ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
「凄いです!ベル様ヤミ様!」
モンスターを倒していく俺達にリリさんがそう褒める
「…あのさ、そのベル様、っていうのは流石にやめてほしいんだけど…」
「あー俺もやめてほしいな、なんっかむず痒い。どうせ呼ぶならベル坊みたいにヤミさんとかの方がいいな」
「すいません。そういうわけにはいかないんです。仮契約とはいえ、上と下の立場ははっきりつけなければいけません。冒険者様には、サポーターはへりくだらないといけないんです」
めんどくさい。それだけしか頭に思い浮かばなかった。なんでサポーターだからって冒険者を敬わなきゃいかんのだ…
「いやでもリリルカさん」
「ベル様ヤミ様、リリのことはリリルカではなくリリと呼んでください。他の呼びかたでもいいですから」
ベルも俺も「どうして呼び方ぐらいでそんな事…」と言うと「いいですか?」とリリがぐいっと顔を近づけた
「サポーター、なんて聞こえはいいですが、蓋を開けてみればリリ達はただの荷物持ちです。命を賭けて直接モンスターと戦っている冒険者様からしてみれば、リリ達は安全な場所に逃げ込んで傍観するだけの臆病者で、何もしないくせに甘い蜜を吸おうとする寄生虫なんです」
サポーターのリリがサポーターについて語っているが少し腑に落ちない部分があった
「…リリルカさん」
「リリと呼んでください。何ですか?ヤミ様?」
「…確かにサポーターは蓋を開ければ荷物持ちだ。だが、荷物持ってくれている時点で何もしてないわけじゃないし、臆病者でもないだろ?」
「何を言うんですか!何もせずモンスターに怯えているだけの…「何もせず怯えているだけの奴が
リリルカさんの言葉を遮り頭にチョップを当て、リリルカさんは痛がるが構わず俺は話を続ける
「そう言うわけだ。お前らサポーターは臆病者でも、ただ甘い蜜を吸うだけの奴らじゃない。もっと自分に自信を持て『こちとら命賭けて荷物持ってやってんだから感謝しやがれ』って感じでな」
「リリ達がそんな言ったら冒険者様達は怒って分け前など恵んでくれないでしょう!!!」
「……そんなサポーターの大切さもわからない馬鹿共は相手にすんじゃねぇよ即契約破棄だ破棄」
「………」
俺の言葉にリリさんは黙ってしまった
「ヤミさん?ちょっと口調変わってる気がしたんだけど」
「あれ?そうか…?」
「うん。なんか…こう……よくわからんな」
「なんだそれ」
ハッハッハと笑うと、とりあえずベルにアドバイスする
「ベル坊、お前は強くなった。さて、ここからどうするか…」
と思ったが次は何をしようかと頭を悩ませた。するとリリさんが話に割って入ってきて提案してきた
「ナイフを二本と言うのはどうでしょうか!」
「なるほど、その手を忘れていた。でもナイフが今は…」
「はい、ベル様。ちょうどあそこに下半身が埋もれているキラーアントがいます。試し切りをしてみてはいかがでしょうか?」
用意してくれていたのかリリさんが普通のナイフをベルに差し出しベルは「ありがとう」と言ってナイフは受け取りそのナイフを持ち、少し高い場所に埋もれていたため腕を上にあげてキラーアントを倒す
リリさんがベルの後ろでゴソゴソしていたがデカいバックパックが邪魔で見えない
「ヤミ様、ベル様。今日の報酬の話なんですが……」
「うん。こんなに手伝ってもらったし、普通に山分けで…ヤミさんも「回収した魔石とドロップアイテムは全てベル様にお渡しします。どうか懐を温めてください」
ベルの言葉を遮り急にそう言いだすリリさんに俺が問う
「なんでだ?3割は欲しいとか、宿屋に泊まるお金がなくて困ってるって…」
「やだなぁヤミ様、心もとないと言うだけで無一文ってわけじゃないんですよ?」
「あー…そっか。それじゃあ」
そう言うと俺は今回の報酬の約3割をリリさんに渡した
「え?リリはいらないと…」
