反省の意、自分への教訓として書きました
ワラってやって下さい…
やぁご機嫌よう、俺だよ
皆、初秋イベントの成果はどうだったかな?
我が鎮守府は概ね満足出来る結果に終わる事が出来たよ
初めての甲種勲章を狙ってみたけど、まだ俺には早かったようだ
甲甲甲乙乙で今回のイベントは終了
まぁいいさ、イベントはまだまだある
甲種勲章は次回のお楽しみって事にするさ
さて今の俺の状況なのだが
鎮守府の執務室の床で正座をしているんだ
[私は無能提督です]と書かれたプラカードを首から下げている
時代劇等で見られる裁きを待つ下手人スタイルだな
目の前で俺を見下ろしているのは鎮守府のラスボスこと大淀だ
なんでこんな事になったんだろうな…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺は今回のメンテナンスの時間について考えがあった
イベントで活躍してくれた艦娘達の慰労に充てようと思ってたんだよね
その事を艦隊通信で鎮守府の首脳陣にも伝えておいた
皆納得してくれたし、人選は俺に一任してくれるとも言われたんだ
人選について色々考えた結果、この三人に決めた
駆逐艦『大潮』『荒潮』
軽巡洋艦『鬼怒』
この三人の働きは壮絶だった
E2へ出撃したのは大潮、荒潮の二人
荒潮はボスへ4桁ダメージを連発し皆の度肝を抜いた
大潮は攻撃面ではまったく役に立てなかった
だが道中、ボス戦の殆どの攻撃を一身に受け、艦隊の仲間を守り切る事に成功
大潮の活躍が無ければ荒潮の活躍も無い事は明白だった
戦闘後、活躍出来なかったと落ち込む大潮と艦隊通信で話をした
「大潮、皆を守ってくれてありがとうな、恰好良かったぞ!」
「まるでナイトの様だ、凄いなぁ憧れちゃうなぁ」
と、褒め称える俺
「司令官、深海棲艦の攻撃は大潮にお任せください!」
と、元気を取り戻し返事をしてくれた
だが大潮は危なっかしい所もあるので艦隊指揮をする際はちゃんと目を光らせておこう…
E4へ出撃した鬼怒
今回のイベントでは獅子奮迅の活躍を見せてくれた
輸送、ギミック、ボス戦全てに参加し俺が求めた役割を完璧に果たしてくれた
ゲージ破壊後、テンションの上がった鬼怒が艦隊通信で
「提督、鬼怒凄かったでしょ!?」
と嬉しそうに聞いてくる
「勿論だ鬼怒、最高にカッコよかったし凄かったよ」
もうね、滅茶苦茶褒めた
自分の事のように鬼怒の活躍が嬉しかったんだ
遠征に行く事が多い鬼怒が海域で活躍する様を見る事が出来て俺感動しちゃったよ
普段から世話になってる鬼怒に恩返ししたいと思ってたから今回の機会は丁度よかった
候補の中には海外艦の子達もいたんだ
だけど海外艦の子達は国籍別に纏めて招待した方が良いだろうと考えた結果だ
この三人の名前と選考理由を首脳陣に伝えると皆賛成してくれた
人選は一任されてたけど反対されやしないかとヒヤヒヤしたぜ…
さて、この面子に決定したのならメンテ中に連れて行きたい場所があるんだ
それは遊園地!
我が家からわりと近い所に大き目の遊園地がある
俺も子供の頃から何度も行った場所だから案内は出来るしこの面子なら楽しんでくれると思ったのさ
メンテ開始5分前
何時もの如く栗畑で待機中の俺
栗の収穫時期が過ぎて綺麗になった畑を眺めて時間を潰す
背中に衝撃
「きたきたぁ!鬼怒、いよいよ到着しましたよ!」
テンションの高い鬼怒が背中に負ぶさっていた
「やぁ鬼怒、いらっしゃい」
今日は三人の従者気分だからね、何をされても笑顔で対応しちゃうよ
鬼怒をおんぶしつつ振り返ると着飾った大潮と荒潮も居た
「二人ともいらっしゃい、よく似合ってる可愛いよ」
「司令官っ!大潮、ずーっと楽しみにしてたんですよ?もうアゲアゲです!」
大潮大丈夫か?テンションアゲ過ぎて怪我したりするなよ?
