うちの鎮守府のラスボスは怖い   作:sikimai

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第九話〖涼〗

やぁ、俺だよ

前回のオチは気に入って貰えたかな?

野郎の叫びでの〆は飽き飽きしてた所だろ?

まぁ、今回は大丈夫さ

何時ものような酷い事にはならないはず

だってな…ちゃんと打ち合わせしてたんだぜ

まぁ…その打ち合わせに俺が参加してない事は多少問題があるとは思うよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土下座っ!圧倒的土下座である!

深く謝罪し許しを乞う姿

俺は提督として恥ずかしくない綺麗な土下座をしている自信がある

そもそも提督は土下座などしないとは思うがそんな事はどうでもいい

怖いのだ、前方から凄まじい威圧感を放つ彼女が…

 

軽空母 [千代田]の事が

 

あの後、シャワーを浴び終わった俺は脱衣所で明石に貰った浴衣を素早く着る

すぐさま脱衣場の端で壁を向いて不機嫌なオーラを振りまく千代田に近づき土下座

「千代田、本当にすまなかった。この通りだ」

漢らしく土下座をするのは謝罪の意味もあるがそれだけでは無い

脱衣所に設置されていたであろう藤の椅子の残骸が見えたからだ

不機嫌な千代田による犯行である事は火を見るよりも明らかだ

自殺未遂の経験が有る俺でも撲殺で死にたいとは思わない

なにより千代田にそんな事をさせたくないのだ

千代田が振り返った気配

 

ダンッ!

 

ヒェッ…千代田の足が力を籠め床を叩いたようだ

「で?」

で?と言われましても…

「どうして提督がここにいるのよっ!?」

シャワー浴びてたからです…

「まったくもぅ…千歳お姉ったら…」

千歳?何かあったのか…?

「で?」

ループって怖くね?

「どう落とし前をつけてくれるの?」

落とし前ってアンタ…

「いや、あのさ…俺は壁を向いていたし千代田にも背中しか見せ「そのだらしない身体を見せつけた落とし前は?」アッハイ…」

けどさ、これって俺悪くないよね?

他の艦娘だと思って入って来た千代田も悪くないし…

まぁ、俺が[提督使用中]とか看板付けていればよかったとも言えるが

昨日鎮守府へ来た俺に準備出来る訳もなく…

良い落とし前の付け方がこの状況で考え付くはずも無く

俺は安易な方法で許しを乞う、バカな事したと思うよ

不機嫌なオーラは放つ千代田に対しこう言ってやったのさ

「すみません、許してください。何でもしますからっ!」

「ん?今何でもするって言ったわよね?」

 

明石の店へトボトボ歩く…

千代田からの要求はこうだ

「今日の午後7時、居酒屋鳳翔へ来られたし」

だそうだ…もうね嫌な予感しかしない

アレだろ?その時間と言えばアレしかないじゃん?

だが要求を呑んだ手前行かない訳にもいかない

約束は破ってはならないのだ…

 

「おっ提督、浴衣似合ってますよ~」

明石ののんびりした声にイラっと来て顔を睨みつける

「んん?どうしました?怖い顔しちゃって」

ん?明石は今回の件、無関係なのか?

てっきり明石が情報を流したのだと思っていたが…

コイツは俺をハメたら笑って「面白かったでしょ?」

とか聞いてきそうだもんな…俺の早とちりだったか?

「あぁ悪い、ちょっと考え事してたんだ」

「そうでしたか、それで何か御用ですか提督?もしかして私に会いたくなったとか?」

「ハイハイ、会いたかったよ明石」

「もうちょっと雰囲気を出して欲しいですねぇ」

「また今度な、それで部屋の件はどうなったのかな?」

「バッチリですよ!あ、場所わかんないですよね?案内しますよ」

「ありがとう、助かるよ」

 

明石に案内された場所は平屋の一戸建てだった

部屋って言うか家じゃないかこれ?

案内を終えた明石にお礼を言い別れる

入り口に来てから気づく、俺は色々気づくのが遅いんだよなぁ…

鍵を受け取って無かった

明石を追いかけるべきか迷ったが部屋の鍵が空いてるのでは?

確かめてからでも遅くないよな

 

ガチャ

 

空いちゃった

まぁ鎮守府内だから不用心とは言わないさ、田舎ではよくある事だ

玄関へ入り中を見渡すと動く人影…?

「おかえりなさい」

大淀だ…箪笥の前に正座して男物の服を畳んでいる

なんなの?お前は俺の母親ポジションを狙ってるの?

だから俺の両親の記憶を消したの?

こんなニートな息子が欲しかったの?

「ただいま」

返事はする、言われた言葉は嬉しかったし礼儀は大事な事だと思うんだよ

 

部屋というか家は広かった

3LDKってやつか?

広すぎて落ち着かないわ

「お茶をご用意しました」

「あぁ、ありがとう」

冷たい麦茶を出してくれた、ありがたく頂く

 

なぁ、大淀…俺に何を求めてるんだ?

教えてくれよ、出来る事は応えたい、俺なんかでも出来る事があるのなら

お前から求められた事なんて鎮守府に来てって事だけだ…

どうすればお前は納得してくれるんだ?

 

「提督、昼食はまだですよね?」

「あぁ、一緒に食堂へ行こうか」

「よろしければ私がお作りしましょうか?」

…大淀の料理?出来るの?

「簡単な物でしたら…素麺はいかがでしょう?」

それなら大丈夫だろう、初心者でも失敗しにくいモノだ

「では、お願いするよ。楽しみだな」

実際楽しみだ

素麺といえど料理

大淀といえど中身に目を瞑れば美女なのだ

つまり美女が俺に料理を振舞ってくれるのだよ?