「うん言った。だからこれは俺からのお小遣いだ。無一文じゃなくてもお金には困ってるんだからもらって、つーかもらえ」
そう言ってリリさにお小遣いと言う名の報酬を無理矢理渡す
「まぁ、これからもよろしく頼む」
「へ?」
「いやぁリリさんの働きは凄かったからなぁ。たまに俺はもソロで潜るからその時だけでもベル坊と一緒に潜ってやってくれないか?」
「リリ、僕からもお願いするよ」
俺もベルもリリにそう言うとリリさんは呟いた
「…いつもバベルにいるので、いつでもいます」
「うーん、他所の【ファミリア】のサポーターかぁ……」
「やっぱり、不味いですかね?」
現在エイナさんにリリの事を相談している。流石に勝手に契約してしまったらまた俺だけに雷が落ちる気がしたからだ
「一口に【ファミリア】の間の問題と言っても、互いの利益を尊重して明るい契約関係を築いている例もあるしね…ベル君から見てどうなの、そのリリルカさんって子は?」
「はい、いい子でしたよ…サポーターとしての腕も悪くはなさそうでしたし」
「初めてサポーターを雇った俺達が言うのもあれですが…」
「その子の所属してい【ファミリア】はわかる?」
「確か、【ソーマ・ファミリア】って言ってました」
「【ソーマ・ファミリア】か……んー、また強く反対も賛成もできないところが出てきたなぁ」
エイナさんがどうしたものかと言う反応を見せるとベルが聞いてきた
「あの、エイナさん。【ソーマ・ファミリア】って、一体どんな【ファミリア】なんですか?」
エイナさんはそれを聞くと大型のファイルを持ってきてメガネをスチャッとかけた
なんでも、【ソーマ・ファミリア】は典型的な探索系【ファミリア】、他と違うのは市場にお酒を販売しているらしい。味は絶品らしいので需要は高いらしい。【ファミリア】自体の実力は中堅の中堅、飛び抜けた者はいないがみんな平均以上の力を持っており、また団員の数は多い
それだけソーマ様と言う神の信仰が多いと言う事だが、多分噂通りならば酒のせいだろう
「あくまで私の主観なんだけど、【ソーマ・ファミリア】の冒険者達は、普通とは雰囲気が違い、仲間内でも争っていると言うか、死に物狂いって言うか……生き急いでるとかそう言うんじゃないんだけど、何て言うのかなぁ、アレは……。とにかく必死なんだよね、あの【ファミリア】に所属する人、全員」
エイナさんはギルドの受付、冒険者の顔など親の顔よりも見ているはずだろう。そんな彼女の話ならば信用できる
「一応、私はその彼女をサポーターとして雇うのは賛成するよ」
「えっ、いいんですか?」
「うん。ところでヤミさんはどうなんですか?この話を聞いて、貴方がソロで潜る時、その子にベル君を預けられると思いますか」
おっと、ここで話を振ってきた。まぁとりあえず約束したんだ。ここは当然
「俺は別に何かトラブルを起こさなければ別に問題はない。さっきベル坊も言ってたけど、普通にいい子だったしな」
「……ロリコン?」
「エイナさん。いつも怒られてばっかの俺だけど、今回は俺が怒るよ?」
「ごめんなさい」
珍しくエイナさんが俺に謝り、その後も少し話し、ギルドから出ようとした
「…あの、エイナさん?肩を掴むのをやめてくれませんかね?」
だがエイナさんが俺の肩を掴み話さない。顔を見てみるといつものニコニコ笑顔でいたがなんだか迫力がある
「ヤミさん。ちょっと聞いてもらいますか?
最近、12階層に行った冒険者から聞いたのですが…黒髪黒目、刀一本を持った冒険者が十二階層中を暴れまわっていたと聞いたのですが、心当たりは?」
「ありません。たまたまでしょう?」
「目をそらさないでください」
「……てへっ」
……………
「私、いいましたよね?Lv2になったからって調子に乗って許可なく到達階層増やしてダメですって。それなのに…
何で許可もなく勝手に到達階層増やしているんですかぁぁぁぁあ!!!」
今日もギルドにハーフエルフの声が響き渡った。やはり怒られるのは俺のようだ