ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第71話ガマガエル

 逃げたいが周りに女性(ケダモノ)しかいないため逃げられる気がしない。どうにか隙さえあればベルを連れて窓から逃げられるのだが……

 そんなことを考えている間にもケモノ達はジリジリと近づいてくる。なんだかデカい足音も近づいてくる……足音?

 

「やばい、アイシャ!?フリュネがここに来る!!」

 

 扉から一人のアマゾネスが飛び込んでくる。その顔には焦燥が滲んでいた

 だがアイシャ達はその報告を聞いた瞬間に目の色を変えて「こっちに来い」「隠れろ」とソファーから立たされたが

 それが来る方が早かった

 轟音を伴って、扉が宙を飛んだ。飛んできた扉は俺の方に飛んできたため右手を差し出してそれを受け止めた

 

「若い男の匂いがするよぉ〜〜」

 

 受け止めたドアの向こうでこれをやったであろう女の声が聞こえた…

 姿を見るためにドアを下ろすとそこにはあのイシュタル様と真逆の醜いと言える者がいた

 身長は俺を超えて多分2Mはあるんじゃないだろうか

 短い手足は太っているのかと思ったがよく見れば筋肉の塊

 身の丈もさることながら横幅も太いずんぐりとした体型

 おかっぱ頭でギョロギョロと蠢く目玉に横に裂けた口が特徴の大きな顔

 

「…俺もよく言われる言葉をこの人?に送るわ『人間か?』」

 

 周りのアマゾネスの人達に聴くと「気持ちはわかります」と言った感じの表情で頷いてくる

 

『ヤミよ、みるんじゃない!仮に人間であっても、あんなものが女ではずあるがないじゃろう!?』

 

 なんだか記憶の中で生きるじいちゃんが顔面を蒼白にしながら失礼な事を言っている気がしたが無視した

 …いや俺も失礼な事言ったけどさあ?

 

「ゲゲゲゲゲッ!男を二人も捕まえてきたんだって、アイシャァ〜〜」

 

 見た目に合った蛙のような声にアイシャは舌打ちした

 

「何しにきたんだ、フリュネ」

「お前達が寄ってたかってガキを連れてきたって耳に挟んでね、興味が湧いたのさぁ〜アタイにも見せなよ」

 

 そう言いながらフリュネと呼ばれたガマガエ…違うアマゾネスはのっしのっしと短い足を動かして歩いてきた

 テーブルとソファーをまるでないかのように蹴飛ばし、真っ直ぐムって来る

 そして隠されている俺達を見つけて、にぃ〜〜っと不気味すぎる笑みを浮かべた

 

「【ヘスティア・ファミリア】の『兎』と『悪魔』じゃないか!兎はまだまだ青臭いガキだけど…悪魔は食べごろだねぇ…」

 

 ゲゲゲゲゲ!?と笑いながらそう言われて吐き気が来た

 散々悪口を「怖い」などの言葉を吐かれてきて中々に耐性がついた筈の俺の精神がたった一つの言葉で崩壊寸前まで追い込まれた。この人、只者ではない

 だがまだ拷問のような言葉は続く

 

「押し倒した体に跨って、その顔をめちゃくちゃにして……そそられるじゃないかぁ〜」

 

 意識がなくなりかけた

 押し倒される?跨る?冗談じゃない

 絶望の表情でめちゃくちゃにされるわ

 

 絶望に浸っている俺とふらつくベルを背後に押しやり、アイシャ達は前に出た

 

「チャンスだベル坊。ゆっくり窓に近づいて飛び降りるぞ」

「え?ああ、わかった」

 

 前に出た事で後ろがガラ空きなため、ベルに伝えてからそろ〜っと後退する。その間にもアマゾネス達の口喧嘩が続く

 

「アタイ等流で白黒つけようじゃないか……それとも怖いかぁ?」

「上等だよ、ヒキガエル」

 

 フリュネから出た提案にアイシャが頷く。その瞬間に蚊帳の外にされていた筈の俺達にアマゾネス達の視線が集中放火された

 

「飛び降りるぞベル坊!!」

「うん!?」

 

 俺の合図で壁の窓に突っ込みその場から逃げる。空中に身を投げ出し、上を見るとアマゾネス達もその破った窓から降りてきていた

 地面が近づいてくるが、ダンッ!と綺麗な着地を決めてベルと共に走り出す

 

「待ちなぁ!!」

 

