ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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新団員がくるよーー!!
それはそうと活動報告書いたのでそちらに書いてください


第67話新団員

「ゆ、夢じゃないよね……?」

 

 ベルが眼前の光景に、喉を鳴らす

 正門が解放された事で、屋敷前の庭には大勢の亜人(デミ・ヒューマン)が溢れていた

 館の玄関前にいるベルはその人集りに間抜けな面を晒して立ち尽くしてしまう

 

「現実さ、ベル君!ここにいる子達は、みんなボク達の【ファミリア】を選んでくれたんだ!!」

 

 呆然とするベルの隣で、ヘスティアが見よとばかりに手を広げる

 ヘスティアが提示した【ヘスティア・ファミリア】の宣伝を見聞きして、今日、五十人を超す入団希望者がベル達のホームに集まったのだ

 

「戦争遊戯に勝利した事で一躍有名になってしまいましたからね。特に、オラリオに来たばかりの新人冒険者の目には魅力的に映ったのでしょう。今、一番勢いがある派閥だと」

 

 ヘスティアとは反対側にいるリリが、こうまで入団希望者が殺到した理由を話しているとググッと扉が開き、ヤミが現れた

 

 〜ここからヤミ視点〜

 

「おーう、お前ら。中は準備出来「うおおおおおお!!ヤミのアニキィィィイ!!」…なんだあ?」

 

 俺の声を遮って聞こえた声を探す。…集まった者達が叫んだ者を見ていたためすぐに見つかった。つーか目立ったやつだった

 

 青色の立派なリーゼントに、上着の前を全開で開けているヒューマンだった。しかも目つき悪い…どこからどー見ても不良だ

 

「えっと、叫んだのはあの人だよね?」

「そうだね。あっ、めちゃくちゃ手を振ってるよ?知り合い?」

「いや、知らねーよ。あんなやつ」

「ほえー…なんだかヤミ様とつるんでそうな感じですね」

 

 他の三人が気づきそれぞれ呟く

 てかリリ、つるむってなんだつるむって……

 

「よし、準備は出来た事だし、今からボクが一人一人面接して、適性を見る!」

「えっ……み、みんな入団させるんじゃないですか?」

 

 ヘスティア様が意気込むとベルが驚きの表情をして問いかける

 するとヘスティア様は淡々と答えた

 

「神にも好みや司る事物があるように、それぞれ【ファミリア】には独自の規律、特色ってものがある。反りが合わない子を迎えても、逆に苦痛を与えてしまうだけだぜ、ベル君?」

「それは…」

「それにね、ボクは神だ。向き合えば子供達がどーいう人物なのかはほぼ一目で見抜ける。神には嘘はつけないし、ね。悪人はもとより、【ファミリア】の風紀を乱す子はお帰り願おう」

 

 ふむふむと俺は納得したが、ベルを見ればまだ『全員迎え入れたい』といった感じだ

 

「……それに、サポーター君のような子は厳重に取り締まらざるをえない。これ以上ベル君に色目を使う泥棒猫(やから)を増やすわけには……」

「聞こえていますよ、ヘスティア様」

 

 ヘスティア様とリリがギャーギャーしているうちに集まった者達を見るとあることに気づいた

 

「よく見ると亜人もいるが、ヒューマンが多いな。6対4くらいか?やっぱベルが団長やってるからか?」

「そ、それならヤミさんも副団長じゃん」

 

 神様の指名と、『改宗』ではない元々の眷属という事で【ファミリア】の団長、副団長には俺達に白羽の矢が立っていた

 派閥別の入団傾向の中で、首領が己と同じ種族だと入りやすいという【ファミリア】の法則が少なからず存在するらしいがそのせいなのだろうか?

 

「それじゃあ、そろそろ面接を開始するかな!」

 

 考え込んでいるとリリとの喧嘩が終わったヘスティア様が意気揚々と口を開いた

 正面玄関の位置から俺、ベル、リリと一緒に前へ進み出る

 人集りの視線が集まる中、ヘスティア様は満を持して入団式の刻限を告げようとした

 

「「へ、ヘスティア様ぁー!?」」

 

 そこに二つの重なった叫び声が響いた

 振り向くと、屋敷からヴェルフと命が飛び出してくる

 玄関が勢いよく開け放たれると大慌てで走ってきた

 

「に、に、荷物の中からっ……!!」

 

 冷静さを失った表情で息も絶え絶えになりながら命が右手に持っていた用紙を突き出した

 

「借金『二億ヴァリス』の契約書がぁーーーーーーーー!?」

 

 瞬間、その場にいた全員の時が止まった

 

「ぶうっ!?」

 

 眼前に突きつけられた高級紙にヘスティア様が噴き出す

 

