ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
ハッキリ言ってしまえばその間、面白くありません。ホントの話です
書いててやる気が吸い取られていったもん
「えーと……リリって『魔剣』を持ってたんだ?」
説教が終わりベルがリリに聞く
「は、ははははっ。ちょ、ちょっと色々ありまして、リリのもとに転がり込んできて……」
「ほー確か魔剣といやぁ、強いが使い過ぎれば壊れるとか言う諸刃の剣だろ?」
「そうですね、リリはここぞと言う時しか使わないようにしています。でも、ベル様のためならリリは出し惜しみなんかしませんよ!」
それは頼りに……ん?
「あれ?俺は……」
「Lv2のヤミ様はこの程度じゃ死にませんよね?」
「いやそうだけど……助けてはくれねぇの?」
「…ヤミ様はベル様を気遣いしなさすぎなんです。ヤミ様がちゃんとベル様を見ていれば先程のような事には…何ですか?セクハラですか?」
リリがそう言うなか、俺はリリの頭を撫でていた。リリは別に嫌がっているわけではないが別に良いとは思ってないような表情になる
「いやいや、さっきと言い、今と言い。リリは俺と違ってベル坊の事ちゃんと心配考えてくれていて嬉しいからな。まあ、何が言いたいかと言うとな?
リリをサポーターにして良かった。こんなパーティと契約してくれてありがとうな」
「……それらしい事言って逃げようとしてませんか?」
ジィーと俺を見るリリに「な、何のことかなー?」と顔をそらす。するとベルが「そういえば…」と口を開いた
「リリ、昨日【ファミリア】に戻るって言ってたけど、何があったの?」
そのベルの質問にリリはぎこちなさそうな笑顔になり、ちょっと雰囲気が変わった気がする。さっきみたいな怒りの雰囲気じゃないとすると…地雷踏んだか?
「どうしてそんなことを聞くんですか、ベル様?」
「…リリと【ファミリア】の人達の関係が悪そうだったから、その、気になっちゃって…ゴメン」
「…お心づかいありがとうございます、ベル様。でも大丈夫です、ベル様が心配しているようなことは一切起きていませんから」
「本当?」
「本当です。昨日は一ヶ月に一度の、【ソーマ・ファミリア】の集会があったんです」
「集会?」とベルが聞くとリリがその集会とやらについて説明してくれた
要は定められた金額のお金を稼いでこいっていう布告のようなものらしい。それぞれの構成員に見合った額を定められるので、みんな集まらないといけないんだそうだ
「めんどくさいな。稼ぎが少ねえ奴が大変になるシステムじゃねえか」
「そうですね。リリもそう思います。サポーターや、芽のない冒険者は特に……」
リリがシュンと気分が悪くなったように落ち込む。それを見た瞬間に俺はとりあえずどうするか考えた
「……よし。ベル坊!稼ぐぞ!!!」
「うん!!!」
ベルも同じ考えだったようですぐに反応し、いい返事で返してきた。リリだけはキョトンとした顔でこちらを見ている
「…へ?きゅ、急にどうしたんですか?!」
「決まってんだろ!リリに提示した額を俺達が集めるんだよ!!!」
「リリにはいつもお世話になってるからね!それくらいは手伝わないと!!!」
「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!」と燃えてきた俺達はモンスターを見つけるために走り出し、リリは「ちょ、ちょっと!?」と言っていたが構わずモンスターを狩りまくった
そうした結果、前の38000を軽く凌ぐ46000ヴァリスも稼いだため、また二人が叫び声を上げ、俺はまた周りにすいませんと頭を下げることになった
それから二日経ち、俺はベルと共に教会の部屋にいた。ダンジョンはどうしたって?
そりゃあお前、あまりにも勝手に一人で下に降りていくもんだからエイナさんに止められた。そんで『一週間は一人でダンジョン探索は許しません!』と言われた
もちろんエイナさんが見ていない隙にダンジョンに潜ろうとしたがエイナさん以外の人に止められ、エイナさんの下まで引きずられ説教を受けた
ベルにダンジョンに行こうと誘っても気が進まないから今日はいいと言われた
そう言うわけで今日は自由気ままに過ごすことになったのだが……
「…暇だな」
「…暇だね」
そう、暇なのだ。一日のほとんどをダンジョン探索に費やしていたため、いざ何もやらなくなると暇すぎて困る
「そうだ。ベル坊、稽古しようぜ?前に約束しただろ?」
「あ!忘れてた……あ」
ベルが一箇所を見て固まる。その一箇所を見るとそこにはからのバスケットが放置されていた
「……あー」
〜ベル〜
「本っ当に、ごめんなさいっっ!」
「あははは……」
ばんっっ、と両手を合わせて勢いよく頭を下げた。真昼間から『豊穣の女主人』に駆け込みシルさんの前で謝罪を行っていた。返却するのを数日も忘れていた体たらく、申し開きなんてひっくり返してもできっこない
ちなみにこの場にヤミさんはいない。『俺は食ってないんだから俺は行かねーぞ。それに謝罪くらい一人で出来るようになれ。俺はホームの掃除しておくから』と『ゲキオチクン』と言うスポンジのような物を持ちながら言われた
「顔を上げてください、ベルさん。私は気にしていませんから」
「いや、でも……」
「それなら、今度からは気をつけるように頑張ってください。過ぎた事は戻ってきませんから、これからの行動で誠意を示すと言う事で」
僕はおずおずと上目がちになりながら顔を上げた。微笑しているシンさんは優しくこちらを見つめている
こう言う時、この人が年上だって、しみじみ感じさせられる
「そうですね。音沙汰がなくて私も心配はしていました。お仕事で間違いを起こしてしまうくらい」
「本当にすみませんでした……」
「……一杯からかわれたんですよ?」
少し恨みがましい目つきで、シルさんは口を尖らせた。はっ?と僕が目を丸くすると、彼女は頬を染めてわざと過ぎるくらい咳をする仕草をして、なじるのを終わりにする
「そういえば、ヤミさんはどうしたんですか?」
「ああ。ヤミさんなら今ホームの掃除をしています」
「へぇ…あの人掃除苦手そうなイメージがあったので意外ですね」
「ヤミさんはやるときはやる人ですから」
「ベルさんはヤミさんの事をよく知っているんですね」
シルさんの言葉にいえいえと返した。だがこれでじゃあさようなら、ではなんだかダメなヒューマンに思えたので忘れていた見返りと言う訳ではないが、簡単な注文をすることにした
〜ヤミさん〜
「ふーっ『激落ちくん』は学校で使おうが教会で使おうがやっぱり至高。簡単に汚れが取れた」
そう言って床についていた地味な汚れを全て消し終え、次は台所の汚れを取る作業に移ろうとするとドアが開いた音がし、階段を降りる音がした
「おうベル坊、結構汚れが取れ…何だその本」
「ああ、他の冒険者が店に忘れて置いてあった魔法に関する本をシルさんが…」
そう言ってベルはこちらに表紙を見せてくれた。「いやいや、ダメだろそんなもんもらったら」と言いながらとりあえず見てみると
『自伝・鏡よ鏡、世界で一番美しい魔法少女は私ッ』と書いてある
「おーいベル坊、地雷臭が半端ないぞ。大丈夫かそれ」
「ご、『ゴブリンでもわかる現代魔法!その1』て言うのもあるし、多分大丈夫」
「そうかい。それでもなんか胡散臭いけどな。んじゃ俺はまだやり残したトコがあるからゆっくり読んどけ」
そう言って俺は台所に向かって足を運んだ。だがこの本がベルが魔法を使えるようになるきっかけになるとは俺はまだ知らない