平々凡々   作:四識

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書き溜め切れたのでまた潜ります。

にしてもPHPの導入がクソめんどくさい件について


五話

アリーナ上空にはISが二機。

 

海の色を思わせる青色のIS-セシリア・オルコットんの搭乗するブルー・ティアーズは機体のぶれもなく空中に悠然と鎮座している。

 

対するの深緑のIS-内海秋彦の搭乗するラファール・リヴァイブは、飛び方を覚えた鳥の様にふらふらと汚い蛇行を描きながらブルー・ティアーズに近づいていく。

彼の飛行は見る者を心配させるよな危なっかしいものだが、当の本人は、

 

「夜空を~駆ける~ラブハ~♪燃えるお~もいをの~せて~♪」

 

熱唱中だ。

試合のプレッシャーなどは微塵も感じさせないとてもいい笑顔だ。

実を言うと秋彦はISが嫌いというわけではない。「飛ぶ」という新感覚は秋彦の肌にあったようで、かといって毎日飛びたいというほどでもない。

まぁ、つまり嫌いでもなく好きでもない。それでも坂道を自転車で下るような爽快感は歌いたくもなる。

 

「突撃ラブハ~ト♪」

 

ちょうどセシリアの前で歌い終わり、空中に静止する。

 

「わたくしとの勝負の前に歌うなんて随分と余裕ですわね。」

 

セシリアは不機嫌な顔を隠そうともしない。

 

「その余裕をすぐになくして差し上げます。そのバカにしたような態度も一緒にですわ。」

 

十代半ばとはいえやはり貴族生まれ。その高らかな宣言はとても様になっていた。

 

「別にバカにしているわけじゃないよ。そう、ただ風を感じながら飛んでると歌いたくなったんだ。ただそれだけだよ。オルコットさんを侮辱しようと思ったわけじゃないんだ。わかってくれ。しかし俺のせいで気分を害したのなら謝罪するのもやぶさかではない。謝ろう。」

 

テンションが上がってるからなのかやや饒舌にセリフがかってしゃべる。

 

「その上からものをいう態度が気に食わないのですわ!わたくしは貴族、あなたは庶民!わたくしは女性、あなたは男性!あなたに必要なのは跪いて許しを請うことですわ!!」

 

秋彦はそこに食いつく。

 

「その"貴族"っていうのがいまいち分からないんだ。日本にはイギリスみたく貴族制がなくてな、身分が曖昧なんだ、多分。上流下流はあるけど、相手どちらかなんてわからないのでして。」

 

秋彦は眉をさげてこちらも困っているんだ、というような顔する。

 

「ところで俺はこう見えてもイギリスという国には興味があってだな。"貴族"というものもぜひ知りたいんだ。」

 

腕を広げて聞いてくれと言わんばかりに話しかける。

 

「"貴族"ってものを文章でしか知らないから俺はこんな態度をとってしまうのかもしれない。実は"貴族である"ってのは庶民の俺が思いもよらない素晴らしいことだったなら、俺は恥ずかしくてたまらないんだ。」

 

胸に手も平を当て同情を誘う。

 

「"貴族"てのを知ったら俺の考えも変わるかもしれない。跪いて額に土をつけて許しを請うかもしれない。・・・だから教えてくれないか?その、貴族の素晴らしさって奴を。オルコット"様"?」

 

「そのことは後で」

 

「まさか庶民の俺からのお願いを無下になんかしないよな。貴族なんだから。観覧席のみんなも聞きたいんじゃないかな?」

 

胸の前で手のひらを合わせる。

 

いかにも何か企んでいるような媚びへつらい方。勿論、秋彦は企んでる。彼女の気をそらすためだ。どこぞのカリブの海賊のような話術で相手を誘い込む。

だが相手は両親が事故で亡くなってから一人で家名を守ってきたセシリア・オルコット、このような手には引っかかるはずが――

 

「そこまでおしゃるならいいでしょう。英国貴族のなんたるかを教えてさしあげますわ。」

 

――あった。試合中なのにである。それもかなりノリノリのご様子。

試合後に教えるという逃げ道を封じられたセシリアは、どうせならモニターで見ている織斑一夏にも聞かせてやろうじゃないかと考えた。

秋彦の作戦どうり、セシリアは熱を持って語り始めた。

 

