うちの鎮守府のラスボスは怖い   作:sikimai

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rec.07

提督談義に花を咲かせる大淀と親潮

龍田の時とは違う意味で居た堪れない状況だ

「なぁ二人共、交友を深めるのは素晴らしい事だが今はホラ、収録中だからな?」

やんわりと釘を刺し、本来の仕事に戻るよう促す

親潮の緊張も随分と解れたようだからな

「そうでしたね、親潮さん続きはまた後日という事で…」

「はい、親潮楽しみにしていますっ!」

この一連の流れが、親潮の緊張を解く為に大淀が一芝居打ったのであれば、流石大淀となるのだが

二人の会話を聞く限り、その線は薄そうだ…

大淀も親潮も色々と疲れているのだろうなぁ

今度、二人を明石に診て貰おうと心に決めた

 

さてお次の場面はなんだろな?

食後に大淀と別れ、落ち込んだ俺が海を眺めているシーン

「この背中から漂う哀愁が分かりますか親潮さん?」

「はい、こう…胸が高鳴りますね」

まぁだ言ってんのか、この二人は

「はいはい、そういう話はまた後日な?」

「っと、失礼しました」

やれやれ…気の合う者同士の会話が止まらないのは、人も艦娘も変わらないんだな

 

お次は時津風登場のシーンだ

海を眺める俺に全速力で向かって行く時津風

第三者視点で見ると迫力満点だな

「時津風がゲストに来ないのは意外だったよ」

あの子、俺を見つけると遊んで遊んでーって来るからさ

収録にも来ると思ってたんだ

「あぁ、時津風はその…」

何?言いにくい事か?

「普段から司令に構って頂いているので、今回の収録への参加は陽炎型会議で否決されました」

「あぁ、会議やってるって言ってたよな?会議の内容は普段どんな感じなの?」

「会議と言っても大した事はしておりません」

と、いうと?

「困った事があれば姉妹艦皆で話し合ったり、お洋服の話やお菓子の事を話す程度です」

なるほどね

仲良し姉妹な様で安心したよ…だけどさ

「この時、初風が陽炎型会議で吊るし上げられたって聞いたけれど、アレはどういう理由だったの?」

「それは…「提督、それは私から説明させて頂きます」お願いします」

ふむ、大淀が説明してくれるそうだ

「当時は艦隊の全艦娘に対し、提督との過度な接触、または長時間の接触は推奨されていませんでした」

なるほど、色々と予定があったのだろうから仕方ない事か

「提督から接触を図られた場合は、その限りではありませんでしたが」

そっか、当時皆からそっけない態度されてるなぁと凹んた事を思い出した

俺から話しかければ、皆きちんと対応してくれたのだろう

皆優しい子達だからな

「理由は分かった、じゃあ初風は皆を出し抜いて一人勝ちした訳だ?」

親潮に話を振ってみる

「それが…あの後、初風は妙高さんから呼び出しを受けていました」

なるほどね、かなり込み入った話し合いが行われたようだ

 

次の場面は風呂を探して彷徨うシーンだ

五十鈴と会い、明石の店へ移動中の二人が画面に映る

「身だしなみは大事だよなぁ、特に艦隊は女所帯だからさ」

「お気遣いは嬉しいのですが、提督は少し気にし過ぎではありませんか?」

アレ?大淀はあまり共感出来ない感じ?

「汗や埃塗れの俺に会いたくは無いだろ?」

「艦船時代は今程衛生的ではありませんでしたので、当時と比べたら左程気になりませんよ」

そりゃ当時と比べたらな?

う~ん、ではこう聞いてみるか

「なぁ親潮、悪天候の遠征帰りに俺と会いたいか?」

「それは…出来れば遠慮したいですね」

「だろ?俺だって同じ気持ちだよ」

俺もそろそろ加齢臭が気になるお年頃なのだ

だから青葉、その制汗スプレーを俺に向けるのは止めてくれ…

その行動は俺に効く

 

お次の場面は、明石の店だな

提督室の事を聞いた後、シャワー室へ案内されている所だ

「提督、この場面の判断は素晴らしいと思います」

おや、珍しく大淀が褒めてくれた

「明石はこの時、提督に交換条件を呑ませようとしていました」

「あぁ、水道の件かな?」

あの時は、明石の手口に騙される前に釘を刺せたと思う

「はい、提督が機先を制さなければどんな要求をされていた事か…」

「そんなに大事だったの?」

「はい、あの場所は明石のテリトリーです。甘味処間宮の比ではない要求をされたはずですよ?」

マジかよ?危なかったぁ…

 

さて、お次は俺のシャワーシーンだ、誰得だよ?

