ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第63話戦争遊戯

 夜、俺とベルがそこに着くと、改宗(コンバージョン)したリリ、ヴェルフ、命の三人と助っ人のリューさんがそこにいた

 

「遅かったな」

「「ごめん」」

「もう、準備はいいのか?」

「うん、神様にも【ステイタス】を見てもらった」

「そうか。じゃあ、ほら、約束していた短刀(ナイフ)だ。一台目より切れ味は抜群だ、保証する」

「ありがとう」

「ヴェルフ殿……例のものは?」

「用意してある。ただ、やっぱり時間がなかった、悪いがふた振りだけだ」

「……その、ヴェルフ、良かったの?」

「ああ。……意地と仲間を秤にかけるのはもう止めた。それよりも、ヤミさん。そっちの実験はどうなった」

「バッチリ…だが、成功したのは一本だけだ。ついでに言うと、もう二度とやりたくないな」

「一本でも充分だよ。つーか、量産出来たら俺の存在意義がほとんどなくなるだろうが」

「ハッハッハ、まあとりあえずは…」

「はい、ヘスティア様達の手筈通りに」

「おお。明日中に、城を落とすぞ」

「うん……勝とう」

 

 

 vs【アポロン・ファミリア】

 戦闘形式(カテゴリー)ーー攻城戦

 勝利条件は、敵大将の撃破

 長い夜があけようとしていた

 

 

 

 〜朝〜

 

 

 

 古城跡地

 開始を告げる銅鑼の音がら遠方の丘から響き渡る

 小人族のルアンは碌に戦えないが目が良いため、見張りをしろと命じられた

 

 平野にはほとんど物陰がなかった。時折思い出したように岩の塊が存在するが、まず何人も隠れられない。北から東にかけて僅かな緑と荒野が続き、南の彼方には川、西の方角には林が見える

 目を細める彼が風で煽られる短い髪を押さえていると、話し声が聞こえてくる

 

「『魔法』の詠唱だけには注意しとけよ。特に、ヤミ・カズヒラの魔法は得体が知れないからな」

「なぁに、姿を現したらコイツをお見舞いしてやる。それにカサンドラの報告でヤミ・カズヒラは弓が有効だと聞いている」

 

 得意げに交わされる二人の会話に、雑用を押し付けられたルアンは「けっ」とグレる

 その時、振り返った彼の目に、ある光景が飛び込んでくる

 北側、城砦正面、荒野の中央を静かに歩んでくる全身をマントで覆った、謎の人物

 

「お、おいっ」

「なんだ……?」

 

 奇怪な格好をした人物に弓兵達も気づく

 魔法を詠唱しているわけでもなく近づいてくるその者を百Mまで接近を許した瞬間、動いた

 ばっと両手を広げ、弾みでマントが宙を舞い、その隠れていた全身があらわになる。細い両手が握りしめていたのは、紅と紫に染まった二振りの『魔剣』だった

 

「は?」

 

 ルアンが目を丸くした瞬間、二振りの長剣が同時に振り下ろされる

 城壁の上にいた者達の前で、凄まじい砲撃が炸裂した

 

 

 

 

 

「…そろそろですかね」

 

 覆面の人物、リューは長剣を振るいながら呟く。それと同時に三十人ほどの冒険者がやってくる。相手の一軍は『魔剣』を警戒してバラバラになりながら接近してくる

 近づいてくる敵を変わらず『魔剣』を振る事で攻撃していると

 

「っ!」

「今だ!?突撃しろ!」

 

 持っていた『魔剣』が弾けた。それを見た好機と見て声を上げて全隊で攻めかかった

 

「ーー待っていました」

「ッ!退避!!」

 

 リューは壊れた剣の残骸を捨て、隠していた刃が黒く変色した『第三の魔剣』を取り出す。これは『クロッゾ』ではなく、【悪魔】から譲り受けた『魔剣』だ

 

 エルフの男がそれを見た途端に退避を命じたがもう遅い。リューはそれを振り上げ、自分に近づいた事で塊になった敵に振り下ろした

 

 

 

『リューさん。これは城を破壊するような威力はないが、人に向けてやれば絶対の威力を期待できる

 簡単に言えばヴェルフのは「対モンスター」、「対城壁」の魔剣とするなら俺の作ったこの魔剣は……』

 

 

 

「……『対冒険者』の魔剣ですか」

 

『闇』が晴れ、目の前にいた冒険者の山を見てリューはこれを作ったという男の言葉の続きを呟いた

 

 

 〜ヤミ〜

 

 

「ヤミ殿、準備は出来ていますか?」

「こっちは大丈夫だけど、えーと…そっちは?」

「無論、準備は出来ています。それと、命と呼んでもらって構いません」

 