 

「そもそも貴族―この場合ヨーロッパ貴族を指しますが―の歴史は古代ギリシャ、古代ローマまでさかのぼりますわ。その時代の貴族は」

「ふむふむ」

 

シールドピアースはピットでコール済み。

 

「爵位は大きく分けて公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵がありますわ。そのほかに準男爵、騎士爵がありこの二つは」

「へー」

 

少しずつセシリアに接近。

 

「ノーブレス・オブリージュとは我々貴族の誇りに賭けて全うしなくてはならない義務であり」

「・・・・」

 

目だけを標的に合わせ外さないよう集中し

 

 

 

構えて・・・・撃つ!!

 

「ですから貴族というのは、素晴「目前IS、射撃形態へ移」きゃあ!!」

 

シールドピアースの一弾目が命中する。不意打ちと言うほかない完璧な不意打ちだ。

 

ラッキー、当たった。あと二発くらいは当たってほしいなぁ。

 

秋彦は息つく暇を与えないよう次弾を装填、発射。

 

「あ、あなた!!何を、ぐぅっ!?」

 

二弾目、命中。

 

「そう、何発も、当たり、ませんわ!!」

 

シールドピアースはISの中でも高い威力を持つ武装だ。素人の射撃だと一目で分かるがセシリアは慎重に弾を避けていく。

三弾目、四弾目、五弾目、六弾目 かすりもせず。

秋彦はすぐさま弾切れのシールドピアースをパージする。

 

「あなたから話を振っておきながら何なのですか!?」

 

「話に熱中してたからね。不意打ち、させてもらいました。」

 

秋彦は悪びれもなく、当然のごとく応える。

 

「それに試合も始まってたし・・・試合には集中しないとだめだぞ、オルコットさん。」

 

「男のくせに・・・貴族を・・・わたくしをコケにするなんて!恥を知りなさい!!」

 

「それくらい知ってるさ。耳に心と書いて”恥”読むんだよ。そんなことより次、行こうか。」

 

秋彦はにっこり笑みを見せある物を取り出す。

 

「・・・・それは何なのですの?」

 

「見ての通りだよ。」

 

秋彦は筒状の物を抱えてる。それも大量に。

 

 

「ファイヤー」

 

筒を抱きかかえるように屈み

 

「インザ」

 

全身ののばねを利用して

 

「ホーーール!!」

 

上空にばらまく。

 

 

 

長年追い続けた夢が叶ったように。

 

 

幾年焦がれた恋が成就したように。

 

 

積年苦しんだ恨みが晴らせたように。

 

 

 

両手を上げ天を仰ぐ。

 

 

「っ!?」

 

 

自分の頭上にグレネードを放り投げるという、自殺行為な奇行を前にしたセシリアの行動は早かった。秋彦から距離をとり油断なくライフルを構える。先の不意打ちの怒りに任せて撃ちまくりたいのはやまやまだが、わざわざ自滅してくれるのだ。不意打ちをして、いざ向かい合えばグレネードで自爆。これほど滑稽なものはない。

 

このまま爆発に巻き込まれて落ちてしまえ。あの数のグレネードだ。一瞬でエネルギーが底をつくだろう。逃げようとすれば牽制射撃で動きを封じればいい。不意打ちをされたとはいえ自分の勝ちは揺るぎない。

 

 

彼と目が合い先ほどと変わらず不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

 

ドンッ

 

 

 

 

 

「え?・・・・」

 

 

唸るような音と共に広がるは黒い煙と白銀の紙吹雪。

 

 

 

 

 

 

くっ!?まさかただのグレネードではなくチャフスモークだったとは・・・・予想していなかった。しかもアリーナを覆うほどの量。チャフのせいでレーダーの類は機能しない。ハイパーセンサーもスモークで意味をなさない。肉眼だけだ。だがそれは相手も同じ。所詮素人の使う手。悪あがきに過ぎない。煙が晴れたら叩きのめして醜態をさらしてやる。

 

 

 

 

「とか考えてんだろうなぁー」

 

