ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第11話【神の宴】だけど、コレジャナイ感がやばい

 夜

 30Mはくだらない高さの象の頭を持つ巨人像こそ【ガネーシャ・ファミリア】本拠、『アイアム・ガネーシャ』だ

 入り口は胡座をかいた股間の中心、趣味の悪い本拠だ

 その中はあらゆる【ファミリア】の神々が『神の宴』に参加するために集まっていた

『神の宴』とは、つまるところ、下界にそれぞれ降り立った神達が顔を合わせるために設けた会合だ。どの神が主催するか、日程はいつなのか、そのような決まりは一切ない

 ただ宴をしたい神が行って、ただ宴に行きたい神が足を運ぶ。神達の気まぐれと奔放さの一面がここに示されていた

【ガネーシャ・ファミリア】はオラリオの中でも指折りの【ファミリア】なので、この迷宮都市内で居を構えている神達にお呼びがかかっていた。ヘスティアもその一人である

 

「ハグハグッ…あぁ、【購入】のあるヤミ君が来てからボクの【ファミリア】は食事には困らないんだよなぁ」

 

 ヘスティアは今、小さい体で食べ物をパクパク食べていた。ベル、ヤミが来る前ならば日持ちの良さそうなものをタッパーに詰め込んでいたのだが、【購入】があるヤミが料理を振る舞うようになってから食事の量、質、バリエーションが増えたため、食事には困ってはいないが食べられるだけ食べて帰るつもりだ

 

「元気にしてる?ヘスティア?」

「むぐ?むっ!」

 

 ヘスティアは声をかけて来た神を見る。そこには右眼に眼帯をした友達がいた

 

「ヘファイストス!」

「ええ、久しぶりヘスティア。元気そうで何よりよ」

「いやぁ良かった、やっぱり来たんだね。ここに来て正解だったよ」

「何よ、言っとくけどもうお金はもう一ヴァリスも貸さないからね」

「失敬な!ボクにはとびきり優秀な眷属が出来たからお金はまだだけど、とびきり美味しい食事くらいは普通にできるさ!」

 

 堂々と、ハッキリと、胸を張ってヘスティアはそう言う。それに対してヘファイストスは

 

「それはさっき言っていた【購入】に関係しているのかしら?」

 

 やばい、聞かれていた。とヘスティアは動揺する。それは行動にも現れており

 

「あ、あれ〜?ボクそんなことを言ったかな?」

 

 明らかに動揺した口調、泳ぐ目でそう言うとヘファイストスは少し笑う

 

「まあ、貴方がちゃんとした子を迎えたって言うのは私としても嬉しいわね」

「へ、ヘファイストス…!」

 

 友人からの優しい言葉にヘスティアは涙がこぼれそうだった。そんな中、コツコツと靴を鳴らす楚々とした音が、ヘファイストスの後ろから近づいて来た

 

「ふふ…相変わらず仲が良いのね」

「え……フ、フレイヤっ?」

 

 現れたその女神は、容姿の優れた神達の中でも群を抜いていた。一線を画してしまっていると言ってもいい

 そんな美に魅入られた神、フレイヤが、長い銀髪を揺らしてヘスティアの前までやって来た

 

「な、なんで君がここに…」

「あぁ、すぐそこで会ったのよ。久しぶりー、って話していたら、じゃあ一緒に会場回りましょうかって流れに」

「か、軽いよ、ヘファイストス……」

「お邪魔だったかしら、ヘスティア?」

「そんなことはないけど……僕は君のこと、苦手なんだ」

「うふふ。貴方のそういうところ、私は好きよ?」

 

 そんな話をしているとまた別の神がそこにやって来た

 

「おーい!ファーイたーん、フレイヤー、ドチビー!!」

「あっ、ロキ」

「何しに来たんだよ、君は……!」

「なんや、理由がなきゃ来ちゃあかんのか?『今宵は宴じゃー!』っていう乗りやろ?むしろ理由を探す方が無粋っちゅうもんや。はぁ、マジで空気読めてへんよ、このドチビ」

「……!………!!」

「凄い顔になってるわよ、ヘスティア」

 

 自分より頭二つたかい神、ロキに馬鹿にされたヘスティアは顔を引きつらせる

 彼女に対してもはやヘスティアが語る言葉は何もない。この女は、敵だ

 

「本当に久しぶりね、ロキ。ヘスティアやフレイヤにも会えたし、今日は珍しいこと続きだわ」

「あー、確かに久しぶりやなぁ。…ま、久しくない顔もここにはおるんやけど」

 

 糸目がちになりやすい瞳を薄く開いて、ロキは銀髪の女神にニヤニヤと視線を送った。フレイヤは給仕から頂戴したグラスを口元に、目を瞑って微笑を崩さない

 

