うちの鎮守府のラスボスは怖い   作:sikimai

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rec.14

お次の場面はっと…

おやつのアイスを食べに、大淀と食堂へ向かうシーンだな

画面には、行列が出来ている事に驚く俺が映っていた

「この行列は流石に嘘だろ?って思ったよ」

当時を振り返り、苦笑する

「提督に作って頂いた甘味です、次は何時食べられるか分かりませんから」

大淀も苦笑しつつ答える

「大したモノ作ってやれなくてさ、なんか悪いな」

「そんな事無いですよ!司令官のアイス美味しかったです」

吹雪は喜んでくれたようだ

「そりゃ嬉しいね、今度はサツマイモのアイスでも作ろうか?」

「良いんですかっ!?では、皆の分もお願いしちゃっても…」

尻すぼみにお願いする吹雪、だがその瞳には期待の色が強い

「ああ、皆の分も作るよ」

「わぁ!ありがとう御座います、司令官」

初期艦の吹雪にそこまで期待されてはなぁ

美味しく作らねば!と気合も入る

そんな俺と吹雪を微笑ましく見ていた大淀が

「あの行列の中に武断派の方も居たのですが…お気づきでしたか?」

えっ、マジで?

「全然気づかなかったよ、武断派の皆は表に殆ど出てきて無いって聞いたからさ」

「提督への不満よりも、甘味への誘惑が勝ったのでしょうね」

大淀はクスクス笑いながら教えてくれた

なるほど、やはり女の子には甘味!

これはきっと、何処の世界でも通用する概念なのだろう

 

続いての場面は、エプロンを着た俺がアイスの配給を行っている

艦娘達の要望を聞いて、せっせとアイスを掬っているシーンだな

「皆は普段、甘いモノは間宮と伊良湖の所で食べるのかな?」

「概ね、その通りです」

「私は時々、明石さんのお店でお菓子を買ったりしますよ」

大淀、吹雪の答えを聞いて、俺は閃いた

「今度鎮守府に来る時に、俺の世界の甘味レシピを持って来ようか?」

「あっ!それは嬉しいです、変わったオヤツが食べられそう…」

吹雪はムフフと妄想の世界に浸っている

甘味、オヤツ、お菓子色々あるけれど何がいいかなぁ?

あぁ~流行りのアレ、タピオカとかどうよ?

鈴谷や熊野が喜びそうだ、個人的なイメージだけど

「分かった、楽しみにしといて」

ふむ、タピオカか

タピオカと言えばさぁ…

俺は室内に居る皆を眺める

タピオカチャレンジは、難しそうだな…

「もう司令官っ!今何か失礼な事を考えていましたね?」

なにっ!?吹雪に気づかれた…だと?

半眼で睨む大淀は、何時もの事なので仕方ないけどさ

「吹雪、何の事だ?」

素知らぬ顔で聞き返す

「そういうの、何となくわかるんですよ?」

マジかよ…

艦娘皆に、考えを読まれるのは勘弁して欲しい

「青葉も分かるのか?」

確認は大事

「青葉にはわかりませんねぇ~」

その答えを聞いて、顔には出さず胸をなでおろした

「ですが青葉は基本的に、司令官は如何わしい事を考えていると思って接していますよ」

ハハッこやつめ、ぬかしおる

…後悔するなよ青葉?

鎮守府にタピオカを導入した暁には、お前を強制タピオカチャレンジの刑に処してくれるわっ!

「青葉、今度面白い事をしてやるよ、楽しみにしておくんだな」

覚悟の準備をしておいて下さいっ!

「おやおや、司令官は何やら恐ろしい考えをお持ちのようだ」

余裕綽々の青葉

ははっ、その余裕が何時まで持つか見ものだなっ!

「ですが…其方のお二人がそれを許しますかねぇ?」

その言葉に冷や汗をかく

膝に座る吹雪、隣に座る大淀の二人がジト目で俺を見ていた

くっ…卑怯だぞ青葉っ!

「はははっ、司令官はおモテでいらっしゃいますね」

畜生…俺では青葉を出し抜く事は出来ないのか?

 

さてさて、次の場面は…

アイスの配給を終え、大淀と相席しつつアイスを食べる俺が画面に映る

元気の無い大淀と会話をするシーンだな

「この時、大淀元気無かったよな?何かあったの?」

また俺が何かやらかしたのではと思い、聞いてみた

「提督のせいではありませんよ。少し、その…複雑でして」

大淀は曖昧な笑みで答える

あぁ…コレは触れて欲しく無さそうだな

ここは空気を読んで違う話題を…

「そ、そうだ司令官っ!この時の瑞鶴さん、凄かったんですよ!」

吹雪、ナイスだっ!