「あら、失礼」

うん、俺の足を踏んで良い笑顔だ

忘れてた、お前は俺専用ニュータイプだったもんな

 

リビングのソファに座りキッチンで動くエプロンを着けた大淀を眺める

結婚した男性の気持ちってやつなのかな?

ニートで結婚出来る気もしない俺には貴重な体験だ

 

バンッ!

 

「ども、恐縮です、青葉ですぅ! 一言お願いします!」

ご丁寧に『突撃!提督の昼ご飯』と書かれたプラカードを持ち

辟易とした表情を浮かべたカメラマンの衣笠を連れてヤツが来た

あぁ、ヤツだよ俺を散々コケにしてくれたゴシップ記者様だ

「やぁ、青葉。待ちかねたよ」

「おや?司令官は青葉に会いたかったんですか?お待たせしました!司令官の青葉がやって来ましたよっ!」

ははっ、良い笑顔だ…お前ぜってー許さねーからなっ!

ん?衣笠?なんだよ?

(鎮守府内で生放送中です)

カンペを見せてきやがった…

ほーぅ…いいじゃないか

俺が鎮守府の笑福〇鶴瓶になってやってもいいんだぞ?

これ以上下がる株も無いのだ、いいぜっ!やってやろうじゃねーか!

「お二人も素麺を食べて行かれませんか?」

大淀っ!邪魔をするな、青葉にギャフンと言わせないと気がすまねーんだよっ!

俺は良いよ、でもな初風が余りにも可哀そうじゃねーか

陽炎姉妹に吊るしあげ喰らうなんてさ…アイツ一番新顔で可哀そうじゃねぇか…

「いいんですかっ!?ではご相伴にあずかります!きょーしゅくです!」

だが待て、ここで俺がしでかした方が初風に悪い影響が出るのでは…

クソッ!どうすべき…ん?

あーこりゃ無理そうだ…衣笠の眼を見てしまった

顔は辟易としてるのに眼が死んでない、あれはプロの瞳だ

俺が何かやっても即座にカメラを振って対応する気なのだろう

「では出来上がるまで提督のお相手をお願いできますか?」

ふぅ…はいはい俺の負けだよ

そりゃそうだわな、この流れ絶対打ち合わせしてたじゃん?

そんな都合よく料理振舞ってくれる訳ないじゃん、大淀だよ?

「では司令官一言お願いします!」

白旗だ、昨日から白旗の振りすぎで腱鞘炎になってる気がする

はぁ~~~はいはい、やりますよ

「やぁ、皆昼食は済んだかな?俺達はこれから素麺を頂く所だよ」

「大淀さんのエプロン姿似合いますねぇ~司令官いかがですか?」

「そうだな、世の男性の理想を表してると思うよ」

勿論リップサービスだ

思い出さねばならない、俺は大淀から貰った小遣いでこれから生活しなければならない事を

正確には艦隊の費用なのだろうが、それでも俺のスポンサー様だ

スポンサーに胡麻をするのは至極当然でありニートの必須技能と言われている

ここテストにでるよ、よく覚えておこうな

「きゃっ」

ん?大淀?左手を右手で包んでいる…?

「どうした、大淀?」

キッチンへ近づき大淀を窺う、どうやら指に火傷を負ったようだ

素麺作る時は差し水が必要だって知らなかったのか…?

まぁ、いい

キッチン棚からボウルを取り、シンクに置いて水を溜める

大淀の左手を掴みボウルの中へ

「暫くそのままだぞ?」

頷く大淀を後目に冷凍庫から氷を取り出しボウルの中へポイ

どうする?番組的にはどうなんだ?

青葉の顔色を窺うと何時もの笑顔は無く焦燥した様子

衣笠は不動、流石プロだ、やるじゃないか

しゃーないか、折角の生放送だピエロを演じてやるよ

青葉高く付くぞ?

「さて、皆にはなかなか見れない提督の料理姿を披露するとしようか」

作業中でも差し水を忘れなかった俺は大淀の料理を引き継いだ

と言っても素麺だ、だがやるからには美しくな

茹で上がった素麺を氷水で冷やす、水を切り穴あきボウルへシューット!

器はっと…コレいいんじゃないか?

竹の器、清涼感あって夏に合いそう、素敵

放送を意識してちょっとオシャレに器に盛ってみる

麺つゆは冷蔵庫に入ってたヤツで勘弁な

それだけじゃ寂しいか…胡麻ドレッシングを使った付けダレも用意

しょうが、わさび、海苔、ゴマ各種調味料も準備完了だ

よし、いいんじゃないかな?

ランチマットの上に見栄えするように並べてほい完成

どうよ?青葉上手くレポートして盛り上げろよ?

 

実食

「こ、これは…胡麻の風味が強いっ!とっても美味しいですよ~司令官!」

「あ~夏はやっぱり素麺ですよねぇ、青葉感激ですっ!」

「美味い~これは味の宝石箱ですよ!」

オイ、最後のはダメだろ…

人のネタを平然とパクってんじゃねーよっ!

イヤ…こっちの世界にあの人は居ないんじゃないか?

と、言う事は青葉は食レポの星になれるのでは…

お偉方に提案してご当地グルメを青葉に食レポさせて

そのマージンを俺が頂くって事もできるんじゃね?

国民の皆さまには鎮守府、艦娘に対する理解を深めてもらって

青葉の食レポでご当地活性化、これぞwin-winの関係…

おい、大淀?

サボってるんじゃねーぞ?

何時ものツッコミ待ってるんだからソロソロさぁ…判るだろ?

んだよ?何時もの調子じゃないと張り合い無いだろうが…

 

 

 

 

 

 

 

 




メンテ開けまでに書けたのがここまで
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