「なに、貴方達どこかで会っていたの?」

「先日にちょっと会ったのよ。と言っても、会話らしい会話ははしていないのだけど」

「よく言うわ、話しかけんなっちゅうオーラ、全開で出しとったくせに」

「ふーん。あ、ロキ、貴方の【ファミリア】の名声よく聞くわよ?あと、汚名も」

「ん?汚名?」

 

 フレイヤの一言にヘスティアが反応した

 

「ええ、聞いてない?最近【ロキ・ファミリア】のLv5、『ベート・ローガ』が一撃で、それもLv1の冒険者に負けたって言う噂よ」

「それは凄いね…その冒険者…どこの【ファミリア】の子なんだい?」

 

 ヘスティアがフレイヤの話を聞いてそう尋ねるとロキが怒った顔で言った

 

「ドチビの【ファミリア】じゃボケェエエエエエエエエッ!!!」

「…えっ?」

 

 ロキの反応に対しヘスティアは訳がわからないと言った表情で答える。当たり前だベルにヤミ、どちらからもそんな報告は受けてないのだから

 

「しらばっくれんな!ヤミ・カズヒラって言う黒髪黒目の男から聞いとるやろ!!」

「ヤミ君が!?聞いてないよそんな報告!!」

「嘘……やないやと?!」

 

 神には嘘が通用しないため、ヘスティアが嘘をついてないのは確かだ。ロキはヘスティアに酒場であったことを話すと、思い当たる所があった

 もうすでにランクアップ出来る状態であることだ

 

(ヤミ君、あれほど目立つなと言っておいたのに…説教は確定だね)

 

 

 

 

 

「へくしっ」

「ヤミさん風邪?」

「いや、別にそう言う訳じゃないんだが、エイナさんに怒られる時の寒気がした」

 

 

 

 

 

「さあドチビ。ヤミ・カズヒラについて話してもらおか?」

 

 そう言ってロキがヘスティアにずいっと寄る

 

「ぐ、具体的にはどんな風に勝ったんだい?それを聞かないとどう言う物か…」

 

 そう言うヘスティアだが、大体察している≪魔法≫の【闇魔法】だろうと考えている。ベルがヤミのデコピンされた箇所が赤くなってるのを見て説明を受けたからだ

 

「黒い付与魔法っぽいのを腕に纏わせてぶん殴ったら一撃や。…言っとくけど、少なくともあれについて教えてくれな許さんし.、逃がさんからな?ウチの子がやられたんや、一つくらい聞く権利はあるやろ?」

 

 闇魔法だと確信すると同時にヘスティアは仕方ないと口を開いた

 

「……よしロキっ!!!ゲームだ!!!」

「……はぁ?」

 

 ロキは一瞬意味がわからず止まってしまった。他の神は『なんだなんだ?』と見物する。ヘスティアはフフン!と続ける

 

「君が勝ったら、ボクの知っている限りのヤミ君の全てを話そう!そのかわりボクが勝ったら…」

「…無条件でヤミ・カズヒラを許せと?」

「そうだ!」

 

 それを聞いてロキは考えるそぶりをすると返事を返す

 

「…わかった、いいで。それじゃ何で勝負するん?」

「ポーカーさ!」

 

 そう言ってヘスティアはどこからともなくトランプを取り出し見せつけた

 

「…やる前に何か細工してないか調べさせてもらえるか?」

 

 ロキはトランプを受け取りカードを一枚確認する

 

「…オーケーや、ファイたんがカード配ってくれるか?」

 

 ヘファイストスはそれを了承するとロキからカードを受け取る。するとヘスティアは右手を上げて言った

 

「いくよ…【盟約に誓って(アッシェンテ)】!!!」

「…なんやそれ?」

「最近読んでいる書籍に出てくるゲームを始める時の掛け声さ。さあ、ゲームを始めようか!ボクの子供の情報を賭けたゲームを!!」

 

 

 〜数分後〜

 

「なんでやーーっ!!!」

「はっはっは!!!」

 

 ロキは膝をつき泣き叫び、ヘスティアは仁王立ちで笑う

 勝負は3回。先に2回ヘスティアが勝ったため勝ちは確定していたのだが、ロキの泣きの一回で3回目もやったのだが…

 

「絶対ズルしてるやろ!!!最初と2回目の連続フルハウスはまだしも、最後にロイヤル・ストレート・フラッシュはないやろ!」

「…証拠はどこにあるんだい?さあ約束は守ってもらうよ!!!」

「チクショーーーー!!!」

 

 泣き叫びながら走り去るロキをヘスティアはさらに笑った

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