ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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〜外伝〜パンデミック・オラリオ③

(6/10)

 

「あんな最強ゾンビがおるなんて……

 終わりや!オラリオの終わりや!」

「馬鹿な事を言うな、と言いたいところだが…いよいよ後が無くなってきたな」

 

 屋根から降りるとロキ様が叫んでおり、リヴェリアさんも頭を悩ませていた

 

「訓練でも喧嘩でもねぇ、全力のアイズ……

 あの覇気のねぇ面を見た時は、殺意すら湧いたが…

 今のあいつは、手加減をしらねぇんだな…」

 

 ベートを見ると口元が笑っていた

 

「ベートさん、何を笑っているんですか!アイズさんがゾンビになってしまったのに!不謹慎ですっ、最低です!」

 

 それを見たレフィーヤが注意するが

 

「あぁ……?笑ってたか?悪いな、許せよ

 それにそこの外道よりマシだろ?」

 

 ベートはやはり笑ってそう返す。つーか誰が外道だコラ

 

「確かにそうですがっ!?」

 

 認めんな。否定しろよ

 

「ひとまず、この場所から離れるで」

 

 ロキ様の一言には全員が賛成し、近くの隠れられる場所に走り出した

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……もう大丈夫っすかね?

 周囲にゾンビはいないらしいっすけど……」

「そうやとええんやけどな……

 アイズたんがゾンビになっとる今、時間はないで」

 

 一息ついているとレフィーヤが興奮した様子で話し出す

 

「そもそもです!どうしてアイズさんがゾンビになってしまったんですか?

 もし気持ち悪い人に噛み付かれたのだとしたら…

 神様とか、ヤミ・カズヒラとか、ベル・クラネルとか!そんなの耐えられません!」

「さりげなく俺をゾンビの仲間に加えるな」

 

 なんかもう俺、散々じゃね?自分が悪いとこもあるけどさ……

 するとロキ様が「実はな」と語り出した

 

「アイズたんの部屋に、食いかけのジャガ丸くんが落ちてたんや」

「……!あのアイズさんがジャガ丸くんを食べ残す筈はない……という事は!」

「……ジャガ丸くんを食べて落としたという事か?

 その拍子にジャガ丸くんを落とした?」

 

 ………

 

「……馬鹿か?」

「訳がわからない上に間抜けすぎるっす……」

 

 ラウルとともに呆れ返っているとベートが口を開いた

 

「感染経路なんかどうでもいい」

「で、でも、アイズさんや神様だってゾンビになっちゃうんですよ?いつ私達もそうなってしまうか…」

 

 レフィーヤさんが心配事を口にするがベートは単純な事を口にする

 

「怪しいもんには触れんな、浴びるな、食うな

 間抜けに成り下りたくなかったらな」

 

 小腹がすいたな……あ、あるじゃんクッキー。いただきます

(5/10)

 食べているとロキ様が真剣な顔で口を開いた

 

「……皆、ええか。こっからは二手に分かれるで」

「ど、どう言う事っすか?」

「周りを見ろ、ラウル」

 

 リヴェリアさんがラウルにそう促す。俺もついでにサクサク食べながら周りを見ると

 

 

 あるところでは…

 

「助けてくれぇ!走りすぎてもう動けない!」

 

 またあるところでは

 

「あ、足が挟まった!

 誰かー!誰かー!」

 

 またまたあるところでは

 

「放せよ!放せぇぇぇぇ!」

「そんな!一緒に逃げるって言ったじゃない!」

 

 またまたまたあるところでは

 

「うーー、ああーー!」

 

 ドォォォオン

 

 

「……もう生存者を数えた方が早い」

「状況はずっと悪化しとる。つまり、同時に対処せなあかん

 ベート、リヴェリア、【Zバスターズ】最強の二人でアイズたんを止めるんや」

 

 ロキ様が背中に『バンッ!』と文字が出そうな感じでそう言う

 作戦は至極単純。ベート、リヴェリアさんがアイズさんを足止め…ベートは倒す気満々らしいが

 その間に残ったやつはベルの捜索、捕獲である

 

「ヤミ、アンタにも手伝ってもらうで!」

「ていうか、手伝わねぇと外に投げ出されるだろ」

「せやな」

 

 ロキ様が俺の言葉を否定せず肯定しているとレフィーヤが騒ぎ出した

 

「まっ、待ってください!いくらベートさんでもっ、本気のアイズさんに敵う筈が……!」

「……覚えとけ、ノロマ。あとはラウル、てめぇもだ。敵がいくら強くても、どれだけでかくても……

『冒険者』を名乗るなら、そこに限界はねぇ。吠えるんだよ、てめぇを必ず『狩る』ってな。

 じゃなきゃ、『雑魚』は一生『雑魚』のままだ」

 

 おー、なんかすげぇ。なんかよくわからんがとにかくすげぇ

 

「おい黒野郎、何拍手してんだ」

「黒野郎って……これは無意識だ」

 

 気づいたら拍手してた。ベートは「チッ」と舌打ちしながら行ってしまった

 アミッドさんはすでに製薬道具一式揃えているようで、すぐに出発した

 

 

 〜地下水路〜

 

「よぉし!さっさとドチビんとこのガキとっ捕まえるでー!」

「しかし、不気味ですね……

 孤児院の付近はともかく……近くにはモンスターがいるのでしょう?」

 

 ロキ様が張り切る中、アミッドさんがそう呟く

 

「怯えている暇はありません!私達もオラリオを救うために尽くさなきゃ……!」

「ベートさん達はアイズさんの相手をしてる……!