「は?」とリリは固まり、ベルは凍結し、俺は書かれている桁を数えた

 一、十、百…………億

 何度も数え直すが変わらない。赤い血の色で記される事項の数々は紛れもなく本物の『借金契約書』、丁寧に共通語(コイネー)と【神聖文字(ヒエログリフ)】で綴られたヘスティア様のサインまである

 用紙の片隅を見れば書かれていたのは【ヘファイストス・ファミリア】

 それを見た途端に記憶を掘り返す

 

(いつだぁ…一体いつこんな物を…)

 

 考えた末に可能性は一つだけあった

 

(リリもいなかった時にヘスティア様が一週間開けた時があった。帰ってきた時にヘスティア様は……)

 

 ちらっとベルがあの時ヘスティア様から受け取ったナイフ、『ヘスティアナイフ』を見た

 

「ふ、ぁーー」

「ヘスティア様ぁ…これは一体どーゆー事かなぁ?アハハハハハ」

「べ、ベル様!?ヤミ様!?」

「おい、嘘だろう……?」

 

 ベルは天を仰いで地面に崩れ落ちながら気絶し、俺は壊れた。それを見たリリが悲鳴を上げ、更にヴェルフの引きつった声が落ちる

 そしてそれが契機だったかのように、前庭は瞬く間に阿鼻叫喚の絶叫に包まれた

 ザザーッと波のように入団希望者が大移動する音

 白日の下に晒され【ファミリア】の借金額に、誰もが俺達の前から姿を消した

 

 

 たった一人を除いて

 

 

「どーいうことですか」

「説明しろ」

 

 俺とリリの声が響く

 あれから半日が経ち、既に窓の外は薄暗い。夜が間近に迫っていた

 

「後始末やベル様の看病で遅れてしまいましたが、しっかりお聞かせください。例の契約書について」

「あ、あれはボク個人の契約書というか、その、【ファミリア】に直接害があるわけじゃあ……」

「その害のない契約書のおかげで入団希望者はゼロになったんだが?」

「眷属の契りを交わした我々に説明するのは、主神様の義務です」

 

 うぐっ、とヘスティア様が詰まる

 我を忘れていたとはい公衆の面前で借金を暴く真似をしてしまったヴェルフと命は申し訳なさそうにしているが、やはり説明を待っている

 すると観念したのかヘスティア様はぽつぽつと話し始めた

 

「実は…ベル君のナイフをヘファイストスに作ってもらった時、色々あって……」

 

 この後ヘスティア様は正直に話してくれた

 神友であるヘファイストス様に無理を言ってナイフを作ってもらったこと、世界に一振りしかないベルのナイフは恐らく鍛治神(ヘファイストス)様しか作れず……要するに前に超が100個くらいつくほど貴重ってことだ

 そんな武器の代償が途方もない借金(ローン)らしい

 

「……なるほどよーくわかった。んで、どうする?唯一残った入団希望者」

 

 そう言って椅子に座って待ってくれている入団希望者を見る。あの時俺を呼んでたリーゼントがキラキラした目でこちらを見ていた

 

「…面接。しようか」

 

 

 

 〜問1〜名前と出身地と歳を教えてください

「オガ・アーチスですッ!!最近西の村からオラリオへ来たっすッ!!16歳っす!」

 

 〜問2〜何故オラリオに?

「親父、おふくろ、妹がいるんですが家族の為にお金を稼ぐ為にオラリオへ来ました!!」

 

 〜問3〜趣味は?

「捨て猫に飯をやる事っす!!」

 

 〜問4〜何故【ヘスティア・ファミリア】に?

「戦争遊戯を見たんですが、その時にヤミのアニキの強さに惚れてここへ来ました!!!」

 

 〜問5〜ヘスティア様をどう思っている?

「可愛らしい人だと思っています!!!」

 

 〜問6〜ベル・クラネルをどう思っている?

「人の良さそうな先輩です!!!」

 

 〜問7〜借金があるけどいいの?

「大丈夫です!!自分は望んでここへ来たんですから、曲げるつもりはありません!!」

 

 

 それを全て聞いたヘスティア様はゆっくりと口を開いた

 

「……合格だ。ようこそ、【ヘスティア・ファミリア】へ」




オガ・アーチス
Lv1
力:0
耐久:0
器用:0
敏捷:0
魔力:0

魔法
【】
【】
【】

スキル
【舎弟の心意気】
一緒に戦う目上の仲間のステイタスに高補正
尊敬している人にはさらに補正が入る


作者から最後に一言……
ヤミさんにヒロインができる場合はヤンデレかストーカーに決めた
悪魔のヤミさんに救いなんてねーよ
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