ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第20話

 翌日。リリさんを正式に雇いダンジョンでモンスターを狩りまくっていた

 

「…ベル様?」

「ん?」

「あのナイフはどこにしまったんですか……?」

「うん、今度は落とさないようにプロテクターの中へ鞘ごと収納しているんだ。収納スペースがちょうどあったから」

「そ、そうですか」

 

 なぜかがっくりと項垂れるリリさん。どうもさっきから元気がない。笑ってはいるけど…

 

「もしかして、いつ俺達がリリさんを解雇するかドキドキしてるんじゃ…」

「え?あ、はい!そうですそうです!いつ見捨てられるか気が気で…」

 

 俺の言葉にリリさんが反応し汗を垂らしながらそう言う

 

「見捨てるって、そんなことはしないよ。僕はリリ以外にサポーターの当てなんてないし」

「それはいいことを聞きました……なぁんて、リリもベル様はそんな事をするとは思ってはいませんよ。ベル様はびっくりするくらいお優しいですから」

「ベル坊『は』って…まるで俺はやりそうって聞こえるんだが…」

「ふふ、ヤミ様も信用していますよ。ただやりそうな顔をしているだけです」

「あー…」

「やりそうな顔って何?!あとベル坊、納得すんな?!」

「ベル様、本日の予定を伺ってよろしいですか?」

 

 無視された。酷い…

 地味に泣きそうな俺も無視してベルが答える

 

「えっと、今日も7階層に行って夕方まで粘ろうと思ってるんだけど。リリは平気?」

「ベル様がお決めになられたのならリリはそれに従いますよ。でもいいんですか?リリはご覧の通りサポーターですから、戦力としてはあまりお役に立てません。ベル様達はずっと連戦することになりますよ?」

「それは大丈夫。たまに別れてソロで潜るし、今日は溜まっていた【ステイタス】も神様に更新してもらったから」

 

 そう。俺達はヘスティア様に溜まったステイタスの更新をしてもらった。その結果は

 

 

 ヤミ・カズヒラ

 Lv2

 力:I0→H106

 耐久:I0→I63

 器用:I0→H100

 敏捷:I0→H114

 魔力:I0→I93

 

 純粋I

 

≪魔法≫≪スキル≫そのまま

 

 Lv2になったからかLv1の時よりも上げ幅が低くなった気がする。中層に行こうかと迷ったが最近…ていうか昨日エイナさんに叱られたばっかりなのでやめた

 純粋の方も練習はしているが相手はいつも切っているゴブリン達、いつもと違いが全くわからないため、中層に入るまで練習で我慢することとなった

 

「そういえば、リリって【神の恩恵】を授かっているとはいえ、よくそんな自分より数倍でかいバックパックを持てるよな」

「はい、一応リリにはスキルの補助があるので万が一でも運搬作業で足手纏いになることはありえません」

「ええっ!リリ、スキル発現してるの!?」

 

 リリの言葉に反応したベルが凄い!羨ましい!とリリさんを褒め称えた。だがリリさんは苦笑しながら答える

 

「持っているだけまし、というような情けないスキルです。ベル様が考えているような『恩恵』ではありませんよ?」

「それでもいいよ。僕なんてまだ一つもスキル持ってないし……」

「まあ魔法もスキルも早々に手に入るものじゃないしなぁ」

「ヤミさんは二つともあるじゃん!?嫌味!?」

 

 俺の一言にベルが反応しているとリリが質問してきた

 

「ヤミ様はもう魔法もスキルも発現しているんですか?」

「うん。しかも魔法とスキル二つず…「ベル坊!!!」…あっ今のなし!!!」

「無理ですよ……」

 

 やべ、ベル坊がついに口を滑らせた!!!

 

「…できれば、他の人には他言しないでいただけると助かる」

「ハハハ。リリの口は堅いと自負しているのでそこは安心してください」

「ありがとう。お礼にこれを…」

 

 そう言って感謝の印としてチロルチョコを手渡した

 

「これは…?」

「俺の故郷にあるお菓子の一つだ。外の紙をとって中身を食べるんだ」

「え、えーと…外の紙をとって…あ、紙が消えました」

 

 そう言ってリリさんの手のひらよりもちっちゃいチョコをリリさんは口にすると目を見開いた

 

「…美味しいです」

「それはよかった。万が一口に合わなかったらどうしようかと…」

「これがヤミ様のスキルの力ですか?」

「…そうだよ。ただこの程度しかできない。ないよりマシなスキルじゃない。あっても変わらないスキルだよ」

 

