ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
発展アビリティ欲しい…
「………?」
ベルが足を止めてダンジョンの地面を確認する様な仕草をする
「どうしたベル坊?」
「……今、ダンジョンが揺れなかった?」
「気のせいじゃねーか?」
俺は大して何も感じなかった。ためそんなふうに返した
「それにしても眠いな……リリ、今何時だ?夜中12時くらい?」
「ヤミさんそれは…「凄いですねヤミ様…丁度今夜中の12時を回りました」…え!?」
リリが懐中時計をこちらに見せる。見事に短針と長針が12時ピッタシに重なっていた
「案外俺の体内時計も捨てたもんじゃないな」
「僕は全然分からなかった…」
「最後の方はモンスターに群がられていましたからね。仕方ありませんよベル様」
そう言うリリの背中のバックパックには多くのドロップアイテム、魔石が詰められており、今すぐにでもはちきれそうだ
「……ヤミ様。ベル様はもう少し常識と物欲と言うものを知った方がいいと思いませんか?ありがたく頂戴しているリリが言える立場じゃありませんが……人が良すぎです」
「常識が云々の方は肯定はするが、物欲がないとか人が良すぎとかはベル坊らしさだからなぁ」
「そうですが…。リリはベル様が危なっかしくて見ていられないと言うか、知人に預けられた兎にハラハラさせられてつい世話を焼きすぎてしまうと言うか…」
「まあ実際たまに預けてるしな」
「答えになってませんよ!う〜、何だか毒されているような気がします〜っ」
ベルの後ろ姿を見ながらリリとそんな話をしているとダンジョンから外へ出た
「うわぁ、すっかり夜になっちゃってる」
そんなことを言ってベルは振り返ってバベルを見た
「バベルって、なんでこんなに高いんだろう?テナントを貸し出すにしたって、50階も上まで行くのは大変の様な気がするんだけど…」
「ベル様、ギルドがテナントを貸し出しているのは20階までですよ」
「え……そ、そうなの?」
「なんだベル坊知らなかったのか?20階から上は神様達が住んでんだぞ?」
「神様達が?」
「はい。オラリオの中でも有数と呼ばれる【ファミリア】の主神様達だけですが、バベルの最上階まで彼等が移住してるんです」
リリがそこまで言うとさらに続けた
「もともと、バベルはこれほどまで巨大な塔ではなかったそうです。迷宮から溢れてくるモンスター達を抑える『蓋』として機能しだした頃は、周囲の建物と変わらなかったと聞きます」
「お、それは初耳だな。それでそれで?なんでこんなでかさに…」
「この地に最初に降りられた神様達が塔を壊してしまったんです。流れ星みたく降ってきた神様達が…」
「「………」」
間違いなくわざとだ、笑いながら謝ってた光景が目に浮かんだもん
「それからこの塔は【崩落の塔】……【
塔を破壊した神達は、お詫びと言ってなんだか塔の再建…と言うよりはダンジョンの抑止に大きく貢献したそうだ
「なんとなくはわかったけど……うーん、そういう神様達の話を聞くたびに思うけど、『天界』ってそんな暇なところなのかな?」
「お仕事が嫌になって逃げ出してきたのかもしれませんよ?天界では神様達がやらなければならない、いくつかの義務があると聞きます。その最たる例が下界で眠りについた子供達の処理だそうです」
子供達の処理、俺を転生させてくれたあの人も仕事でやってたんだよな
「まぁ、最終的にはほとんどの者が転生させてもらえるようなのですが.とにかく、そんなこともあって、天界では激減した神様達の穴を埋め合わせるため、居残り組の神様達が今も不眠不休でお仕事をしていらっしゃるらしいです。かなり殺気立ってるようですよ?次回の下界で行きも血生臭い厳重な『お話』の上で順番を決めるのだとか」
へー…ん?あの神様、俺の寿命を増やしたのってまさか…
「…でも、リリは死ぬことに憧れていたことがありましたよ」
