ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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次回、長らくおまたせしたような気がします
外伝『パンデミック・オラリオ』です
え?
「そういうのは後書きに書け」
って?
いいじゃん!いいじゃん!これが俺なんだから!


第44話甘すぎる果実

「げっ、あいつ等……」

 

 テントから出ると結構な人が輪になって座り込んでいた。その中にヴェルフの所属する【ヘファイストス・ファミリア】の上級鍛治師が紛れているらしい

 

「おい、なんか注目されてんぞ」

「仕方ないですよ。リリ達は他所者なんですし」

「まぁそうなんだが、ベル坊が……」

 

 そう言ってベルを見るとガチガチに緊張し、その上様々な視線にビクビクしている姿があった。締まらねぇ…

 そんなベルの姿を見たアイズさんに人気の無い場所を勧められた。失礼しますと

 左から

 ヤミ、ヴェルフ、リリ、ベル、アイズ

 の順でそこに座る

 

「みんな、聞いてくれ。もう話は回っていると思うけど、今夜は客人を迎えている。彼等はお互いのために身命をなげうち、この18階層まで辿り着いた勇気ある冒険者達だ。仲良くしろとまで言うつもりはない。けれど同じ冒険者として、欠片でもいい、敬意を持って接してくれ。……それじゃあ、仕切り直そう」

 

 フィンさんが一人で立ち上がって俺達の紹介をしてくれた。揉め事を防ぐため、冒険者の自尊心に訴えるような彼の口上にリリが感心していた

 

「ん?どうしたベル坊」

「ヤミさん……これ、なんとかできない?」

 

 配られた食料、18階層で採った琥珀色の果実、『雲菓子(ハニークラウド)』をなんか変な顔になりながら差し出して相談してきた。とりあえず俺も貰った物を一口食べる

 

「甘っ!?何これ!?」

「うん…めちゃくちゃ甘いんだよ、これ…」

 

 濃厚な甘みが口の中全体に広がる…のはいいのだがこれは甘すぎる。【ロキ・ファミリア】の女性達はそれを普通に食べていた。女子って凄え……

 

「よしっ、ちょっと待ってろ。アイズさん、水ってあります?」

「ある、けど何するの?」

「ハッハッハッ、ちょっとした料理?をな」

「ヤミさん、それ俺も頼む」

「リリもお願いします!」

 

 結局ベル、アイズさん、リリ、ヴェルフの分を作ることになった

 

 

 〜 ヤミさん調理中 〜

 

 

 

「ほらできた。雲菓子(ハニークラウド)を絞って水で割ったジュースみたいなやつだ」

 

 要するに『○○ピス』の下位互換だ

 そう言って差し出したのは琥珀色の飲み物、味は大丈夫。…多分!

 

「「「「「頂きます」」」」」

 

 全員でそれを飲むとちゃんとした甘さが口に広がった

 だが少し酸味的なアレが足りないな…

 また18階層来たらこれ作ってレモン入れるのもいいかもな。人の前だから【購入】使えないけど

 

「美味しいです!ヤミ様!」

「これ本当にさっきの実か?!めちゃくちゃうめぇじゃねえか!」

「……美味しい」

 

 リリ、ヴェルフ、アイズからの評価は最高だった。ベルは……

 

「うーん……」

「どうしたんですかベル様?」

「ああ、うん。なんだか少し足りない感じがして……こう、酸味が欲しいって言うか」

 

 いつも種類豊富な俺の料理を食べているベルはそう言う。そして足りないものが分かっている。さすが俺の弟分……

 

 

「あんぱんくーん!」

 

 明るい声が近くで聞こえる

 なんだ。『あんぱん』とか言うふざけた名前のやつがこの世界にいたのか。凄い名前だな〜

 そう思いながらジュースを飲んでいると背中をバンッと叩かれ衝撃で口のジュースを吹き出した

 

「ちょっとティオナ!」

「あ、ごめんごめん!あんぱん君!」

 

 口についているジュースをぬぐいながら振り返ると双子のアマゾネスがいた。胸のある方がティオナと呼ばれる胸のない方に注意すると軽く謝ってきた

 つーか「あんぱん君」は俺かよ…

 

「『あんぱん君』じゃない。『ヤミ・カズヒラ』だ。つーかなんであんぱん?」

「えー?アイズが君の事を『あんぱん』って呼んでたから…まぁいいや!ヤミさん…だったよね!アイズ達に作ったって言うジュース、まだ作れる?」

 

 アイズさんがか……あの人、俺の名前忘れてないよね?