 ハハハと乾いた笑いを浮かべているとベルが口開いた

 

「そういえば、本当に契約金とか前払い金はいいの?」

「あーそういえばそうだったな。本当に分け前だけでいいのか?」

「ええ、構いません。ベル様ヤミ様の【ファミリア】はお金がないと聞いたので…それに」

「「それに?」」

「…そちらの方がベル様達にも都合がいいでしょう?」

 

 …???と言った感じてリリさんの言葉に首を傾げているとリリさんが明るい雰囲気を身に纏った

 

「さあ行きましょう。ベル様ヤミ様が頑張ってリリの食いぶちを増やしてくれれば、何も問題はありませんから!」

「う、うん…」

 

 ベルだけがそんな返事をする中、俺はリリさんの言葉の意味を理解するために考えたが全く理解することができなかった

 

 

 

 

 

「「……」」

「おーいお前ら?」

 

 無言になってしまっている2人に声をかけるが返ってくる返事がない。どうしようかと頭を悩ませているとベルが呟いた

 

「ヤミさん。僕達夢を見ているんでしょうか?」

「夢じゃないでしょ…ああ、夢だと思ったら頬をつねると痛みで夢かわかるらしいぞ。引っ張ってやろうか?」

「ヤミさんのは絶対痛いのでやめてください。自分でやります」

 

 そう言ってベルは自分で自分の頬をつねるとめちゃくちゃ痛がっていた

 

「38000ヴァリス……」

 

 リリさんがそう呟くとつねった頬を抑えていたベルがハッとし、次の瞬間

 

「「やったーーーー!!!」」

「うるさい」

 

 叫んだベル達にそう言う。周りの冒険者達の変な奴を見る目がこちらに刺さっている。にもかかわらずベル達は止まらない

 

「だって!だって!7階層だけでこれだけお金が手に入るなんて!!!」

「そうですよ!ドロップアイテムなんて数えるほどしかなかったのに!魔石だけで36000ヴァリスですよ!?」

「いやそれはそうだけど、できれば声量落としてほしいな。ほら、周り見て。変な奴を見る目で見てるだろ?」

 

 そう言うと2人は周りを見る。先程と同じように冒険者達がこちらを見ていたことに気づいた2人はやっと黙った

 

「でも、これはリリのおかげだよね?」

「馬鹿言っちゃいけないです、ベル様っ。モンスターの種類やドロップアイテムにもよりますけど、Lv1の五人組パーティが1日かけて稼げるのが25000ヴァリスちょうどくらいなんです。つまり、ベル様ヤミ様はお二人で彼ら以上の働きをしたことになりますっ!」

 

 えっ、そうなの?それは知らなかった…

 

「いやあ、ほら、兎もおだてりゃ木に登るって言うじゃない!それだよそれっ!」

「ベル様が何を言いたいのかよくわかりませんが、取り敢えず便乗しときます!ベル様凄い!まだ上を目指せますよ!!」

「褒めすぎだよリリぃ!」

 

 ベルにとっての始めて稼いだ金額で2人ともテンションがおかしい。俺は冒険者達にすいませんとぺこりと頭を下げつつ、落ち着くのを待った

 

「…ではベル様、そろそろ分け前をいただけませんか?」

「うん、はい!」

「……へ?」

 

 ベルがドバッと18000ヴァリスをリリさんの方に渡すとリリさんが変な声を出した

 

「あぁ、これなら普通に神様に美味しいものを食べさせてあげられるかも……!」

「なんだベル坊。俺の料理じゃ不満か?」

「いやそうじゃなくて…」

「冗談だ冗談」

 

 そんな風に話をしているとリリさんが口を開いた

 

「あの、ベル様、ヤミ様これは……?」

「分け前だよ、決まってるじゃん!あ、そうだ!せっかくだしリリ、良かったらこれから酒場に行かない?」

「おお、いいな!よし、今日は俺の奢りだ!!!」

「本当に?!やっt…「べ、ベル様!」

 

 リリさんが話を遮り質問してくる

 

「ひ、独り占めしようとか…ベル様達は思わないんですか?」

「え、どうして?まさかヤミさんが独り占めしようとか…」

「馬鹿なこと言うなよ。俺がそんなことするわけないだろうが」

 

 だよね。とベルが言うとリリさんに向き直り

 

「ヤミさんは7階層よりも下に行けるからこれくらいは当たり前なんだろうけど、7階層でこの金額はリリがいてくれたからこそ、でしょ?」

 

 笑いながらベルはリリさんにそう言った

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