ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第55話なんとも言えない回です

「後は手首足首をよぉく回して……いざっ、おんせぇんっ!」

 

 さばーん

 水飛沫を上げながら命が温泉に飛び込んだ

 

「かけ湯はしないんですね」

「いやそれ以前に飛び込みはダメだろ」

 

 俺とアスフィが2人で突っ込む

 

「「すみません、すみません……」」

 

 見てて恥ずかしかったのか桜花と千草が顔を抑えてそれしか言わない

 

 

 

 

 

 

 キャッキャとはしゃぐ女性陣、それをじっと見ている男4人

 

「……終わったんだな」

「ああ、俺達は生きている」

「ああ、いい湯だ」

「本当にいい湯加減だね〜」

 

 4人仲良く湯に浸かっていると大きな岩に乗ってヘスティア様がベルを呼んでいた

 

「ベルくーん!この奥、まだ先がありそうなんだ。一緒に行ってみよう!」

「あ、は、はい神様!…ヤミさんは?」

「俺はここらでゆっくりしてる。行ってこい」

「わかった。ちょっと行ってきます」

 

 そう言ってベルはヘスティア様のところへ行ってしまった

 

「……役得ってやつか」

「なんせ、【リトル・ルーキー】だからな」

「ウチじゃあよく見る光景だ」

 

 ベルを見送り3人でそう話していると次に同じ所から千草が出てきて

 

「桜花……」

「ん……?」

「命が、温泉の吹き出し口を見つけたの。そこに寝た方が、傷の治りが早いかもしれないって……

 一緒に……いこ……?」

「お、おう……」

 

 というわけで、俺とヴェルフの2人が残ってしまった

 

「…あの2人、付き合ってんのかねぇ?」

「…その前に、ヤミさんまで行かねえよな?」

「ないだろ。つーかもう呼ぶ奴がいねえよ」

「それもそうか」

 

 HAHAHA……と笑う寸前…先程の岩の上に誰かが来た。命だ

 

「ヤミ殿ーー!貴方も重傷だったはずです。こちらに来ませんかー?」

「ん?いいのか?」

「はい!大丈夫です!」

 

 ちらっとヴェルフを見る。嫉妬の目を…してはおらず、それはもう爽やかな笑顔で

 

「行ってこいヤミさん」

「ヴェルフ……ありがとう」

 

 ヴェルフに感謝しながら命の後についていく。少し進むと後ろから「裏切り者ーー!!!」と聞こえた気がしだが、気のせいだろ

 

 

 

 

 

 グツグツと煮えたぎる温泉に浸かる。それほど広くはないが、2人入るくらいなら十分な広さだ

 

「ああ、いい湯だな」

「カズヒラさんは熱い湯が好きですか。納得です」

「地獄に住んでそうですもんね。ヤミ殿」

「熱くない、桜花……?熱かったら、無理しないで、出てね?」

「お、おう……(出れん…この状況で出れるわけがない…ていうか、ヤミはなぜ大丈夫なのだ!?無意識か、無意識のうちに見ないようにしてるのか!?と、とにかく気を紛らわす為の話題を…)」

 

 がっつりそこでくつろぐ俺

 足湯に浸かるアスフィ、命、千草

 股間を抑えて我慢している桜花

 命がなんか言った気がしたが温泉の気持ち良さで綺麗さっぱり消えてしまった

 

「す、住んでいそうといえば…ヤミは極東出身だとかなんとか話してるのが聞こえたんだが…」

「なんと、ヤミ殿も極東出身だったのですか!一体どの辺りに住んでいたのですか?」

 

 桜花が顔を赤くしながら話題を振ってきた。命がそれに食いつき、俺に質問を投げかける

 にしても、どの辺?俺の極東は日本だし…まぁ「聞いた事ないくらい小さな村」って感じで収まるだろう

 

「日本ってところだ」

 

 それを聞いた瞬間ピシリと桜花、千草、命の動きが止まり、一斉にこちらを見る

 

「ヤ、ヤミ殿。冗談が過ぎますよ?ねぇ?」

「そうだな。さすがにそれは……」

「嘘………ですよね………?」

 

 いや、何?俺そんな辺なこと言った?

 

「皆さん。ニホン…とは、なんなのですか?」

「…ニホンとは、極東に伝わる伝説の楽園の地…その地を踏めるのはそこで生まれた者だけ…神々ですらその地に踏み入る事が出来ないと聞いております」

 

 ふぁ!?日本ってこの世界じゃそんな感じなの!?

 伝説だったの!?俺の故郷!?

 

「あっ……」

「あ」

 

 内心混乱しているとザブンと桜花が倒れた。のぼせたな

 ってやばいやばい!!!

