「死にてーなぁ…」
「早く死なねーかなぁ」
「誰か俺を殺してくれねーかな…」
俺の口癖だ
一人の時、昔の嫌な記憶が脳裏を過ぎる
思い出したく無い過去が瞼にこびり付いて離れないんだ…
起きた…今何時だ?
充電が半分を切ったスマホで確認 15:39
二時間は眠れたようだ
やはりベッドが変わると眠りが浅いのかもな
ベッドから起き明石から貰った浴衣を脱ぐ
壁の収納には男物の服、大淀が揃えたのだろうか…?
感謝しつつ着替え、リビングへ向かう
物音…?大淀がまだ居るのだろうか?
執務は大丈夫なのか、アイツ?
リビングへのドアを開けた
「ほぉう! 提督じゃん。チーッス!」
うわぁ…
「や、やぁ鈴谷。いらっしゃい」
「ん?なにさ?テンション低いよ~提督」
「悪い、昼寝してたんだ」
「そっか、顔洗ってくれば?」
「あぁ、そうするよ」
洗面台へ向かう
うわぁ、どうする?
俺、鈴谷の様な女子高生的な子に対応出来る引き出しないよ?
ふむ、間宮に連れて行って甘いモノでも食べさせればいいか
食べてる時は静かになるだろうよ
というか、鈴谷は俺に用事でもあったのだろうか?
ピンボーン
チャイム?来客かな?
今、顔を洗い始めた俺にはちとタイミングが悪いな
足音
鈴谷が対応してくれたようだ、感謝
何やら話し声、まぁいいや
タオルで顔を拭きリビングへ戻る
「司令官!お疲れ様です!」
良い姿勢と敬礼で俺を出迎えてくれたのは朝潮だった
朝潮の後ろに立つ鈴谷はふくれっ面だ、なんかあったの?
「やぁ朝潮、お疲れ様」
アイサツは大事だよな
「司令官!ご命令を」
何をご命令したらよろしいのでしょうか…?
鈴谷助けてっ!視線をチラリ
「ちょ、ちょっと朝潮、提督困ってるから…ね?」
「司令官!お困りですか?この朝潮にお任せ下さいっ!」
うん、今現在君への対応に困ってるんだ!
そのまま言ったら朝潮悲しむだろうから言わないけどさ…
どうしようか…よし
「実は小腹がすいているんだ、朝潮間宮へ案内を頼めるか?」
「はい司令官!朝潮、任務了解です!」
元気一杯だ、寝起きのテンションには少しキツイが微笑ましくもある
「鈴谷も行くだろ?」
「モッチ!いっくよ~」
そんなこんなで奇妙な三人組は間宮へ向かったとさ…
「では司令官!どうぞごゆっくり」
え?
「この朝潮、入り口に立ち哨戒任務にあたります!」
ん~~~~~~~この子すっごい真面目!
こんな小さな子を立たせて甘味を食べても味なんかわかんねーよ
「だってさ、提督ゆっくりしよーよー」
オイ鈴谷お前は鬼か!
朝潮は既に哨戒任務にむけて気を張っている
そんなのやらせる訳ねーだろう!
「それは困ったな、朝潮と一緒に甘味を食べたかったのだが…あぁ困った」
「朝潮、司令官と共に甘味を頂きますっ!」
この子チョロ過ぎないか?
いや、可愛らしくはあるんだが、おじさん君の将来が心配だぞ
店内へ入り空いてる席を探す
俺が来た事を知った艦娘達がざわざわしてる
うん、もう慣れた
気にせず席に座ろう
丁度混む時間帯にあったったのか、なかなかの込み具合
相席を提案する度胸までは無い俺は二人席へ座る
鈴谷は俺の正面席に朝潮は
「朝潮、万歳だ」
「は、はいっ!」
朝潮の両脇に手を差し込み、問答無用で俺の膝に座らせた
混んでるからしゃーない
親戚の子供扱いだが朝潮も文句言わないからもうこれでいいやろ
周囲のざわめきが大きくなるが、もう知らんっ!