脱衣所内にある監視カメラからの映像らしいが…オイオイオイ待て待て待て

「大淀っ!目ぇ瞑れ」

そう声を上げ、親潮に手で目隠しをする

「オイ青葉っ!この映像どうなってんだよ?」

「司令官どうしたんですか?急に大声出して…」

何のんびりしてるんだよ!

「いや、だって…この映像」

「この映像がどうしたんです?」

どうってお前さぁ…

「俺の下半身丸見えじゃねーかっ!」

「そんな事誰も気にしませんよ?」

「俺が気にするんだよっ!」

「騒いでるの司令官だけですよ?」

嘘だろ?

イヤ、本当だ…

大淀も青葉も気にした素振りが無い、衣笠も不動を保っている

親潮にはそもそも見せてない

アレ…俺がおかしいのか?

郷に入っては郷に従えとも言うし、皆が気にしないのであれば…いや、ねーよっ!

情操教育に悪いわ

「青葉、このシーンはカットだ。もしくはモザイクを掛けろ」

「分かりました、編集する時に司令官の顔にモザイク入れときます」

「下半身に入れろっつってんだよっ!」

「司令官は先ほど顔にモザイクを入れろと言ってたじゃないですか?」

「新聞の時とは状況が違うよなぁ?」

「もぅ、仕方ないなぁ」

えぇ…何で俺が我儘言ってるみたいな空気出してんだよ?

その時、大淀のクスクスとした笑い声が俺の耳に届いた

困惑顔で大淀を見る

「提督、あちらを」

大淀の手の先へ、顔を向ける

(ドッキリ大成功!!)

プラカードを掲げた衣笠が目に入った

「何やってんだよ、お前達は…」

そう、力なく呟き、椅子に深く腰を沈めた

 

今さらながら、顔を赤く染める青葉からネタ晴らしを受けた

無編集の映像を流し、俺のリアクションをカメラに収めようとしたらしい

「恥ずかしいなら最初からやるなよ」

苦笑しながらそう言った

「でも青葉の予想通り、司令官は良いリアクションをしてくれましたよ」

「自分達の身を削ってまでやる事か?」

「この撮影は艦隊の娯楽なんです。私達演者は恥をかいても、視聴者を笑顔にしなければなりません」

「その心意気は買うけどさぁ」

俺が恥をかく比率高くね?

「青葉、編集する時はちゃんとモザイク入れろよ?」

「ええ、勿論ですよ」

大淀は未だにクスクス笑っていた

「提督と青葉さんは本当に、仲がよろしいのですね」

大淀、お前は今の流れを見て仲が良いで済ませるのか…

器でけーな、オイ

ついでに胸も大きくなれば良かったのにな?

「何か?」

「なんでもないよ」

些細な仕返しである

 

さて、次の場面に行こうと思っていた所で

「司令、あの…」

やべぇ、親潮の事忘れてた

「親潮ごめんな」

そう言って目隠しを外す

「司令、私は何か粗相をしてしまったのでしょうか?」

不安げに問いかける親潮に

「いや、そんな事は無い。何も問題無かったよ」

出来るだけ穏やかな声音で言ったつもりだ

「そうですか、良かった…」

心底安心したという感じだ

その時、青葉から視線を受ける…分かった

「なぁ親潮、収録は楽しかったか?」

「はい、大淀さんとも話せて嬉しかったです」

そうか、良かった

「司令の愛らしい所も見せて頂きましたので」

それはちょっと…忘れて欲しいな

「それは何よりだ、俺も親潮と一緒で楽しかったよ」

親潮の頭を撫でつつ、青葉の視線に頷きを返す

「親潮さん、そろそろお時間です。ありがとう御座いました~!」

拍手で親潮を送り出す

あぁ、癒しの存在が行ってしまった…

 

 

 

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