平々凡々   作:四識

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初書きです


一話

IS学園、一年一組のドアの前に男子が一人。

 

目の焦点が上手く合わずに立ち呆けている。

いや、呆けてはいない。彼はこれからどのように自分の印象をいかに「良く」伝えるか考えており、思考の渦に巻かれている。

 

(何を喋ろう?名前と・・・出身と趣味でも言おうか。あれ?俺の趣味って何だ?・・・読書かな?でも趣味で読書が許されるのは中学生までだ。それに人よりちょっと多く読むぐらいだし・・・だったら言わん方がいいな。あと名前と・・・て二回言ってどうする。)

 

渦に巻かれているというよりも、ただ単にテンパっているだけだ。

 

「それでは入ってきてください。」

 

ドア越しの女性の声が聞こた。

 

「あ、はい。」

 

すでに彼の頭の中は、白いペンキに塗りたくられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一年一組 教室内

 

「・・・・・・ということなので忘れないように。」

 

一年一組副担任 山田真耶は朝のSHRに伝えるべき連絡事項を伝え終え、隅で腕を組み立つ担任、織斑千冬を一見し、新たな話を切り出した。

 

「実はですね。いろいろな事情で入学日がズレてしまった生徒さんが今日から登校してきているんです。これから紹介しますね。」

 

生徒たち――女子のほとんど(男子生徒は一名しかいないが)――は、「ふーん。そうなんだ。」ぐらいに考え、頭の隅に追いやる。彼女たちにとってそんなことよりも、今は『現状』世界唯一の男性適合者のことに興味の大半を持っていかれている。遅れて入学してきた生徒がなんだというのだ。別に珍しくもなんともないだろう。しかし、彼女らの期待は逆の方向に裏切られる。

 

すると、生徒たちの中から一本だけ手が上がる。

 

「山田先生」

 

「はい?なんですか。織斑君。」

 

「色々な事情って何なんですか?」

 

唯一の男子生徒が質問した。

彼は純粋に疑問に思った。転入ならわかるが、遅れて入学してくる人など小学、中学では今までいたことがない。入学式当日に具合が悪いかった、もしくは何かの事故に巻き込まれたぐらいしか理由としては成り立たないと思ったからだ。そういう場合は、入学日に先生から何か言われるはずだろう。「今日○○さんは具合が悪くて出席することができないので、後日登校してきた際には仲良くしてくださいね。」と。

 

 

真耶は苦笑いを浮かべながら言う。

 

「えぇーと・・・会えばすぐわかると思いますよ。」

 

生徒の何名かは気づいている。入学日よりも座席が一つ多いことを。

 

 

 

「それでは入ってきてください。」

 

 

「あ、はい。」

 

 

その声は女子にしてはあまりに低すぎる声だ。そう、まるで男のような。

 

ドアが開き、入ってきた人物はまごうことなき男であった。

 

 

誰かが呟く。

 

「お、おとこ?」

 

その瞬間、室内全ての眼が入ってきた彼を射貫いた。

 

普通の人ならば後ずさりしてしまうような威圧感の中、彼は涼しい顔で教卓の前へと歩みを進める。実際は脈拍はいつもの3倍は波打ち、体温を下げようと全身の毛穴からは汗が吹き出ていた。それはもうYシャツの首元から熱気が上昇気流の様に放出し前髪が揺れるくらいに。

 

「えぇー内海秋彦です。入学式の日にISを動かせることが分かってしまったので、遅れて入学することになりました。よろしくお願いします。」

 

これ以上にないくらいさしさわりのない自己紹介である。

 

内海の横に移動しながら織斑教諭はクラス全員に言う。

 

「内海は見ての通り二人目の男性適合者だ。織斑がそうであった様にISの知識は皆無と言っていい。さらにIS適性を発見したのは四日前であり環境の変化に戸惑うこともあるだろう。困った内海を見たら助けてやれ。いいな。」

 

内海は彼女の横顔を見た。

 

(噂どうりのカリスマだな・・・・まぁ大隊指揮官殿には及ばないが。彼は別次元だ。俺でも戦争に行きたくなってしまったもんな。・・・にしても写真で見るよりも美人だなー。)

 

彼は織斑千冬とは初対面だ。本当ならば教室に来る前に顔合わせをするはずだったのだが、一年一組には件の世界初の男子がいるのでそれに群がる野次馬を散らしに先に行ったのだ。

 

彼女に対して、男女問わず百人中百人美人というだろう。故に彼が見とれるのも無理はない。

 

「内海。おまえの席は一番後ろの席だ。」

 

「え?・・あ、はい。」

 

気を取り戻し正面を向いた。そこで彼は気が付いた。クラスの大半の目が既に自分を見ていないことに。そして目に入る。目の前に座る彼を。目が合って、微笑まれ、手を振られた。

 

(あぁ納得)

 

内海も手を軽く上げ応え、自分の席に着く。

 

内海の見た目はとても普通だ。すごい普通だ。普通の代名詞だ。髪は黒で長くもなく、短くもなく。黒目に銀縁眼鏡。顔の出来は良くて「中の中」、悪くて「下の上」というところだ。

対して目の前の彼は全てが最高級の素材で出来ている。加えて性格は爽やかな好青年ときている。まさしく石ころとダイヤ。

 

対比するものができてしまえば否応なしに比べてしまう。人間の性質だ。ならば簡単、自明の理、劣っている者と優れている者、どちらを取る?当然、優れている者 織斑一夏を取る。

 

内海にとってそれは

 

 

 

 

 

(あぁ・・・・やっぱり最高だな。後ろの席は。)

 

至極、どうでもいいことである。

 

 

 

 




第三者視点て難しいですね。

内海はお隣に住んでる週一でしか返ってこない隣人さんから。
秋彦は憑物落としさんからいただきました。
・・・・塗り仏長すぎて手を出すのが躊躇われる。

―――大隊指揮官殿
    「よろしい。ならば戦争だ。」
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