「……え」「うん?」
「一度、神様達の元に還れれば……今度生まれるリリは、今のリリよりちょっとマシになっているのかなぁ、なんて……」
そう言って空を見上げるリリの顔はどこか悲しそうな顔だった
「リ、リr「馬鹿たれ」
「…痛いです。ヤミ様」
気づけばベルは叫ぼうとし、俺はそれを遮り軽くコツンとリリの頭を小突いていた
「お前がいなくなったら誰がベル坊の面倒見んだ。死ぬぞ?ほっとくとすぐ死ぬぞこいつ」
「さ、さすがにすぐには死なないよ!」
「いーや死ぬな。一人じゃ寂しくて死んじまうだろうが!」
「僕は兎じゃありませんよ!」
「プッ…ハハハハハハ!」
「リリ?!」
俺とベルが言い争っているとリリが笑い出した。ひとしきり笑うとリリは笑いによって出た涙をぬぐいながら言った
「…すいません。ヤミ様、ベル様、変なこと言って。ですが、昔の事です。真に受け取らないでください。リリはこれでもたくましくなりましたから、今ではちっとも思っていません」
「そうか、それは良かった!悪かったな。勝手に小突いて!」
俺の言葉にいえいえと返すリリ
俺はとりあえずかがみ、視線を合わした
「なんですか?」
「一応約束して貰おうと思ってな」
「何をです?」
「絶対に死ぬなよ?ベル坊のためにも、お前のためにも、もちろん俺のためにも…」
その言葉にリリは少し黙りこ込むと笑顔で答えを返した
「…分かってますよ!安心してください!リリは死にません!」
〜翌日〜
「ベル坊、足元」
「えっ?」
現在俺達はいつも通りダンジョンでモンスターを狩っていると【領域】に踏み込んだニードルラビットがいたが気づいていなかったようなのでベルにその存在を知らせる
だがベルはちょうどキラーアントに飛びかかる瞬間だったため反応に遅れが生じた。避けられないと悟ったのか左足を折り曲げ膝のプレート部分でニードルラビットの角を防いだ
だが防いだ衝撃でバランスを崩し倒れるベル
『ジャアアアアアッ!』
それを待っていたかのようにキラーアントがベルに飛びかかった
助けようにも別のキラーアントがそれを邪魔する
もうダメかと思われた
「ダメーーーーーーっ!」
「「っ!?」」
リリが何かをしたかと思うと次の瞬間キラーアントの体は炎に包まれた。俺の近くにいたやつも含め周りのキラーアントは混乱していた
その隙を逃すはずはなく一気に斬り伏せるとベルの安否を確認する
「ベル様、無事ですか!?」
「リリぃ〜。ありがとう、助かったよぉ」
そう言ってリリが既にベルの安否の確認を済ませていた。ベルはベルで安心したのかへにゃへにゃとして尻餅をついていた
そして、リリからベルへの説教が始まった。ベルから助けを求める目を向けられだがベルが怒られるなど珍しすぎる光景なので無視してニヤニヤと見ておくことにした
ふはは!ベルよ。いつも俺だけが叱られている苦しみを味わえ…
「……ベル様の説教はこれで終わりです…それでは次はヤミ様ですね」
「………うん?あれ?リリさん?変な言葉が聞こえた気がしたんだが…」
リリは「気がしたんではありません。事実です」と言ってベルを怒った時よりもすごいオーラを放ちながらズンズンとこちらに歩み寄ってきた
「…なるほど、もう心の準備はできていると言うことですか…」
「…え、あれ!?あれぇ?!」
なぜか俺の体は動きその場で正座していた。まさか……怒られすぎて正座が癖になってる?
「いいですかヤミ様?貴方様も悪いのですよ?口ぶりからしてニードルラビットが来ていたのは分かっていましたよね?」
「いや〜その…ベル坊なら分かってると信用してですね…」
「それは信用とは言いません。慢心と言います」
この後、30分ほど説教を受けたのだがなぜかモンスター達がここによってくることはなかった。ベルもニヤニヤとこちらを見ているだけだった
最近【強奪】に【狩りの祭典】とか詠唱を入れておけばよかったと思い出した