うちの鎮守府のラスボスは怖い   作:sikimai

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一話目でお知らせしましたが再掲載
当作品、裏話シリーズは
映像作品「化物語シリーズ キャラクターコメンタリー」から強く影響を受け
また、リスペクトしております。


rec.15

本編もいよいよ最終盤となった

恐らく次のゲストと共に、エンディングを迎えるはず…なのだが

青葉は一向にゲストを呼び入れない

不思議に思ったので聞いてみた

「青葉、次のゲストの艦娘は誰なんだ?」

「この撮影のゲストは、吹雪さんで最後ですよ」

あぁなるほど、最後はこのメンバーで〆るという訳か

「わかった、じゃあ皆で頑張ろ「フンッ!」ん?」

大淀の声と共に、室内にバキッという破壊音が響く

「どうした?」

音の出所を見てみると、大淀の座る椅子の足が、くの字に折れ曲がっていた

「提督、椅子が壊れてしまった様です」

心底困っているという表情の大淀

「そ、そうか、ではゲスト用の椅子を「えいっ!」………」

俺は見た、というか皆が見ていた

「提督大変です、このままでは収録を続ける事が出来ません」

大淀が掛け声と共に、ゲスト用の椅子の足を蹴り折る所を

「これは困りましたね…提督、どうしたら良いと思われますか?」

青葉に視線を向けてみるが、ゲラゲラ笑っているだけで役に立ちそうに無い

「じゃあ、その…俺の膝に座る?」

「宜しいのですか?では、失礼しますね」

こうして、完全に俺の自由意思の下、大淀を膝に乗せる事になった

 

椅子に座った状態で人を膝に座らせる時、皆はどうする?

横向きであったり、同じ方向を向いて座って貰うのではないだろうか?普通ならば

「なぁ大淀、流石にこれは…」

「動かないでください、提督の瞳に映るモニターが見えません」

対面する形で膝に座る大淀から注意を受けた

「この状態は流石に、恥ずかしいのだが?」

「そうなのですか?私は恥ずかしく無いです、つまり何も問題ありませんね?」

どうしよう?会話のキャッチボールって難しいな…

「ほら、カメラにお尻を向けるのは行儀が良くないと思うぞ?」

「青葉さん、私におかしい所がありますか?」

忍び笑いをしつつ、青葉は答える

「くくっ…いえいえ、何処もおかしく無いですよ」

おかしく無い訳ねーだろっ!

クソッ!青葉は役に立たない

衣笠助けてっ!視線をチラリ

(美味しい絵面、助かります)

だからどうしてお前はそう、プロ意識が高いんだよっ!?

ハァ…孤立無援だが、どうにかこの状況を変えなければ

「なぁ、大淀」

「なんでしょうか?」

「俺がこの映像を見る時に、大淀の顔が見えないのはとても寂しいな」

「………」

「大淀がカメラを向いてくれたら、俺は嬉しいんだけどなぁ?」

「………分かりました」

渋々とではあるが、納得してくれたようだ

最近、大淀の精神が幼く感じる事があるのだけど…これも俺のせいなのだろうか?

 

正面を向いて座る大淀を膝に乗せ、撮影再開だ

場面は最終日の午後五時、鎮守府に五十鈴の放送が響いている

その後、大淀に先導されて港まで歩くシーンだ

「この日…私はとても困惑していました」

大淀は懐かし気に言う

「この催しに台本があると言う事は、もうご存知ですよね?」

「あぁ、聞いたな」

「台本は数種類、用意されていました」

「そうだったのか」

「はい」

意外だとは思わなかった

聡明な彼女達は、不測の事態にも備えていたのだろう

「その全ての台本には、この場面に私は存在していなかったのです」

「んん?どういう事?」

「この催しで私は進行役、それから…提督からの敵意を受ける役目がありました」

それは、気付かなかったな

「当時の私が随分と失礼な物言いや、態度をとっていたとは思われませんでしたか?」

「多少はね?」

「二日目、遅くとも三日目には、そのような私を提督は嫌い、遠ざけると予想されていたのです」

俺は皆の予想を上回った訳か、悪く無い気分だ

「最悪な想定ではありますが…私が解体される事も予想されていました」

いやいや、流石にそれは

「仮に俺が命令したとしても、そんな事が実行されるはず無いだろ?」

大淀は困った表情で答える

「私達は艦娘です。命令に背く事はありません」

嘘だろ?

いや…この子達は艦娘だ

戦場で提督が望めば、自身の大破も厭わずに進む

今更ながら、自分が提督であるという事を恐ろしく感じた

大淀は当時、それ程の覚悟を持って演技をしていたのか…

「ですので、この場面で提督と歩いている時はとても、不思議な感覚でした」

微笑みながら言う大淀

そんな彼女の頭を、後ろから一撫でする

ふぅ…よしっ!

「この映像を見ている艦娘諸君、よく聞いて欲しい」

真面目な顔で話す

「提督である俺から人道に悖る行為や命令、または、君達艦娘の存在を軽んじる命令を受けた場合、それを拒否するんだ」

大淀に青葉、衣笠も困惑した表情を浮かべる

「これはお願いじゃ無い、命令だ。以後この命令は最優先とする。各艦厳守する様に」

「「「はっ!」」」

大淀達は立ち上がり、敬礼をする

これ位で良いよな?

「はい、真面目な話は終わり!」

皆に手を振ってから着席を促す

「まぁお堅く言ったけどさ、要は俺がバカな事を命令したら、頭を小突いてやって欲しいんだよ」

何時もよりおどけた様で言う

「皆にそんな命令をしてしまったら俺はきっと後悔するし、泣いてしまう」

だからな

「皆の手を煩わせて申し訳ないけれど、俺を助けると思ってさ、宜しく頼む」

カメラに向かって頭を下げる

「司令官は本当に…世話が焼けますね、ねぇ皆さん?」

呆れた顔で言う青葉

「なんで青葉が偉そうに言うんだよっ!」

そんな事を言い合う俺と青葉を見て、大淀と衣笠も笑顔になってくれた

場の空気も和んだし、次の場面へ向かうとしよう

 

 




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原作小説、映像作品共に素晴らしい作品で御座います。
まだ見た事が無いという方はこの機会に、是非一度ご覧くださいませ。
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