「うふふふふ、今日を楽しみにしていたのよぉ?」
荒潮はまぁ可愛らしく着飾っててさぁ良い所のお嬢さんだよ、この子
前回の大淀とは打って変わって体力勝負になりそうな面子だ
まぁ精一杯エスコートさせて貰おうか
「司令官恐縮です、青葉ですぅ!」
うん…気づいてた
大潮と荒潮の後ろに青葉、衣笠姉妹も居る
今回呼んで無いんだけどさ…何か用があったのかな?
「司令官、実は…」
青葉が言うにはこちらの世界の資料を作りたいそうだ
艦娘の皆もどういうモノがあるのか興味があるようで映像と写真を記録しておきたいとの事
今回、遊園地には同行するが中では別行動をとりたいらしい
まぁ断る理由も無いから了承する事にした
「分かった、んじゃこれ渡しておくよ」
青葉に一台スマホを渡す、艦娘用に契約しておいたんだ
いざって時に連絡出来ないと不便だからね
艦娘達もスマホらしきモノ持ってるけどこっちじゃ使えないだろうからさ
使い方を簡単に説明すると
「司令官、了解ですっ!」
青葉は問題無いね、衣笠はどうかな?
『提督、もう覚えましたよ』
衣笠がスマホ画面を見せてきた、大丈夫そうだね
「なぁ衣笠、そろそろ君の声を聴かせてくれないか?」
俺、衣笠の声ゲーム画面でしか聞いた事無いんだよな…
『(*‘ω‘ *)』
顔文字見せられたけどどう解釈したらいいんだ、コレ?
俺、衣笠に嫌われてるのかな…
皆を車に乗せて出発
道中、窓から見える風景に「うおー」とテンション上がりっぱなしの大潮
珍しいんだろうなぁ、その元気は遊園地まで取っておけよ?
青葉、衣笠姉妹は後部座席で撮影機器の調整をしているようだ
助手席の荒潮と運転席の後ろに座る鬼怒と雑談しながら目的地へ向かう
無事に遊園地へ到着っと
園内では別行動を取る青葉、衣笠姉妹にこちらの世界のお金とパンフレットを渡す
二言三言話し二人と別れた
さて、どの乗り物からいこうか?と考えつつ振り返ると一人居ない…大潮何処だっ!?
急いで辺りを探す………居た
風船配ってるおじちゃんから風船を受け取りお礼言ってる大潮を発見
うん、ちゃんとお礼を言えるのは偉いぞ!
だが本当に肝を冷やした…あぁ焦った
俺達四人は園内をフルアーマー元ニートと化して進む
大潮をかたぐるま、右腕は鬼怒と組み、左手は荒潮と繋ぐ
「大潮そこから乗りたいモノを指示してくれ、重要な任務だが頼めるか?」
「はいっ!大潮にお任せあれですっ!」
大潮から絶対に目を離さない為の苦肉の策だった…
ふと気づいたら俺と腕を組んでいた鬼怒
自然と距離を詰めている鬼怒に戦慄する俺
荒潮も腕を組みたがっていたのだが如何せん身長差があって断念した
なぁ荒潮、そろそろ機嫌直してくれないか?
大きくなったら腕組むからさ…繋いだ手の力抜いてくれない?
手の骨がミシミシ鳴ってるんだよね…
艦娘の体力をなめていた…
園内のアトラクションを制覇し、気に入ったヤツに何度も乗るとは思わなかったんだ
所謂絶叫系と呼ばれるモノを気に入った大潮と鬼怒がアトラクションに乗り込む
一度は付き合ったが二度目から、俺は荒潮をかたぐるましつつ二人をカメラに収める役をこなした
メリーゴーランドでは荒潮に強請られお姫様だっこして白馬の乗り物へ跨る
これには従業員さんも苦笑い、気を付けて下さいねと注意を受けつつ三度乗った
相手が俺でなければ絵になる光景だろうになぁ…
園内にあるフードコートのテーブルで突っ伏している俺
三人はオヤツを買いに行っている所だ
青葉、衣笠姉妹の用事も粗方済ませたようなのでこの場所で合流するつもり
「司令官お待たせしました!」
おっ来たか
「よぅ、鬼怒達はおやつ買ってるから二人も何か買っておいで」
二人が鬼怒達と合流して食べ物を選んでいる
皆笑顔だ…俺は少し疲れたがこの顔が見れたのなら安いもんだよな?
