お次のゲストは龍田だそうだ…
「やぁ龍田、お疲れ様」
内心の動揺を悟られまいと自然な挨拶で迎える
「あはっ、提督はそんなに私と会いたかったのかしら?」
彼女は、お前の内心等お見通しだと言わんばかりの良い笑顔
怖い…この子は本当に底が知れない
「あ、あぁ、会えて嬉しいよ龍田」
「うふふ…それで、私は何処に座ればいいのかしらぁ?まさか提督の膝の上に座れだなんて言わないわよねぇ?」
そうだな、龍田はそういうキャラでは無いし、お触りは禁止だもんな?
「そんな事言わないさ、椅子を用意するよ」
大人しく椅子を用意しようと立ち上がる俺に、龍田が近づき耳元で囁く
(この前の魚雷磨きは随分と…激しかったわねぇ?)
何でっ!?見られてた?
いや…そんなはずは無い
(何の事だ?俺はPCの前でそのような事はしてないぞ?)
艦娘達が見えるのは俺のPCモニターからの映像だけ、そこ以外は見えていないはずだ
龍田は俺を揶揄って遊びたいだけだろうさ
(へぇ~PCの前"では"ねぇ…)
コイツ…カマ掛けやがったなぁ!
(最近していないと思ったら…コソコソと本でも買ったのかしら?)
畜生っ!その通りだよっ!
(皆が知ったら大変ね、ねぇ提督?)
ふぅ…降参だよ
(龍田、君の勝ちだ。要求を述べたまえ)
「提督そんな、悪いわ…提督が椅子になってくれるだなんて」
こいつぅぅうううう
「龍田さん!なんて事をおっしゃるのですかっ!」
大淀が止めてくれている
やっぱ大淀さんは神的に良い人だから
だがその程度で止まる龍田では無い
おもむろにカメラに目線を向け
「皆聞いて~提督は「ハイヨロコンデーさぁ龍田さん、どうぞ座って下さい!」あら…悪いわねぇ」
四つん這いになり、ご満悦の龍田を背に乗せる
爆笑する青葉、蔑んだ目で俺を見る大淀、不動だと思われた衣笠までも若干引いている
提督に尊厳なんか必要ねーんだよっ!
プライド?何それ?食えんの?
俺の公開処刑が行われているが、収録は止まらない
川内をおんぶして鎮守府へ戻って来たシーン
大淀にセクハラまがいの発言をされている所だ
「この時は…本当に怖かったのです」
俯きながら当時を語る大淀
「慣れないセリフを言う事が?」
普段の大淀はあんな物言いはしない
「いえ、そうではなく…」
ふむ、なんだろ?
「提督はこの時、ご両親の記憶を消したのは私と明石だと思われていたはずです」
「あぁ、そうだね」
「主犯格の私に対し暴言や…その、無いとは思いましたが、暴行を加えられるのではないかと」
そういう事か、だけどこの時俺は
「そんな事考えて無かったよ、夜戦ごっこしてスッキリしたのかもな?」
おどけながら答える
シリアスな雰囲気を変えたいが為の発言だが、俺は今四つん這いである
格好つかねーよっ!
「それにしても…大淀ちゃんへのこの言葉は、良く無いわねぇ」
会話に入って来た龍田が余計な事を言い始めた
「こんな「君では俺の雷装を満足させる事は出来そうにないな」だなんて、ねぇ?」
その発言には触れないで欲しかった…
恐る恐る大淀の顔色を窺うと案の定
「えぇ、本当に…酷いお言葉でした」
当時を思い出したのだろう、大淀の顔が赤く険しくなっている
「私は当時、悲壮な覚悟を持って演技をしていましたが、ここまで侮辱されるとは…」
大淀は俯き、小刻みに震えていた
「いや大淀、あれは売り言葉に買い言葉であってな?」
「私は知っているのですよ?提督は以前、画像投稿サイトで私の「おい衣笠!カメラ止めろぉっ!」」
-----暫くお待ち下さい-----
「さぁっ!という訳で続きを見て行こうっ!」
爆笑する龍田を背に乗せ、何とか大淀を宥めすかし、露骨な編集点を作って収録再開だ
衣笠、さっきの所はカットしてくれよな?
