ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
金の弓矢に燃える球体…太陽を刻んだエンブレム
小人族の男性は、ぐいっと酒をあおり、俺達を見てせせら笑う
「ああ、でも逃げ足だけは本物らしいな。
デカイ目が特徴の小人族の冒険者はわざと聞こえるように嘲りの言葉を連ねる。彼の仲間に目をやれば誰も彼の言葉を止めず、むしろニヤニヤとこちらを見ている
シバいても良いのだが、喧嘩と言う物は『先に手を出した方』が悪い。ならば、手は出さない
ベル達も手を出さずにしていると小人族は続ける
「オイラ、知ってるぜ!『兎』は
ベルに反応がないとわかると矛先はヴェルフとリリに向けられる。調子に乗っていく男の言葉に、くっくっくと仲間が喉を鳴らす
仲間を馬鹿にした言葉にベルがピクリと反応する
「よせ、構うな。気が済むまで言わせてやれ」
「ベル様、無視してください」
ベルを二人が止める。するとベルは気持ちを落ち着かせたのかフーッと息を吐き出す
無視を貫く俺達が癇に障ったのか、小人族の男から大きな舌打ちの音が響く
次には、彼は声を荒げた
「威厳も尊厳もない女神が率いる【ファミリア】なんてたかが知れているだろうな!きっと
それを聞いた瞬間、ベルは椅子を勢いよく飛ばして立ち上がる
「取り消「アーッハッハッハッ!!腹が痛え……!!」…ヤミさん?」
ベルの叫び声を遮り俺が笑う。俺のいきなりの大笑いにベルが困惑の表情を向けてくる
そんなベルに大声で話しかける
「おいベル坊、よかったじゃねえか!俺達は有名じゃねーかやっぱ!!」
「えっ?」
笑いながら先ほどの言葉に喜ぶ俺にベルは間抜けな声を上げた
「悪評も好評も広がれば有名の内だろ?何を怒る必要がある?」
「で、でもこの人達は神様を…」
「ヘスティア様がポンコツだなんていつもの事だろう?威厳も尊厳もないのと馬鹿や無能と言った言葉は違うぜ?」
小人族の冒険者達を見れば「何言ってんだこいつ?」みたいな顔でこちらを見ていた
俺は続ける
「『子は親に似る』って言うが…まったくその通りだ!俺もお前もあの人に似てる!ポンコツだ!
…となるとあちらさんの主神様もたかが知れる。自分より下のやつを見下す、最低最悪の神って事だな!ハッハッハ!!」
笑いながら相手を馬鹿にする。すると小人族の男の仲間の一人がピクリと反応した
「なあお前等!自分より下のやつを見下すやつはお前等にとって、どう言うやつだ!?」
先に
それを察したのか俺の言葉を聞いたヴェルフとリリの動きは早かった
「最っ低ですね!」
「ああ、最低だ。そこら辺に落ちている犬の糞にも劣る」
ヴェルフとリリの言葉を聞いて小人族の男を含めた全員がピクリと反応する
最後にベルが口を開いた
「……本当に良かったです。そんな神様の眷属にならなくて…」
「確かに俺もそう思う!…あちらさんはなんで平気なんだろうなぁ?」
ヒュッ
最初に反応した男が動いた。男はベルの頭目掛けてハイキックを喰らわせようとする。それにベルは反応できていなかったが俺はギリギリ反応出来ていたため間に入り、腕でそれを防御する
「…取り消せ」
「ああ?」
「今すぐあのお方を…!アポロン様を貶した事を取り消せ…!」
その男は俺に対し怒りの視線を向ける。それに対して俺は「ふんっ」と鼻で笑うと口を開く
「先に俺達の主神を貶したのはアンタらだ。やり返されて嫌なら最初からするなよ?
それとも何か?他人の主神は貶していいが、自分はダメってか?なんともわがままなやつだなぁおい」
「貴様……!」
反省の色がこれっぽっちもない俺を見てさらに男は苛立つ
すると周りの他の冒険者達が呟きだした
『あいつ……ヒュアキントスだ』
『【
『Lv3の第二級冒険者かよ』
「ポエブ…?」
「よそ見してていいのか?」
周りの呟き声を聞いて『誰?』と考えているとまたヒュッと攻撃してきた。それに反応が遅れた俺はそのまま壁の方まで吹っ飛ばされる
「ヤミさん!?」
「どうした?まだ、撫でただけだぞ?」
吹っ飛ばされた俺を見てベルは叫び、ヒュアキントスはニヤリと笑う
それを見た小人族の男は笑う
「ハッハッハ!!なんだアイツ!?口だけの雑魚「んなわけないでしょうよっと」ギャンッ!?」
「あっすまん」
即座に立ち上がり、ヒュアキントスに向かってドロップキックを喰らわせようとしたが、うまく反応し躱されちょうど笑っていた男に直撃し、男は気絶する
「なるほど、俺とは年季が違う」
「…我々の仲間を傷つけた罪は重いぞ?」
「お前が避けなけりゃあんなことにはならなかったよ」
指をコキコキと鳴らす俺と未だ怒りの形相のヒュアキントスが互いを睨み合い、見ていた周りがゴクリと喉を鳴らす。その時、木を蹴り砕く音が高々と鳴り響いた
『!』
酒場にいた人達が一斉に振り返る
視線の先にいたのは……いつぞやの
「揃いも揃って、雑魚が騒いでんじゃねえよ」
表情……つーか全体的に見て明らかに機嫌が悪い
そんな機嫌が悪い様子で彼は続ける
「てめえらのせいで不味い酒が糞不味くなるだろうが。うるせえし目障りだ、消えやがれ」
鋭い目付きと剣呑な威圧感に、周囲の人間は顔色を悪くする
「ふん……がさつな。やはり【ロキ・ファミリア】は粗雑と見える。飼い犬の首に鎖もつけられないとは」
「おいコラァ!酒を不味くしたのは謝るけどなぁ!その酒は美味いだろうが!!もう一度味わってみやがれ!!」
周りが静かな中ヒュアキントスは鼻を鳴らし、俺は先程の言葉に対して反論する。この店の酒は美味い、間違いない
「……あぁ、蹴り殺すぞ、変態野郎?」
三人…俺は中に入れてもらってないな、二人の視線が交差する
張り詰める場の雰囲気。しばらく見据え合っていた二人の内、先に視線を切ったのはヒュアキントスの方だった
「興が削がれた」
そう言って身を翻す
仲間に「行くぞ」と声をかけ、一人酒場の出入り口に向かった。仲間の冒険者達は気を失っている小人族の男を抱え、店の外へ消えていく
最後の男がいなくなった後、酒場には静寂が残された
「お前等」
そんな中ベートは止まっているベルと俺に順番に人差し指を向け言う
「調子に乗ってんじゃねーぞ」
それだけを言うとすぐに杯に残っていた酒をしっかり飲み干してから酒場の外へ向かう
慌てる仲間の団員達は代金をカウンターに投げ入れ、彼の背を追いかけた
「大丈夫ですかっ、ヤミ様?」
「おー、平気平気。あの程度じゃ俺はビクともせんよ」
「何がしたかったんだアイツは……」
「……」
無言のベルに目を向けるとベートの姿を目で追っていたらしいが、そこに彼の姿はない
「あ、すいません。片付け手伝います」
「いえいえ、大丈夫ですよ。先程『酒が美味い』と言っていただきありがとうございました。また来てください♪」
打ち壊されたテーブルと椅子が散乱する店内で、給仕達が片付けを始めていたため、とりあえず俺はその片付けを手伝おうとしたが機嫌が良い感じで断られた
またここに来るか