名残惜しいが遊園地はここまで
鎮守府の皆へのお土産を買う為、近くのショッピングモールへ移動してきた
銘菓を幾つか、それに5人の意見を聞きつつお土産選び
結構な散財になったけどまぁいいさ
大量のお土産を持ちつつ車へ戻る道中、鬼怒がある露店の前で足を止めていた
なにか気になるモノでもあったかね?
「提督っ!鬼怒コレ、コレ欲しいっ!」
銀細工、シルバーアクセサリーってやつかな?
値段も手ごろだし今日の記念って事で皆の分も買うか
「わかった、好きなの選んでいいからな?」
「いぃぃぃぃやったぁぁぁぁぁ!!」
そんなに喜んでくれるならこっちも嬉しくなっちゃうね
鬼怒は指輪、荒潮も指輪、大潮はワンポイントのペンダント、青葉と衣笠はブローチを選んだ
「提督、指輪嵌めてっ!」
左手を差し出す鬼怒
「お、おぅ」
人差し指に嵌めようとすると
「そっちじゃなくて薬指にっ!」
え?マジで?
そこは色々と意味がある指なのでは…
「はーやーくー!」
わかったわかった、嵌めますよ
「こりゃぁ~マジパナイ」
喜んでくれたならそれでいいさ
店員の兄ちゃんがニヤニヤしてるのが気に掛かる…
荒潮も指輪を嵌めてと強請って来たのだがちょっと問題があった
フリーサイズの指輪らしくまだ幼い荒潮にフィットしなかったんだよね
流石に可哀そうだったのでネックレス用の紐を購入してそこに指輪を通し首に掛ける事にした
「荒潮がぁ大きくなったら、ちゃんと嵌めてね?」
わかりましたよお姫様、納得頂けたようでなにより
大潮のペンダント…これを選んだのか?
ワンポイントには盾の模様が刻まれている
大潮はかの有名なブロ〇トさんになってしまうのだろうか…
流石だな大潮、なろうとするのでは無くなってしまうのがナイトらしいからな
首に掛けてやると嬉しそうに笑ってくれたよ
青葉と衣笠にもブローチを付けてやった
「私達まで悪いですねぇ司令官」
珍しく殊勝な青葉だ
「いいよ気にすんなって、撮影お疲れ様」
ほら、衣笠も
「ほい付けたよ、結構似合ってるじゃん」
衣笠は俺にスマホ画面を見せてきた
『(*‘ω‘ *)』
うん…多分喜んでくれてるんだよな?
栗畑へ向かう車中
「うぇっへっへっへ…」
「うふふふふっ、あはははっ!」
それぞれの指輪を眺めて笑い続ける鬼怒と荒潮が少しだけ怖い…
大潮は流石に疲れたのだろう、寝てしまっていた
眠る大潮を抱え鎮守府に到着っと
「提督、お疲れ様です」
「やぁ大淀、お疲れ様」
出迎えたのは大淀だった
さて、これから一仕事あるんだよ
それはお土産の配給だ…
食堂に集まってる艦娘達に挨拶し、イベントでの尽力の礼を伝えつつ、お土産を配っていった
眠った大潮は陸奥が部屋まで運んでくれている
長門が運ぼうとしたのだが俺と陸奥がそれを許さなかった
俺を親の仇の様に睨む長門にお土産を渡しつつ皆の様子を眺めていた
皆笑顔でお土産を食べている、嬉しいなぁ
メンテ中の観光で結構散財しちゃうから普段は節制していこうと心に決めた
長良型の六人が集まるテーブル席から声が挙がる
左手を掲げた鬼怒が自慢気に
「見て見てーいいでしょ?提督に買ってもらったんだーその場で指に嵌めてくれたんだよっ!」
おい鬼怒、言い方っ!
「「は?」」
長良型の五人と鬼怒の声が聞こえたであろう周囲の艦娘達の視線が俺に突き刺さる
いや…ちょっと、そういうのじゃないやん?
記念品としてさぁ…
「ちなみにその時の映像はこちらですよ皆さん」
食堂に点在するテレビでは俺が鬼怒に指輪を嵌めるシーンが流れている
「どうですか司令官、よく撮れてるでしょ?」
青葉、お前なぁ…そんなのダメじゃん
あの場に居た子達に記念品として渡したモノだろ?
それを…こんな風にやっちゃったらさぁ
「提督、こちらへ…」
ほら、ほらぁ…こういう事になるじゃんっ!
