ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第39話トラブル

 現在俺達は別名『放火魔』と呼ばれている『ヘルハウンド』と対峙している。二体と少ないが油断ならない相手だと聞いている

 

「すまん。ちょーっと試したいことがある」

 

 倒すついでにあるベルでやり損ねていた実験をやろうと思った『サラマンダー・ウール』があるし大丈夫だろう

 

「ヤミさん、何する気?」

 

 ベルがそんな事を言ってる間に片方のヘルハウンドが口から炎を放ってきた

 

「ちょうどいい。【闇纏い】」

「「「ヤミさん()?!」」

 

 待ってましたと俺が前へ出てヘルハウンドが放った炎に向かって闇を纏わせた手を突き出す

 もちろん炎は俺を襲ったが

 

「ふぅ、実験成功……ヒヤッとしたな。手応えからして、威力は無効化出来ないと…」

 

 熱くない。火傷もしない。まるでそこに壁があるかのように炎は防がれていた

 

「実験完了っと」

 

 そう言い終わった時には二匹のヘル・ハウンドの頭は斬り落とされていた。ほんの少し遅れて灰に変わり魔石へと姿を変えた

 

「おーい終わっt…「えい」うおっ?!危ねぇな!」

 

 笑顔でベル達のところへ戻ろうとするとリリがハンドボウガンを引きしぼりその矢を放ってきた。ギリギリで避けたものの当たっていたら怪我をしていただろう。ダンジョンで仲間からの攻撃で傷を受けたなどシャレにならない

 

「ヤミ様?リリはさんざんいいましたよね?勝手に行動しないで欲しいと…なのに何故勝手に行動したのですか?ねぇねぇ」

 

 ジリジリとリリが俺に向かって歩みを進める。俺は俺で冷や汗を流しながら後ろへ下がる

 

「リ、リリ?ちょーっと落ち着こうか?ここ中層、中層だから。早く前進まないとダメだから。ベル坊、ヴェルフ!ちょっとリリを落ち着かせてくれ!!」

 

 たまらずそこにいた仲間にsosを送るが

 

「今のはヤミさんが悪いよ」

「だよな?完っ全にアンタが悪い」

 

 仲間などそこにはいなかった。気づけばリリがもうすぐ目の前まで来ていた

 

「……ヤミ様。今は説教はしません。地上に戻ったら覚悟していてください」

「す、すいま「ヘスティア様やエイナさんにもこの事は報告するので忘れずに」あああああああああああああああっ!!?」

 

 とりあえず地上に出たら処刑される事が決まった。もうダンジョンに住もうかな?…ん?

 

「あれは……」

「なんですかヤミさ、ま?!」

 

 俺とリリが驚いた事を不思議そうにこちらを見るベルとヴェルフが俺達の視線の先にいた物を見た

 そこには可愛らしい兎の外見をした三匹のモンスターがいた。その兎の名は『アルミラージ』。ツノの生えた兎だ

 

「あれは……ベル様!?」

「違うよっ!?」

「ベルが相手か……冗談きついぜ」

「いや完璧に冗談だから!?」

「なんだベル坊、兄弟がいたなら言えば良かったのに……ヘスティア様は歓迎してくれるぜ?」

「僕に兄弟なんてヤミさん以外にいないよ!?」

 

 ヴェルフ、リリ、俺の言葉にベルがキレのいいツッコミが入る

 つーかベル、俺の事、兄貴だと思っててくれたのか。ありがとよ

 

 

 

 

 

 最初のアルミラージを倒して数分。俺達はそのアルミラージの群れに囲まれたため相手にしていた

 

「息つく暇もない、ってな!」

「無駄口叩く暇もないです!」

「ベル坊が14匹〜。ベル坊が15匹〜。ベル坊が…」

「ヤミさん!怖いよ!なんでそんな事を言いながらアルミラージ倒してるの!?」

 

 だがヴェルフが大刀を振り回し、リリが矢を放って援護、俺はベルを…じゃないアルミラージを倒した数を数えながら、ベルはツッコミを入れながら倒す。こんな風にワイワイ返り討ちにしていた

 すると【領域】に何かが入った。横目にそれを見ると5、6人で構成された。他の【ファミリア】の冒険者が近づいていた。負傷者もいるその一行はわざわざ俺達の戦域付近を掠めていった

 

「なんださっきの……ッ…おいおいマジか?これ」

 

