ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
あれから二日、ベルはミノタウロスのドロップ品、ミノタウロスの角でヴェルフにナイフを作ってもらったようだ
「綺麗な刀身だな〜。にしても、危うくこれに『ミノたん』って……」
「うん。あれは危なかった」
ヘスティア様に【ステイタス】の更新をしてもらっているベルがそう呟く。俺はすでに更新は済ませている
ヤミ・ガズヒラ
Lv2
力:D539→B784
耐久:E412→D539
器用:E456→C616
敏捷:F314→E499
魔力:F327→E418
純粋I
≪魔法≫≪スキル≫そのまま
「よしっ、終わったよ」
自分の【ステイタス】が書かれた紙を見ているとベルの【ステイタス】の更新が終わったらしい。さて、Lv2に上がってアビリティ0からどれくらい成長したか…
ベル・クラネル
Lv2
力:I0→G267
耐久:I0→H114
器用:I0→G288
敏捷:I0→F375
魔力:I0→H189
幸運I
≪魔法≫≪スキル≫そのまま
凄いとしか言えない。殆どのアビリティの上昇値が俺の上昇値を上回っている。敏捷に至っては俺を超える勢いだ
「ヤミさん。これなら、エイナさんは許してくれるかな?」
「この【ステイタス】に4人1組……メンバーはLv1と2、二人ずつ…うん。多分大丈夫だ。中層に行ける」
そう答えを出すとワクワクと心が踊った。中層、ソロで行っていいかとエイナさんに相談した瞬間その場で雷が落ち、今まで行けなかった12階層から下の階層
そこに明日から行けるのだ。しかも仲間と!
『ルギャ「邪魔」
シルバーバックの叫びも聞かず一刀両断。真っ二つになったシルバーバックは魔石に変わる
ベル、リリ、ヴェルフも他のモンスター達を斬り伏せながら走る
「霧、抜けます!」
10階層とは比べものにならない濃い霧の中でリリの声が聞こえた。煙のような霧から出ると最初に目に映ったのはもはや見慣れたモンスターの群れ、次に13階層へ降りるための道、洞穴のような巨大な穴である
「さっさと片付けんぞ!
「うん!」
リリとヴェルフを置いて俺とベルはモンスターの群れに突っ込んだ。俺達の存在に気づき威嚇をするモンスターの群れ
「ホイホイっと【無明斬り】…6連!」
使い慣れた斬撃を6連で飛ばす。それだけでシルバーバック、オークが複数体灰に変わった
『ロオオオオッ!!』
「ふんっっ!!!
ハード・アーマードが転がりながら突進してくるが刀で切る。前は切ることが目的だったため切れてはいなかったが、今回は技術なんて使わず。力いっぱい降ることしか考えていない
「だあああありゃあああああ!!!」
とても技なんて呼べないそんな一太刀はハード・アーマードを無理矢理切り裂いた
「では、最後の打ち合わせをします」
モンスターを全滅させ、床に膝をついて小さな円を作り、リリが小さな絵を描いて説明を始めた
「中層からは定石通り、隊列を組みます。まず、前衛はヤミ様にヴェルフ様」
「俺でいいのか?」
「むしろここ以外、ヴェルフ様の務まる場所がありませんヤミ様は…」
リリが俺の顔を見てハァ、とため息を吐きながら言う
「……暴れたいでしょうし」
「よーく俺の事をご存知で」
ハッハッハと笑う俺をリリがジト目で見つめてくる。なんだよ?めちゃくちゃ楽しみだったんだよ。悪いか
「…すいません、続けます。ベル様は中衛を。御二方の支援です。攻守を両方こなして貰うことになります。負担は一番大きくなってしまいますが…よろしいですか?」
「うん。大丈夫」
頷くベルを見て「リリは消去法で後衛です」と締めくくった
「ヤミ様。わかっているとは思いますが、このパーティはヤミ様を抜いたら火力不足になります。なのでくれぐれも、くれっぐれも!勝手にどっか行くとかいう事はないようにしてください」
