ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
はい、原作で言う七巻の一番始めあたりに出しますのでまだ長いですが鼻でもほじりながら待っていてください
「これは……」
「温泉……?」
「はいぃ〜っ、間違いなく温泉ですっ!自分、温泉のことだけは自信あるんです!」
命が興奮した様子でテンション上がり気味にそう言う
温泉が好きだからって…犬みたいに臭いでわかるもんかね?
「他には何もないようです」
「モンスターの気配もありませんね
ここはダンジョンの作った癒しの空間ということなのでしょう」
「なるほど、少しのんびり出来るってわけか。助かるな」
リュー、アスフィ、ヴェルフがそう言う中、命はと言えば
ゴクッゴクッゴクッ…
顔を温泉につけてお湯を飲んでいた…いやマジで何してんだ
そんな風に命の行動に恐怖を覚えていると「ぷはぁっっ!」と一気に顔を上げる
「湯加減、塩加減申し分なし!
最高の逸品です!是非入っていきましょう!」
命のその言葉に全員が反応し
「18階層以来疲れが溜まる一方ですし……」
「うん、諸君、ここはひとつ……
温泉リゾートとしゃれこもうじゃないか!」
リリとヘスティア様の言葉で全員が賛成した…が
「「あ……」」
「ん?なんだい?」
女性陣がヘルメス様を一斉に見る。汚物を見るような視線で
「なんだじゃありません。水浴びの件、忘れたんですかっ?」
「ああ、ベル君がいい思いをして結局ヤミ君は見ることがなかったあれかぁ」
その言葉でベルはあの時のことを思い出したのか顔を真っ赤にして「と、とにかくすみません!!」と余計に誤解を生みそうな言葉で謝っている
「ヘルメス様だけ遠くで縛り付けておくってのはどうだ?」
「ヤミ君!?それじゃあオレだけ桃源郷は拝めないじゃないか!」
「それ、人によっちゃあ覗くって宣言してるようなもんだからな?で、どうだ?」
そう言ってアスフィに投げかけると首を横に振り否定する
「……無理です。ヘルメス様の事ですし、たとえ鎖で縛ろうが何らかの方法で抜け出してきます」
「そうか、じゃあ温泉は惜しいが……」
後ろから「そんなぁ〜!」と1人の女の絶望の声が上がるがこればっかりは…
「水着を着ればいい」
リューが一つの提案を切り出す
「水着を着れば、混浴し放題です」
「それ名案ですっ!」
命が絶望から復活し、希望を見出す
だがこの案には根本的な問題がある。それは
「んで、その水着はどこにある?」
俺の一言に全員が静まり返る。するとザッとヘルメス様が立ち
「こんなこともあろうかと!」
勢いよくアスフィのマントを広げる。その中には男用のものも含めた数種類の水着があった
その勢いによる風でマントと一緒にスカートが…
先程までアスフィと喋っていたため俺がアスフィの1番近く、つーか目の前にいたわけで
「アハハッ!!見たぞ!見たぞオレはッ!アスフィがスカートを抑える一瞬、ヤミ君が見たのを!!!」
「うるせえええええええええええええええええええ!!!」
顔を真っ赤にしているのがわかる。単純に怒りのせいなのか、恥ずかしさなのかはわからないがとりあえずやることは一つ、この神に水浴びの時の分も含めた報復を
そんな俺をアスフィが止める
「カズヒラさん!良いですから!私は気にしてませんからっ!後はやっときますから!?」
「そうそう。下着を見たくらいでそんな反応を見せてたら童貞臭いって…「うおおおおおおおおおお死ねええええええええ!!」
「水着は俺が見立てた特別品だ。遠慮はいらない、もらってくれよ」
結局ボコボコにしたのはアスフィだった。俺は…何だろうか、ヘルメス様がボコボコにやられている様子を見ていると…ていうか、アスフィさんの容赦のなさを見ていると感情が収まった
こうしてみればエイナさんからは説教しか受けていない俺はまだマシな方…なのか?
