか?提督」

何言ってんだこの人?大淀のコスプレしてるからそういうネタなのかな?

でもそのネタ相手が提督業やってないと通じないぜ?自分には通じてるからいいけどさ

「駆逐艦の子達が泣いています」

「え?どうして?」

「毎日欠かさず艦隊の指揮を執るニートの提督が執務室に来ないのはおかしい、何かあったんだって」

絶句した、なんで俺がニートだって知ってんだよ?

「他の艦娘達も他所の鎮守府で起こった副業に専念し艦隊指揮をしなくなった提督の噂話を聞いて不安になっています」

「副業?」

「マスター、プロデューサー、審神者等々」

あー他のゲームに本腰入れたって事かな?

っていうか、艦隊の中で噂話とかあるの?なに?艦これの世界では皆生きて生活してんの?

「私達も向こうから提督を見ていますので…」

マジかよ…見てるのは俺からの一方通行だと思ってたわ

このコスプレ美人さん本物の大淀なの?ウソだろ

だが不安になってる子がいるならと思い提案をしてみた

「では、手紙でも書こうか?」

「それには及びません、提督に鎮守府まで来て頂ければ済む話ですので」

「来て…?鎮守府に行くの?俺が?」

「はい、是非お願いします」

「鎮守府に行けるの俺?」

「はい」

「どうやって?」

「これを使って」

そういって大淀は手のひらから棒状の物体を見せてくる

「明石謹製の装置ですよ」

ドラ〇もんばりに何でも出来る明石やな…

「行くのは良いけど帰ってこれるのかな?」

「勿論、何時でも鎮守府とご実家を行き来できますよ」

ふむ…では行ってみようか、ウソだとしても時間が有り余っているニートの俺には良い暇つぶしになるかもな

 

承諾の旨を大淀(仮)に伝える

「では早速…」

と急かす彼女に着の身着のままではと渋る俺

「すぐそこにうちがあるから準備出来るまでお茶でも飲んで待ってて貰えないかな?」

言われた彼女は急かした事を恥じたのか顔を赤らめ了承してくれた

 

栗畑からの帰り道、大淀(仮)に気になっていた事を尋ねる

「君は運営電文を見ているはずだ。暫く各鎮守府、泊地、基地の提督は艦隊指揮を取れない事を知ってるよな?」

「勿論、存じてます」

「では何故、艦隊の皆がそういう状態になっているのかな?」

「私からも説明をしたのですが…噂話で不安を感じている艦娘が大半でして」

「一部の子達が手を付けられない状態?」

「その通りです。司令代理も困っておいでです」

なるほど、少し顔出して安心するなら手間では無いな

「実家住まいだから両親もいるんだ、もし両親と話す事があっても提督とか向こうの話は無しでお願いね」

「存じております。以前の職場の同僚関係という事で通しましょう」

随分とこちらの事情に詳しいようだ、有難いが怖くもある

 

家へ戻り両親が驚いている隙に自室へ向かった

両親も草刈り作業へ行ったと思ったら美人さん連れて帰って来たらそりゃ驚くわ、さらに俺ニートだしな…

 

シャワーで汗を流し自室へ戻ると母と大淀(仮)が和やかに話をしていた

母から色々言われるも曖昧にうなずき用事で出かける事を伝える

準備完了、いざって所で大淀が両親と話をしたいと言う

渋る俺に今まで味わった事の無い威圧感を出してきた大淀(仮)に逆らえずしばし自室待機中

大淀(仮)は五分程で戻って来た、少し焦りが見える顔で外へ急かす

玄関からいってきますと声を掛け外出

 

人に見られない場所を考え栗畑から異動?する事に決定

到着後、手にしたアイマスクらしき物を差し出しながら

「これをお付け下さい」

不穏の香りがしますねぇ…

「ふむ、理由を聞いてもいい?」

「転移時、異常な物を見る事があります。私達艦娘でも辛い状態に陥る場合があるので提督にはこれを装着して頂きたく」

ニートで裕福でも無い俺を拉致?我が家は金銭的に余裕は無い事は調べてるだろうに…

まぁ鎮守府うんぬんがウソでも新手の美人局位は覚悟するべきか

悩む俺に大淀(仮)は威圧感を出し迫る

「提督をお守りする為です、どうかお願いします」

丁寧に頭まで下げられては仕方がない、それに美人が怒ると怖いんだよ

承諾し、アイマスクを装着すると

「提督、お手を拝借しますね」

右手にひと肌の感触、驚いたが声を出さずに済んだ

「では行きますね」

「ああ、よろしく頼む」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

何故こいつは警戒を解いたのか…?

新手の美人局?ははっ

なんでこいつは大淀が偽物だった時の事しか心配してないんだろうなぁ…?

大淀が本物でも警戒を解いていい理由にならないだろ…?

愚かだったんだよなぁ…俺は

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

強い酩酊感だ…立って居られない

両手で膝に手を突き息を整えていると背後から強い衝撃を受けた

前のめりで倒れた俺の背中へ何かが伸し掛かって来た

続いて腹部へ衝撃、多分蹴られたんだろうなぁ

酩酊感の拭えない思考ではここらが限度らしい

(大淀は無事なのか?)

続く首筋への衝撃で俺の思考は闇に溶けた

 




書きたくなったからね、仕方ないね
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