うちの鎮守府のラスボスは怖い   作:sikimai

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画面の中の映像は進む

場面は各派閥の皆を引き連れ、港へ到着した所だ

その後、大淀の澄んだ声で閉幕式が始まるシーンだな

「大淀はこの時、予定に無かった司会をやっていた訳だ?」

「そうです」

「随分と手馴れていたみたいだけど?」

「得意分野ですので」

大淀はドヤ顔でそう言った

確かに大淀は、何でもそつなくこなす印象がある

生徒会の役員とかやってるイメージ

「本来は誰が司会役だったの?」

「私の代わりの進行役が、そのまま司会をする予定でしたので…」

ふむふむ

「候補は吹雪さんと川内さん、それに飛鷹さんでした」

「なるほど、艦隊に初期から居るメンバーだな」

「この三名の誰かと、円滑に進行役を交代出来る様に、私は提督から敵意を受ける予定だったのです」

大淀をスケープゴートにして…という訳か

「皆には随分と、気を遣わせたようだな」

「ですが、もう一年も前の事ですので」

大淀は穏やかな表情でそう言った

 

場面は閉幕式

俺の鎮守府での行いを、大淀が説明しているシーンだ

「この催しの進行役は大淀だったけどさ」

「はい」

「大淀以外にも候補はいたの?」

そう聞いた瞬間、室内が緊張感で満たされる

「………」

この空気…覚えがある

俺が余計な事を言った時の空気だ

大淀は俯き、うふふと小声で笑っている

青葉の顔色を窺うと、俯いて顔を横に振っていた

衣笠は…俺と目を合わせようとしない

そういうの止めろよ、不安になるだろっ!

「うふふ…ふふふふ」

怖い怖い怖い

「大淀さん、どうされたのですか?」

俺の膝の上で笑い続ける大淀に尋ねる

敢えて地雷原に踏み込む勇気!

「候補…候補ですよね?」

大淀はうふふと笑いながら続ける

「沢山、たぁくさん居ましたねぇ…」

暗い笑みを浮かべる大淀

「最初はですね…提督のお傍に居る事が多い進行役に、多数の立候補があったのです…」

「そ、そうなんだ?」

「えぇ…ですが皆さんに台本を渡して、役割を説明し終えるとですね…」

「どうなったの?」

「手を挙げていた立候補者は…誰一人いませんでした」

オフ会…いや、立候補者ゼロ人か

辛い役だからね、好き好んでやる子は居ないって訳だ

「うふふ…その時にですねぇ…」

「う、うん?どうした?」

「皆さんが一斉に私を見て…大淀ならやれるんじゃね?という空気を出したんですよ…」

あっ…

「おかしいですよねぇ?私は日々、真面目に任務を熟していたはずなのに…」

うふふうふふと笑い続ける大淀が怖い

「あの時私を見た皆さんの顔…絶対に忘れませんよ…」

怨嗟の声が響く

「お、大淀、落ち着いてくれ」

「私は冷静です…冷静に怒っているのです」

アカン、大淀の身体が小刻みに震えている

「大淀、もう一年も前の事じゃないか?」

「たった一年で忘れられる訳が無いんですよっ!」

さっきと話が違う…

「大体…これは提督のせいなのですよ?」

「ちょっと待って、俺は何もしてないはずだよ?」

「いいえ…提督がネットであんなモノを見るから、艦隊の皆さんが面白がって…」

「何の事だよ?」

「やれ黒幕だ、やれラスボスだ、やれ深海のスパイだなどと…」

「いや、アレはさぁ…ネット上のジョークであってだな?」

「終いには、あのような破廉恥な服を着ろだなんてっ!」

「あぁ…バニ淀の事?」

「そうですっ!」

バニ淀とはバニースーツを着た大淀の事である

バニ淀をご存知無い方は、是非調べてみて欲しい

素晴らしい画像が貴方を待っている…はず

「アレ、とても似合ってたよ?」

「黙らっしゃい!」

「ハイ…」

目の前に居る大淀が、バニースーツを着た訳では無いのだが…

彼女の怒りはとどまる所を知らない様だ

「提督、私は甚く傷ついています」

ん?この流れは…

「提督は、何かすべき事があるのではありませんか?」

アレをやれと言うのか?今、ここでっ!?

青葉と衣笠が見てる、それに撮影もされているのにっ!?

「私達の事はお気になさらず、どうぞ続けて下さい」

青葉はわざとらしく目を背けて続きを促す

ニヤニヤしてんじゃねーぞ青葉ぁ!

「当時を思い出すと、怒りと悲しみで震えるのです」

大淀は当時、悲しみと覚悟を持って俺と対峙したんだよな

わかった…男は度胸!やってやるさっ!

