ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
おととい引いたら
ゾンビアイズ&ハロウィンラウル
今日引いたら
ハロウィンベート&ハロウィンリヴェリア
あとはレフィーアだけだ
「ハァ、めちゃくちゃ疲れた…」
現在俺はヘスティア様のバイトを終わらせ、まだ終わりの時間では無いはずなので市壁に向かって歩いていた
「ジャガ丸くんもらったからまぁいいか……んぁ?」
市壁の近くに来たは良いが何故か登り降りするための出入り口の周辺の明かりがない。薄暗い道が続いている
「……【領域】」
闇を展開し、索敵に長けた魔法を使い歩を進める。ある程度進むと
カンッキンッガンッ
俺の向かう先で鉄と鉄がぶつかる音がした。俺は走り音の発生源が目に映った
アイズさんが一人のキャットピープルと四人のパルゥムに挟撃されていた
「ベル坊達は!?」
慌てて探すとベルはアイズさんに見惚れているのかその場で立ち尽くしている。するとベルは一歩前へ…
「あの馬鹿ッ!!!」
だが俺は【領域】によってベル達の周り、建物の影に四人の敵がいることを感知していた
四人は一斉にベル達に襲いかかり、ベルは反応が遅れ…
バシンッ!
四人のうちの1人が黒いムチのようなもので叩かれ撃ち落とされたためすぐに他の三人は攻撃を中止した
「ヤミさん!」
ベルの顔が向く先には俺がおり剣から伸びたムチのようなものを振り回していた
「おっすベル坊。生きてたな。よし」
このムチは攻撃範囲の広い少量の闇を剣に纏わせたもの。刀身で切っているわけでは無い上に少量なため威力は低いが牽制にはなる
「アイズさん凄えな…5対1だぜ?」
未だ戦い続けるアイズさんを見てそう言うと視線を戻し叫ぶ
「ベル坊ぉ!!女なアイズさんがあんな頑張ってんだ!!男として弱い所見せらんねぇぞ!!!」
「……ッ!はい!」
ベルからの良い返事を聞くと出し惜しみ無しに魔法を発動させた
「【強奪】!!」
「「「ッッッッ!!?」」」
アイズさんの相手をしている者、俺達の相手をする者。簡単に言えば『敵』全てから身体能力を奪い、自分の物にする。敵はいきなりガクンと落ちた身体能力に驚き自分の腕を見てパチクリさせている。だがアイズさんの方の敵はそれでも戦いをやめてはいない
「さぁ……始めようか。言っとくがこれは『戦闘』じゃあねぇ…」
一歩、また一歩と敵に歩み寄る。だが相手もまた一歩一歩後ろへ下がる
「ウチの【
その瞬間に距離を詰め闇を纏った左手で敵1人の肩を掴み右腕を引きしぼり力を溜める
「…ッ…ッ!」
敵は暴れ肩の腕を外そうとするが闇のせいで身体能力はLv1以下さらに身体能力を奪われさらに力は下の下、そんな奴に外せるわけがない
「覚悟は出来たか?」
「や、やめ……」
敵の言葉に耳を貸さず殺意MAXの拳を振り下ろし
ギリギリで止めた
それだけで風圧が発生し、風が吹き荒れる。止めた拳をどけて敵を見ると気絶していた
〜久々のベル視点〜
ヤミさんがいきなり1人を気絶させた。それを見ていた僕は家族であるはずのヤミさんが恐ろしく思えてしまった
昔、おじいちゃんに見せてもらった英雄譚の中、ヤミさんに貸してもらった数冊の本の中にも今のヤミさんにふさわしい呼び名があった
『魔王』
悪魔の頂点に立つと言われる人間達の天敵にして力の王。その姿を見た気がして恐怖してしまう。だがその背中はそれ以上に……
「ベル坊ッ!」
固まっている僕の横をヒュッと何かが通り過ぎ
「ぐあっ?!」
後ろから呻き声が聞こえた。ハッと振り返ると後ろから敵が武器を持って迫って来ていた。そしてその右腕にはヤミさんが投げたであろうナイフが突き刺さっていた
「ベル坊!何があったか知らんが今はヘスティア様を守るぞ!」
「ア、アイズさんは?!」
