ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
『ガアアアアアアアッ!!!』
「おっとと……危ねぇな!!」
ヘルハウンドの火炎放射と噛みつきを巧みに避けながら前に突き進み、首を跳ねる
今いる場所は中層である15階層、上層とは違いモンスターの出現する数が桁違いに多い。だがLv3になった今、それなりに
「よしっやっと辺りにモンスターが…」
ドスッ
そこまで言おうとすると後ろから何かを指す声が聞こえた。俺はゆっくりと後ろを振り向き呟いた
「いないわけないよなぁ」
そこには頭に刀身が刺さった状態のアルミラージがいた。気配を消して近づいていたようだが、【領域】により気づいていたため対処できた
……やられたとしても、アイズ&ティオナの二人にしごかれた『耐久』のせいであんまりダメージにならないんだろうが
「数は……1、2…最低でも五匹か。奥の方にもいる時もあるから怖いんだよなぁ…」
【領域】の外にいる敵はどう頑張っても探知出来ない。命がいれば数まではわからなくとも『敵がいる』とわかるようになるが、彼女がいないため【領域】を発動し続けなくてはならない…昔ならば
「『見なくても反応出来る訓練』やってみるか」
そうボソリと呟いて【領域】を解いた。目の前には光のない薄暗い世界が広がる
『ッ!』
「…右」
飛んでくるアルミラージの角を刀で防ぐ。すると硬いもの同士がぶつかる音がする
「なんかじいちゃんと稽古してた時を思い出すなあ。…まあ
じいちゃんはこんなに弱くはなかったが」
『キャウッ!?』
〜青年狩り殺し&帰宅〜
「ただいま〜っと」
「あっ、お帰りなさい。ヤミ様!いきなりですがそこの荷物を持って運んでくれませんか?」
新しいホームの扉を開けると大きな荷物の隣で小さな荷物を持つリリの姿があり、俺に声をかける
「おう、本当にいきなりだな。これ持てばいいのか?」
「はい。リリの部屋まで運んでください!」
リリの言葉に「わかった」と返事を返して一緒に歩き出す
「ヤミ殿ー!!」
少し歩くと命がやってきた。彼女は目の前まで来て、「探しましたよ!」と言ってくる
「約束のアレをください!」
「アレ?アレ……ああ。入浴剤?」
「はい!」
俺は目を輝かせながら肯定する命の前で片手を【購入】の空間倉庫に突っ込み、抜き取る
「ほらよ。もう夕食だから風呂入るなら早めに出とけよ?」
「はい!わっかりましたぁ!!」
命は元気すぎる返事を俺に返すと受け取った入浴剤を持ってドドドドッと言ってしまった
それを見たリリは少しの間時が止まったように動かず、やがて動き出し
「ダンジョンの温泉の時といい…命様って変わってますよね?もしかして、極東じゃあアレが普通とか…」
「ないない。一応俺も
「そうですか。よかったです」
そう言ってこの話は終わりにし、リリの部屋へ向かった
『いただきますっ!』
「どうぞ」
今夜は鍋、うん。この季節にはいいな
「やっぱ美味いな。ヤミさんの飯は…」
「そうかい。そう言ってくれると作ったこっちとしても嬉しいぞ
……ベル坊、どうした?」
隣で本当に嬉しそうに食べるヴェルフを見ながら逆の隣を見るとベルが何やら真剣な顔でこちらを見ている。何をする気なのか首を傾げているとベルが口を開いた
「ヤミさん。僕と、戦って…くれないかな?」
「…は?」
予想外の言葉に思わず変な声が出た
戦って?戦ってって言ったのか?
