うちの鎮守府のラスボスは怖い   作:sikimai

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rec.13

画面の中ではもう三日目の午前10時過ぎ、収録も終盤に差し掛かってきた

場面は食堂の片隅で、ちびっ子達とアイスを作っている所だ

「まさか艦隊全員分のアイスを作る事になるとはなぁ」

苦笑しつつ呟く

「ふふっ、司令の作った物を頂けるとは思いませんでした。とても美味しかったです」

微笑みながら言う霧島

「それはなにより、作った甲斐があったよ」

「司令は普段から料理をされているのですか?」

「最近は作って無いなぁ、必要に迫られたらやるけどさ」

「では、私達が希望したら作って頂けるので?」

「リクエストを貰えたらな?」

俺は大したもの作れないけどさぁ

「ソレ良いですね!この映像をご覧の皆さん、司令官へのリスエストを募集しまーす。ドシドシご応募下さい!」

青葉、また余計な事を…

「あぁ~リクエストも良いけれど、どうせなら皆で一緒に料理を作ってみないか?そちらの方がきっと楽しいよ」

俺の腕では、艦隊の料理上手達に遠く及ばない

比べられては敵わないので、皆と一緒に料理を作る方向で考えてみよう

 

さて、お次のシーンを見ていこう

場面は昼食時、ちびっ子達と慌ただしく足柄のカツカレーを食べているシーンだ

「足柄のカツカレー美味かったなぁ」

出来ればもっと落ち着いた状況で味わいたかったが、まぁいいさ

あのメンバーでの食事も、賑やかでとても楽しかった

当時を懐かしく振り返っていると霧島、大淀の二人から声が上がる

「司令、カレーでしたら私も負けてはいません」

「そうですね、カレーでしたら私も少し自信があります」

そうだった、日本の艦娘達は皆、カレーには一家言あるのだったな

「艦娘の数だけカレーの味わいがあるのです」

「なるほど、是非とも皆のカレーを食べてみたいね」

「でしたら、今度お作りします」

「それは嬉しいな」

だけどさ

「誰のカレーが一番美味しい?とか聞かないでくれよ?」

「何故です?」

「だって、ホラ…角が立つだろ?」

室内に白けた空気が漂う

呆れ顔の青葉が

「司令官はホントに…ヘタレですねぇ」

うるせぇうるせぇ

「みんな違って、みんな良いんだよ」

 

次の場面に進む前に

「霧島さん、そろそろお時間です。ありがとう御座いました~!」

青葉の発言に反応し、霧島が膝から降りる

「霧島ありがとな、急な代役お疲れ様」

「皆さんお疲れ様でした。司令、今度お茶会にお誘いしますね」

「わかった、楽しみにしてるよ」

霧島は丁寧にお辞儀をして、部屋から出て行った

金剛型、普段の彼女達は優雅で洗練されており、とても華やか…なのだが

事あるごとに面白四姉妹、オチ担当と化してしまう、なんでだろう?

不思議がる俺に大淀が答える

「それは提督のせいです」

「なんでそうなる?」

「これは公表されてはいませんが…」

大淀は神妙な顔で、続ける

「私達艦娘は、提督の持つイメージや願望に影響を受けます」

なにそれ?初耳だ

「じゃあ…鈴谷が子供っぽいのも?」

「提督のせいです」

マジかよ?

「青葉が俺に対して、遠慮が無さ過ぎるのも?」

「司令官のせいですよ~」

話を聞いていた青葉が答える

「大淀や親潮が俺の醜態を見て喜ぶのも、そうなのか?」

「それは…はい、それも提督のせいです」

今言葉に詰まったよね?

「さぁ提督、収録を続けましょう」

なぁ大淀…お前、この際だから色んな事を俺のせいにしようとしてないか?

