ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
「いやあ、あっさり終わったな」
ダフネ達を気絶させて胡座をかいているヤミ。そんな俺の姿を見てヴェルフが口を開いた
「ヤミさん。ベルは勝てると思うか?」
「さあ?」
「さあ…って、確証もなく送り出したのかよ…」
当たり前のように首を傾げる俺にヴェルフが呆れたような目を向ける
「『ベルならなんとかするだろ』っつー信頼的なやつだな。…リリにこれみたいなこと話したら「それは慢心」とか言われたっけ…」
「いや言われたなら尚更ダメだろ?」
「まあそうなんだが、もうベルはあの時と違う。一人でも十分やれるくらいまで成長してるからな」
そこまで話すとヴェルフは少し思った事を口にした
「ヤミさんがヒュアキントスと戦う事になったら勝つ可能性はどれくらいだと思う?」
「それ、本人に聞くやつじゃないだろ?……確実に俺の勝ちだよ」
そらそうだ。ステイタスに多少の差があっても【強奪】で奪えば確実に俺が上になるか同じくらいになるかだし、【闇魔法】で相手は一発でも…いや、一回触れるだけで負けは確定するっていう最悪なクソゲーだし
「…今思えば同Lvのやつじゃ俺に勝つ可能性あるやついなくね?」
「…やっぱアンタが上行った方が良かったよ」
そんな風に話をしているといきなりドンッと、城で爆発音が響いた
「まあ今更だ。ベル坊の勝利を祈ってようぜ」
「ここまで来て負けたら恨むからな」
城から聞こえる崩壊の音を聞きながら、見ながら、二人でそんな事を話していた
戦いが終わった。勝者は【ヘスティア・ファミリア】
戦いが終わった彼等は壊れた場内で集まっていた
「ハッハッハ!やっぱベル坊が勝ったか!」
笑うヤミに対してリリの冷たい視線がヤミを指す
「ヤミ様が戦っていれば、ベル様がこんなに傷つく事は無かったはずです!!」
「それはあれだ、ベル坊も自分がやりたいって言ってたし、本人の意見も尊重してだな」
リリに言い訳をするヤミ
そんな二人にベルが近づき口を開いた
「リリ……助けてくれて、ありがとう」
「ベル、様……」
「ヤミさんも、信じてくれてありがとう……」
「無理するな。ポーションどこにある?」
ボロボロになりながらも笑顔で礼を言ってくるベルを止める
「カズヒラさん、クラネルさんをお願いします。そろそろここを発ちましょう。どこかに腰を据えて治療しなければ」
リューがそう言うと頷き、しゃがむ。それを見て察したのかすぐに背中にベルが乗ってきた。所謂おんぶというやつだ
「あれは…うん」
「なんだか微笑ましいですね」
「ヤミ様でもあれが似合うとは思いませんでした」
「初めてあの二人の兄弟って感じの瞬間を見た気がします」
後ろから何か言われているが無視して休める場所に足を動かした
巨大な屋敷が建つ、広い庭の中で
ヘスティア様は大いに威張っていた
「じゃーん!どーだ、これが今日からボク達のホームだ!」
「「「おお〜〜っ」」」
ヘスティア様が示す屋敷を見て、ベル、リリ、ヴェルフ、命は感嘆する。見上げるほどの、3階建ての大きな邸宅だった。ヘスティア様が言うには中庭と回廊までも備わっているらしい。敷地は背の高い鉄柵に囲まれており、花や庭木が植えられた広い前庭も備わっている
「しかし、本当に【アポロン・ファミリア】のホームを乗っ取ってしまいましたねぇ……」
「アポロン様は天界に帰って【アポロン・ファミリア】の金は全て俺達のもんになっちまった。ヘスティア様、俺以上に悪魔してないか?」
「ふん、ボク達は理不尽にホームを潰されたんだ、悪魔にもなるさ!」
ヘスティア様は堂々と言ってのける
戦争遊戯の勝者の権利として、【アポロン・ファミリア】のホーム。彼等が所有していた豪邸を手に入れていた
まさかの住居の
「賠償金もたっぷりとある、趣味の悪い彫像やらの撤去も含めて屋敷全体は改装しよう!何か要望があったら言ってくれ!」
「へ、ヘスティア様っ、どうかお風呂の導入を!?」
「ヘスティア様ー!作業用の炉を造ってくれー!」
今後、アポロンの趣味全開の館を改装する旨を告げると、命とヴェルフが興奮気味に懇願する。二人に対して「まぁ待て待て」とどこか鷹揚に告げた
「ようやく胸を張って【ファミリア】を名乗れるようになったんだ、先にエンブレムを決めようじゃないか」
『確かに!』
主神の提案に揃って頷く
屋敷の玄関前の階段に座り込むヘスティア様。あらかじめ書いていたのかスッと絵を出した
「へっへーん、ずっと前から考えていたんだー」
じゃんっ!とヘスティア様は俺達に完成している絵を見せつけた
「これは炎と…」
「なるほど。ヘスティア様の象徴は護り火なのですね」
「そんな事はどうでもいいんですっ、このエンブレム、要はヘスティア様とベル様とヤミ様ということではないですか!
