うちの鎮守府のラスボスは怖い   作:sikimai

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第六話〖新しい朝〗

やぁ、今日もいい天気だ

朝から清々しい気分になれるように窓を開けよう

「来たぁ!朝だぁ!朝です!」

ここから離れた棟から朝を賞賛する声が挙がっていますね

良い事です、皆も朝からしっかり動いて夜はキチンと眠りましょうね!

夜に睡眠を取る事は成長期の皆に必ず良い影響を及ぼします

夜はしっかり寝る事!大事な事ですよ

そう、夜はしっかり寝る!

夜はしっかり寝る

夜はしっかり寝ろ

夜は寝てて

夜は勘弁して

夜は覗かないで…

 

昨日の深夜

鎮守府へ寝た川内を背負って戻って来た

出迎えたのは勿論艦隊のラスボスさ☆

クソがっ!

「お早いお帰りですね、提督」

……ふぅ

落ち着けここで慌てたらコイツの思う壺だ

俺は何でも無い様子で

「やぁ今戻ったよ」

とクールに言ってやった

ラスボス様はそれが面白く無い様子

「もう深夜ですのでクレグレも魚雷磨きなどなさらず休まれて下さいませ」

良い笑顔で言われた、良い笑顔なんだよなぁ…

この笑顔でお帰りなさいとか言われたら少しは心トキメクかもなぁ

いや、ないわ

この手の事を言われる覚悟をもう俺は済ませてるんだぜ?

「君では俺の雷装を満足させる事は出来そうにないな」

鼻で笑ってやったぜ!

こやつめ顔を赤らめて震えておるわ!

ははっ!セクハラして良いのはセクハラされる覚悟がなんたらかんたら

 

寝てる川内を背負いつつ明石の店へ

まだ左手の治療が済んでない事もあり治療を受けるつもりだ

川内?その辺のベンチにでも置いてくるわ

明石に案内され治療室へ、艦娘は入渠で済ませる事が多いので殆ど使われて無いそうだ

何処かに置くタイミングを逃した川内をベッドに寝かせ、隣のベッドで治療を受けた

「鳳翔さんの応急処置が適切で助かりましたね、結構危ない感じでしたよ?」

マジか…やっぱ細菌とか入ると長引くんだろうな

鳳翔さんマジ天使

でも俺の魚雷磨きを知られているのでは?と不安に苛まれている

いや、この考え方は良くないな

きっとへーきへーき

 

治療が終わり自室へ戻った明石

何となく眠れずに過ごしていたら川内がモゾモゾ起きてきた

「提督おはよぅ、ここ鎮守府よね?」

「そうだよ、怪我人に背負わせるとかお前は鬼か?」

「いや~提督の背中寝心地よかったよ?またやってね」

なんでや、いやじゃ

「起きてたなら立って歩こうと思わないのかねぇ」

「おんぶして貰ったの初めてでさ、嬉しくってつい…」

そんなん言われたら何も言えないじゃん

「いいけどさ…」

「提督さ~大事にされてるよね」

は?俺の居場所を強制的に変えられたのに?

「大淀がさ、すっごく心配してたんだ」

うそだー

「私提督を昼からずっと見てたんだ」

マジで?我が家にいた時も?

「視認出来てすぐ動ける位置にいたんだよ」

すげぇな、流石ニンジャ

「提督が困ってたら助けてあげてってきつ~く言われたからね」

「そっか、川内護衛任務大義であったな!」

何故か時代劇のノリが出た

「ありがたき幸せ」

ノリがいいね、やっぱ良い子だよな川内

 

それにしても大淀か…

俺を心配?まぁ仮にも提督だからね、多少はね?

ついさっき疲労困憊の俺にセクハラかました大淀が?

まぁ俺はクールに撃退してやったがな!HAHA

 

ここで冒頭に戻るんだわ

寝苦しさを感じて目が覚めた

川内が目の前に居る

寝てやがる、抱き着くなっつーの今夏よ?

まぁ昨日は色々連れまわしちゃったからな

もう少し寝かせてやろうかね

窓を開け

「来たぁ!朝だぁ!朝です!」

朝風の鳴き声だ…夏によく合うが本人は夏嫌いなんだっけ?

