ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
俺の目の前には数を減らした数匹のゴブリン達がおり、俺に恐怖を覚えたゴブリン達は俺に背を向けて走りだした
「ベル坊! そっち行ったぞ!」
「わかった! おりゃああああ!」
待機していたベルが叫びながら残りを一気に片付けた。フーッと息を吐くベルに近づきハイタッチのために手を挙げた
「「お疲れ様」」
そう言ってお互いハイタッチした
ファミリアに入ってから約1ヶ月が経つ
俺達のステイタスはこんな感じだ
ヤミ・カズヒラ
Lv1
力G:231
耐久H:124
器用G:209
敏捷H:150
魔力H:109
ベル・クラネル
力I:77
耐久I:13
器用I:93
敏捷H:148
魔力I:0
1〜4階層までしか行ってないからか早熟するとしても俺の上げ幅は小さかった。ベル坊はそれを羨ましそうに見ていたが…
ベル坊はナイフ、俺は木刀を片手にダンジョンに挑む
『何故木刀なのか』って? せっかくだし折れるまで使おうと思い1ヶ月間の間、使い続けていたがこれが中々折れない。なにでできてんだこれ?
「ヤミさん! そろそろ五階層に行きませんか?」
ベルが目をキラキラさせてこちらに訪ねてくる。答えはもちろん
「ベル坊、エイナさんにダメだって言われてるだろ? 勘弁してくれよ。バレたらあの人に怒られるのは俺だけだぜ?」
「そんなこと言わずに! お願い!」
ベルが両手を合わせてお願いしてくる
「………ハア。数分だけだぞ?」
「やったあ!!!」
喜んだベルはさっそく五階層に向けて走り出した。俺もベルを追って走り出す
しかし、この後に起きる出来事を忘れていた。いや、仕方ない事だろう。ダンまちの本を見たのは三年前、そこから一回も読んでない。購入で見ようと思ったが、そのダンまちの住人達の前でダンまちなど読めるわけがないし、修行ばっかでダンまちのことを思い出している暇すらなかった
故に…
「ヴヴォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
「「ほぁああああああああああああ!!!」」
二人して突如現れたミノタウロスに追いかけられている
逃げ過ぎて上層に上がる道が見つからない。ついには行き止まりに当たってしまった
振り返るとミノタウロスがもう逃げ場はないと言うように一歩ずつ歩いてきていた
「…ベル坊、俺があいつの動きを止めるからその瞬間にあいつの脳天にナイフをぶっ刺せ」
そう言って居合の構えを取り、木刀の柄に手をやる
「む、無理だよ! 相手はミノタウロスだよ?! 勝てるわけが…」
「無理だなんだと言う暇があるなら体動かせ。勝てなくても無抵抗で死ぬよりかはいくらかマシだろ」
そう言ってる間にミノタウロスは空気を読んだのかわからないが突進の準備に入っている
ベルはさっきの言葉でやる気になったのかナイフを構えている
「ヴヴォオオオオオオオ!!!」
「【
ミノタウルスが突進した瞬間、俺はミノタウロスから身体能力を奪い取りながらさらに【闇魔法】で木刀に闇を付与し、角を狙い木刀を抜いた。これならLv1の俺とLv2相当のミノタウロスの力だけは互角…の筈だが…
ガンッ
ピシッバキッ
タイミング悪く攻撃を当てた瞬間、木刀にヒビが入り、刃の部分が砕けた。だが、ミノタウロスの突進は一瞬だけ止まった
「今だっ!!!」
「はああ!!!」
待っていたかのようにベル坊が雄叫びを上げながらナイフをミノタウルスの頭に突き刺した
「ヴヴォオオオオオオオオ!!!??」
ミノタウルスが頭を押さえ痛みに悶絶している
「やったか?!」
ベルがフラグを立ててしまった。するとミノタウロスの叫び声は徐々に小さくなり、目は俺達を見据えていた。多分ベルの力じゃ硬い体のミノタウロスの骨は硬過ぎて脳まで達していないのだろう
