皐月をかたぐるま、響をお姫様だっこ
二人のリクエストに応えつつ一行は食堂へ向かう
道中、こちらを見た艦娘達がざわざわしてる
そりゃそうだよ…ハーメルンの笛吹き状態だもんな
お昼時にはまだ早い食堂の一角を借りて、さぁやるとしよう!
俺が作ろうと思った料理、というか氷菓子だな
それはアイスだ
正確にはヨーグルトアイス
材料はヨーグルトと生クリームと砂糖これだけ
2:2:1の比率でミキサーに入れて3分程混ぜる
混ぜた物を調理用バットに入れて冷凍庫へ
家庭用の物だと1時間に一回バットの中身をしっかり混ぜて
固まればハイ完成
お好みで果物を入れてもいい
一緒に混ぜれば粒状に、混ぜた後に入れれば固形で楽しめる
簡単で夏に合うサッパリしたアイスだ
これを皆でワイワイ作って午後のおやつにしようって訳さ
阿武隈に頼んだ材料が揃っているテーブルに到着
…あのさぁ
なんか材料多くね?
どんだけ作らせる気だよっ!
え?なに?艦隊全員分作るの俺?
はしゃぐ皆、呆然と立つ俺
「提督、皆のおやつを作って頂けるようで…」
間宮だった…うそだろ?全員分?
「偶には私達も楽していいですよねぇ?」
…そうだな
この艦隊を支えてくれている間宮、伊良湖には感謝しかない
大した物は作れないが腕を振るうとしようかね
ちびっ子達には作り方を説明した後それぞれ好きな果物を選んで貰う
「松輪は…みかんにします」
缶詰があった、これでいいよな
「はい松輪、霰は何にする?」
「霰…イチゴが良い」
袋詰めのイチゴを渡す
「ほい、包丁で小さめに切ると見栄えが良いぞ。皐月どれがいい?」
「ボクはパイナップル!」
これも缶詰で良いだろう
「はいよ、響ウォッカは食べる前に掛けた方が美味しいぞ」
「そうなのかい?ではそうしてみるよ、Спасибо」
「卯月ー何入れる?」
「うーちゃんはドラゴンフルーツ!」
ド、ドラゴンフルーツ!?
え?こっちの世界ではメジャーなの?
一般に流通してるのそれ?缶詰とかあるのかな…
「う、卯月、ドラゴンフルーツは無いみたいだなぁ、他の果物にしような?」
家庭用ミキサーを使い作業するちびっ子達
業務用のデカイミキサーを使い次々とアイスの素を作る俺
大量に作る必要があって休む暇が無い
皆はそれぞれ調理用バットに混ぜた物を入れて業務用大型冷凍庫へ
扉の前に陣取ってワクワクしている
愛い奴らよのぅ…
「40分に一度バットの中身を混ぜるんだぞー」
「「はーい」」
業務用だと冷えるの早いからね、40分位でいいだろう
艦隊全員分のアイスは強敵だった
大型のバットへアイスの素を流し込み
各種果物を散りばめ何が入ってるか判る印をつけて冷凍庫へ
何度往復したのかもう覚えてない…
材料を全て使い切り冷凍庫の前に集まるちびっ子達を眺めていた
「提督、お疲れ様でした。混ぜる作業は私達でやっておきます」
間宮…助かった
あれ全部一人で混ぜるとか重労働だったわ
「もう昼食時です、皆で食べて行かれませんか?」
ありがたいね、丁度腹が減っていたんだ
「お昼はカツカレーよっ!」
今日の昼食は調理班に足柄が参加していたようだ
「提督、おやつ作りお疲れ様っ!これはサービスよっ!」
カツ三枚豪勢だなぁ
いや、凄く嬉しいんだよ?
だがいくら揚げ物が好きでも三枚はなぁ…
残すような事はしないけどね
さて、頂くとしようか
皆で頂きますの合唱
佐渡、ほら零すなって
卯月、七味はやめろっバカ!