「俺も少し聞いただけなんだ、教えてくれよ」

吹雪の助け舟に乗って進むとしよう

大淀は申し訳なさ気に、吹雪に会釈をしていた

「この時間は連合と古参・指輪組の最終局面だったんです」

ほぅ、それでそれで?

「金剛さん達は古参・指輪組を完膚なきまでに叩き潰してから、司令官を迎えに行くつもりだったようで」

流石金剛…カッコイイ事をするなぁ

「それはもう、熾烈な攻めを見せていました」

なるほど、中立の吹雪で無いと分からない所だな

「ですが古参・指輪組もやらせるものかと奮起していたのですが、赤城さんが…」

あっ…(察し)

「ご存知の通り戦線を離脱されてしまって、続いて加賀さんまでもが…」

うん、まぁ…そうなるな

「あの時はもう、司令官は鎮守府に住む事になるんだって覚悟しました」

力なく笑う吹雪

「ですがその時っ!連合の前に立ちふさがる一羽の鶴が現れたっ!」

吹雪…急にどうした?

「満身創痍の古参・指輪組を救う救世主、その名は瑞鶴っ!」

噺家みたいになってるぞ?

「瑞鶴は連合の面々に[あいや待たれい、提督に会いたくば我を倒してから行くがよいっ!]と大見得を切った!」

吹雪は身振り手振りで当時を再現…しているつもりのようだ

「大見得を切られた連合、されど状況は変わらず、連合優勢に変わりなし、瑞鶴何するものぞっ!と気炎を上げる」

段々と、吹雪の語りが熱を帯びる

「そんな連合を一笑に付す瑞鶴[指輪も持たぬお主ら連合が、我に勝てる道理無しっ!]と更に吠えたっ!」

ちょっと楽しくなってきた

「痛い所を突かれた連合、だが次の瞬間[持たぬなら、奪えばよかろう、指輪などっ!]の掛け声と共に瑞鶴へ迫るっ!」

連合は盗賊か何か?

「だが瑞鶴は怯まないっ![我に追いついたモノから相手をしてやる]と挑発し、連合を引き連れ明日へ向かって走り出す!」

瑞鶴、随分と誇張されてるな

「太陽が夕日へ姿を変えるヒトナナマルマル、その時立って居たのは…瑞鶴ただ一人であったそうな」

吹雪は俺の膝の上で居住まいを正し

「古参・指輪組の勝利でこの話はおしまい、めでたしめでたし、続きは次回の講釈で、お粗末様でした」

一礼をして、寄席の終わりを告げる

「「「おおぉ…」」」

俺と大淀、青葉、衣笠の全員で拍手

「吹雪凄いな、そんな特技があったのか?」

こんな饒舌な吹雪は初めて見た

「アハハ、去年の忘年会でやったら思いの外、受けちゃって…」

照れながら言う吹雪

「いやぁ、噂には聞いていましたがこれ程とは…」

青葉は感心した様子で、吹雪に提案をした

「吹雪さん、小咄集でも作ってみませんか?何時でも撮影しますよ?」

「流石にそれはっ!勘弁して下さい」

顔を赤く染め、必死な顔で許しを請う吹雪

「それは残念…気が変わったら教えて下さいね?」

「は、はい…前向きに善処してみます」

苦笑いを浮かべ、タマムシ模様の返事する吹雪

この子のお蔭で、皆が笑顔になれた

流石吹雪、ウチの初期艦は一味違うぜっ!

そんな事を考えながら、吹雪の頭を撫でた

「エヘヘ」

嬉しそうに笑う吹雪

うちの初期艦はとても優しく、とても気が利いて、そして…とても可愛いのである

そんな吹雪の事を、俺は誇らく思う

 

画面に流れる映像を見て、当時を懐かしく思いつつ次のコメントを考えていると

「吹雪さん、そろそろお時間です。ありがとう御座いました~!」

おっと、ここで吹雪の出番はお終いか

「私、頑張りましたっ!」

フンスと胸を張る初期艦殿に、皆から温かな拍手が送られる

「吹雪、お疲れ様。ありがとな」

この子が居てくれて、本当に助かったよ

「司令官、皆さんもお疲れ様でした。それでは失礼しますね」

吹雪が退室するまで、拍手は続いていた

 

 

 

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