ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第60話ホーム壊滅

 翌日

 

 ヘスティア様は帰ってきてから物凄い機嫌が悪い。どうしたのか聞くと、どうやらあの酒場の一件はアポロン…様(でいいのか?)に完全に仕組まれた物らしい

 曰く『主神を馬鹿にされた』、『文句を言うと団員のルアンがやられた』など完全な被害者面で話すが、そんな被害妄想をこちら側が認めるわけがない

 ならば仕方ないとアポロン様は【アポロン・ファミリア】から【ヘスティア・ファミリア】に戦争遊戯(ウォーゲーム)を挑んだ

【アポロン・ファミリア】が勝てば【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネル、及びヤミ・カズヒラをもらうという。なんでベルまで?

 戦争遊戯は【ファミリア】同士の総力戦。団員がたった2名しかいないこちらが受ける義理はない。もちろん断ったのだが

 

「流石に昨日今日で何かしてくるって事は無いだろうけど、アポロン達はこじつけてちょっかいを出してくるかもしれない」

 

そういうわけでヘスティア様はベルにステイタスの更新を念のためやっていた

 

ベル・クラネル

Lv2

力:C635

耐久:D590

器用:C627

敏捷:B741

魔力:D529

 

幸運:I

 

≪魔法≫≪スキル≫そのまま

 

 

「…こんな面倒な事をしでかして、すいません」

 

 プライドをへし折り土下座する勢いで頭を下げようとしたが、ヘスティア様がそれを止める

 

「いいんだよ。悪いのはアポロンさ、寧ろヤミ君がやり返してくれていた事に感謝してしまったくらいさ」

「ありがとうございます」

 

 ヘスティア様の言葉に心から感謝する

 ヘスティア様はニコッと笑いながら続けて俺達に注意を促した

 

「二人共、何があったらすぐに逃げるんだぞ。移動する時も一人にならないように、人が大勢いるところを行くんだ」

「「わかりました」」

「ダンジョンへもぐる時も、しばらく命君達と行動を共にした方がいいかもしれない。タケも事情をわかってくれているはずだから、パーティの申請も受け入れてくれるだろう」

 

 ヘスティア様の言葉に頷くと支度をすぐに済ませ、立ち上がる

 

「二人共、出るのが一緒なんだし、どうせだからバベルまで一緒に行こうぜ?」

「はい、いいですよ」

「そういえば、ヘスティア様も一緒に出るのって初めてな気がするぞ」

 

 ベルと快諾するとヘスティア様も笑う。俺、ベル、ヘスティア様の順で階段を上がり、狭い地下室を出ると違和感があった

 

(これは……魔力?)

 

 魔導師って訳ではないが、魔法なら馬鹿みたいに使い込んでいるため、その違和感に気づく事ができた

 

「ヤミさん?」

「お、おお。すまんすまん」

 

 足を止めている俺に後ろのベル達がつっかえていたため足を再び動かす。ベルも地下から出た瞬間にこの違和感に気づいたようで表情を変える

 

「……ヤミさん。これ」

「ああ、多分そうだな」

「へ?ど、どうしたんだい?二人共…」

 

 俺とベルの謎の話し合いに疑問を持つヘスティア様をよそに、扉のない教会玄関口をくぐる

 

「ーーーー奥へ逃げろッ!!」

 

 朝日を浴びた瞬間。周囲の建物の屋根や屋上にたたずむ、無数の人影が飛び込む

 見れば全員が玄関を包囲するように配置されており、弓、杖をそれぞれ装備している

 敵を確認した瞬間、ベルはヘスティア様を抱えて奥へ飛び込み。俺は念のため敵の持つエンブレムを見てから続いて飛び込んだ

 

 弓矢と太陽のエンブレム、【アポロン・ファミリア】だった

 

 飛び込むと同時、一人のエルフの手が振り下ろされーー大爆発が起こった

 

 

 

 

 

 爆発音の後、教会が崩壊した。爆薬も塗られていたのだろう矢も爆発していた。崩れる教会の裏の木製の扉を開けて俺達は出る

 

「……ホームなくなっちまった「撃てッ!!」クソがッ!!」

 

 出た先にも弓矢と杖を持った冒険者達が待ち構えていた。一斉に放たれるそれをベルとヘスティア様を背に抜いた刀と鞘で弾き、切る

 

「走れっ!!」

 