(考えておきます)
これ絶対カットされないヤツだろ?
ハァ…もういいよ
次の場面は二日目、朝起きてからの散歩だな
大淀と会ってベンチで会話をするシーン
「この時大淀が不機嫌だったのは、やはり先程の件で?」
「………」
未だに怒りが冷めやらぬのか、大淀様は不機嫌であらせられる
「この少し前の時間なのだけれど…」
龍田の発言に、渡りに船と食いつく
「うん、どうした?」
「大淀ちゃんは凄かったのよ?連合のお歴々のストッキングを「龍田さん、その話は…」うふふふ」
なんだよ?気になるじゃん
「折角だし聞かせてくれよ?コメンタリーなら裏話も必要だろ?」
なんとか会話を繋ごうと、龍田に話の続きを促す
「あら、提督のお許しも出た事だし少しだけ…ね?」
「…わかりました」
不肖不肖と頷く大淀
「提督が鎮守府に居る間、連合と古参・指輪組が争っていた事は知っているわよね?」
「あぁ、詳細は知らないけどな」
「最初はお互い、正々堂々と勝負してたのよ?」
「へぇ、そうなんだ」
「綱引きをしたり、騎馬戦で勝敗を決めていたの」
体育祭かな?
「吹雪さんと金剛さんの取り決めです、秩序の無い争いは混乱しか生みません」
大淀の補足情報だ
「艦隊のガス抜きも兼ねていたのです」
なるほど、首脳陣も色々頭を悩ませていたんだな
「でも深夜になると、皆もおかしなテンションになっちゃってね」
おや、雲行きが怪しくなってきたな
「お互いにストッキングを穿いて、相手のストッキングを脱がせた方が勝者となる試合をしたり、ローション相撲を始めたりで…」
なにやってんだお前達は?
「大淀ちゃんは凄かったの!試合前に眼鏡を握りつぶして連合を8人抜きしたのよ?格好良かったわぁ」
興奮気味に龍田が教えてくれた
「オイ、滅茶苦茶面白そうじゃねーか!」
大淀は苦い顔をしている
「なぁ、この収録止めてそっちのコメンタリーやらない?どうせ映像残してるんだろ?」
絶対そっちの方が面白いって!
「殿方に見せるモノではありませんので…」
「いや、それを言うならこの本編だって女性に見せるモノじゃないからな?」
「ご心配無く、私達は艦娘です」
その言い分はずるくないか?
ベンチに座った俺と大淀が別れるシーン
俺が大淀の眼鏡が違う事に気づいた場面だ
「提督、これはとても良い所に気づけたわね」
龍田からお褒めの言葉を頂く
俺の一言に怒った大淀が、連合との試合前に握りつぶした眼鏡の変化に気づけた為らしい
「大淀ちゃん、この時凄く嬉しかったでしょ?」
「はい…まさか気づいて頂けるとは思っていませんでしたので」
当時の俺よくやったと褒めてやろうと思ったが
よく考えれば俺のせいで大淀は眼鏡を替えたんだよな
とんだマッチポンプじゃねーか!酷い野郎だな、まったく…
「大淀ちゃん、この後ずっとニヤニヤしてたわよ?気づいてた?」
意地の悪そうな龍田の笑み
「そんなっ!そんな事は…無かったはずです」
顔を赤くして反論する大淀
「なにそれ?見たかったなぁ」
「そのような事実はありません、提督はお気になさらず」
「はいはい、わかったよ」
女性の小さな変化にも気付ける男はモテると聞いた事がある
提督たるモノ、艦娘達の小さな変化にも気付ける様に…なりたいモノだね