うん、わかるよ。俺だって自分より明らかに弱い相手の持ち札なんて考えないよ。だって自分の方が強いからね。

だからその慢心を突いてみた。

これが、まぁ怖いくらいにうまくいったね。

 

「強いは弱い、弱いは強いってね。」

 

 

奴さん、動かないね。スラスター音が聞こえない。

 

 

「さてさて・・・ここからが難しいところ。」

 

 

 

 

秋彦はバスケットボールよりも一回り大きい、赤道に窪みの出来た金属の玉を領域から取り出す。

 

 

 

それを

 

 

「点ではなく面での攻撃って隊長が言ってた。」

 

 

 

頭上にやさしくほうり上げる。

 

 

キュイイィィィィィィン

 

 

突如、回転を始め、窪みから黒い塊を吐き出す。

 

爆弾だ。

 

広範囲殲滅用投下型爆弾。あらかじめ設定した範囲に爆弾をばらまく兵器。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんですの!?今の音!?」

 

セシリアが音の方向に銃口を向ける。

 

 

ィィィィ・・・ィィィン

 

 

何かが・・・回転する音?

 

回転・・・ドリル?・・・ドリルで突撃してくるつもりなんですの!?

 

回転音が止む。

 

 

セシリアは靄の先を用心深く見つめ突撃に備える。

 

 

だが

 

 

 

ドガンッ

 

衝撃は真上から来た。音の割に、軽く頭をはたかれたような小さい衝撃だ。

生身の人間が当たれば即死の爆弾も、ISにとってはその程度の物。

 

「う、上!?」

 

セシリアは真上に射撃をしつつ高度を下げ移動するが、

 

「きゃぁ!!また上から!?」

 

またしても被弾。

 

爆弾は秋彦を中心に傘状に投下されてる。被弾したからといって場所を変えると別の爆弾に当たる。加えてセシリアは秋彦がグレネード投げた時に壁際まで後退したため、外から内に向かっての移動。つまり一番爆弾に当たる方法で移動していた。

 

勿論、秋彦はそんな方法があるなんて知りもしないし考えもつかなかった。偶然である。

 

 

結局セシリアは4回も被弾してしまった。減ったエネルギーは極少である。

 

「このわたくしが1度ならず4度も当たるなんて・・・」

 

 

焦燥した顔で呟く。

 

 

ボボボボボンッ

 

「今度は何ですの!?」

 

 

残りの爆弾が落ちる音にセシリアが過敏に反応する。

 

 

同時に煙が晴れる。

 

 

「タイミングいいねぇ。演出にはもってこいだ。」

 

 

セシリアは声が聞こえた方に振り向く。

 

やっとあの男を叩きのめせる!速く撃たせて頂戴!!

 

そこにはISから降り、腰を掛けている秋彦がいた。腕を組んでポーズをとってるように見えなくもない。

 

「・・・・あなた・・なぜISから降りているんですの?」

 

「ん~?こうしとけばオルコットさんは攻撃できないから」

 

「なっ!?」

 

セシリアにとってこれはたまったもんじゃない。溜まった鬱憤を晴らす相手が生身では殺してしまうじゃないか。

 

 

「まだ勝負はついてませんわよ!!」

 

 

 

 

「うん。じゃぁ付けよう。」

 

「え?」

 

「もしもし?山田先生聞こえてます?」

 

「あなた、何して・・」

 

どこから取り出したのかインカムで山田先生に通信をとる。

 

『え!?あ、はい!聞こえてます!大丈夫です!はい!!』

 

「本当に大丈夫ですか?」

 

『大丈夫です!で、どうしたんですか?まだ試合中ですよ?ISからも降りてますし・・・』

 

「えーとですね。」

 

『はい』

 

 

 

 

 

 

 

 

「降参します。」

 

 





―――――――突撃ラブハート
       俺の歌を聴けーーー!!!

―――――――英国貴族
       セシリアってここまで貴族に対してプライド持ってたっけ?

―――――――どこぞのカリブの海賊
       ”キャプテン”だ。

―――――――強いは弱い、弱いは強い
       マンイーターが言ってたけど他の作品でも言ってた気がする

―――――――点ではなく面での攻撃
       やっつけちまおうぜ。

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