「司令…」
お?どうした松輪?
「き、昨日の放送でアーン…されてましたよね?」
俺を見つめて松輪が言う
これが佐渡や卯月に言われたのなら拒否れるが…
普段から大人しい松輪からの訴えならば応えるしかない
「ほれ、アーン」
さ、皐月分かった!順番、順番になっ!
響っ!俺のコップにウォッカ入れようとするなって
卯月っ!だから七味はやめろっ!
笑ってないでどうにかしろっ秋雲!
騒がしい昼食を終え、お茶を飲みつつ一息つく
冷凍庫の前から動こうとしないちびっ子達に
「皆、一度解散して15時にまたここに集合なっ!」
気もそぞろに返事をするちびっ子集団、可愛いもんだ
「秋雲ちょっといいか?」
アイス作りに参加せずスケッチブックに向かっていた秋雲に声を掛ける
「なに、提督?」
「場所を変えようか」
足柄に昼食のお礼を伝え、秋雲と共に外へ出た
日陰に入っているベンチを発見、ここでいいか
二人で腰を下ろし、尋ねる
「秋雲、初風の事なんだが…」
そう、吊るしあげを受けた初風の事が聞きたかったんだ
「初風がどうかしたのー?」
「陽炎型会議ってやつで吊るしあげられたって聞いたからさ心配してたんだ」
「あ~うん、まぁ…」
やっぱりか…初風に悪い事しちゃったな
「いや、あれは~そのぉ…吊るし上げというより…胴上げって感じだとおもぅんだけど…」
胴上げ?どういう事?
「ま、まぁ提督は気にしなくていいって!秋雲達が姉妹艦に酷い事する訳ないじゃん」
まぁそりゃそうだろうけどな…
「俺が心配し過ぎてただけか」
「そうそう!提督安心しなって~初風笑ってたし大丈夫だよ」
そっか、なら安心だな
「秋雲、初風この艦隊に来て間もないからさ、頼むな?」
秋雲の頭を撫でながら
「な、なになに~セクハラ?いいの~?」
ませたガキだよお前はなっ!
最後の一撫では乱暴にしてやった
その後、秋雲のモデルをしつつ時間を過ごす
「はかどりますねぇ~! 」
「うひょひょ~ありだねえー」
「そのままそのまま」
表情をクルクル変えてスケッチブックに集中する秋雲を眺めるのは楽しい時間だった
モデルの仕事を終えてから腹ごなしを兼ねて鎮守府内を巡る
朝からのバタバタで忘れていたが俺に出来る事探しを再開してみた
歩きながらキョロキョロ、すれ違う艦娘もおらず散歩気分
「提督、お疲れ様です」
ゆっくりと振り返り、返事をする
「やあ大淀、お疲れ様」
今日会うのは初めてだ
「大淀、俺昨日どうなったんだ?ベッドに入った記憶が無いんだが…」
朝感じた懸念を伝える
「…ご自分でベッドへ入られましたよ」
「そっか、酔っぱらっててもどうにかなるもんだなぁ」
まぁ、酒を飲む気はもう無いがな…
「あ、それと朝ご飯ありがとね、美味しかったよ」
「それは…なによりです」
なんか大淀元気ないな?
あ~俺をワラってキラ付けしないとテンション上がんない感じ?
「散策ですね、お供します」
俺の足を踏んで先へ進んで行く大淀
「まぁ…いいけどさ」
大淀と共に散歩
川内とはまた違った意味で喋らなければ美女
ゲーム画面の大淀は委員長タイプの真面目な子って印象だったのに
ここへ来てからはその印象が変わったよ
だがまぁ…一緒にいるとその…あれだ
結構楽しいよ
ニートの俺なんかを気に掛けてくれてさ
なんだかんだ敬意も感じるし
俺は大淀や艦隊の皆の役に立てるのだろうか…
理想の提督とは言わずとも
皆が胸を張って私達の提督だと言ってもらえるようになりたい
そう、想っていたんだ