「い、いや大淀、違うんだって」
「お早く…」
「……ハイ」
笑顔の大淀から放たれる威圧感に負けた俺は大淀の後をトボトボ付いて行く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まぁそんなこんなで執務室で正座してるって訳さ
仁王立ちで俺を見下ろす大淀
「提督、今回の特別海域は随分と腑抜けた結果ではありませんか?」
思い当たる節が多々ある…
「E3海域で提督がもう少し冷静であれば甲種勲章に挑戦する事が出来たはずです」
そうだな…
「護衛独還姫の撃破に手間取った私達にも非はありましょうが…」
いや皆のせいでは無い、俺が悪いのだ
「切り札を切るのが早すぎましたね?」
そうだ…
E3の三本目のゲージ破壊で我が艦隊は盛大に沼った
札が付く事を嫌い、艦隊のメンバーの変更を最小限にした事が原因だった
キラキラ教徒の俺は戦意高揚状態を維持しつつ何度も突撃し、敗れ、そして…キレた
甲種勲章なんぞもう知らんっ!このドッカン姫だけは絶対倒す!
この思考が頭を支配した結果、切り札の阿武隈、北上を投入
その後すぐにゲージ破壊に成功したが敗北感だけが募る結果だった
艦隊戦力の見直しを図る冷静さがあれば、この結果を違うものに出来たと大淀は言いたいのだろう
「それだけではありませんよね?」
わかってるよ…
「E5海域…なんですかあのザマは?」
思い出したくない俺のトラウマ海域だ…
「乙難易度にした事により海域突破自体は順調でしたが」
そう海域突破、ネルソンとの邂逅も順調だったが俺は最大のミスを犯した
「装甲破砕ギミックを解除せずにゲージ破壊など…」
ギミックを解除しなければゲージ破壊後もボス艦隊は硬いままとなり解除は不可能
俺は、やっちまったんだよなぁ…
今回のイベント、後段作戦にて初月との邂逅が確認された日の事だ
秋月型姉妹から強く、もの凄く強く初月との邂逅を望む声が俺に届いた
勿論、艦隊に居ない初月との邂逅は俺としても望む所
「必ず初月を艦隊に迎えるから安心してくれ」
そう…言ってしまったのだ
ゲージ破壊したら装甲破砕もされてるだろ?
と、軽く考えてた過去の自分をぶん殴ってやりたい
初月を目的とした掘りは我が艦隊の過去に例を見ない程悲惨なモノになった
試行錯誤を繰り返し一番良いと思われる編成で思い出せない程出撃を繰り返す
それでもS勝利率は3割から上げる事が出来なかった
そんな悲惨な掘りを夜戦三点セットを抱えて務めてくれたのが目の前に居る大淀だった
掘りを開始して10日目、初月と邂逅出来た時は安堵と嬉しさで泣いてしまいそうだったよ
大淀の練度は先日指輪を渡したにもかかわらず艦隊のNO.2となっている
どれ程酷かったのかは察して欲しい…
そりゃ鬱憤も溜まるよね
「提督、それだけですか?」
あーうん、艦隊運用に関しては以上だろ?
「そうですね、それ以外にもありましたよね?」
まぁ…心当たりはあるんだよな
あれはE5三本目ゲージ攻略の時だった
ゲージ削り、破壊に投入した阿武隈が凄い活躍してくれてさ
俺もう嬉しくなっちゃって勢いでさ、その…指輪を渡したんだ
阿武隈に指輪を渡してムービー見てる時に後頭部に何度も衝撃が走ったんだよね
確実に大淀が例のボタンを連打してたと思うんだ…
勢いで指輪を渡すなんて!とお怒りなのだろうなぁ大淀様は
「そうです」
うん、まぁ勢いでってのはよく無かったと思う
今度はちゃんと考えて渡す事にするよ
けど阿武隈なら絶対無駄になる事は無いと思うよ俺
「それは、そうでしょうが…」
後さ…掘りで出撃した時に大淀が被弾したらボタン押すのは止めて欲しかったなぁ
なんで海域までボタン持って行ってるの?
俺の後頭部、叩かれ過ぎて毛根が心配になってるんだけど…
「所有物を私がどうしようが勝手ではありませんか?」
ねぇ、所有物ってのはボタンの事だよね?
俺の事じゃ無いよね?
「ふふふ、どうでしょうね?」
出た!大淀さんの黒い笑みだっ!