鈴谷の顔が引き攣ってるのも知らんっ!
「朝潮好きな物を注文してくれ、遠慮は無しだ」
「はい司令官!」
うん、朝潮の扱い方判ってきた
こっちがイニシアティブをとって指示を出さないと色々停滞してしまう
指示をだすとそれに向かって全力を尽くす朝潮
真面目で素直ないい子なのだ
「鈴谷、好きなの注文していいからな?」
「あざーっす!なーに食べよっかな~」
食堂と違い間宮では注文を取りに、そして配膳までしてくれるようだ
昨日は結局お茶しか飲めなかったからそのリベンジといこう
鈴谷はパフェを朝潮は白玉あんみつ
そして俺はそう、間宮といったら羊羹だよな?
それと伊良湖最中だ!
食べきれなかったら二人に食べてもらうとしよう
雑談しつつ注文の品を待つ
「鈴谷、なにか俺に用事があって部屋に来たんじゃないのか?」
「ん~いや、もうそれはいいんだ~」
「そうか?何かあったら言ってくれよ」
「てぇーとくぅー鈴谷頑張ってるよね?」
「ん?ああ、何時も頑張ってくれて頼りにしてるよ」
鈴谷はこの艦隊の古参だった
最初期から最上と共に航巡として艦隊に多大な貢献をしてくれた
「鈴谷褒められて伸びるタイプじゃん?」
褒めろって?ガキかお前は…はいはい
「鈴谷、何時もありがとう。航巡の切り札として、よく期待に応えてくれたな」
「うんうん、うーんと褒めてね?」
「三式弾とWG42を併せた連撃は最高にカッコいいよな」
「え、えへへ…」
「水戦も使えて汎用性もある、穴もあいて「ちょっ!」ん?」
「あ、穴とか言わないでよ…マジ、恥ずかしい……」
あぁ~これは配慮が足りなかった俺が悪い
「すまない、配慮に欠ける物言いだったな。補強増設で更に強くなったって意味だぞ?」
「司令官っ!」
おや?どした朝潮
「朝潮には何時、穴を開けて頂けるのでしょうか?」
場の空気が凍った……
静まり返る店内、俺達三人は周囲の視線を独占だ、やったねっ!アホかっ!
朝潮…その発言は通報案件になるぞ
お前の提督が憲兵に連行されてもいいのか!?
ヒェッ…ゆ、由良!?
店内に来ていた由良が俺を見ている…真顔だ
や、やめてくれ、相席の名取が泣きそうになってるぞ
沈黙は金と言うが今は舌をプロペラのように回すんだ!
俺の無実を証明するんだよっ!
「ははっ、補強増設の事だよな~?数に余裕が出来たら朝潮にも渡すからなっ!」
補強増設の部分に力を籠め周囲へ聞こえる声をだす
「朝潮は補強増設にどんな装備を乗せようか?朝潮何持っていきたい?」
「朝潮は司令官に選んで頂いた装備ならなんでもっ!例え46㎝砲でも持っていく覚悟ですっ!」
それはもう46cm砲のちょっと大きな妖精扱いになるぞ?
「そ、そっか~嬉しい事を言ってくれるな朝潮っ!」
自棄になり朝潮の頭を撫でまわす
周囲の緊迫感が薄れてきた
よしっ!これで俺の勝「お、お待たせしました。ご注文の商品になります」
助かった、伊良湖が甘味を運んできてくれた
これでうやむやに出来る
「あのぅ、提督さんはロリコンさんなんですか?」
くそぅ…なんで世間は俺に厳しいんだよっ!
「朝潮ちゃんを膝に乗せて頭を撫でていらっしゃると…その」
そうだよな、そういう風に見えちゃうかもなっ!
「朝潮は司令官がロリコンさんでも一向に構いませんっ!」
お前意味わかって言ってるのか!?