「わーってるよ。初めての場所に足を踏み入れるんだからそんな馬鹿はしねぇよ」
「ヤミさんに全てがかかってるって感じか…厳しいな」
「尻尾を巻いて引き返しますか?今ならまだ間に合いますよ?」
そんな言葉を交わしているとふと気づいた。ベルが笑っている。それにリリとヴェルフも気づいたらしく不信に思う
「何笑ってんだ、お前?」
「え……僕、笑ってた?」
「ニヤニヤしてたな」
「はい、すっごくにやけていました」
ベルは慌ててごめんと謝罪する。なんで笑っていたか聞くと顔を赤らめて口を開いた
「え、えっと…賑やかでいいなぁっていうか……凄くパーティらしくなってきて、嬉しいというか…
それに、さ。こういうのワクワクしてこない?みんなで力を合わせて、冒険しようって」
………
「……くっ、はははははっ!そうだよな、こういうの、ワクワクするよな!ワクワクしなきゃ、男じゃないもんな!」
「俺も昨日からワクワクしてたな。どんなモンスターが来るのか…とか」
「リリは少し賛同しかねますが…でも、ベル様のお気持ちはわかります」
少しの静かな時間が過ぎるとヴェルフは笑い。俺は同じだと言い、リリは苦笑を浮かべながら微笑ましそうに笑う
「それでは、準備はよろしいですか?」
「ああ、問題ない。行こうぜ」
「心の準備は出来てるな!」
「うんっ」
立ち上がり中層へ行くための大穴へと進む。そのまま意を決して中層への一歩を進んだ
「ここが中層か……」
「話には聞いていましたが、今までの階層より光源が乏しいですね」
大刀を装備しているヴェルフと、早速地形へ目を走らせるリリがそれぞれ口にする
「まさかお前ら、これくらいで戦いに支障をきたしたりはしないよな?」
「そんなわけないだろ。天下のヤミさんはどうだ?」
「まさかヤミ様、暗いのが怖いとかはありませんよね?」
冗談に冗談に返された。それに対して「それはないな」と断言した口調で返す。暗いのは見慣れてるからな
「13階層はルームとルームを繋ぐ通路が長いのが特徴です。安全に戦闘を行うためにも、まずリリ達は迅速に最初のルームへ到達しなければなりません」
リリの言う通り13階層の通路横幅は上層よりも広いが基本的にこんな場所で陣取ってモンスターと戦闘をするのは下策だ
「モンスターと出くわさない内に少しでも前進しましょう。ヤミ様、ヴェルフ様、この通路は一本道なので道なりにガンガン進んじゃってください」
「「
リリから聞いたのだが、リリは13階層の地図を頭の中へ叩き込んできたらしい。直接的なサポートは少ないがこういったサポートは直接的なものより頼もしい…かも
「…それにしても、やっぱり派手だよな、コレ」
「『サラマンダー・ウール』の事ですか?」
「ああ、着心地は文句ないんだがな」
ダンジョンの雰囲気の中張り詰めた空気の中ヴェルフが軽い調子で話題を降る。話すことがないためそれにもちろん乗った
「効果は本物らしいから若干派手でも文句は言えねぇよ」
「そうですよ、リリなんてこんな立派な護符を着れるなんて思いもしませんでしたから。ベル様に感謝しないと」
「あははは…割引きしてもらったものだけどね」
『精霊の護符』。精霊が己の魔力を編み込んで作ったとされる一品らしい
「割引してもらったなんていっても、精霊が一枚噛んでる装備だ、とんでもない値段だったろ?4人分でいくらだ?」
「えーと……簡単に0が五つ並んだくらい……」
「ヴェルフ様、ベル様がお払いになったお金はしっかり返してくださいね?」
「ほんと清々しいくらいに現金なパルゥムだよ、お前は」
「ハッハッハ。それなら0が五つどころか倍の十個くらい並ぶ額稼ぐ気持ちで行きゃあいいだろう」
ヴェルフとリリのやりとりに俺はまた笑いながらそう言った