大淀、調子出てきたじゃないか
まぁ今回は色々酷い状況で大淀は本当に頑張ってくれた
大淀は鎮守府の首脳陣でおいそれと愚痴を溢す事が出来ない立場のはずだ
溜まりに溜まった鬱憤と先ほどの鬼怒に指輪を渡した映像を見て怒るのも分かる
そういう部分を受け止めるのも提督の役割だと思うしさ
それに、そんな怒らずに済む状態を作るのも提督の役目だ
俺がしっかりしなきゃな
今回の反省点は次回のイベントまでに解消しておかなきゃな
「あーその、大淀」
「なんでしょうか?」
「掘り作業のお礼にさ、こんなモノを用意したんだが受け取ってくれるか?」
銀細工店で地獄の掘り作業に付き合ってくれた艦娘達へアクセサリーを買っておいたんだ
不公平は嫌いだがこれは労働に対する正当な報酬…にしては安いけど気持ちが大事だ
って事でバックからアクセサリーを取り出す
「………」
大淀は未だ機嫌が悪いのか顔をしかめている
だが、よく見れば頬がひくひくしてる…
ヤバい、怒らせちゃったかな?
「受け取っておきます」
良かった、少しは機嫌が良くなるといいけど
大淀は後ろを向いてモゾモゾ
振り返ると俺が渡したブローチを付けていた
「おぉいいね、似合ってるよ」
「そうでしょうか?」
まぁ俺のセンスで選んだから他人の評価は判らないけどさ
「あぁ、少なくとも俺は似合うと思うよ」
うん、表情は変わらないけどまた頬がひくひくしてる
これは…アウトか?セーフか?
「提督、ありがとう御座います」
そう言い、また俺に背を向ける大淀
「私の用件は終わりました、皆さんにアクセサリーを渡してあげて下さい」
「あぁわかった、またな大淀」
そう言い俺は正座から立ち上がったが暫く動けそうに無い程、足が痺れていた
掘り作業に参加した艦娘達にアクセサリーを届けて食堂で皆と話をしていた
俺が渡した指輪を周囲に自慢している鬼怒がまたもや面倒な事を言ってきた
「うちの提督は長良型提督だね!間違いないっ!」
まぁ五十鈴、由良、阿武隈、例外ではあるが鬼怒にも指輪を渡したんだ
そうとも言えるかも知れないけどさぁ…
「はぁ?何言ってるの?提督さんは翔鶴型提督だから」
瑞鶴、張り合うなって…
「えぇー?指輪貰ってるの瑞鶴さんだけじゃーん?」
鬼怒、挑発は止めなさい
「いやいや、提督さんはすぐに翔鶴姉にも指輪渡すから!ねっ提督さん?」
瑞鶴、俺に振るなって、この話題は色々と危険すぎる…
翔鶴、どうして左手の薬指をさすっているんだ?
うわぁ…金剛がすっごい笑顔で俺を見てる
怖い、一触即発のこの状況を誰か止めてっ!
「提督、そろそろお時間です」
きたっ!これで勝つるっ!救いの女神様は眼鏡を掛けていらっしゃるのだっ!
「そうか、皆今日はここまでのようだ。またな」
そう言い残し早足で大淀と食堂を出た、逃げたとも言う
あー怖かった…
見送りの大淀と二人並んで海沿いを歩く
出迎え、見送りは簡素にと頼んでいた事が功を奏した
助かったぜ
「では提督、無事なご帰還をお待ちしております」
「あぁまたな大淀、今回のイベント本当にお疲れ様。ゆっくり休んでくれ」
「そうはおっしゃいますが、次は秋刀魚漁なのでしょう?」
俺は聞こえていない振りをした
「本当に、酷いお方」
クスクス笑いながら言う大淀
「ホントだな」
俺も笑った
「じゃあな」
転移装置を作動しようとした俺に笑顔の大淀が
「提督ご安心下さい。提督は大淀型提督です」
ふふっ、何に安心したらいいんだろうな?
だがまぁ…そうだな
俺は大淀型提督かもな?
自宅へ到着し、風呂と食事を済ませて自室のPC前に座り一呼吸
さてさて、ここからが本日のメインイベントだ
先日、青葉に頼んでおいた大淀の醜態を保存した記録媒体を今日受け取っておいたのさ
青葉が言うには俺のPCで視聴できる状態にしたとの事
くっくっく…青葉、褒めて遣わす
早速鑑賞会と参ろうか!