今は女性陣が岩の陰で水に着替えている最中だ。俺達男性陣はリューに見張られながらゆっくりと待っていた
するとヘルメス様が岩を見ながらいきなり口を開いた
「…今頃あの岩の向こうでは、美の共演が繰り広げられているんだろうねぇ」
「「「ッ!」」」
その言葉にベル、ヴェルフ、桜花が反応する。ヘルメス様はニヤリと笑いながら熱く語る
「リリちゃんは、まだ幼さが残る中にも、ダンジョンを生き抜く強さを纏った、しなやかな姿を
命ちゃんは生真面目さに似合わぬ不埒な体のラインを、千草ちゃんは可憐な腰つきをクリスタルのもとに晒し…
ウチのアスフィだって、本来はおひめ……おっとぉ
ああ見えてかなりのもんだ。オレが保証するよ
きわめつけはヘスティアだ。天界屈指のあの胸…
それがナマであの岩の向こうにあるかと思うと…」
3人が喉を鳴らす。ゴクリと鳴る3つの音を聞き、ヘルメス様が俺を見てくる
「…なんだよ?」
「いやぁ、ヤミ君って意外と小心者なんだなぁとね」
「確かにそうだな。ヘルメス様の話に全然反応してなかったし…」
「もしかして、あれか?男が好みとか…」
最後のヴェルフの言葉を聞いてヘルメス様、ヴェルフ、桜花が後ずさる
「おーいそんなんじゃねーから。帰ってこーい」
「じゃあなんでそんなに……」
俺が呼び戻すと3人がゆっくり近づいてくる
「あれだ。いつも俺がエイナさん…ギルドの受け付けの人に叱られてるんだけどよ?」
「知ってるよ。冒険者の間ではかなり有名だよ?ヤミ君は」
「マジか…まぁ悪いことやると怒られるって考えると自然とエイナさんに怒られる風景が浮かぶんだよ」
「「「ああ、それがトラウマで……」」」
説明を聞いた3人が納得する。ヘルメス様は「君も中々辛いんだね…」と同情してくれる
すると……
『ほわああっ!?』
ヘスティア様の悲鳴が聞こえた
「神様、どうしました!?」
『な、なんでもないんだベル君!』
「まさか胸がデカくて水着着れないとかかぁ!」
『ヤ、ヤミ君なんでそれを!?…てか、セクハラだぞ!!』
当たりかよ……9割冗談だったんだが……
「…見るのはダメで、セクハラ発言はするんだね」
「ん?まぁ発言くらいは…まぁ…あと、両者合意の上なら多分……」
全員が「複雑だな」と言ってくる。あれ?見張りのリューも言ってない?
「ヴェルフ殿、ヴェルフ殿。お願い出来ますか、ヴェルフ殿」
「あん?俺……が?」
岩の後ろから命とアスフィがヒョッコリと顔を出して手招きをしている。それを見た当の本人は困惑している
「ふっ……悪いなベル、大男。ご指名、なんでな」
だがすぐにドヤ顔でこっちを見ながら岩の向こうへ向かう
それを見た桜花は嫉妬の念を燃やしていた
「ぐぬぬ……なんでやつだけ……」
「大した事じゃねーだろ。多分…あれだ、水着を作れって感じじゃないか?」
「え?作れるの?水着?」
「不可能じゃねーだろそれなりに大きな葉があれば……」
「やー、助かったよヴェルフ君!やっぱり持つべき者は、鍛治師の友人だね!さすがに手先が器用だってヘファイストスに伝えておくよ!」
そこには葉で補強した水着を着たヘスティア様の姿があった。ついでに何かに落ち込むヴェルフの姿も
「な?言った通りだろ?」
「凄いな、お前……」
「今回は諸般の事情により、やむを得ず全裸は断念しましたが…温泉に入るには、それなりの作法があるのです!!
皆さん!本日は、僭越ながら自分、ヤマト・命がその一部をお教えしたくございます!」
命が仁王立ちして叫ぶ中、ベルとヘスティア様が聞いてくる
「ヤミ君も一応極東出身なんだよね?」
「作法ってあるの?」
「いんや、知らねえな。つーかそんなもんあったのか」
「「ええ……」」
2人が変な目でこちらを見てくる。いや、知らないもんは知らないんだししゃあねーだろ?
「すみません。『極東』ではなく、『あいつだけ』の風習でして…」
「すみません、すみません……」
仲間の桜花と千草は謝りながら命の様子を見ていた。なんでも、こうなると誰にも手がつけられないそうだ