ヴェルフと命が呟く横でぷりぷりと怒るリリ
俺はというとヘスティア様に質問をしていた
「あの……ヘスティア様?なんで俺は手?」
「ほら、ヤミ君はいつだってボク達を支えてくれてるからね。それがこれの意味さ」
紙には炎鐘が重なり合い、その下にそれら二つを支える黒い手が刻まれていた
「俺の部屋はここでいいか?」
『異議なし!!』
現在多くある部屋の場所を決めていた。俺の選んだ部屋は少し他とは違う豪華な部屋。それなのに俺の決めた部屋の場所に皆異議を唱える者がいないのはなぜか
「食堂に1番近いからね!ヤミ君。今日は祝いの食事を頼んだぜ!」
ヘスティア様が親指をグッと立ててそう言ってくる
そう、ここは台所、食堂が1番近い部屋。朝飯、昼飯、晩飯をここで作るためにここに決めたのを全員察してくれたらしい
「みんなよく察せたな。一人くらいは反対する奴がいると思ってたんだが…」
「みんな美味しいご飯が食べたいんですよ。ベル様とヘスティア様から嫌と言うほどヤミ様の料理の事を聞いていますし、18階層で飲んだものも美味しかったですし」
とリリが言い
「俺はそれもあるが、炉ができる予定の場所に俺の部屋を置きたいしな」
と続いてヴェルフ
「じ、自分は…その、お風呂があれば…」
ともじもじしながら命が言った
「そうか、んじゃ遠慮なくここを使わせてもらうとして。期待通り食堂で作ってるから部屋決めてこい」
そう言いながらみんなに背を向けて台所の場所へ向かう
「ヤミさんってもしかして…」
「ああ、多分台所がどんなのか気になるんだね」
後ろでベルとヘスティア様の声が聞こえる。多分ヘスティア様の顔は今ニヤニヤしてるな
(さて、何作るか…
鯛は…戦争遊戯する前に酒場で…いや、刺身ってのもいいな…寿司にするか。となると、汁物は味噌汁で決定だな……)
〜宴会〜
「よーし。全員集まったな!」
ヘスティア様がジュースの入ったコップを持って口を開く
「えーと……祝いの席だし、言葉は不要だ!かんぱーい!!!」
『かんぱーい!!!』
全員ちゃんと返したけど、言葉を考えてなかったなあの
乾杯の合図をした後、みんな箸を持ち、料理を……
『なんだこれ?』
ほとんどがそんな反応を示した。そんな中、他の反応する者が一人
「ヤミ殿!これはまさか寿司と味噌汁では!?」
「おう。ネタは10種類程だ」
極東出身の命だった。過剰に喜ぶ命を見て全員が頭に「?」がついた
「ヤミさん。スシ…って何?」
ベルがしどろもどろに聞いてくる。それに対して俺は普通の感じに答えた
「ああ、極東で食べる奴で生の魚を酢飯に乗せて食べるんだ」
『な、生!?』
「…まあ、食ってみたらわかる。ああ、醤油をつけるのを忘れずにな」
このあと、寿司を知らないやつがそれを食べると箸が進み、おかわりがなかなか途切れなかったとかなんとか