 あんぱん>俺

 じゃないよね?

 

「あー、あれか?『雲菓子』さえあれば作れるぞ」

「本当に?!じゃあ作ってくれる?」

「いいぞ。…えーと?胸n「ティオナだよ。んで、こっちがティオネ」…あ、ハイ」

 

 ティオナさん。なんか一瞬、凄い怖かった…

 ついでにティオネさんにも頼まれたため作る事にした

 

 

 数分後…

 

 

「私にも一杯!」「俺にも!」

「はいよ、ちょっくら待ってろ」

 

 どうやら噂と言う物は広がるのが早いようで…

 今現在俺は【ロキ・ファミリア】の団員さんの方々にジュースを作ってくれと頼まれている

 最初は数人に作る予定だったのだが、時間が経てば一人二人と増えていき、最終的に引き返せないくらいまで増えていた

 女性を見れば雲菓子をつまみに飲んでいた。やっぱり女子は凄えよ、甘いやつをつまみに甘いやつ飲めるんだから…

 

「頑張ってるようだね、ヤミ君」

「フィンさん?どうしたんですか?」

 

 やっと人がいなくなり、休んでいるとフィンさんが話しかけてきた

 

「いや、君の作っているジュースが絶品だと聞いたんだけど、人が多かったからいなくなるのを待っていたんだ。ところでジュースはまだ作れるかい?」

 

 さすがに『団長殿の要望には答えなきゃな』と思うのとなんかティオネさんが凄いこちらを睨んでいたため「一杯だけなら」と作る

 

「…ところで君は、どうして冒険者になったんだい?」

 

 作っている最中にフィンさんがいきなり聞いてきた

 

「どうしたんです?藪から棒に……」

「出来るまでの暇つぶしさ」

 

 そうか、暇つぶしか…

 …ベルは『出会いを求めて』とか、『英雄になりたい』とか馬鹿げた夢だよなぁ。本人の前で笑っちまったし…なら俺はじいちゃんよりも…

 

「強いて言うなら、強くなりたいから…ですかね?」

「じゃあ、どこまで強くなりたいんだい?」

 

 フィンさんがそう聞いてくる。…どこまでって?

 じいちゃんより…いやそれじゃあ、じいちゃんがいないからどこまでかわからない

 確実にじいちゃんより強いとわかるのは…

 

「そりゃ、一番でしょ?」

「フッ…」

 

 あ、笑ったな?

 まぁ別にいいけど、馬鹿げた夢だし

 

「……フィンさんはどうなんですか?」

「僕は…一族の再興さ。十数年と言う昔っから変わらない夢さ…笑ってもいいよ?僕も君の夢を少しとはいえ笑ったんだし」

「なら遠慮なく。ワッハッハッハァ!」

 

 フィンさんの許可を受け盛大に笑う

 ティオネさんから睨まれているが知るもんか。笑い通す

 

「いやーお互い馬鹿げた夢を持ってますね。

 あ、すいません。できましたよ」

「ありがとう」

 

 出来たジュースを渡すとフィンさんが受け取り。俺が口を開く

 

「まぁでも、夢ってのは馬鹿げた物ほど人生楽しめるもんですよ。周りはそう言った夢を笑う奴ばかりだけど、わかる人はわかってくれる。フィンさんが良い例ですね」

「そうだね。昔も僕はそうだった。僕の夢を笑う人ばかり、無理だ何だと言ってきた」

 

 そう言ってフィンさんが周りを見渡す。そこには【ロキ・ファミリア】の面々がどんちゃん騒いでいる

 

「それでも続けていたら気づけばこんなについてくる人達(仲間)がいる。昔は辛かった事が多かったが、今はいい思い出さ」

 

 俺も仲間達(ベル達)を見る。慣れない女性達を前に顔を真っ赤にし座っているベル、それを嫉妬しながら見ているリリ、それを笑いながら見ているヴェルフ

 みんな大事な仲間だ

 

「…それじゃ」

「…ああ」

 

 こちらに向き直ったフィンさんがコップをこちらに向けてくる

 何か察した俺はジュースの入ったコップを持ち

 

「「馬鹿げた夢を持つ同士に…乾杯」」

 

 静かにコップを打ち鳴らすと同時にぐびっと飲み干し

 

 

 

『ーーぐぬあぁっ!?』

 

 

 いきなり聞き覚えのある叫び声が聞こえてきた

 それを聞いた瞬間ベルが立ち上がり駆け出す

 

「…俺も行ってきます」

「ああ、行っておいで」

 

 俺もベルの後を追うように走り出した

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