ポチっとな
執務室、大淀が机に向かい書類にペンを走らせている
その様子を一分程眺めていたのだが…
おい青葉、ちゃんと隠し撮りしたんだよな?
大淀、カメラに気づいてる様子だけど…どういう事だよ?
カメラに近づいて来る大淀
「提督、お疲れ様です」
お、お疲れ様です…なにこれ?
「その記録媒体の中身は検閲の結果削除されました」
青葉…もっと旨くやれよっ!
こういう物はコッソリ持ってくるもんだろ!?
なんで素直に検閲に出してんだよ!
大淀に見せたら消すに決まってるじゃん…
「何も映らないのでは提督も寂しいかと思いまして…」
ん?
「私を眺めるのがお好きな提督におかれましては、引き続き私の作業風景をお楽しみ下さい」
………ふぅ
まぁ、知ってた…
大淀が簡単に隙を見せるとは思って無かったよ
俺もね、無駄だとは思ってたんだけど何か面白い物が映っていたらラッキー程度に考えていたさ
悔しくない、全く悔しくなんかないよ?ホントだよ?
机に向かい、しかめっ面でPCを操作する大淀をジュース片手に眺めている
まぁ、アレだな…
こういうのも悪く無いかもな
メンテ中を除けば俺は動く艦娘達を見る機会が無い
ビデオレターとでも思えば悪くないよな?
今度皆が遊んでる映像とか撮って貰おうかなぁ
……ん?大淀ブローチ付けてるな
あれ、この映像って生放送なの?
また明石が何か作ったのかね
すげーな明石、どんな技術なんだろうか?
まぁいいや、それよりも大淀だ
アイツ何の作業してるんだ?
顔が凄く険しいんだけど…
「提督」
画面の向こうから大淀が呼ぶ声
なんだろ?
「そのPCのDドライブ、不要な物が多いようですね?」
…えっ?
「整理整頓はキチンとなさいませんと…」
大淀、何を…言ってるんだ?
なんだ?マウスポインタが勝手に動き出した
おいっ、何だよ?どうなってんだ?
「私が掃除をして差し上げますね」
手元のマウスを操作するも反応が無い、優先権を取られた?
大淀、大淀さんっ!大淀様っ!
待って、待って下さいっ!
そこは漢の夢が詰まった宝箱なんですっ!どうか、どうか勘弁して下さいっ!
フォーマットはダメだって!待って!止めてっ!
あああああああああああああああぁぁぁぁ…
茫然自失でフォーマットの進行ゲージを眺める俺
「提督には必要ありませんよね?」
大淀が何か言ってるが応える気力が無い
俺の長年の成果が泡と消えたのだから…
フォーマット完了の知らせと同時に
「では提督、これにて失礼します」
大淀の綺麗な一礼と共に映像は終わった
その後、PCの電源を切ろうとマウスを操作するも反応無し
どうしよう?と考える俺に見せつけるように動き出すマウスポインタ
綺麗になってしまったDドライブが開かれ一つのフォルダが作成される
[大淀]と名の付けられたフォルダだった
それ以降、マウスポインタは動かなくなる
手元のマウスを操作してみると反応有り
[大淀]フォルダを空けてみるも中には何も無い
不貞腐れた俺はその日はもう就寝、少しだけ枕を濡らした…
次の日、昨日の事は夢だったのではないか?と考えた俺
未練がましくDドライブを確認するもあるのは一つのフォルダだけ
まぁ、いいけどさぁ…しょんぼりだよ
ふと、そこで違和感に気づく
フォーマットされ綺麗になったDドライブの容量が半分以上使用されていた
心当たりは一つしかない、そう[大淀]のフォルダだ
中を確認すると大量の画像ファイル
001と名付けられたファイルを開くと執務室で笑顔を浮かべる大淀の画像だった
「こんな笑顔見せられちゃったらさぁ…」
他の画像も見て行く、ネットの海に広がるありとあらゆる健全な大淀の画像だらけ
続けて見て行くと一つの画像が目に留まる
達筆で書かれた文字だけの画像、それを見て苦笑を漏らした
『大淀型提督の嗜み』
こうして俺は、PCの内部さえも大淀型提督になったって事らしい
さぁさぁ秋刀魚漁です、張り切って参りましょう!
お付き合い頂きありがとう御座いました。