 すぐに後ろから聞こえてくる着地音と共に怒鳴り声が聞こえてくる

 振り返って迎撃したいが振り返れない。つーか、振り返りたくない。怖い

 歓楽街に舞い戻ってもまだ後ろから聞こえてくる足音が消えない

 

「ベル坊!一人で逃げ切れるか!?」

「無理無理無理ィィィィ!?1人にしないでぇ!!?」

 

 隣のベルに尋ねると全力で首を振り涙目でそう言ってくる

 そもそもな話、ベルを見つけるために探していたのにここで別れたら本末転倒だ。さてどうするか…

 

「ーーゲゲゲゲゲゲッ!!」

 

 俺達の『敏捷』に負けずに距離を縮めてくる人物の声が後ろから聞こえてきた。走る俺達に影が重なる。上から何か落下してくるのがわかった

 

「逃がしゃあしな「オラァ!!!」ガフッ!?」

 

 落ちてくるフリュネを振り向きざまのハイキックで吹っ飛ばす。もちろん闇を纏わせているため高い『耐久』など無意味だ

傷は……蹴りだし、壁にぶち当たろうがLv5だ。傷ついたとしても口を切った程度だろう。大丈夫大丈夫

 

「えっ?フリュネ…が」

「Lv5…でしょ?」

 

 Lv5がLv3に負けた光景を見て背後に続いていた者達は口々に呟くと…視線は俺に注がれる

 

『絶対にあの男は捕まえる!!』

 

 …メラメラと闘志が燃え上がった

 やべえ、アマゾネスの本能に火をつけた感じか?これ

 

「本当にLv5を一撃で…噂は本当だったんだねぇ

 今ならフリュネはいない!さっさと捕まえていただくよっ!!」

『おおっ!!』

 

 アイシャが叫ぶと他のアマゾネス達も全力で追いかけてくる

 だが速さに置いてはベルは圧勝とは言えないまでも、勝ち。俺はベルには劣るが勝ちの上、【強奪】がある

 

「よいしょ〜!」

「おぶ!?」「ヤミさん!?」

 

 突然ジャラッと足元に鎖が来たかと思うと俺の左足に巻きつき、引っ張られた。当然俺は転び、ベルが動きを止めようとするが

 

「行けぇベルゥ!!俺の屍を超えて行けぇ!!?」

「ヤ、ヤミさん……ごめん…!」

 

 俺を置いてベルは走って行った。頑張れベル。お前だけは生き残るんだ……

 

「…アイシャは先回りするために数人連れてここから離れちゃったし、フリュネはこの男が倒した」

「私が捕まえたんだから私から!!」

「あーもう、うっさい!!」

 

 振り返れば6人のアマゾネスがこちらにコツコツと歩いてきていた

 その間に足に巻きついている鎖を刀を抜いて切る事で鎖を解く

 最後まで抵抗を見せる姿をを見てニヤリと女達が笑う

 

「イイねぇ…さっそく頂いちゃいましょうか♪」

「すいません。逃してくれるなんて選択は…」

「「「ないよ」」」

 

【領域】を使えば目の前の6人以外にも隠れてこちらを伺っている者が確認できる。逃げられない。刀で下手に傷つけば前みたいに【ファミリア】の問題になりかねない

 ああ、終わった。せめて初めては…「アニキィィィィィィィィイ!!!」

 

 突如として声が聞こえてきたかと思うと何かが降ってきた。それは着地と共に派手な砂煙を上げ、煙が晴れると立派なリーゼントが目立って出てきた

 

「大丈夫っすか。ヤミのアニキ!?」

「オガ。なんでこんなトコに……」

 

 武器はまだ買っていないため練習用にあげた木刀を片手に持ったオガが来た

 

「助けに来「Lv1じゃ無理だ」マジっすか!?」

「マジだ。つーわけでいいところに来た。木刀貸せ」

 

 そう言って手を差し出すとオガは素直に木刀を差し出す。それと同時に心配の声をかける

 

「…刀は使わないんすか?」

「下手に体に傷残すと【ファミリア】の問題とかになる。それに女の体に傷残すと男としてアレだしな

 まぁ見とけ、そんで学習しろ。お前が尊敬してるやつの強さはどんなもなのか…てな?」

 

 木刀を受け取るとそう言いながら向き直り、目の前の女達に突きつけ、ニヤリと笑いながら口を開いた

 

「来いよ、相手してやる

 俺の武器は見ての通り木刀、死ぬ事はないから安心しな」

「「「じゃあ遠慮なくっ!!」」」

 

 一斉に女達が獲物である俺に向けて飛び込んで来た

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