ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
ヒーーーーーハーーーーー!!!
…はい、今日も元気出して行こう!!!
では皆さんご一緒に〜…
ヒーーーーーハーーーーー!!!
階層主の攻撃を止めようと、あるいはその巨体を地に落としてやろうと、執拗なまでに二本の足が狙われていく。想像を絶する固さによって歩みは止められないものの、前衛の波状攻撃によってゴライアスの動きは確実に鈍っていた
彼等が奮闘する中、とうとう魔導師達の詠唱が完了する
「前衛、引けえぇっ!でかいのぶち込むぞ!」
前衛全体に号令が飛ぶと同時、リュー、ベル、ヤミ、アスフィや他の前衛達はただちにゴライアスのもとから離れた
『ーーーーーーーーーーーーッッ!?』
連続で見舞われる多属性の攻撃魔法。火炎弾が着弾すれば雷の槍が突き刺さり、氷柱の雨と風の渦が炸裂する
一斉射撃が止み、聴覚を麻痺させる爆音が途切れ、全ての冒険者が砲撃の中心地を見守る中。立ち込めた煙が薄れると共にドンっとゴライアスが片膝をついた
顔面部分を始めとした黒い体皮は傷付き、抉れ、赤い血肉を晒している。口からは蒸気のような白い呼気が、消耗の深さを物語るように吐き出されていた
「ケリをつけろてめぇ等ぁ!!たたみかけろおおおおっ!」
前衛が一斉に前に出る。巨人の息の根を止めようと四方八方から躍り出る。ヤミもその中の一人だった
「………?」
ヤミがある程度近づくとおかしなことに気づく。先程まで滴り落ちていたはずの血が今は一滴も落ちていない
『ーーーーフゥゥゥ』
気づいたとほぼ同時に、沈黙していたはずのゴライアスが顔を上げた。顔面に負った傷がどこにもない
損傷した体皮からは赤い光の粒子が発散されていた。光の粒子が立ち上る側から傷は見る見る内に癒えていき、完全になかったものとなる
ゴライアスは勢いよく立ち上がった
『自己再生!?』
どこにいるのかわからないが、アスフィの信じられないと言う感じの叫びが上がる
「……ああそういえば、突き刺したはずの目玉。復活してたなぁ」
今更気づいてももう遅い。ゴライアスは接近した前衛、呆然とする魔導師達に対し、その巨大な両腕を振り上げた
「【障壁】×3ッ!!」
ヤミがその行動を見た瞬間に闇で3つの壁を両腕の通る空中に
そしてゴライアスは握り締められた二つの大拳を足元へ振り下ろし、壁と激突する
「お前等ぁ!さっさと退避しろやぁぁぁッッ!!」
「「「ッッッ!!!」」」
1枚目の壁が激突と共に割れ、2枚目にもぶつかりそれにヒビが入る
それを呆然と見ていた冒険者にヤミが叫ぶと冒険者達はハッとし、全力で退避を回避した
その間に2枚目が割れ、残り1枚となる
「カズヒラさんッ!退避が完了しました!ヤミさんも退避を!」
ピシッ
「え、ちょ…」
リューの声が耳に入ると同時、ヤミが動くより一瞬早く壁が破られ、巨人の拳がそのまま地面にぶつかる
凄まじい大爆発を引き起こし、地割れと、衝撃波が発生する。その破壊の津波は一瞬でヤミを呑み込み、吹き飛ばした
〜ヤミさん〜\(>ω<)/
「いってぇ……」
ゴライアスの位置から数十M、木々をなぎ倒しながら巨大岩にめり込んだ俺はそう口から吐く
闇で全身に薄い膜のようなものを張り、衝撃波はほとんどダメージはなかったが、吹き飛ばされた後が問題だったため、かなりの重症だ
「よっ…とと…と…」
岩から抜け出し地面に着地するとバランスが崩れ、危うく倒れそうになってしまう。気を抜いたらすぐにでも倒れ伏してしまいそうだ
『オオオオオオオオオオオオオオッ!!』
遠くにいるゴライアスが咆哮するとそれに答えるようにミノタウロスなどのモンスターが現れた
「ヤミさああああああああああああああああん!!!」
朦朧とする意識の中、いつも聞いているベルの声が聞こえたかと思うとベルが体術と魔法を駆使して俺の周りにいるモンスターを一瞬のうちに殲滅した
「ヤミさん!大丈夫!?」
