ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第40話zzz…

 崩落した岩の豪雨、それを見た瞬間俺達は地面を蹴った。みんな周りを見ず必死に走った

 岩の雨が収まると周りに土煙が立ち込めていた

 後ろから負傷したのかヴェルフの呻き声が聞こえ、 左にはリリの呼吸音、右にはにはベルらしき人の影があった

 前には

 

『ガァ……!』

 

 ヘルハウンドの群れが口内を赤くしながらこっちを見ていた

 

『ガァァァァァァァァァッ!!』

「しゃあねぇ!」

 

 一斉に口から炎を吐き出してきた。それと同時に俺は使いたくなかった魔法をその場で生成する

 すると一箇所にポツリと黒い球体が現れた

 

暗黒孔(ブラックホール)

 

 ヘルハウンドから放たれた大爆炎はその球体に吸い寄せられ吸収されていく。その光景を見て俺以外の全ての者が動かない

 

「お前ら!逃げるぞ!あれは長く持たない!」

「ヤミさん!あれは…」

「話は後だ!ヴェルフ、動けるか?!」

「あ、足が…」

「肩貸す!リリは?!」

「リリはまだ走れます!」

 

 その声を聞いて全員が全速力で駆け出した

 だがそこで足元を見ることを全員が忘れていた。そこには下の階層に落ちるための落とし穴があった

 

 

 

 

 

 

 

 道具や魔法などをその中に吸収し無効化する魔法「そんな便利な魔法があるなら最初から使え」とか言われそうだが便利であれば便利であるほど魔力が馬鹿みたいに持ってかれるのが【想像魔法】である

 そのため

 

「『精神疲労』…」

 

 朦朧とした意識の状態でヴェルフに肩を貸している俺を見てベルが呟いた

 

「大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫。意識さえ強く持ってたらこの程度どうってことないんだよ。『精神枯渇』じゃない限りは大丈夫だ」

 

 現在13階層から落ちて推定14階層、そんな中4人パーティの内1名負傷(ヴェルフ)1名過度な疲労(リリ)1名精神疲労(ヤミ)、どう考えても最悪の状況の真っ只中だ

 

「三人共……いざとなったら、俺を置いてけ」

「馬鹿たれ……俺が囮になんだよ」

「なに馬鹿なこと言ってんですか……」

「絶対に、無理」

 

 歩きながら全員が疲れた声、顔でやり取りが交わされる

 

「……っ。行き、止まり」

「迷ったな」

「声に出さないでくださいヤミ様」

 

 どこへ行っても壁、壁、壁。そのたびに全員の顔に疲れがさらに滲み出る

 

「一度、落ち着きましょう」

 

 リリがその言葉を告げる。それに従いとりあえず全員がその場に腰を下ろした

 

「まずは、パーティの装備を確認しましょう。治療用のアイテムですが、リリはポーションが四、解毒剤が二。ベル様達は?」

「俺は何も残っちゃいない」

「同じく」

「僕はまだ、レッグホルスターにポーションがいくつか」

 

 みんなアイテムを取り出し見せる。リリはウンウンと頷き

 

「わかりました。では次に武器です。リリはボウガンを先の崩落で失いました。ヴェルフ様の大刀は無事で……」

「俺は刀がある。ベル坊は…短剣と小型盾をなくしたな」

「う、うん。でもナイフはどっちも無事」

 

 サラマンダー・ウールも無事なことを確認すると「わかりました」とリリが言い

 

「…今後の方針ですが、武装もアイテムも限られる中、生きて帰還するためにはできる限りモンスターとの戦闘は避けなければいけません。状況が許すならば、逃げの一択です」

 

 そう言って次にリリが驚きのことを口にした

 

「…取り乱さず聞いてください。これはリリの主観ですが……今いる階層は15階層に近いかもしれません」

「「……!」」

「…マジ?」

 

 ベルとヴェルフの二人が絶句する中、俺だけがリリに聞いた

 

「推測なのでマジ…とは言えませんが、縦穴から落ちた時間を顧みるに、2階層分の距離を落下した可能性があります。この階層の特徴、通路の幅や光源、迷宮の難解さなど、13、14階層よりも15階層のそれに近いです」

 

 辺りを見渡してみる。全くと言っていいほど違いが分からなかった。そんな中リリは続ける

 

「ここからが本番です。上層への帰還が絶望的であるのは間違いありません、ですが、ここであえて上へ登る選択肢を捨て、下の階層、18階層に非難する方法があります

 18階層はダンジョンに数層存在する、モンスターが生まれない安全階層です『下層』の進出を目指す冒険者が間違いなく拠点として利用しているはずですので、そこまで行けば安全は確保されます」

 

 なるほど、と納得しているとベルが入ってきた

 

「リリッ、待って。この階層からも生きて帰れるか分からないのに、これ以上下の階層に向かったら……」

「縦穴を利用します。中層に数え切れないほど点在する落とし穴を発見して、飛び込めば…」

「階層主はどうすんだ?『ゴライアス』…だったか?聞いた話じゃ一歩前の17階層で待ってるんだろ?」

 

 俺の問いにリリは確信を持った口調で答えた

 

「ベル様が『ミノタウロス』を倒した日…約二週間前に【ロキ・ファミリア】が『遠征』へ出発しています。大人数の部隊で向かった彼等は無用な被害を防ぐため、階層主を素通りせず、確実に仕留めているはずです」

 

 ゴライアスの次産感覚は約二週間、時間を考えればまだギリギリ間に合うはずだとリリが言った

 

「正気か、お前」

「正気じゃなけりゃこんな賭けでしかない馬鹿げたもん考えねぇだろ」

 

 ヴェルフの言葉に笑いながらそう言うと「だが」と続ける

 

「悪くない。歩き回って上に行くのは面倒くさいしな」

「これはあくまで選択肢の一つです。ベル様達の言う通り歩き回っていれば、他所のパーティと会って助けを請うこともできるかもしれませんし

 ……リリは、リーダーのベル様のご判断に任せます」

 

 最後のリリの一言でベルが「えっ?」と言う反応をした

 

「リ、リーダー?ぼ、僕が?ヤミさんじゃなくて?」

「ん?ベル坊だろ?どう考えても。弱いけど臆病さが充分だし。な?ヴェルフ」

「ああ、ずっとベルがリーダーだと…」

「いやいや!弱いと臆病があったら充分リーダーじゃないでしょ?!」

 

 俺達の考えをベルが必死で否定する

 

「……ベル坊、動物が群れで生き物が動く時、ボスに必要な最低限の能力が何か知ってるか?」

「えっ…つ、強い…とか…」

「違う。強さ云々もそうだが、一番重要なのは…臆病さだ

 いいか?例えば…無敗を誇る強さを持つやつがボスをやると、ボスを含めた群れ全体で挑んでも勝てない相手と対峙した時、自分なら勝てると信じて疑わずに突っ込んで自滅する

 その点臆病者がボスをやれば勝てないとわかった途端に逃げだす。群れはそいつがボスだから逃げの一手に従って生き残る

 …さて、ベル坊。このパーティの中で一番の臆病なお前に聞く。俺達が生き残るためにはどう動けばいい?」

 

 真剣な目でそう聞くとベルが少しの間、無言になる。そして意を決した顔で答えた

 

「…進もう」

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