「ヴヴォオオオオ!!!」
「うわあああ!!!」
ミノタウロスは激怒しているのかベルに狙いを定めた。ベルは臀部を地面に落とした体勢で後ずさりしている。俺はそうはさせまいと走り出す
その時だった。横に凄く早い何かが走り抜けたかと思うとミノタウロスは切り刻まれた
それをしたのは俺より少し年下くらいの金髪の少女だった。俺はその名を知っている。ロキ・ファミリアに所属する第一級冒険者
【
「……大丈夫ですか?」
「……」
アイズさんの目の先には赤い液体、血にまみれているベル坊の姿があった。ベルは無言でいるため、アイズさんが少し慌てて再度安否を確認する
「あの……大丈夫…ですか?」
「だ…」
「だ?」
「だあああああああああああああ!!!」
脱兎の如くベルは走り去って行った。……俺を置いて
アイズの仲間だろう獣人の男は腹を抱えて笑っていた
とりあえずベルの代わりにも俺は頭を下げて礼を言う
「あの…ありがとうございました」
「……はい」
そう一言だけ呟いたのを聞くと「それでは」と言って帰ろうとするのだが何故か後ろから肩を掴まれた。振り向くと当たり前だがアイズさんが俺の肩を掴んでいた
「あの…痛いんで離してくれません?」
「……ダメ。聞きたいことがある。…君、木刀使ってた。木刀でLv1でミノタウロスと互角レベルの力を引き出してた。その秘密について知りたい」
どうやら俺の魔法に興味があるようだ。だがヘスティア様が言っていたことを思い出す
『公になってしまえば娯楽に飢えた神達が君を狙うだろう』
俺としてはそんなことになってしまえば面倒くさいことこの上ない
だから…
「お断りします」
そう言って振りほどこうとするが、さすが第一級冒険者。振りほどけない。そして獣人の男も笑うのをやめて口を開いた
「雑魚は雑魚らしく何もしねえ方がいいぜぇ?」
「へー。んじゃ、雑魚じゃないから何かをして逃げるわ。【強奪】」
魔法を発動させLv5の二人の身体能力を奪った。奪える力は奪う相手の強さによって変わるらしく。今の俺の身体能力はこの二人分でLv3相当に変わる
「なん…だ…? 力が入んねぇ…」
「……何をしたの?」
獣人からは混乱の表情が見て取れるがアイズさんは無表情だから混乱をしているのかわからない。だが、能力は下がったのは確かだ。しかしアイズさんは肩を掴んでいる手は離してはくれない
「さぁ? 雑魚じゃないから何かをしたとしか…力強いな…あ、ミノタウロス!」
アイズさんの後ろを指差しそう言うとアイズが振り返る。だが、そこは行き止まりの壁。気を取られた隙に俺は手を引き剥がし逃げ出した
「させるかよっ!!!」
もう下がった身体能力に適応したのか獣人が行く手を塞いでくる。俺はあるものを取り出し獣人の目の前に突き出すと思いっきり紐を引いた
パンッ!
ただのクラッカーだ。だがこの世界に来てから俺はクラッカーと言う物を見ていないため、この世にはないのだろう
「耳があああ!!!」
大きな音に対して獣人は怯むどころか耳を抑えて転げ回っている。俺はそれを無視して逃げる足を早めた
「【
風を纏ったアイズさんが風で加速してくる。だが…
「?!」
今度は驚きの表情が現れた。それもそうだ。纏った風が突如として何かに吸い込まれたように消えたのだから
「んじゃ、また会えたらな! 出来るだけ会いたくはないけど!」
そう言って俺はその場を走り去った
なんとか逃げのびた俺はほぼ
「ヤミさん。聞きましたよ! ミノタウロスに襲われたって。大丈夫ですか?」
ギルドに戻るとエイナさんが出迎えてくれた
「大丈夫大丈夫。生きてんなら問題なしでしょ?」
「はい、そうなんですが……あれほど五階層に降りないでくださいって言いましたよね?」
あっ……
この後、精神的にも肉体的にも疲労状態でエイナさんから説教と言う拷問に似た何かを1時間程受けた後、解放された
「逃げずに捕まればよかったよ」