「ああ、大丈夫。…多分」
額から血をダラダラ流しながらグッと親指を立てて返事する俺に「大丈夫じゃないじゃん!?」と言いながらハイ・ポーションを半分かけ、半分は俺に渡してきた
「ベル坊、さっきので負傷者はどれくらいだ?」
ポーションの残りをグイッと飲んでベルに尋ねる
「衝撃は魔導師達のところまで届いてたっぽいけど、ほとんどの人は無事だよ」
「そうか、それは良かった。…おーし、傷は治ったな」
ベルの話を聞いてから自分の傷の確認をすると
「無事でしたか」
上からきたリューがそう言って俺達の近くに着地してきた
「……二人は周囲の人達と協力して他のモンスター達の討伐に当たってください」
「リューさんはどうする気だ?」
「アンドロメダとともに、ゴライアスを押さえます
あのモンスターを止めておかなければ、このまま蹂躙されます。もう一度一斉射撃を行うにせよ、出来るだけ時間を稼がなくては
…ヤミさんは先程の傷は消えてはいますが、ダメージは残っているはずです。無理はしないでください」
時間が惜しい、と言うようにリューは話を切り上げ駆け出した
「さて、あの人はああ言っているが…まぁお前ならそうするわな」
リューの後ろ姿を見送った後、ベルを見ればいつか聞いた鐘の音を鳴らしながら
「ヤミさんは…僕を助けてくれる?」
「こんなボロ雑巾で良ければ♪」
真剣な眼差しで問いかけてくるベルに対し軽い気持ちで答える。ついでに「あんま期待はすんなよ?」とも付け加えておき、刀を構え直した
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』
「邪魔すんなあああああああああああっっ!!!」
ダメージの残った体を無理矢理にでも動かし、ベルに近づくモンスターを切り裂く。すると
「溜まった……!」
「やっとか!!よしっ!行ってこい!!」
「うんっ!!」
俺の言葉に大きな返事を返すとベルは巨人に向かって走り出す
「クラネルさん!?」
リューがベルの接近に気づき、伴ってアスフィや、モンスターと争う冒険者達との視線も集まる。
鼓動を爆発寸前まで高めるベルは敵の眼光を一身に受け止め、真正面へと躍り出た
「まさかーーリオン、離れます!」
アスフィは発光するベルの右手を確認し、大声でリューに退避を勧告する。リューは一瞬ためらうそぶりを見せた後、すぐに少年の射線上から離脱した
『ーーーーーーーーーーーーーーォォッ!!』
強烈な『咆哮』を放つゴライアス、それと同時に右腕を振り上げ、射撃体勢に入りまた咆哮する
「【ファイアボルト】!!」
発光する右手から放たれた大炎雷は『咆哮』とぶつかり、突き破る
白い稲妻と共に凄まじい轟音をまき散らしながら、ぶつかり合った魔力魂を粉砕し、その先にあったゴライアスの頭部を撃ち貫いた
間を置いて巨大空間である階層の果てに魔法は炸裂し、絶壁を爆砕する
右腕を突き出したまま目を見開いているベルは、立ったまま硬直する巨人の体をただ見つめる。鉄壁を誇る体皮をいとも容易く突破した破壊力に、周囲も一瞬静まり返った
頭部を失って活動を続けられる生物はいない
勝った。そう冒険者が信じ込もうとした、その直後
夥しい赤い粒子が巨人の首元から発生した
「ベル坊ッ!!」
おぞましい勢いで失われた巨人の顔が修復される中、【英雄願望】の反動によって動けないベルをヤミが担ぎ、走り出す
「頭なくして生きてる生物がいるとはなぁ!!全く、世界は広い…ダンジョンか」
「ヤミさんっ!!そんなこと言ってる場合じゃないよ!!」
後ろにはゴライアスがすでにこちらをロックオンし、『咆哮』を撃つ準備に入っていた
「……!桜花っつったかぁ!?受け取れぇ!!」
「え?…待って!ヤミさん!!」
ヤミはベルの言葉を無視し誰よりも近くいた人物に向かってベルを投げ飛ばし
その場に残ったヤミは『咆哮』の直撃を受けた
前書き見て叫んだ人……いいね!
なんかいいことある事を祈ってる!