 大地の色と同じ隠蔽布(カムフラージュ)を纏い、混乱の隙に乗じて城砦へ侵入することに成功した

 敵の注意を一時的に引きつけるリューの影で、破られた北側城壁から城内へ。破壊された砦の正面入り口、砂塵が舞う瓦礫の山を飛び越えると行動を開始した

 

「【掛け幕も畏きーー】」

 

 命が走行しながら詠唱を始める

 

『奇襲だーーッ!北から敵が…ッ!ヤミ・カズヒラが来たぞぉー!?』

「…あいつ、酒場の時にいたやつか?」

 

 あの時の小人族の叫び声で団員達の視線が俺達を見つめた

 段差が激しい砦の石屋根に躍り出て、敵大将(ヒュアキントス)が腰を据える玉座の塔へ真っ直ぐ突き進んだ

 

「【いかなるものも打ち破る我が武神(かみ)よ、尊き天の導きよ。卑小のこの身に巍然たる御身の神力を】」

『っ!女の方は詠唱をしているぞ!』

 

 バレた。男の声を聞いた瞬間、一斉に準備されていた弓を射る。狙いは……

 

「【無明斬り】」

『ギャアアアアアアアッ!?痛え!!?』

 

 一斉に声の上がった方を見た。弓兵の一人が血を流して苦しんでいる。それを見た周りはこれをやったであろうヤミを見た

 その瞬間に弓を持つ者は全員ヤミが危険と判断し、そちらを狙う

 

「【救え浄化の光、破邪の刃

 払え平定の太刀、征伐の霊剣(れいおう)】」

『待て!?女の詠唱が!?』

『うるせえッ!!女を狙ってたらこっちがやられちまうだろうが!?』

 

 男が「女を狙え」と呼びかけるが弓兵達は混乱し、蔓延していく

 

「【今ここに、我が名において招来する】

【天より(いた)り、地を統べよ】」

 

 そうこうしているうちに命は中庭に辿り着き、詠唱を進める。それを見た者は武器や弓矢を使い撃ち出したがもう遅い

 

「【神武闘征】!!

【フツノミタマ】!!」

 

 魔力が解放された

 半径五十M、命の最大範囲

 命の直上に一振りの光剣が召喚され、魔法を激発される

 特大の重圧魔法が発動し、投擲された武器を、冒険者を地に叩き落とす

 

『がっ、がぁああああああっ……!?』

 

 ドーム状の深紫の檻に囚われた者達は、重圧によって歪んだ絶叫を上げた。重力領域内にいる全ての者が膝を、手をついて重圧に耐えようとする

 自爆攻撃ーーそう思ったのだが、これを起こした者と一緒に来た男を見て驚く

 

「凄い……本当にこんな事が……」

「ハッハッハ。凄えだろ。言うなよ?誰にも」

 

 余裕と言った感じでその場に立つ二人。よく見れば二人には何か、黒い幕のような物が付いていた

 

「さーて、命の魔力が続く限りここは重力の檻のままだが…さっさとお前らを気絶させて楽になってもらわねぇとな

 俺もこの後暴れるし…」

 

 そう言うと男は黒く染まった手刀を倒れている者の首元に当て、気絶させていく

 

「抵抗しようとするなよ?ミスったら帰って苦しいからな」

 

 ……これは我慢比べだと思ったが違った

 動けない状態の者にとどめを刺す。悪魔…いや、魔王からの処刑だった

 

 

 

 

 

「これで全員…か?命、もう魔法は解いて良いぞ」

「わかりました」

 

 闇を纏わせた手刀で気絶した【アポロン・ファミリア】の連中を確認してそう言うと命は即座に魔法を解除する

 

「驚きです。まさか魔法の効果を無効化…受けなくなるとは……本当に私に教えてよかったのですか?」

 

 命が心配そうに俺に話しかける

 

「『敵を知り己を知れば百戦危うからず』だ。要するにこんな大事な時にそんな事気にしてたら負けちまう可能性がある

 それより、もう行っていいか?」

「あ、はい。大丈夫です。自分はリュー殿と合流して遊撃をしています。ヤミ殿は存分に暴れてください!」

 

 そう言って命はリューのいるであろう東の方へ行ってしまった

 

「……俺も遊撃って事なんだけどなぁ。なんで『暴れる』って表現するかなぁ、リリのやつ」




ヤミ・カズヒラ
Lv3
力:I0→F371
耐久:I0→E431
器用:I0→E418
敏捷:I0→F368
魔力:I0→H108☆魔剣作りのせい

純粋H 付与I

≪魔法≫≪スキル≫そのまま


ベル・クラネル
Lv2
力:C635→SS1088
耐久:D590→SS1029
器用:C627→SS1094
敏捷:B741→SSS1302
魔力:D529→A883

幸運:I

≪魔法≫≪スキル≫そのまま
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