【リトル・ルーキー】くらい、簡単に捕まえなきゃ不甲斐ないっす!」

 

 だが先程のベートの発言に感化されたのかレフィーヤ、ラウルがそう発言する

 ……【リトル・ルーキー】くらいって言っても、ベルは簡単に捕まるほど弱くはない筈なんだがなぁ…

 

「…おぉぉ」

 どこからか声が聞こえた

 

「今の音…いえ、呻き声は……」

 

「はぁぁ…」ギンッ

 呻き声とともにもう一つ、金属がぶつかる音が聞こえた

 

「誰かと、戦ってる……?まさか、【リトル・ルーキー】?

 音の反響からして……こっちっす!

 前衛は…俺とヤミさん。後衛はレフィーヤ!

 狭いので魔法は控えて、周囲の警戒に注力っす!」

「は、はい!」「はいよ〜」

「ロキとアミッドさんは自分達の間にいてください!間違っても最後尾にいちゃダメっすよ!」

 

 ラウルがリーダーシップみたいなものをフルに発揮して指示を出す

 

「なんでしょうか……ものすごくラウルさんが……」

「か、カッコよく見えますね…」

「つーか誰?」

「これがベートの発破の成果か……!

 アカン、ウチ泣きそう!ラウル、大きなったなぁ!」

 

 俺達が色々言う中ロキ様だけは自分の子の成長に感動していた

 

「そこだぁぁぁぁぁ…」

 歩いているとベルらしき声が近づいてきた。が、進む先にモンスターの群れがそこにいた

 

「モンスター……!

 隊列を維持!一気に突っ切るっすよ!」

「よしっ、やるか」

 

 ラウルの声とともにモンスターの群れに衝突した

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハァッッ!!!たぁのしぃねぇ!!!」

『グオオオオオ!?』

 

 笑い声を上げながらモンスターを叩き斬り、殲滅していくヤミ。それを見ていたロキは

 

「アイツがモンスターちゃうん?」とロキ様

「あれが噂に聞く【悪魔】ですか…敵であったらどうなっていたことか……」とアミッドさん

「俺、あの人からクッキーもらって食べたんすけど、大丈夫っすよね?」とラウル

「…吐き出した方がいいかもしれません」とレフィーヤ

 

 散々な言われようだった。涙出そう……いや恐怖を紛らわせるために笑ってたんだよ?

 心で涙しながら進むとそこには

 

「うぅぅ…こぉぃ〜もんすたぁ〜」

 

 ベルがいた。だが様子がおかしい、一人で剣を振り回して彷徨っている

 

「まさか…ダンジョンへの中毒症状!?」

「そんなんあるんか!?」

 

 ロキ様の言葉を聞き、アミッドさんはゆっくりと説明を始める

 

「おそらく、毎日ダンジョンにこもってるが故、体に染み付いた習慣が、ゾンビになってもなお……!」

「……なんか、すいません。ウチの身内が…」

 

 なんだかいたたまれない気持ちになった。とりあえず数日はベルにダンジョン行かせない。今決めた

 

「オラ、ベル坊。さっさと帰んぞ」

「ヤミ…さん……ああぁぁぁぁぁ…」

 

 ベルが俺を見た途端に噛み付こうとしてきた

 

 ガシッ

 

 がベルの頭を掴み。アイアンクローの準備に入る

 

「ほーう。ベル坊の癖に俺に襲いかかってくるとは、強くなったなー」

「やめ…て……ごめん…なさい…」

「…ゾンビって恐怖心ないはずやのに震えてんで!?」

「きっと、ヤミさんの恐怖を体が覚えているんでしょう…」

「あの人が【ロキ・ファミリア】にいたらどうなってんでしょうか…」

「…ロキがアイアンクローされてる光景が目に浮かんだっす…」

 

 このように言われながらもベルはあっさり捕まえ…

 

「血清が出来ました!リトル・ルーキーに打ちます!」

 

 アミッドさんが血清を作りベルに打った

 

 ………

 

「…ウガァァァ!?」

「なっ……失敗!?」

「ア、アミッドさん!?」

 

 ゾンビのベルは一番近くにいたアミッドさんに噛みつき…

 

「あ、あれ?」

 

 アミッドさんは無事だった。周りが混乱、ベルも混乱していると、ある答えが浮かんだ

 

 

 〜翌日〜

 

 アミッドさんが第一感染者だったらしい。アミッドさんが感染者であるため、アミッドさんが人に回復魔法を使えば使うほど、感染者が増えていた

 

「ヤミさん!血清持ってきました!」

「おう。…にしても、ヘスティア様…」

 

 ベルから血清を受け取り、ヘスティア様を見ると…

 

「ぐあぁぁぁ…べぇぇるぅぅぅくぅぅぅん」

 

 拘束されたゾンビ・ヘスティアがベルを見るなり暴れていた

 

「なんちゅう間抜け面してんだこの人…」

 

 血清を打ちつつ俺はそう口からこぼした

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