もうやだ、誰か助けて…鈴谷ぁ
視線を向けた先の鈴谷は注文したパフェを我関せずと食べていた
周囲の視線が犯罪者を見る物からロリコンを見る物へジョブチェンジを果たしたが犯罪者よりマシである
俺は項垂れながら間宮の羊羹を口に運んだ
!!!!!
うめ~~~~~めっちゃ美味い
上品な甘さ、小豆の口触りがすっごくいい
次の伊良湖最中も期待できるな
最中はアイスが挟まっており若い子に人気がありそうだ、どれどれ
あぁ、これも美味い…
そりゃ艦娘達もキラ付くわ
まみいらセットの神秘を味わえた、これはテンション上がる
羊羹は三切れ、最中は二個のようだ、片方だけでも満足出来そう
夜の事も考えると全部食べるのは控えるべきかな?
「鈴谷、羊羹食べる?」
パフェをガツガツ食べてた鈴谷は
「えっ?いいの?ちょうーだいちょーだい」
「はいよ」
羊羹を乗せた皿を鈴谷に近づける
「アーン」
……
「昼の放送見てたよ~鈴谷にもやってよ~」
ったく、お前は子供っぽいとこあるよなぁ
「ほら、アーン」
一口大に切った羊羹をつまようじで鈴谷の口へ
「ん~いいじゃん」
はいはい、よかったね~ほんと子供みたいだな
鈴谷はご満悦、なによりだよ
残りの羊羹を自分の口に放り込みもしゃもしゃ
…鈴谷、お前なに朝潮にドヤ顔きめてんの?
ホントに…駆逐艦相手になにしてんだよ
「朝潮、最中半分食べてくれないか?お腹一杯になってしまってな」
鈴谷の微妙な顔
俺が不公平な事する訳にいかないだろう?仮にも提督なんだから
「よ、よろしいのですか!?」
「ああ、残すなんて罰があたるよな?」
「その通りです司令官!朝潮にお任せ下さいっ!」
「ほい、アーン」
「ほあぁ…」
あぁ、なるほどな
やっぱり、伊良湖最中でキラ付くんだな
腹ごなしを兼ねて海辺を散歩、背中に重荷を抱えてだ…
経緯はこうだ
大淀から貰ったお小遣いで会計を済ませ店外へ
さてどうしようってところで
「ていとくー私ちょっち疲れちゃってさ~」
今まで寛いでた口で何を言うか…
「あ~自分で歩けないな~」
ふぅ…お前なぁ…
「確か駆逐艦の子をだっこしてたよね~?」
……
「提督は不公平嫌いだもんねっ?」
…
「司令官は一部の艦娘のみを優遇するような方では無いと朝潮は確信しておりますっ!」
朝潮、上手く乗っかったな?やるじゃないか
わかったよやりますよ
「んで、どっちからやる?」
で、今に至るって訳
背中にはジャンケンの勝者、鈴谷をおんぶしている
左手で鈴谷の太もも支え、右手は朝潮の左手へ
はぁ~ったく、後ろの荷物がおもた「ていとく?」…非常にデリケートな問題があるのだ
片手で支えるから歩きづらいんだよ
鈴谷の身長では流石にだっこは無理だった
昨日川内にもやったおんぶで妥協って事さ
雑談しながら敷地の端へ到着
次は朝潮だ
「朝潮、おんぶとだっこどっちがいい?」
「司令官にお任せ致しますっ!」
ふむ…では
「朝潮、気を~~付け~~!」
すかさず反応する朝潮
俺は朝潮の後ろへ回り
「万歳!」
両手を上げる朝潮の両脇へ両手を差し込む
そのまま持ち上げ、かたぐるまだっ!
「た、高いっ!高いです!司令官っ!」
聞こえんなぁ、まぁそのうち慣れるって
右手を鈴谷と繋ぎ来た道を戻る
日は傾きもう夕方だ、地面には三人の影が伸びていた
「はぁ~~つかれた…」
二人と別れベンチで休憩
約束の午後7時までまだ余裕はある
少しゆっくりするとしよう
ほんとにここに居ると大変だよ
だってそうだろ?
口癖を言う暇すらないんだぜ?