 俺の言葉を合図にベルもヘスティア様も走り出す。そのまま幅3Mほどの裏路地を進む

 

「ヤミ君、襲ってきたあの子達は……!?」

「【アポロン・ファミリア】だっ!ヘスティア様の予想は外れたな!!おまけに家まで潰されたぞ!!ハッハッハ、笑えねぇ!」

「えっ!?」

 

 笑いながらそう言う俺にベルが驚愕の表情を露わにしたベルが教会を見る。帰る家がなくなった事が衝撃を与えているようだ

 

「曲がれっ!!!」

 

 安心する間も無く、前を見れば獲物を手に突っ込んでくる冒険者。いちいち相手をしていられないためすぐさま右に曲がる

『行ったぞ!』『そっちだ!』と冒険者の声が響いてくる。無数の気配が俺達を追いかけてくる

 

「影に隠れるやつはできない!?」

「無理だっ!こんかに囲まれてるんじゃ隠れる瞬間を見られる!!」

 

 ベルの提案に俺は否定する

 土地勘があるこちらに有利があるにもかかわらず、相手の目も振り切れない。数という物はここまで厄介なのかと実感するが、それも一瞬

 大きな民家の壁が目の前にある

 

「飛ぶぞっ!!ベル坊!!」

「うん!神様、摑まってください!!」

「えっ?」

 

 壁を前に減速するどころか加速する。見る見る内に壁は近づいてきたところで一気に踏み切る

 

「わあああああああああああああああああっ!?」

 

 8Mもある民家を身体能力で飛び越える

 ヘスティア様が絶叫を上げる中、放物線を描いた跳躍はギリギリ壁を飛び越え、屋根の上に着地する

 

「諦めた方がいいよ」

「…誰だアンタ?」

「ウチはダフネだよ」

 

 着地した先にいたのは数名の団員を率いた女性だった

 

「ヤミさん。あの人は僕に手紙を渡した時の…」

「ああ、アイツがか」

 

 ベルの話を聞き「なるほど」と口にしているとダフネが哀れむような目でこちらを見てくる

 

「アポロン様は気に入った子供を地の果てまで追いかける。手に入れるまでね

 ウチやカサンドラも、見初められてずっと追われ続けたんだから。都市から都市、国から国……観念するまで、ずっとね。逃げても遅いか早いかの違いだけだって」

 

 忠告と同時に似たような境遇だったと告白してくる。同情の眼差しで

 

「投降しない?仲間になっちゃう子にできれば手荒なことはしたくないんだけど」

「……できません」

「だとよ。俺も無理だバーカ、わかったらさっさと帰ってくれないか?こっちは忙しいんだよ」

 

 ダフネの言葉に拒否すると彼女は溜息をついた

 

「そうなるよね、じゃあーーかかれ!」

「かかってこ……い?」

 

 ダフネが抜剣し、切っ先をこちらに向けてくる。俺も臨戦態勢に入るのだが相手は弓を取り、矢を射ると一斉に撃ち放ってくる

 

「ベル坊!!ギルドへ逃げろッ!!」

「ヤミさんは!?」

「あとで行く!!」

 

 先程と同じように刀と鞘で防ぐ。ベルに指示を出すとベルは戸惑いながらもヘスティア様を抱えて走り出した

 

「相手は一人とはいえ、【ロキ・ファミリア】のベート・ローガを一撃で倒したと聞く!!絶対に近づけさせるな!!」

「その話はあんまり広がってないはずなんだけどなぁ!!」

 

 前からくる矢の雨を捌きながら反撃の隙を伺う。するとほんの一瞬、敵全体が矢を射る時間ができた

 それを見逃さず【強奪】を

 

 ヒュッ

 

 使う前にダフネの短刃(タガー)が飛んできた。間一髪で避けたが魔法はキャンセルされる

 

「反撃なんてさせるわけがないじゃん?」

「……ああ、忘れてた」

 

 ある事を思い出し、ニヤリと笑うダフネにそんな事を呟く。その瞬間に俺がとった行動は…

 

「「「なっ!?」」

 

 後ろへ飛んだ。ここは屋根の上、後ろに飛べば地面がない。即ち落下する

 落下する一瞬で【領域】を発動させ、周りを確認する。誰もいない、ベルの方へ向かったのだろう

 

「よし」

 

 気合いを入れて、魔法を発動させた

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