 

「桜花ーーーーーー!!」

「なんかうちわになりそうなもん持ってこい!!!」

「「は、はい!!!」」

 

 急いで担ぎ上げ、桜花を温泉からあげると千草が泣き出し、俺の指示でアスフィと命が巨大な葉を持ってきた

 後は全力でそれを煽ぎ、なんとか一命を取り留めた

 

「こいつは見とくから、入ってくるか?」

「いいのですか?」

 

 一つ提案するとアスフィが聞いてくる

 

「おう」

「では、お言葉に甘えて……」

「お、桜花の事をよろしくお願いします……!」

 

 そう言って三人は温泉の方へ向かっていった

 さて、これで起きてまた興奮して倒れるとかは無くなったな

にしても、全員焦りすぎてさっきの話忘れてるな…これからは気をつけないと…

 

「ヤミ様〜水はありませんか〜!」

 

 どこからかリリの声が聞こえてきた。確かリリはベルのところに行ったはずだが…また倒れたとかじゃないよな?

 

「リリか。おう!確か服を置いたところに……「皆さん、温泉から上がってくださいっ!」リューさんの声?」

 

 リューの声が聞こえてきたが、その声は若干焦っているような声だ

 一体何が……と疑問に思っていると

 

「きゃあああっ!」

「どうしたっ!?」

 

 すぐ近く、岩の向こうからリリの叫び声が聞こえた。すぐにそちらに向かって駆け寄ろうとするが次に聞こえた言葉に足を止めた

 

「ヤ、ヤミ様はこちらに来ないでください!!」

「なんで!?てか、何があった!?」

「み、水着が溶けてなくなってしまいました!!」

 

 ……マジか。水着だけ?温泉が赤くなってるな…これのせいか

 となると、岩の向こうには…その…桃源郷?ってやつが広がって…

 

(ヤミよっ!!!行くのじゃあああああああああああ!!!)

(うおっ!?じいちゃん!?)

 

 俺の心の中のじいちゃん(悪魔)が囁きかけてくる

 

(桃源郷が目の前にあるのならば、行く以外の道はないじゃろうが!!お主それでも男か!?股間に付いている男の証は偽物か!!?)

(うるせえよ!!男にも色々あるんだよ!!)

 

 そんな風に心のじいちゃんと喧嘩をしていると…

 

「ん…?俺は……」

「お?起きたか」

(ちっ)

 

 桜花が起きたため喧嘩は終わり、じいちゃんは舌打ちしながら消えていった

 

「どうしたんだ?」

「いや、実は「緊急事態です。早く2人も着替えてください」

 

 何が起こったのか話そうとするとリューがやってきて服を渡してくる

 

「クラネルさんや神ヘスティアの身が危険かもしれません」

「…急ごう!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 リリに案内してもらい奥へ進むとドドドッと何かが走る音が聞こえる。途中からその音を頼りに走り、着くとベルとヘスティア様がチョウチンアンコウみたいな三体のモンスターにやられそうになっていた

 それを見た瞬間、走る勢いそのままに一匹にドロップキックをくらわせる

 

「だっしゃあああああああああ!!!」

「「ヤミさん()!?」」

 

 一匹が吹っ飛び、その近くにいた二匹にぶつかりまとめて吹っ飛ぶ、後は【無明斬り】で固まっているところをいっぺんに切った

 

「無事か!?ってか、ヘスティア様服を着てくれ!?」

「そんな事を言ってもボクの水着は……」

 

 安否を確認しようとしたが、ヘスティア様を見かけた瞬間脳がフル稼働して首を真逆に向けた

 すると少し遅れてやってきたリュー達がやってきて、アスフィがマントをヘスティアに貸すという形でなんとかなった

 

 ゴォンッ…ゴォン…

 

 鐘の音が鳴り響く。ベルの手を見てみると【英雄願望】が発動していた

 

「っ!?まさか……」

 

 それを見たベルが何かに気づくとその場が揺れ出す。ガラガラとダンジョンの天井が崩れ、モンスターが姿を現した

 

「でっか……」

「温泉の主……」

 

 先程のモンスターの数倍でかいモンスターがそこにいた。モンスターはチョウチンアンコウの触覚みたいなものを振り上げるとこちらに振り下ろしてくる

 

「危ないっ!?」

 

 リューのその声で全員が避ける。避けた中、ベルがモンスターに向かって走り出した

 

「ヤミさん!援護お願い!!」

「あいよっ!」

 

 突き進むベルの邪魔をするように触手を振り回す。それを俺が遠距離の斬撃で切り刻む

 邪魔をされる事なく近づく事に成功したベルは敵の口元に飛び込み

 

「【ファイア……ボルト】ォォッ!!」

 

 そのまま口の中に魔法を撃ち込んだ

 魔法を飲み込んだモンスターは破裂し、魔石ごと吹き飛んだ

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