「どうしたんだいベル君?」
「はっ!まさかついにヤミ様に何か嫌なことをされましたか!?」
ヘスティア様とリリが驚きながらベルに詰め寄る。……『ついに』ってなんだ『ついに』って
「…最近思っていたんです。僕はヤミさんの足手纏いじゃないかって」
ベルの告白にその場にいた誰もが驚いた。だがその中で誰よりも驚いたのは多分俺だ
「いや別にそんな「ヤミさんならそうやって否定してくれるけど、僕が納得できないんだ」
俺の言葉を遮ってベルは続けた
「僕がヤミさんに勝てるとは思わない。だけど、ヤミさんと今の僕の力を確かめたいんだ。…ダメかな?」
………
「わーったよ。やればいいんだろ?良いよな、ヘスティア様?」
ヘスティア様に問いかけるとヘスティア様は「うーん」と少し悩むがすぐに答えが出た
「…ああ、僕も二人の戦いを見てみたいしね」
「よーし、そうと決まればさっさと食って庭でやるぞ」
そう言ってまた食べ始めるとベルも納得して席に戻りガツガツ食べ出した
←→←→AB
夜で暗い中、【ヘスティア・ファミリア】のホームの庭で大きな一つの光が輝く
「最初の距離はこのくらいか?」
「そうだね」
俺とベルはお互いの距離を決めるとそこに立ち、見物人のリリ、ヴェルフ、命、そしてヘスティア様を見た
ヘスティア様は前に出ると俺とベルに聞こえる声で叫んだ
「コホンッ…えーと、なんだっけ?」
全員ズッコケた
ポンコツ女神のヘスティア様を差し置いて代わりにヴェルフが前に出て叫んだ
「あー、えー…これよりヤミ・カズヒラとベル・クラネルの模擬戦を行う
ルールは魔法有り、スキル有り、何でもあり
敗北条件は気絶か負けを認めた時、相手を殺めた時だが異存はないな?」
「「
大きな返事を返すと「では」とヴェルフが右腕を上げ、開始の合図の準備をする
それに従い俺は刀を、ベルは二本のナイフを構えた
「よーい……」
「本気で来いよ?」
「そっちこそ!」
始まる寸前、二人でそんな言葉を口にし
「始めッ!!」
ガンッ!!
始まった瞬間お互いの最高速で突っ込み、刃と刃がぶつかる
お互いの武器から衝撃が襲い手が痺れる。そのせいか少しの間お互いは動かなくなる…いや、この感覚を楽しんでいるのか?
「【強奪】!フンッ!!」
やがて動けるようになると動いたのは俺、【強奪】で身体能力を奪いベルに蹴りを放つが読まれていたのか最小限の動きで避けられそのままベルの連撃が飛んでくる
俺もそれを避けるが超近距離であるため、刀が触れない
試しに後ろに飛んで脱出を試みるがそうはさせまいとベルがピッタリとくっついてくる
「チッ」
「……」
やがて避けきれなくなり、腕に浅いが傷がついた。浅いとはいえ傷からは血がたらりと落ちる
だが、それでもベルの連撃は止まらずやがて
「……ん?」
「…………」
連撃は止まった。とりあえず距離を取るがベルは先程とは違いついてこない。というか、動かない
「……で……ってよ」
「ん?」
何かぶつぶつ言っているため耳を傾ける。するとベルは思い切り俺に向かって叫んだ
「本気でやってよ!!」
「うおっ!?」
ベルとは思えない怒気の入った声に思わず驚く。だがベルはそれは気にせず続けた
「ヤミさんは本当はもっと強いッ!!こんなものじゃない!!言ったよね!?ヤミさん自身が『本気で来い』って言ってたのに!僕は本気を出したのに!!」
「いや、俺は本気で…「【闇魔法】があるじゃん!」はぁ!?」
一瞬ベルの言葉に耳を疑った。【闇魔法】は【
つまりは手加減間違えばLv3の攻撃が【神の恩恵】を持たない一般人を襲うのと何ら変わりないのだ
「…何で、ベル坊はそんなに俺との戦いを望んだんだ?」
少し考えたが、なぜそんな危険極まりない力を使えと言うのかわからない故にベルに聞いた
「それは…」
するとゆっくりとベルは口を開いた
「他の冒険者からヤミさんの噂を聞いちゃったんだ」