膝に乗る大淀を、後ろから強く抱きしめる

「お、お前だけだ…」

「もっと感情を込めて」

「大淀だけだっ!」

「もっと情熱的にっ!」

じょ、情熱的!?えーっと、えーっと…

「大淀がいないとダメなんだよっ!」

どうだ…?

「ふ…ふふふ」

あっ、セーフっぽい

「提督、腕を上げられましたね」

大淀は穏やかな表情で俺を褒める

「それは、光栄だな」

ふぅ…なんとかこの場は収まったようだ

「この映像をご覧の皆さん、今のは大淀型の設定です。皆さんは各自新たな設定を作ってお楽しみ下さい」

大淀はカメラ目線となり、とても気になる発言をした

「なぁ大淀…設定ってなんだ?」

そんな俺の疑問を綺麗に無視して

「さぁ提督、収録を続けましょう!」

「なぁ、設定ってなんの事だ?」

「提督、時間が押しています。お早く」

大淀、どうして俺の目を見てくれないんだ?

 

場面は閉幕式の終盤

壇上に立つ俺の前に、吹雪が進んでくるシーンだ

割と感動的なシーンなのだが…

「青葉、撮影中だぞ?少し静かにしなさい」

先程の、傷心した艦娘との接し方(大淀型専用)がツボに入ったのか、青葉はゲラゲラと笑い続けていた

「いやぁ…ハハッ、失礼失礼」

反省の色が見えない青葉が、笑いながら謝る

ったく…でもまぁ、いいか

大淀も落ち着いたしさ

「大淀はこの時、大変な役目を熟していたんだな…ありがとう」

穏やかな表情をする大淀の頭を撫でる

俺は以前、鎮守府に来た時に、大淀は艦娘皆から配慮されていると感じる事があった

それはきっと、誰もやりたがらない役目を熟し、立派に果たした事への敬意だったのであろう

大淀、この子は本当に…凄い

「いいのです」

彼女は、そう笑顔で答える

本当に綺麗に笑うモノだ

「それに…提督の趣味嗜好も分かりましたので」

ん?

「提督は私達が強気に出ると、イヤとは言いません」

「いやいや、そんな訳…」

いや…アレ?

確かに俺は強気の女性に弱い

でも、そんなMっぽい感じでは無いはずだ

「あぁ~司令官はいじられるのが大好きですもんね?」

青葉が参加してくる

「んな訳ねーだろっ!」

俺はノーマルだ、誰が何と言おうとノーマルなんだ!

「皆さんご覧ください、コレが自分をノーマルだと思い込んでいる特殊性癖者ですよー」

「でまかせだっ!」

「またまたぁ、司令官はいじられるととても良いリアクションしますよ?」

「ツッコミが俺しかいねーからだよっ!」

誰か霞呼んできてくれよ、あの子絶対ツッコミ属性のはずだ

「あぁもう…良いシーンなのに、こんなコメントばかりで良いのかよ?」

「良いのではありませんか?この映像は娯楽らしいので」

クスクスと笑いながら大淀が言う

娯楽か…じゃあ、まぁ良いか

 

いよいよエンディングだ

画面には、五十鈴の号令で敬礼をする艦娘皆が映っている

「司令官、そろそろ終わりなので〆のお言葉をお願いしまーす」

軽いノリの青葉から指示を受ける

へいへい、分かりましたよっと

「ここまで見てくれた皆、長時間のご視聴お疲れ様でした」

まずは労いの言葉から

「今見て貰った通り、俺は情けなく、頼りない提督だ」

事実だからさ…

「だけど、君達艦娘を大切に思う気持ちは、誰にも負ける気は無い」

志だけでも高く

「手の掛かる提督だと思うけれど、これからも共に居てくれると俺は嬉しいよ」

皆には世話になってばかりだ

「本編でも言っているが、俺の艦娘になってくれてありがとう」

カメラに向け、一礼をする

「皆と出会えた事は、俺の誇りだ」

大淀に青葉、衣笠から拍手を頂戴する

こんな感じで良かった?

青葉に視線を向けると握りこぶしを作って親指を立ててくれた、一安心だよ

「では司令官、皆で最後の挨拶といきましょう」

了解

「じゃあ皆、またな!お相手は提督と」

「軽巡洋艦 大淀と」

「重巡洋艦 青葉と衣笠、それにスペシャルゲストの皆さんでお送りしましたー!」

「「「バイバーイ」」」

カメラ目線で視聴者に手を振る

「はいOKでーすっ!」

青葉の声で収録は終わった

あぁ~疲れた…けど、楽しかったな

 

 




次回、最終話
最後までお付き合い頂ければ幸いです。

ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』
いよいよイベントのお時間となりました。
提督の皆様方、張り切って参りましょう!
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