 

さてこれからどうするか…

この鎮守府で艦隊指揮執るの?

俺に出来るの?向こうではマウスポチポチで済んだけどこっちでは勝手が違うだろうに

これからの事、誰かと相談しなきゃなぁ

大淀?昨日恥掻かせちゃったからちょっと頼みにくいし未だに隔意を感じているんだよな

五十鈴?俺が初めて指輪渡した相手だが昨日の様子を見るに大淀の手の上って感じだなぁ

明石?元凶其の二、セクハラ疑惑上がってるパス

由良?俺が三番目に指輪を渡した子だ、今は彼氏とのお楽しみを邪魔したくはない

下手な考え休むに似たりってか?

取りあえず散歩でもしようかね

 

朝の空気は気持ちいいもんだな

まだ早い時間だから艦娘と会う事もなくゆったりと散歩出来ている

「おはようございます、提督」

「おはよう、気持ち良い朝だね」

朝から強敵だ、というかラスボスだった

そろそろ向き合う時なのかな?

ラスボスでも何時かは越えなければならないのだから

「大淀今時間あるかな?」

「はい、大丈夫ですよ。何かありましたか?」

「ベンチにでも座ろう」

自販機でお茶でもと思ったがこの世界の通貨を俺は持ってない

うん、まぁ大淀に奢ってもらったよね…

凄くカッコ悪い、幾ら隔意があろうとも女性に奢ってもらうのは悲しいのだ。ニートといえどな!

 

「飲み物ありがとね」

「お気になさらず、後程こちらで使える紙幣、硬貨類をお持ちします」

俺大淀に養ってもらってるのかな…?

寄生先が変わっただけとか言うな!言わないで、ニートですみません

「それで大淀さ、なんであんな事になったんだ?」

「あんな事?」

あれを惚けるのは無理あるやろ?

「俺の両親の記憶だ」

「なるほど、その件ですか」

そんなに一杯あるの?もう戦意下がってるよ俺?

「必要なのでやりました」

簡潔だな…記憶を消す事が必要?

「では、両親の記憶は戻せるのか?」

「提督次第では?」

もう…なんですんなり教えてくれないんかなぁ

「判った、この件は保留だ」

「そうですか」

「次、俺はこの鎮守府でやらなければならない事はあるか?」

「提督次第では?」

ん~もうっ!なんで!

「判った、この鎮守府の禁止事項を教えてくれ」

「ありません、提督がこの鎮守府のルールです。ご自分で考えられては?」

暖簾に腕押しだ…なに?昨日からかったの怒ってるの?

判ってるよ、自分で考えろって事だろ…

「最後だ、俺が艦隊指揮を執る事は可能か?」

「不可能です」

は?えー俺何のためにここに居るの…

マスコット役?ちょっと薹が立ってるけどまだイケるか?

はいはい、真面目にやるって

「それは何故?」

「現在艦隊指揮は司令代理が執っております」

ふむ、聞き方変えるか

「俺が担える役割で大淀が適任だと思うモノの意見、何か無い?」

沈黙

お前に出来る事は何もねーよ!バーカバーカって事か

もう泣きそうなんだがな…

「判った、ありがとう大淀、参考になった」

「それは何よりです」

ん?解散の流れだがちょっと違和感

大淀の顔をマジマジと見る

少し居心地悪そうな大淀の顔、あー

「眼鏡替えた?」

「…よく分かりましたね」

「あぁ、昨日とちょっと違うな」

「あれは他所行きの物なので」

「なるほどね、結構印象変わるもんだな」

「そうなのですか?」

「昨日は柔らかい印象だった、今日はクール系って言うの?よくわからんけど」

反応無し

「ま、いいか。今日もお互い頑張るとしよう」

そのまま退散

 

ふぅ…さて

何か出来る事探さないとな…

向こうで俺がニートをやれてたのは両親の優しさに甘えてただけだ

こちらには俺を無償で愛してくれる存在は居ない

不安だ、とても

幾ら提督の肩書があろうと役立たずは排斥される

今俺の居場所はこの鎮守府だけ

役割を全うせねば、また…

はは、バカな事考えて無いとダメなんだよ

両親の顔が浮かぶ、会いたいんだ

 

 

 

 

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