「あいつがそんな簡単に死ぬかぁ!!」
僕の問いにヤミさんはアイズさんのことを無意識だろうがあいつ呼びで叫びながらこちらに向かって走って来ているヤミさんの後ろから大剣使いが斬りかかろうと振り上げているのが見えた
僕はすぐナイフを抜き振り下ろされた大剣を受け止める
「はあぁっ!?」
大剣がナイフに受け止められるとは思ってもいなかったのか驚きの表情に染まる大剣使いの男
「ナーイス♪」
ヤミさんがそう言って刀を振る…前に男は大剣から手を離し後ろへ下がると予備武器であろうナイフを抜き、僕達の周りを大きく走り回り始める。続いて気絶した1人を抜いて残りの2人もそれに加わり走り回る
そしてタイミングを合わせ一斉に飛び掛って来た
「神様、ヤミさん!伏せてください!!!」
そう言って僕は取り残された大剣を持ち、回転斬りを放った。大斬撃は敵三人を同時に吹き飛ばす
「おおおおおおおおっ!ベル君、今すごいカッコ良かったぞ!?惚れ直したよ!」
「お、落ち着いてください神様!?」
「でもあれが出来るようになったのはあの人のおかげ…」
「ヤミ君は黙っててくれるかい?」
僕に抱きついた神様はヤミさんを睨み付ける。ヤミさんはエイナさんに怒られる時と同じようにビクリと体を震わせる。そんないつものヤミさんの姿を見ているといつのまにかヤミさんに対する恐怖は無くなっていた
〜ヤミさん〜
「アイズさんっ!」
ヘスティア様に睨まれて固まっているとベルが思い出したかのように叫ぶと右腕を突き出す
ベルの声に反応したアイズさんはベルを見ると僅かに見張り、その場から離脱した
アイズさんの離脱を確認したベルは即座に唯一の魔法を敵に向け発射した
「【ファイアボルト】!!」
6連射ベルだけの魔法が敵に炸裂する。爆発した際の衝撃は闇を展開して盾にすることで防いだ
闇を解くとそこには
まだまだ余裕と言ったキャットピープルの男と気絶した四人を担いだ四人のパルゥムがいた
「詠唱を抜いて魔法を撃ちやがった……」
「それに…あの男、Lv1あたりだと踏んでいたのだが、どう考えてもLv2か3はあるぞ?急激な身体能力の減少に何か関係が…」
「あの方に報告だな。きっと喜ばれる」
ベルが無理な魔法の使用で動けなくなる一方で敵は笑みを浮かべて何か喋りごとをしている
「目立ちすぎだ。火のせいで直に人も集まるぞ」
「分かっている。……もう十分だ、退くぞ」
そう言って敵はその場を離れた。それを確認すると
「ヤミさん?!」
ドサリッと俺は大地に背をつけた俺を見てベルが声をかける
「大…丈夫だ。筋肉痛だよ…それに心配なのは…」
そこまで言うと急激な身体能力の低下による反動が返ってきた。脱力感が俺を襲い全くと言っていいほど動けなくなった
「……大丈夫?」
「大丈夫だけど…しんっっっどい!!!」
傷はないが動けなくなった俺に心配の声を掛けてくれるアイズさんにそう伝える
「あの、アイズさんの方は……」
「私も、平気だよ」
「そいつぁようございんした。っとベル坊、肩貸してくれ」
ベルに頼むとすぐに肩を貸してくれる。するとベルが疑問を口にした
「あの人達、なんだったんでしょう。いきなり襲ってきて……」
「光まで消して、人払いも済ませていた。計画性がありまくりだな。理由もなく闇討ちなんて…「よくあるよ」…あるんかい」
だが、ダンジョンの外で仕掛けられるのは珍しいらしい。…中は普通にあるのかよ
「しっかし解せないなぁ。ヴァレン何某君が狙われてるならともかく、しっかりベル君達まで襲われていたじゃないか。まぁ、ヤミ君の強さは誤算だったらしいけどねっ!!」
「はっはっはぁっ!!」と笑いながら胸を張りそう言うヘスティア様
直後。後ろからくるおぞましい視線にぞっ、と体が震える。だが俺は動けない。だがベルも同じようでベルだけはそこを見上げていた