 その冒険者一行が俺達の戦域から出た瞬間にまた【領域】に何かが引っかかった。だが明らかに数がおかしい

 リリもそれに気づいたようで声を荒げながら声を出した

 

「いけません、押し付けられました!」

「え……?」

「さっきの冒険者パーティがモンスターに追いかけられてた。それを押し付けて来たんだよ。そらきた」

 

 俺の声にベルとヴェルフが俺の視線の先を見る。そこには今対峙しているモンスターの倍の数のアルミラージとヘルハウンドが走ってきていた

 

「退却します!ヴェルフ様っ、右手の通路へ、早くッ!!」

「おいおいおいっ、冗談だろ!?」

 

 全員がリリの声に従い右手の通路に足を動かした。だが進むにつれ追いつかれると本能的な何かが語り掛けてくる

 ベル、ヴェルフ、俺なら多分逃げ切れるがリリが危ない。リリを置いていく?馬鹿野郎、やるわけねーだろそんな事

 

「っ!?ベル様!?ヤミ様!?」

 

 反転してモンスターに向き直すとリリが呼ぶ声が聞こえる。隣を見るとベルも同じ考えだったようでそこにいた。

 

「「先に行って()!」」

 

 そういってベルは左手を突き出し、俺は刀に闇を纏わせ横薙ぎに振るう体制に入る。先に動いたのはベル

 

「【ファイアボルト】!」

 

 ベルの魔法の三連射。その炎は一本道を埋め尽くし、視界が遮られるが炎の中から断末魔が聞こえる

 次に追撃に俺が刀を横に振るった

 

「【範囲攻撃型・無明斬り】」

 

 威力は多少低くなるが横にでかい斬撃を炎の中に放つ。その瞬間にベルが仕留め損ねた四頭のヘルハウンドが炎の中から現れたがその瞬間に斬られた

 

「「大丈夫ですか()!?」」

 

 後ろから逃げていなかったリリとヴェルフがやってきた

 

「二人共、大丈夫?」

「は、はい…ベル様とヤミ様のおかげで」

「畜生め…」

 

 3人が話す中、俺があることに気づいたため割って入った

 

「あー、みんな?残念な知らせがある

 挟み撃ちだ」

 

 そう言った途端に奥からまだ残ったモンスターの大群が、逃げ道から新たなアルミラージがピョンピョンやってきた

 

「中層ってのは何でこう、モンスターが寄ってくるのが早いんだ。休む暇がないぞ」

「中層だから、でしょう」

「は、ははっ……」

 

 軽口を叩き合いながら、リリがポーションを取り出し俺達3人に回す

 ポーションを一気飲みすると喉に詰まらせ、むせながら問うた

 

「ゴホッ、ゴホッ…さーて、どうする?戦うか?逃げるか?まあ、逃げるために戦うから両方になるんだが」

「よくわかってるじゃないですか。ヤミ様」

「じゃあ、奥か逃げ道かのどちらか片方を強引に突破?」

「それが最良だな」

 

 意見を出し、最後に頷いた俺達は全力で走り出した

 

 

 

 

 

 もう何匹のモンスターを倒したかわからない。長期戦になるのは目に見えていたため体力を大量に消費する【強奪】は奪われている。そもそも『精神疲労(マインド・ダウン)』を避けるために『魔法』自体を極力使わずに倒さなくてはいけない

 そのため【領域】も使わず自分の目と感覚でモンスターを捌かなくてはとなるのだが

 

『ガァァァァァァァァァッ』

「ッッッてぇなぁッ!!!」

 

 それでは限界が生じた。あまりの数に捌ききれずヘルハウンドに左腕を噛まれる。頭に刀を一刺しする事でヘルハウンドを外すが噛まれた場所から血が流れる

 

「ヤミさん!?大丈夫!?」

「心配すんな!この程度じゃ死なねぇ!」

「叫んでる暇があるなら早くモンスターを倒してくださいッ!」

 

 心配してくれるベルとモンスターをハンドボウガンで対抗しながら叫ぶリリ

 そんな中、頭にパラパラと小石がぶつかる

 

(ん?何だこれ?)

 

 そう思い上を見上げると

 

『キィァァァァァァァーー!!』

 

 上層でも見た無数の『バッドバット』が天井から産まれていた。天井が黒い影で覆い隠され、そして産まれたせいで穴だらけになった天井は

 崩落した

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