 

「本日九人目のスペシャルゲストはこの方です、どうぞ~!」

ゲストのお出迎えだ、拍手

「お疲れ様です、吹雪です!コメンタリー頑張ります!」

うちの艦隊の初期艦 吹雪のお出ましだ

「やぁ吹雪、お疲れ様」

「お疲れ様です、司令官」

吹雪はニコニコと人好きのする笑顔だ

「さてお嬢さん、何方に座られますか?」

おどけた演技で尋ねる

「それでしたら、司令官のお膝に…」

「座り心地は保証しませんが、さぁどうぞ」

「し、失礼しまぁす」

おずおずと膝に座る吹雪

「エヘヘ…」

照れながら笑顔を見せる吹雪の頭を撫でる

初期艦で色々と大変なはずなのに、この子は何時も笑顔だ

吹雪はなんというか…無性に構いたくなるし、甘やかしたくなるんだよね

「吹雪さんは提督の初期艦ですので、分からなくはありませんが…」

若干、不機嫌な表情の大淀

「私も艦隊の立ち上げから苦楽を共にしている事を、お忘れなく」

「分かってるよ」

提督の俺、初期艦の吹雪、任務娘の大淀、アイテム屋の明石、給糧艦の間宮

俺の中では、この五人が初期メンバーだ

「立ち上げから共に居るのですから、私も初期艦と言う事になるのでは?」

その拡大解釈を適用するのであれば、明石、間宮も初期艦になるな

「大淀さん、司令官の初期艦は私ですよっ!」

初期艦の地位が危ぶまれる吹雪の反論だ

「そうだな、俺の初期艦は…ゴトランドだ」

「もうっ!司令官っ!」

「ごめんごめん冗談だって、俺の初期艦は吹雪だけだよ」

そう言って、ふくれっ面の吹雪の頭を撫でる

この子は構いたくなるし、甘やかしたくなる…と同時に、揶揄いたくなるんだよなぁ

 

さて、収録再開だ

お次は昼食後に秋雲と会話をする場面

その後、俺が秋雲のデッサンモデルをやっているシーンだな

「吹雪はこの時、何をしていたんだ?」

「私は連合と古参・指輪組の交戦を見守っていました」

「ほぅ…吹雪は参加してなかったんだ?」

「立場上参加は出来なくて…双方の行き過ぎた行為を取り締まる役を務めていました」

「あぁ~吹雪は各派閥の調整役だったんだよな?じゃあ中立って訳か」

「はい、吹雪型は皆、中立を保っていたんです」

「吹雪型の皆も?それは知らなかったよ」

「私一人では手が回らなくて…白雪ちゃん達にも手伝って貰っていました」

吹雪は当時を振り返り、懐かし気な表情だ

提督鎮守府訪問の企画を提案したのは吹雪だと聞いた

計画を練って、実行に移すのは大変な苦労があったはずだ

それなのにこの子は、愚痴も言わずに俺を笑顔を向け、慕ってくれる

優しい吹雪、この子には頭が上がらないな…

「吹雪がこの企画を提案してくれたから、俺は今ここに居る事が出来るんだ」

心からの感謝を

「ありがとう、吹雪」

吹雪と目を合わせ、そう伝えた

「そんな、お礼だなんて…司令官が元気になってくれて私達も嬉しいです!」

吹雪…この子ちょっと、良い子過ぎないか?

年甲斐も無く、ウルっと来ちゃったよ

ここで泣くのは流石に恥ずかしい、何か話題を…

「それにしても、吹雪型皆が中立とはなぁ…深雪辺りは退屈してたんじゃないか?」

「それが、深雪ちゃんはローション相撲に参加しちゃって…」

深雪、あの元気娘が大人しくしているはずがないよな

「まぁ深雪なら、皆も見逃してくれただろうし、大丈夫だろ?」

「そうなんですけど、中立を宣言していたのに…うぅ」

吹雪はバツの悪そうな顔をして落ち込んでいる

「皆の目的は達成されて俺は元気になれた、それで良いじゃないか?な?」

落ち込む吹雪の頭を撫でる

「そう…ですよね!」

笑顔になり、そう答える吹雪

なんとか元気になってくれたようだ

真面目で、優しく、皆を思いやれる吹雪

この子を初期艦に出来た事、それは俺にとって最大の…幸運なのだと思う

 

 

 

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